近代マーケティングの変遷を学ぼう マーケティング1.0、2.0、3.0のそれぞれの特徴を解説 アイキャッチ

近代マーケティングの変遷を学ぼう マーケティング1.0、2.0、3.0のそれぞれの特徴を解説

マーケティング4.0、5Aの概念についてこれまでご紹介してきました。時代とともに、マーケティングという言葉の定義も変化し、そのフレームワークも進化し続けていることをおわかりいただけたと思います。本稿では、マーケティング4.0に至るまでのマーケティングという概念の誕生について振り返ってみていきます。

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目次[非表示]

  1. 1900~1960年代 マーケティング1.0「製品志向」
  2. 4P分析のフレームワークの登場
  3. 1970〜1980年代 マーケティング2.0「顧客志向」
  4. STP分析のフレームワークの登場
  5. 1990〜2000年代 マーケティング3.0 「人間志向」
  6. マーケティング3.0で重要な3要素3iとは

1900~1960年代 マーケティング1.0「製品志向」

「マーケティング」という言葉は 19世紀の終わりに生まれ、世の中に認知されるようになったのは20世紀初頭と言われています。イギリスで18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命を皮切りに、工業製品による大量生産・大量消費が可能になりました。この頃は圧倒的に需要が供給を上回っていたので、とにかく安く製品を大量に作れば売れる、という時代でした。

ただ植民地があるイギリスと違い、アメリカでは広大な国内で製品を販売する必要があり、土地によって気候も風土も、人々の価値観も違うとなると、自ずとその土地土地に合わせた販売計画や販売方法などを考えねばなりませんでした。

つまり、効率よく大量生産し、それを消費者に届けるためには、市場や消費者を分析し、それに合った戦略を立てる必要があったのです。このような過程で「マーケティング」という言葉が生まれていったという背景があります。

4P分析のフレームワークの登場

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1950年代には、さまざまな手段を組み合わせたマーケティング・ミックスの手法が広まり、1960年代には現在もマーケティングの基礎中の基礎である「4P分析」のフレームワークが誕生しました。企業にとって、どのような製品(Product)を、どう流通 (Place) させ、どんな価格 (Price) で、どのように宣伝 (Promotion) するか、が最も重要視されるようになったのです。

コトラーはこの頃のマーケティングを『製品志向』で『製品販売を目的とする製品管理』に重きをおいた「製品中心のマーケティング」だったと位置付けています。

1970〜1980年代 マーケティング2.0「顧客志向」

1970年代に入ると、経済も豊かになり、売り手と買い手のパワーバランスも大きく変化するようになります。市場の価格競争も進み、類似した商品や模倣品で溢れかえるようになります。消費者は似たような商品の中から自分のニーズを満たす商品を選ぶようになり、売り手優位の「ただ安い商品を作れば売れる」という時代は終わりを告げるのです。

この時代のマーケティングを、コトラーは「マーケティング2.0」と名付け、『顧客志向』で『戦略的に顧客満足を探る/顧客管理』だと述べています。マーケティング2.0では、ただ製品を安く売るのではなく、買い手にとって何が必要か、つまり買い手の多様化する「ニーズ」が何か?を探る事が重要視されるようになってきたのです。

そのため、どんなニーズを持つ顧客が、どの程度の規模で存在するのか?そしてその中からどのニーズを持った人を狙って商品開発するのか?というマーケティング戦略が企業にとって必要不可欠になりました。

STP分析のフレームワークの登場

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すなわちコトラーの提唱する「STP分析」というフレームワークがそれに当たります。「STP分析」とは、Segmentation(セグメンテーション)=市場をニーズによって分割、Targeting(ターゲティング)=狙うべき市場の決定、Positioning(ポジショニング)=自社の立ち位置の明確化という、3つの観点から顧客のニーズを探る、というものです。 誰にでも売れる商品は、一見良いように見えて、買い手からすると価値を見出すことが難しく、おもしろみに欠けるものになります。このように企業はいかに、競合他社と差別化するかに注力する時代になったのです。

さらに、供給が追いついて、物余り現象になった結果、人々には「人と同じ物を嫌がる」という心理も出てくるようになりました。そのため、企業は自分らしさを求める顧客に、先回りして提案する必要性も出てきたのです。

1990〜2000年代 マーケティング3.0 「人間志向」

1990年以降、マーケティング3.0の考え方が生まれた背景として、ソーシャルメディアの発達、社会的課題の顕在化、市場の成熟の3つがあるといわれています。

第三次産業革命とも呼ばれる、インターネットの登場、そしてFacebookやTwitterなどのSNSの発達により、人々は製品のレビューから、製品を作る企業の情報まで、ポジティブな情報からネガティブな情報まで、さまざまな情報にアクセスできるようになりました。

そして、環境破壊や、格差などのさまざまな社会問題が深刻化したことで、企業の姿勢やビジョンが問われるようになりました。そのため、同じような商品が並んでいた時には、消費者は社会的に支持できる企業を選ぶようになってきていると言えます。

社会的・精神的価値がより大きな意味を持つようになった現代では、「世界をよりよくするため」の企業の社会貢献がマーケティングにおいても、最重要視されるようになったのです。

マーケティング3.0で重要な3要素3iとは

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マーケティング3.0では「ポジショニング」「ブランド」「差別化」という3つの側面から見る「3iモデル」というフレームワークの下で企業を評価するようになりました。

ブランド・アイデンティティ
「ポジショニング」「ブランド」から成り立ち、消費者の心理の中における位置づけのことを指します。ユニークな位置づけであることが好まれます。

ブランド・イメージ
「ブランド」「差別化」から成り立ち、消費者に良好な印象を与え、感情的なニーズを満足させることを指します。ブランド・イメージを言い換えると、マーケティング2.0の主役「STP」と「ブランディング」です。

ブランド・インテグリティ
「差別化」「ポジショニング」から成り立ち、ブランドに対する誠実さを意味します。そのブランドが約束を果たしていない場合には、ソーシャルメディア等の新しい技術がブランドの嘘を暴くことになります。

これまでのマーケティングでは、顧客は製品やサービスを購入する単なる「機械」のように扱われて来ました。しかし、これからはマインドとハートを持つ「全人的存在」である消費者たちと世界に価値を「共創していく」ことこそが、最終的には企業の製品が売れることにつながると、コトラーは指摘しています。

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trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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