【2023年EC業界ニュース】米Walmart、2028年までに海外市場のGMV2,000億ドル達成を目指す
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界27カ国・100の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
今週のトピックはこちら。
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印Meesho、ECプラットフォームアプリ史上世界最速で累計5億ダウンロードを突破
アプリ分析データ会社data.ai(データエーアイ)によると、インドのECプラットフォームアプリMeesho(ミーショ)が世界最速で累計5億ダウンロードを突破しました。
本アプリの容量はインドのGoogle Playで提供されるECプラットフォームアプリのうち最も軽量なため、同国で普及しているローエンドのスマートフォンと互換性があることが、記録に寄与したと考えられます。インドには約8億人のスマートフォン保有者がおり、同社はアプリによる国内EC市場の牽引を継続していく予定です。
情報源:EtRetail "E-commerce platform Meesho crosses 500 mn downloads"(2023/06/02)
米Amazon、プライム会員向けの携帯電話の通信サービスの開始を検討か Bloomberg報道
米Bloomberg(ブルームバーグ)によると、米大手EC事業者Amazon(アマゾン)はプライム会員向けの携帯電話の通信サービスの開始を検討しています。同社は低価格または無料でサービスを提供するため、米大手通信事業者のVerizon(ベライゾン)やAT&T(エーティー&ティー)、T-Mobiles(T-モバイル)と交渉中とされています。
Bloombergは、この計画が実現するには数か月かかる可能性があり、破棄される可能性もあると報道しています。Amazonが交渉中の各通信事業者はCNBCに対し、現時点での通信サービス計画は検討していないと説明しており、サービスの詳細は明らかになっていません。
米Walmart、2028年までに海外市場のGMV2,000億ドル達成を目指す
6月2日、米小売大手Walmart(ウォルマート)は海外市場のGMV(商品流通総額)を5年間で2,000億ドル(約27兆9,290億円)に倍増させる計画です。
同社の海外GMVは2018年時点の1,200億ドル(約16兆7,600億円)から、英国、ブラジル、アルゼンチン、日本での事業売却後には2023年1月には1,000億ドル(約13兆9,600億円)にまで減少しました。同社CEOのJudith McKenna(ジュディス・マッケンナ)氏によると「インフレの長期化により不安定な世界経済が続く中、高い目標設定であるものの、世界規模のオムニチャネル戦略の強化と、メキシコ市場と同様の補完的な経済圏を構築することで目標達成が見込める」と説明しています。
同社はメキシコ市場で、実店舗を通じて日用品を販売するほかデジタル決済アプリプラットフォームCashi(キャッシュ)や通話サービスBAIT(ベイト)の展開、ヘルスケアサービスの提供も行っています。
英国で小売事業者の急速な自動化が消費者からの反感を得る
英国では、小売事業者の急速な自動化が消費者から反感を得ています。
英小売事業者のMarks&Spencer(マークス&スペンサー)は計8店舗のカフェで有人レジを廃止し、セルフ決済サービスを実験的に導入しました。タッチスクリーンによって注文が完了するため、店員は食べ物や飲み物を作ることに集中できます。
一方で年配者を中心とした消費者は、キャッシュレス決済を含む自動化に対して「サービスが分かりにくい」と不満を抱いています。また、英小売事業者のTesco(テスコ)の年次総会が行われる6月16日には店員と消費者がTesco店舗の自動化に対する不満を表すデモを行う予定です。このデモは2022年に設立された抗議活動グループの一環で、同グループには自動化移行に対する反対署名が24万以上集まっています。
2022年、同社は多くの大型店舗から従来のレジを廃止し、セルフサービスのレジを増やすと発表しました。店舗の自動化はコスト削減というメリットがありますが、顧客体験とのバランスを考える必要があると本記事では説明されています。
米Walmart、ラストワンマイルの自動化を強化
2023年5月、米大手小売Walmart(ウォルマート)が最新の配送センターを報道陣に公開しました。
