【2023年EC業界ニュース】ZOZO、2023年3月期連結決算を発表・営業利益とGMVともに過去最高実績を更新　ほか

トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース

今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。

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国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。

今週のトピックはこちら。

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GoTo、2023年第1四半期決算を発表・コスト削減により業績の立て直しを進める

4月27日、インドネシア大手EC事業者のGoTo（ゴートゥー）が2023年第1四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比14％増の6兆ルピア（約550億5,800万円）、純損失は41％減を記録しています。CEOのAndre Soelistyo（アンドレ・ソエリスティオ）氏によると、人件削減やEC事業にて独自のラストマイル配送サービスを開発するなどコスト削減を進め、損失額を減らしています。

同社は2022年4月の上場時に、売上高の3倍以上の額になる40.4兆ルピア（約3,700億7,900万円）の純損失を記録するなど業績は低迷していました。現在、同社は、配車サービスとスーパーアプリのGojek（ゴジェック）傘下のオンデマンドサービスを筆頭に業績改善を進め、収益拡大を目指しています。
情報源：GoTo Group "GoTo Group Closer to Profitability with Adjusted EBITDA Improving by 67% as Company Delivers 2023 First Quarter Results"（2023/04/27）

Amazon、2023年第1四半期決算を発表・ポストコロナの業績低迷から脱却を目指す

4月27日、米大手EC事業者Amazon（アマゾン）が2023年第1四半期決算を発表しました。

売上高は前年同期比9％増の1,273億5,800万ドル（約17兆円600億円）で、最終利益は31億7,200万ドル（約4,200億円）の黒字転換となりました。北米事業が黒字に転換したほか、国際事業の赤字も縮小しており、ポストコロナの業績低迷から脱却し始めています。特に北米のEC事業の売上高は同11％増、広告事業の売上高は同21％増と好調だったことが寄与しています。同社のCEO、Andy Jassy（アンディー・ジャシー）氏によると、広告事業の好調はAIへの投資により顧客の関心に合う広告を表示できるようになったことが寄与しています。

また、景気減速への懸念が強まり、企業が出費を控える中でもクラウド事業AWS（Amazon Web Services：アマゾン・ウェブ・サービス）の売上高は同15.8％増を記録しました。また、同社は景気減速を警戒し、人件費削減やHalo（ヘイロー）を販売するヘルスケア事業の閉鎖などコスト削減を進めています。

情報源：Amazon.com Inc."Amazon.com Announces First Quarter Results"（2023/04/27）

ZOZO、2023年3月期連結決算を発表・営業利益とGMVともに過去最高実績を更新

4月27日、ZOZO（ゾゾ）が2023年3月期連結決算を発表しました。

売上高は前期比10.4％増の1,834億2,300万円、営業利益は同13.6％増の564億2,100万円、GMV（流通総取引額）は同7.0％増の5,443億円を記録しました。営業利益とGMVともに過去最高実績を更新しています。全体の80％を占めるZOZOTOWN（ゾゾタウン）事業は、売上高が前期比10.7％増の1,360億7,500万円でGMVは同11.2％増と好調でした。

また、ZOZOWEEK（ゾゾウィーク）などのセール施策やテレビ・ネット広告による集客強化が奏功し、アクティブ会員数が初の1,000万人突破しました。Yahoo!（ヤフー）ショッピングのGMVも同13.8％増の498億円と好調で、新規顧客の獲得に寄与しています。利益面では、物流拠点内の作業効率向上により人件費が減少したことで、販管費が改善しました。

同社は今後、顧客層の拡大に向けてパーソナライズ化とコスメ事業、40代以上の顧客獲得へ注力していきます。具体的な施策として、AIとプロのスタイリストによるパーソナルなスタイリングを提供するniaulab（似合うラボ）の強化や、アパレルとコスメの併せ買いを促進するプロモーションなど展開する予定です。

情報源：株式会社ZOZO「2023年３月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 」（2023/04/27）

メルカリ、2023年6月期第3四半期連結決算を発表・最終黒字へ転換

4月28日、メルカリが2023年6月期第3四半期連結決算を発表しました。

売上高は前年同期比13％増の436億円、営業利益が同86億円増の56億円となり最終黒字へ転換しました。主力の国内事業では「CtoCとBtoCの連携強化を通じた出品増」を掲げ、新規ユーザ獲得と獲得後の出品促進施策に注力しました。結果、マーケットプレイスの月間MAU（アクティブユーザー数）は第2四半期比73万人増加の2,226万人で、過去最高を更新しています。

