catch-img

在宅勤務でもハイパフォーマンスを実現。コンタクトセンターの未来とは?


DCC総括の金田浩充さんへのインタビュー。前編では、コンタクトセンターにおける事業所MVVの取り組みや、それがもたらすメリットなどについてうかがいました。後編では、オペレーター向けの研修のことや、コンタクトセンターの在宅勤務化についてお聞きします。


前編はこちら


目次[非表示]

  1. ロールプレイとコーチングで対応の練度を向上
  2. 在宅コンタクトセンターでも同等のクオリティを維持
  3. ツールの活用で、リアルなセンターに近い環境を再現

ロールプレイとコーチングで対応の練度を向上

−お客様の気持ちをくみ取って上手に対応するのは難易度が高そうに感じます。オペレーターへの研修はどのように行っているのでしょうか?

まず、対応の段取りをある程度設計しておきます。「最初は笑顔で抑揚をつけて電話に出ましょう」「次に、お客様の困りごとや言い分を十分にヒアリングしましょう」「その内容を確認したうえで、どのように解決をしていくのか筋道の合意を立てましょう」といった感じですね。

もちろん、いろいろなお客様がいらっしゃるので、反応によってある程度対応を変える必要がありますが、そのスクリプトも用意しています。これを使い、ロールプレイを繰り返していくというのが研修のメインですね。


−実際にお客様の電話に対応するようになってからのサポート体制はどうなっているのでしょう?

デビュー後に、コーチングフィードバックを繰り返し実施します。電話対応が終わった後に管理者や先輩と一緒に内容を振り返り、お客様の感情状態がどうだったかなどを検証することで徐々に練度を上げていく感じですね。

初めのうちはサポートに手間がかかりますが、それをきちんとやっておくと、3か月くらい経って一人前といわれる時期になったときの違いが大きいのです。表面的な対応ばかりトレーニングしていると、どこかでつまずいて辛くなって辞めてしまうことが多いです。

わからないことがあっても、お客様の気持ちを上手にほぐしながら保留に持っていけるようになると、オペレーター自身の中での余裕が生まれて会話の主導権も取りやすくなり、結果的により良い対応ができると考えています。


在宅コンタクトセンターでも同等のクオリティを維持

−在宅勤務も取り入れているということですが、在宅勤務ならではの課題などはありますか?

現在、オペレーターの2割弱が在宅勤務ですが、クオリティとしては実際のオフィスでのコンタクトセンターで対応するのと変わらないレベルを維持できています。

課題となるのはむしろ、クライアントがそれを受け入れてくれるかどうかですね。グローバル企業の場合、普通に受け入れてくれることが多いのですが、日本企業の場合、やはり電話対応はセンターでというイメージが強く、在宅での対応を想像しづらいようです。

もうひとつハードルとなるのが、セキュリティの問題です。仕事によっては当然、個人情報を扱いますし、クライアントのシステムに繋ぐ必要も生じます。そうなってくると、クライアントの企業としてのセキュリティポリシーに関わる話になり、実現ハードルが上がってしまうんですよね。


−セキュリティ対策は、具体的にどのように実施しているのでしょうか?

最大の懸念材料は個人情報の持ち出しなので、その対策としてスタッフに支給するPCに撮影防止のシステムを導入しています。PCに搭載されたカメラがスマホを認識すると、その瞬間に画面が真っ暗になるので、PCの画面をスマホのカメラで撮影することはできません。

コンタクトセンターの場合、監視カメラのついた部屋で、管理者もその場にいる状態で業務にあたりますが、それに近い環境を在宅で実現しています。


−そんな技術があるのですね! 在宅だと、管理者がオペレーターをサポートするのも工夫が必要になりそうですが、そこはどのようにしていますか?

従来のコンタクトセンターでの対応では、管理者の助けが必要なオペレーターには手をあげてもらい、管理者はそれを見て駆けつけていました。

在宅勤務が始まった当初は、チャットツールで質問してもらう形式をとっていたのですが、電話で会話をしながらチャットに質問を入力して、その返信が戻ってくるまで会話をつなぐのは難易度が高いです。

そこで現在は、お客様の電話を一旦保留にさせてもらい、オペレーターのPC画面を管理者に共有し、内線電話で会話をして解決する方法をとっています。これによって、コンタクトセンターで管理者が直接オペレーターの席に駆けつけるのと同じ状態を実現できています。

ツールの活用で、リアルなセンターに近い環境を再現

−そのほかに、業務を円滑にするために導入しているツールなどはありますか?

「Agent MAP」という、オペレーターそれぞれの状況を可視化して、好きなレイアウトに配置できるツールを使っています。「誰々さんは今保留中だ」「あの人はもう20分お客様と話している」といったことが座席表のようなマップ上で一覧できるので、リアルなコンタクトセンターの環境により近い雰囲気になります。



−この先、コンタクトセンターのあり方はどのように進化していくとお考えですか?

テクノロジーが今よりもっと進化すれば、最近話題のメタバース空間のような場所で同じことが実現できるようになるかもしれません。コンタクトセンターも在宅も関係なく、ハイブリッドで違和感なくオペレーションができる時代が来るかもしれないですね。




想像以上に進化をとげていたコンタクトセンターの今。在宅コンタクトセンターは働き方改革にも大きく寄与していますね。今後のさらなる進化も楽しみになります。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

関連記事:

trans+(トランスプラス)に掲載しているコンテンツや、サイト内で紹介したサービスに関することなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

フォローする:

この記事をシェアする: