【国内・海外EC業界ニュース】レクサスも乗り放題?トヨタ自動車がサブスクリプションEC参入へ!Weekly Picks! 2/7-2/13
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界33カ国・171の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
今週のトピックはこちら。
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トヨタ自動車、KintoでサブスクリプションECに参入!
2月5日、トヨタ自動車はサブスクリプションサービスKintoを正式に開始したことを発表しました。これに伴い新会社(Kinto )を設立し、 トヨタファイナンシャルサービスや住友三井オートサービスなどが出資しています。Kintoでは2つのサブスクリプションプランを提供し、Kinto Oneでは自動車を1台、Kinto Selectでは自動車6台から選べるプランとなっています。両プランはともに、任意保険、自動車税、登録費用、車検費用なども料金内に含まれます。先行する米国市場では、すでにVolvoやBMWなどが参入していますが、トヨタ自動車が提供するサービスでは、顧客の運転の仕方を「エコ」や「安全」などの指標で判定しながら、ボーナスポイントを還元するゲームを導入することで他社と差別化を図ります。トヨタ自動車のサブスクリプションサービス提供により、国内の他社メーカーが参入するのでしょうか、注目されます。
情報源:トヨタ自動車、新会社「KINTO」を設立(2019/02/05)
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/26466090.html
trans+編集部
KINTO SELECTは月額約20万円で高級車レクサスの6モデルが選べるシステムとなっており、契約期間は36か月(=3年間)。単純な費用比較で考えると様々な意見がありますが、トヨタの掲げる「人とクルマの新しい関係」への大きなチャレンジとして市場の期待も大きいでしょう。ちなみに「KINTO」の由来は、何を隠そうあの孫悟空の「筋斗雲」。「必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動でき、環境にも優しい「筋斗雲」がイメージ。
相次ぐファッション業界における差別問題、GucciとKaty Perry Collectionsに黒人差別批判
2018年11月、高級ブランドDolce & Gabbanaが中国人差別とも思われる動画を公開し、謝罪対応が遅れたことにより、わずか一夜にして中国への出入り禁止となり巨大マーケットを失いました。このようなファッション業界における差別問題は頻発しており、2月に入り高級ブランドGucciと歌手のKaty Perryのプロデュースするブランドがそれぞれ黒人差別とされるBlack Face(顔の黒塗りの状態)をモチーフとした商品販売の疑いで批判を集めました。いずれのブランドにおいても、素早い謝罪表明と商品の販売中止を速やかに進めたことで問題は収束しつつあります。
情報源:産経ニュース『グッチに「黒人差別」批判 セーター販売中止、謝罪』(2019/02/07)
https://www.sankei.com/world/news/190207/wor1902070024-n1.html
trans+編集部
クリエイティビティと解釈。これらに「正解」は無いと言えます。ですが、グッチ側として意図していたものではないと言うものの、結果的にこのような騒動にまで発展してしまいました。騒動後、マルコ・ビザーリCEOは公式Instagramにて「文化的多様性と認識」に関する4つの長期的な行動計画を発表しています。
Facebook、画像検索テクノロジーGrokStyleを買収
2月8日、Facebookは人工知能を用いた画像検索テクノロジーを提供するGrokStyleを買収したことを発表しました。同社は、家具や室内装飾品の検索に特化しており、IKEAなどの家具を販売する小売事業者のアプリに導入されています。Facebookは、2013年に「人工知能研究所」を設立するなど人工知能分野の研究開発に注力してきました。まだ、GrokStyleのもつテクノロジーをどのように活用するかの詳細は発表されていませんが、Facebookは海外でフリマ機能(Marketplace)を展開するほか、Instagramのショッピング機能を強化しているため、いずれこれらサービスに組み込んでいくと考えられます。
情報源:Bloomberg『Facebook Acquires Visual Shopping Startup to Bolster AI Work』(2019/02/09)
trans+編集部
GrokStyleのウェブサイトには感謝のメッセージが掲載されているものの、明確にFacebookの名前については言及していません。一方で、同社のLinkedinアカウントには”acquired by Facebook”と表示されています。ちなみに、GrokStyleの技術力を知るにはこの動画が最適です。