さらに、クロスユース施策や出品キャンペーン等が奏功し、GMV（流通総取引額）は同8％増の2,546億円を記録するなど着実に拡大しています。

一方で、米国事業は低調で、MAUは前年同期比11％減の501万人、GMVは同14％減の2億5,800万ドル（約351億6,900万円）を記録しました。インフレの影響で消費者が生活必需品への支出を優先していることや、1次流通での積極的な値引きによるオンライン・リユース市場への逆風が影響していると考えられます。

また、同社は2023年6月期第3四半期の事業方針として「グループシナジー強化による循環型金融の促進」を掲げ、メルカードへの投資拡大やメルカリ内でビットコイン「メルコイン」の売買ができるサービスを開始しています。

情報源：株式会社メルカリ「2023年６月期 第３四半期決算短信〔日本基準〕（連結）」（2023/04/28）

Mercado Libre、2023年第1四半期決算を発表・GMVの伸びとコスト効率化により好調

5月3日、中南米最大のEC事業者Mercado Libre（メルカド・リブレ）が2023年第1四半期決算を発表しました。

売上高は前年同期比58.4％増の30億ドル（約4,060億円）、営業利益が3億4,000万ドル（約459億8,000万円）と好調でした。また、月間アクティブユーザー数が初めて１億人を突破するほか、GMV（流通総取引額）は同43％増の94億ドル（約1兆2,600億円）を記録しています。特にブラジル・メキシコ・アルゼンチンの３カ国が著しいGMV成長率を記録し、前年同期よりも好調です。中でもメキシコのGMVが前年同期比29％増と最も成長しました。

フィンテック分野の売上高は、前年度の急成長の反動で伸びが鈍化しましたが、コマース分野の売上高は前年度のGMVの伸びとコスト効率化により好調に加速しました。同社は2023年に更に1,700人のエンジニアを雇用する予定で、長期的な事業成長を計画しています。

情報源：Mercadolibre"Mercadolibre 2023 First Quarter Report"（2023/05/03）

Etsy、2023年第1四半期決算を発表・商品検索サービスのパーソナライズ化で好調

5月3日、米ハンドクラフト専用オンラインマーケットプレイスEtsy（エッツィー）が2023年第1四半期決算を発表しました。

売上高は前年同期比10.6％増の6億4,090万ドル（約866億3,200万円）で純利益は同1,160万ドル（約15億6,800万円）減の7,450万ドル（約100億7,000万円）でした。取引手数料の値上げやユーザ数の上昇が寄与しています。アクティブバイヤーは同1％増の8,990万人と微増で、パーソナライズ化された商品検索サービスによってバイヤーの継続的な利用を促しています。

また、インフレ下で消費が低迷する中で、売り手の商品サイト表示をパーソナライズ化し、より詳細な商品情報を提供することでコンバージョンの増加を促進しました。一方で、GMS（流通取引総額）は前年同期比4.6％減の31億ドルを記録しており、Reuters（ロイター）によるとGMSの減少はインフレによる消費低迷の現れと考えられています。

情報源：Etsy, Inc."First Quarter 2023 Results"（2023/05/03）
情報源：Reuters"Etsy tops revenue estimates on demand for personalized products, higher fees"（2023/05/03）

Shopify、2023年第1四半期決算を発表・事前の市場予想を上回る売上高を記録

5月4日、カナダ大手EC事業者のShopify（ショッピファイ）は2023年第1四半期決算を発表しました。

売上高が前年同期比25%増の15億800万ドル（約2,020億円）で、事前の市場予想を上回りました。GMV（流通総取引額）は同15％増の496億ドル（約6兆6,800億円）で、営業損益は1億9,300万ドル（約260億3,200万円）の赤字を記録しています。コロナ禍が落ち着き、ECの成長が減少したことが影響しています。同社はエンタープライズ規模の小売企業向けに「Commerce Components by Shopify（CCS）」の発表や、OpenAI（オープンAI）の ChatGPT APIを利用したAIショッピングアシスタントを発表するなど、新たなサービスの拡充を進めています。

また、同社は2022年5月に21億ドル（約2,900億円）で買収したばかりの米物流スタートアップ、Deliverr（デリバー）を含む物流事業の大半を米新興企業のFlexport（フレックスポート）に売却することを発表しました。それに伴い、従業員を約20％削減し、本業のEC支援に経営資源を集中することを発表しています。

2019年に4億5,000万ドル（約620億7,500万円）で買収した倉庫用ロボット開発の米6River Systems（シックス・リバー・システムズ）を、英Ocado（オカド）に売却することでも合意しています。

情報源：Shopify Inc."Shopify Announces First-Quarter 2023 Financial Results;Agrees to Sell Shopify Logistics to Flexport"（2023/05/04）
情報源：CNBC"Shopify cuts 20% of its workforce; shares surge on earnings beat"（2023/05/04）