本センターではロボットによる業務自動化を進めており、ネット注文を確認後にロボットが自動で該当商品の入ったカゴを棚から取り出し、担当者がいるピッキング台に運んでいきます。この棚には、販売データをもとに予測した需要順に商品が陳列されています。カゴを運ぶロボットとそのシステムの特許をWalmart が取得しており、複数のロボットの一部が故障しても他ロボットは迂回して作業を継続します。また、米国7つの州にドローンを使った配送を行っており、往復で最大80キロメートルの輸送が可能です。
同社は2026年までに全米の店舗の65%に同様の自動化配送システムを導入し、宅配コストを2割削減する計画です。EC専業企業にとって、ラストワンマイルはコスト削減が難しい領域なため、Walmartは米国全土に展開する実店舗網を生かしてコスト削減に注力するねらいです。
情報源:日本経済新聞「低価格維持へロボ奔走 ウォルマート最新配送センター」(2023/06/06)
Zara を展開するInditex、2023年第1四半期決算を発表・コスト最適化により好調
6月7日、Zara(ザラ)などのブランドを展開するスペインのファストファッション大手Inditex(インディテックス)グループが2023年第1四半期決算を発表しました。
店舗およびECを含む売上高は前年同期比13%増の76 億ユーロ(約1兆1,240億円)を記録し、純利益が同54%増の12億ユーロ(約1,800億円)で市場予測を上回りました。スペインの平均賃金が20%上昇しインフレによる景気後退が続いている中、コストの最適化を進めたことが寄与しました。
同社は春夏コレクションの売上が5月に16%増加するペースに達する見込みと説明しています。また、2023年の総店舗面積を約3%増やす計画で、16億ユーロ(約2,400億円)の投資が計画されています。
情報源:Inditex"Interim Three Months 2023"Results"(2023/06/06)
Apple、Metaが相次いでMRデバイスの発売を発表
6月5日、米Apple(アップル)はゴーグル型MRデバイス「Apple Vision Pro(アップルビジョンプロ)」を2024年に発売することを発表しました。本デバイスの普及に伴い、ユーザーは新たな没入型デジタル環境を手にし、将来的には新しいEC体験を味わうことができるかもしれません。
Apple Vision Proでは360度の視覚空間を活用した3次元のデジタル体験が可能で、2つのディスプレイには一般的なVRヘッドセットに使われるディスプレイの3~4倍の画素数、2,300万ピクセルを詰め込んだ超高解像度ディスプレイシステムを備えています。2つの超高解像度ディスプレイにより、商品紹介動画やライブコマースの視聴価値は一層引き上げられる可能性があります。
Appleのビデオ通話アプリFaceTime(フェイスタイム)で本デバイスを使用すると、ユーザーの部屋に等身大の通話相手が映し出され、対面での対話と同じような臨場感が提供されます。これにより、より豊かなオンライン接客や親身なカスタマーサポートの提供が可能になるかもしれません。
また、6月8日木曜定例の全社会議にて、米Meta(メタ)CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Apple Vision Proに対する見解を述べました。
Metaは6月1日にはVRヘッドセット「Meta Quest 3(メタクエスト3)」の発売を発表しました。同商品はVRに加えて、コンピューターで生成した映像に現実の景色を融合させるMRに対応します。Mark Zuckerberg氏は、「Meta Quest 3は専門的なコンピューティング技術を兼ね備えるApple Vision Proよりも幅広いユーザー層にリーチすることを目的としているため、方向性が異なる」と説明しています。デバイスが本当に普及するかは未知数であるものの、MetaやApple 両社がMR領域に注力することで、この分野における注目度が高まっていくと考えられます。
情報源:日本ネット経済新聞「アップル、初のゴーグル型端末「Apple Vision Pro」発表 『複合現実』でECはどう変わる?」(2023/06/05)
情報源:The Verge"Here's what Mark Zuckerberg thinks about Apple's Vision Pro"(2023/06/09)
今週の注目は「米Walmart、2028年までに海外市場のGMV2,000億ドル達成を目指す」だよ! |