【何があった?これからどうなる?】平成最後のインターネット広告業界 2018年度まとめ

【何があった?これからどうなる?】平成最後のインターネット広告業界 2018年度まとめ

2019年2月、「2018年 日本の広告費」が発表されました。

日本の総広告費は7年連続でプラス成長。インターネット広告費は5年連続の二桁成長をとげ、その規模は地上波テレビ広告費に迫る結果となりました。

消費者の生活にデジタルサービスが加速度的に浸透する一方で、大手プラットフォーマーの不祥事に端を発し、日本のみならず世界規模で、インターネット広告業界全体のコンプライアンス意識が問われた1年でした。

この流れを受けて、2019年度のインターネット広告業界はどのように変化していくのでしょうか?今後の動きを占うべく、2018年度インターネット広告業界のニュースを振り返ってみましょう。

大手メディアの洗練と新興メディアの躍進

大手メディア編 時価総額ベスト10 GAFAの動向

世界最大級の証券取引所であるニューヨーク証券取引所が扱う「米国株 時価総額ランキング」によると、2019年4月2日現在、ベスト10位以内には「GAFA(※1)」がすべてランクインしています。

米国株 時価総額ランキング (2019年4月2日現在)
▲米国株 時価総額ランキング (2019年4月2日現在)
出展元:米国株ランキング (リアルタイム)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/ranking/?kd=4

GAFAはかねてより時価総額ランキングの上位を占めてきましたが、2018年もなお健在でした。米Googleの持ち株会社アルファベットの2018年10~12月期決算によると、Googleは広告事業が収益の中心であり、米調査会社のイーマーケターは『2019年の世界のネット広告市場の約3割をグーグルが占める』と分析。

また、米Facebookの2018年10~12月期決算によると、米Facebook総収入の内、広告収入は約98%を占めています。

 

一方、米Amazonの2018年10~12月期決算によると、広告が含まれる「その他」の純売上高は第4四半期に前年同期比97%増となり、米Amazonの広告事業においても米Google・米Facebookを猛追しました。

そんなGAFAが2018年に日本国内で行った主要な出来事としては、各社が提供する各種広告媒体の“ブランド再構築”があげられます。また、新規サービスの提供が続々と開始される一方で、時流やテクノロジーにそぐわないサービスの提供を終了するなど、プラットフォームを絶えず洗練させ、事業拡大を続けてきました。

 

●リブランディング

●新機能の拡充

●一部機能・サービスの終了

新興メディア編 TikTokをはじめとした動画メディアに注目

2018年度は「2018年アプリオブザイヤー」を受賞したTikTokの躍進が目立ちました。

なお動画領域に関しては、TikTokだけでなくYouTubeやNETFLIXといった動画コンテンツを提供する様々なサービスが、昨今のスマートフォンベースの生活に根ざし、日常化しつつあります。

「2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると『動画広告費は2,027億円、2019年には2,651億円への拡大を予測』と、動画は今後も拡大を続けると考えられ、今注目すべき領域であるといえそうです。

●TikTok

●動画サービス

●2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析 (2019/3/14)

インターネット広告業界のコンプライアンス意識

GAFAが事業の拡大を続ける一方で、コンプライアンス意識や市場の寡占状態に疑問の声が上がり始めた一年でもありました。

海外編 プライバシー保護、個人データ管理が焦点に

2018年3月20日、米Facebook 有する5000万人分の個人情報が、第三者機関へ不正に流出した事が明らかになりました。2017年頃よりYouTubeでも悪質な動画に広告が表示されてしまう事を受け、大手企業の広告主が次々と広告出稿を停止するといった流れはあったものの、この一大スキャンダルによって大手プラットフォームへの不信感は、広告主だけでなく世間も、その印象を強くします。

2018年5月25日(現地時間)には欧州にてGDPR(※2)が施行されましたが、翌年2019年1月22日、欧州委員会は米Googleに対し『利用者からの同意を得る手続きが不完全であることなど』を理由に、GDPR施行以来最大となる約62億円の制裁金を科しています。

このような動きを受け、大手プラットフォーマーはプライバシー保護施策を進めています。Appleは「ITP」で対策を講じ、近日「ITP2.1」のリリースを予定しており、Facebookはターゲティング広告において、個人を絞り込む機能を抑えます。

なお、個人データの管理を巡りGAFA包囲網が各国で形成されつつある状況です。GAFA包囲網に関しては、プライバシー保護のほか独占禁止法も争点となっており、欧州委員会は、米Googleに対し『ウェブ運営事業者との契約に、グーグルが有利になるような条件をつけるなどして、米ヤフーなど競合他社の検索広告の参入を阻害した』として独占禁止法違反であると判断、2019年3月に約1900億円の制裁金を科しています。

