【2021年EC業界ニュース】米決済サービス大手ペイパル、日本後払いスタートアップのペイディを買収 ほか
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
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国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
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今週は「米決済サービス大手ペイパル、日本後払いスタートアップのペイディを買収」に注目です。PayPalは、現在、後払い決済対応においてKlarnaやAffirmなど新興プレイヤーから遅れを取っている状況で、アメリカとイギリス、オーストラリアなどの地域でのみ展開しています。
新興プレイヤーが積極的に自ら新規市場を開拓する、あるいは、地場の後払い決済サービスの買収によりグローバル展開を拡大する中での、PayPalのペイディーの買収となりました。ペイディは現在、国内で会員数約600万人を抱え、アマゾンや楽天を含むECサイト70万サイトで導入されています。特に女性や若年層の利用が多く、2021年の流通総額は2,200億円と推計されています。まだ、EC市場に占める後払い決済利用は少ないですが、PayPalによる買収により新規の加盟店開拓や既存のPayPal会員とのサービス連携が容易となり、今後後払い決済の利用の後押しに繋がるとみられています。
なお、同社は2020年4月時点でPayPalとの提携で国内実店舗および海外ECサイトでの利用にも対応し始めており、買収はさらに相互のサービス連携の強化に繋がると考えられます。
米決済サービス大手ペイパル、日本後払いスタートアップのペイディを買収
9月7日、米決済サービス大手「ペイパル(PayPal)」は、日本後払いスタートアップの「ペイディ(Paidy)」を買収すると発表しました。買収金額は3,000億円になり、2021年第4四半期に現金で支払う見通しです。後払いサービスを提供するペイディは、日本国内で600万人の会員数を抱えており、時価総額10億ドル(約1,100億円)超のスタートアップとして注目が集まっています。近年、BNPLと呼ばれる後払いサービスは急成長していることが買収の背景になります。また、日本はネット通販規模が世界3位で、現金決済が7割以上占めるため、後払いサービスのポテンシャルが大きいことも買収理由として言及されました。ペイパルのような大手参入によって、後払い市場での競争が一層激しくなる見込み。
情報源:日本経済新聞 「米決済ペイパル、後払い新興のペイディを買収 3000億円」(2021/09/08)
ネット通販大手のアマゾン、食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」で無人決済システムを導入と発表
9月8日、米ネット通販大手「アマゾン(Amazon.com)」は、2022年に傘下の食品スーパー「ホールフーズ・マーケット(Wholefoods Market)」の2店舗で無人決済システムを導入すると発表しました。アマゾンはすでに2021年6月に、食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」で、レジなし決済システム「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」を導入しましたが、ホールフーズ・マーケットでの導入は初めてです。今回はワシントン州とカリフォルニア州の2店舗に導入する見通しで、効果を見た後、他店舗でも順次導入するとしています。なお、来店者がレジを通さず生体情報で支払いを済ませるため、買い物時間を短縮するとともに、非接触決済による感染リスクを削減するメリットがあると説明しました。
情報源:日本経済新聞 「Amazonがレジ無し店舗 傘下のホールフーズで」(2021/09/09)
東南アジア大手ネット通販のシー・グループ、6800億円を調達、ネット通販の拡大に
9月9日、東南アジア大手ネット通販「ショッピー(Shopee)」の親会社である「シー・グループ(Sea Group)」は、約62億ドル(約6,800億円)の資金を調達すると発表しました。調達資金は主力事業であるネット通販の拡大に充てるほか、金融事業にも活用する見通しです。同社は近年東南アジアでのシェア拡大に成功しており、2021年からはメキシコ、チリ、ブラジルを含む中南米市場の開拓に注力しています。東南アジアと同様に、シー・グループは中南米市場で広告宣伝費用を多く投入して知名度を高めるため、多額の資金を必要としています。また、中南米を第2主力市場にする理由として、成長性が高いことを挙げています。米SNS大手の「フェイスブック(Facebook)」などの調査によると、2026年まで同市場のネット通販流通総額は年平均成長率20%と高い伸び率を示しており、東南アジアを上回ると予測されています。
情報源:日本経済新聞「シー、6800億円の資金調達 ネット通販を拡大」(2021/09/09)
物流業界2位と3位の日本郵便と佐川急便が提携、ヤマトに対抗するか
9月10日、日本郵政の連結子会社である日本郵便は、宅配サービスを提供する佐川急便との提携で合意したことを発表しました。両社は2004年からメール便で協業しており、今回は小型荷物の宅配や国際荷物の輸送など提携の範囲をさらに広げるとしています。具体的には、佐川急便が集荷した小型荷物や国際荷物を日本郵便が配送します。また、日本郵便が取り扱っているゆうパックの保冷品配送サービスを佐川急便に委託する形になります。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が長くなり、オンラインショップへの利用が増えている背景に、物流業界での人手不足が深刻化になっています。そうした中で、物流2社は戦略提携を打ち出し、サービスの補完によって、業界最大手のヤマト運輸に対抗する狙いでもあるそうです。
情報源:日本経済新聞 「日本郵便と佐川が提携」(2021/09/11)
台湾発のパーフェクト株式会社、AR搭載のバーチャルメイク機能「YouCam チュートリアル」をリリース
9月13日、台湾を拠点とし、AR・AI技術を活用してバーチャルメイクアップサービスを提供する「パーフェクト株式会社(Perfect Corp)」は、AR技術を搭載した新機能「YouCam チュートリアル」のリリースを発表しました。同機能は、パーソナライズされたバーチャルメイクを通じて、消費者に最新のトレンドメイクや新製品の使い方の体験を提供します。消費者はスマホやタブレットに専用アプリをダウンロードし、アップルペンシルを使ってAR技術により端末に映された自分の顔でメイクをすることができます。現段階では、アイシャドウ、アイライナー、チーク、アイラッシュ、リップスティック、アイブロウ、ベースメイクのメイクに対応しています。同社は新機能の提供により、消費者満足度の向上や売上増加を期待していると説明しました。
情報源:PR TIMES 「パーフェクト株式会社、最新機能『YouCamチュートリアル』 をリリース、メイクブランドがメイクのハウツーをAR化することが可能に」(2021/09/13)
中国ネット通販大手のアリババ、決済サービス「アリペイ」事業を分割か
9月13日、中国ネット通販大手「アリババグループ(Alibaba Group)」は、傘下のオンライン決済サービス「アリペイ(Ali Pay)」の事業分割を計画していることが明らかにされました。情報筋によると、後払い機能に近い「花唄」と、小口無担保融資を提供する「借唄」業務を他の金融サービスから分離し、独立事業化を進める可能性が出てきています。また、今回の事業分割は、近年中国政府が大手企業のフィンテック事業への監視を強めることと関係しているとされています。
情報源:産経新聞 「中国、アリペイの事業分割を計画 データ独占警戒、英紙報道」(2021/09/13)
今週の注目はペイパルの日系BNPL決済事業者買収だよ! |