Forrester Analytics、東南アジアEC市場の予測を発表
調査会社Forrester Analyticsによると、東南アジアのEC市場規模は2018年時点で190億ドル、2023年までに530億ドルに拡大すると見込んでいます。同社では、スマートフォン普及の後押しを受けてインターネット利用が増えているとしており、現在、東南アジア人口の約58%がインターネットを利用し、毎月新たに350万人がインターネットの利用を始めているそうです。東南アジアにおいてシンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムの6ヵ国が主要EC市場とされ、今後5年間でCAGR 23%で成長するといわれています。ちなみに、2018年11月にGoogleとTemasek Holdingsが発表した調査では、2018年のEC市場規模は(GMVベース)230億ドル、2025年までに1020億ドルに拡大すると予測しています。いずれの発表においても、ともに東南アジアの大手ECサイトをShopee、Lazada、Tokopediaを挙げています。近年、Alibaba、Didi、Tencent、Baiduなどの中国企業がこれらECサイトを中心に、東南アジア市場への積極投資を進めており、その額は80億ドル以上ともいわれています。今後、これら中国勢が東南アジアEC市場の拡大に寄与すると見込まれます。
情報源:KrAsia『Southeast Asia’s online retail market to reach $53b in 2023』(2019/02/11)
https://kr-asia.com/southeast-asias-online-retail-market-to-reach-53b-in-2023
trans+編集部
「東南アジア版アマゾン」と呼ばれる”Lazada”は2016年4月にアリババにより買収されています。対するアマゾンは2017年7月にシンガポールでサービス開始し、東南アジアに進出。Prime会員への有料サービスで囲い込みを進めます。両者の戦略の違いが今後の展開にどう影響するのでしょうか。異なる文化背景が交錯し、地続きではない地理的条件など、市場の課題は多くありますが、EC市場だけでなく、今後の世界経済においても東南アジアの可能性を感じさせてくれますね。
楽天、第4四半期決算を発表!売上収益は初の1兆円越え
2月2日、楽天は第4四半期決算を発表しました。同社の発表によると通期の売上収益は1兆1,014億8000万円(前年度比16.6%)となり、初めて1兆円を超えました。営業利益も1,704憶2,500万円(前年度比14.1%)とこちらも過去最高を記録しました。その背景としてFintech領域が伸びたことを挙げています。今回「楽天カード」のインターネット通販などのグループ内のサービスと連携したポイントの付与などを行った結果、取扱高が7兆5,000億円にまで拡大し、また、楽天銀行口座が700万口座を突破するなど安定収益を上げました。今後、さらにFintech領域を強化する計画で「楽天ペイメント」を設立し、楽天ペイ、楽天Edy、楽天ポイントを統合した、新「楽天ペイ」アプリのリリースも予定しています。また、EC事業についてはグローバル流通総額が15兆4,000億円(前年度比18.2%)、国内流通総額は3兆4,000億円(前年度比13.6%)となり、売上収益は4,268億円(前年度比9.2%増)を記録しました。今後も成長率を伸ばしていくため楽天スーパーロジスティックスの強化を計画しています。
情報源:楽天 投資家情報『2018年度決算短信・説明会資料』(2019/02/12)
https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/
trans+編集部
売上高1兆円の大台達成は、平成に入って設立した国内独立系ITベンチャー企業では、初の快挙とのこと。複数あったモバイル決済システムも「楽天ペイ」に統合され、決済事業は新会社「楽天ペイメント株式会社」に集約されます。着々と楽天経済圏というエコシステムが構築されていますね。
ブランドのグローバル展開が進むにつれ、文化的価値観の違いから生まれるリスクが増えています。実際、昨年末より大手ブランドDolce & GabbanaやGucciなどの高級ブランドは、プロモーションや商品が差別的であると批判を集めました。いずれもインターネット上で炎上しましたが、初動対応の違いによりDolce & Gabbanaはわずか数時間にして中国という巨大マーケットを失う一方で、Gucciは素早く謝罪表明を出したことでDolce & Gabbanaほどの大問題には発展していません。このような問題は日本企業も国内外問わず起こす可能性があると考えられ、その際ブランドにとって素早い対応が何よりも重要となります。しかし、そもそも炎上を回避するためには、ブランドは今まで以上に多様性や包摂性への対応が求められていることを理解する必要があるでしょう。 ~トランスコスモス調査部より~ |