プライバシー保護、独占禁止法に対するGAFAの打ち手はどのようなものになるのでしょうか。

2018年にAppleがプライバシー保護の一環としてITP2.0を実装した際サードパーティCookieが制限された事から、リマーケティングの配信量や精度に影響が出たため、リマーケティングに比重を置いた広告モデルから方針転換を迫られたマーケターも少なくなかったのではないかと思います。GAFAの動きが、マーケティング活動に直接的な影響をもたらすという意味で、今後もGAFAの動きには注目していきたいところです。

日本編 不正サイトやプラットフォームに厳しい目

日本でも様々な議論がおきました。

2018年4月、海賊版サイト「漫画村」騒動が起こります。内容は割愛しますが、この騒動のかたわら、このような海賊版サイトの運営が継続可能となる要因に“インターネット広告の広告収入がある、ゆえにインターネット広告業界は犯罪を支援する形になっているのではないか”といった、ネットユーザーの厳しい目線がインターネット広告業界に向けられる事となりました。

このような日本独自の議論にくわえ、世界規模でプラットフォーム運営の健全性が問われている事もあって、2018年度はインターネット広告に関する報道がシステム面にまで踏み込み、詳細な内容で行われたのも特徴的でした。

2019年3月7日には、公正取引委員会がGAFAに対し『不当な個人情報を集めた場合、独占禁止法を適用する方針を固め』たり、同24日『ユーザーに十分に説明せずに位置情報などを利用した』としジャパンタクシー社に行政指導が入るなどの事案が相次ぎました。

このように、日本でも他国と同様に「プライバシー保護」「独占禁止法」そして「フェイクニュース(情報の虚偽・ねつ造)」に対しての意識が日増しに高まっています

業界はこのような動きに対し、第三者機関に預けられた個人データを本人の同意を得た上で活用する「情報銀行」の始動(2018年11月20日よりサービス開始)や、日本アフィリエイト協議会による虚偽・ねつ造ネット広告への対策を強化(2019年3月26日より実施)するなど、様々な対策を進めている状況です。

 

また「2018年 日本の広告費」によると、『各クライアントのブランドセーフティーへの関心の高まりとともに(中略)予約型広告については評価が見直される傾向がある』とありました。マーケターは広告の原点に立ち返り、広告が発信するメッセージに応じて運用型広告と予約型広告を使い分ける事が生活者とのコミュニケーション形成をする上では有効である、という認識に改めていく必要がありそうです。

まとめ

2019年度もGAFAが提供する事業、ならびに現在勢いのある「動画」といった領域を中心に業界が動いていく事と思います。

GAFA(なかでも収益の多くを広告事業であげているGoogle・Facebook・Amazon)のシェア争い、そして2019~2020年の間はオリンピック特需によって、GAFAないし各種プラットフォーマーの広告関連事業は今後ますます拡大していく事でしょう。

 

しかしながら、こうした加速度的成長がもたらしたものは決して良い側面ばかりではなく、「漫画村騒動」をはじめとする2018年に起きた一連の事案に代表されるように「業界にとっての利便性」を追求した結果、生活者に対するコンプライアンス意識をないがしろにしている、というような業界に対するネガティブな印象を与えてしまったのは、根の深い問題ではないかと思います。

 

これに関してはマーケター各位、広告メッセージに応じて運用型広告と予約型広告を使い分けたり、ホワイトリストなどブランドセーフティツールを活用して不適切な広告枠への広告配信を低減するなどして対応を講じ始めています。

どのような手を打つにしても、思考停止せず、業界全体で高いコンプライアンス意識を持ち、粘り腰で生活者に正しいメッセージを届けていく必要があるのではないでしょうか。

2019年中にインターネット広告費がテレビ広告費を超えると見てほぼ間違いない状況です。

拡大を続ける市場においては同時に、新たなテクノロジー・プロダクトが続々生み出される事と思います。

それらをキャッチアップし、全く新しいコミュニケーションが生まれる事を楽しみに「令和」を迎えたいですね!

 

■脚注

※1 GAFA:Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字から成る大手プラットフォーマーの総称。

※2 GDPR:「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)。欧州議会、欧州理事会および欧州委員会が策定した個人情報保護の新しい枠組み。

■情報参照元

GAFA 時価総額、決算関連

米国株ランキング (リアルタイム)

グーグル、10~12月22%増収 広告事業がけん引 (2019/2/5)

Facebook Reports Fourth Quarter and Full Year 2018 Results (2019/1/30)

アマゾン、予想上回る好決算–クラウドや広告がけん引 (2019/2/1)

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