
通信業界DXの最前線
巨大経済圏の課題と向き合うtrans-DXプロデューサーの挑戦
trans-DXプロデューサー インタビュー vol.2
trans-DXプロデューサーはお客様企業が抱える課題に対し、総合的かつ実行力のある支援を提供することを目的としています。
trans-DXプロデューサーインタビューでは、お客様企業のDX推進支援に携わるプロデューサーへ、担当業界についての特性やDX推進における課題、どのように課題を解決したかなど、経験談を語っていただきます。
vol.2は、通信業界で活躍されている本間弘規さんにお話をお伺いしました。
教育から通信へ。様々な通信業界のプロジェクトを担当。
---- まず初めに自己紹介をお願いします。
本間
はじめまして。トランスコスモス株式会社でtrans-DXプロデューサーを務めております、本間弘規です。2013年に新卒で入社後、最初の3年半は教育業界、それ以降約9年間通信業界を担当しております。
---- なぜ通信業界に関わるようになったのでしょうか?きっかけなどがあれば教えてください。
本間
教育業界での担当役務を終え、新たなプロジェクトとして「ポータルサイトの検索チーム」へアサインされたのが通信業界担当のきっかけでした。検索結果に表示される検索連動型広告の収益を最大化するために数値を見ながらPDCAを回し収益面(検索数)や、ユーザビリティの向上によるUI改善を行いつつ、その他の様々な通信業界のプロジェクトを担当していくことで気付いたら通信担当になっていました。

多角化する通信業界の経済圏ビジネス。規模に比例しDX推進難度も高く。
---- DXを推進するにあたって、通信業界ならではの特性や特徴があれば教えてください。
本間
通信業界は回線事業を提供しつつも金融・EC・エネルギー・エンタメといったような回線以外の事業を展開し、ポイントプログラムを軸に自社に消費者(ユーザー)を囲い込む経済圏ビジネスを展開しているのが特徴です。また法人領域でも、回線事業を展開しつつもクラウドサービスの展開やビジネスプロセス全体でのデジタル化やマーケティング支援を行っています。
数多くの消費者(ユーザー)やサービスを抱える通信業界ではビッグデータと呼ばれる膨大な顧客データを蓄積しています。そのデータを活用しながら1人1人に寄り添ったサービスを展開しているのが通信業界のDXの特色となっています。
---- 本間さんは多くの通信業界のお客様企業をご担当されていますが、この業界でよく見られるDX推進時の課題についてはどのようなものがあるのでしょうか?
本間
大きく4つの課題があると感じています。
まず一つ目の課題は、部門間の壁です。複数のサービスを展開しているからこそ、どうしても組織が縦割りになってしまいます。データは一元管理されているのですが、全体を最適化するための施策を考えるには、部門間での調整や各部門でのルールへの順応が必要となり、そこに時間がかかってしまいます。
二つ目の課題はDX人材の育成です。共通のポイントプログラムやIDを使ったデータが一元管理されているのに、それを活用できる人材がまだまだ不足しているのが現状です。
三つ目は施策の実行スピードです。全社でデータ管理を統一している企業が多いですが、データが一元管理できるメリットはあるものの、施策を実行する際にはそれなりのフローが必要になるため、スピード感が損なわれてしまうことがありました。
最後は、新規システムの採用の難しさです。全社でデータやツールが統一されることはDXを推進するうえで非常に効果的なのですが、その分、新しいツールを導入するのが難しくなっています。既存のツールで何ができるか、もしくは新規ツールを導入することでどれだけ費用対効果が出るのか、慎重に検討するべきことが多いですね。
---- 事業範囲が広く、一つの施策が及ぼす影響も大きいからこその課題ですね。こういった課題を解決する中で、特に苦労した点や、実行してよかった取り組みはありますか?
本間
最近の例ですと、回線契約者へのアップセルや自社のお客様(ユーザー)に対する他サービスへの入会促進に関するコスト高騰が課題としてありました。
それを解決するために膨大な顧客データを活用し、グループ内でのクロスセルやアップセルを実施しました。具体的には、CDPに蓄積されたデータを分析して、「クロスセルやアップセルをしやすいお客様(ユーザー)の特徴」を見つけ出し、メールなどのデジタルチャネルや、コンタクトセンターを使ったセールスアプローチを行うといったものです。
施策効果については、まだまだ取り組み中なので、数値の改善はこれから進めていかなければなりません。ただ、デジタルチャネルだけ、あるいはコンタクトセンターだけでアプローチするよりも、複数のチャネルを連携させることで、成果が良くなる傾向が見えてきています。
例えば、デジタルチャネルは量のアプローチが得意なのに対し、コンタクトセンターはお客様(ユーザー)との距離が近いため個人に寄り添った接客が可能です。デジタル接触のみで自分で意思決定できる場合はデジタルアプローチのみでも良いですが、デジタルだけでは躊躇してしまう場合はコンタクトセンターなどのオフラインチャネルを活用することでお客様(ユーザー)の背中を押すことができると考えています。
デジタル時代だからこそ、様々なコミュニケーションの在り方を模索していきたい
----お客様企業からの反応はいかがでしたか?どのような声があったのでしょうか?
本間
トランスコスモスはデジタルマーケティングの会社でもあり、コンタクトセンターの会社でもあります。そのため、それら複数のチャネルを融合して、1人1人に最適なチャネルでアプローチすることができます。
「一気通貫で対応できるのはトランスコスモスだけ」とお言葉を頂く機会も増えてきており、ご期待により応えられるよう日々、ユーザーファーストでどのようなコミュニケーションが最適なのかを考えています。
----トランスコスモスの強みである一気通貫での対応を、認めていただけたようで嬉しいですね。最後に、本間さんの今後の意気込みについて教えてください。
本間
デジタルマーケティングやコンタクトセンター以外にも「紙媒体」や「対人営業」でのチャネル活用もトランスコスモスでは可能です。
デジタル時代だからこそアナログが大事になるシーンもあり、デジタルとアナログを組み合わせた、個人に最適化されたコミュニケーションの在り方を今後も模索していきながらお客様企業の成果にも貢献していける座組を色々と検討していければと思っております。
---- 本日は貴重なお話、ありがとうございました!

<参考>trans-DXプロデューサーとは