【2023年EC業界ニュース】TikTok、2023年中にグローバルECの売上高を4倍以上に拡大するねらい
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界27カ国・100の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
今週のトピックはこちら。
↓↓↓↓↓↓↓↓
目次[非表示]
Amazon、AR機能をさらに拡張
6月6日、米Amazon(アマゾン)は3Dデジタルビジュアルを作成するHexa(ヘキサ)と提携し、AR機能をさらに拡張します。これにより、出店事業者が同社の商品ページ用に3D画像や没入型360度ビジュアライゼーション、仮想試着、拡張現実コンテンツを作成できるようになります。
Amazonは2020年にインテリアの3Dショッピング体験を提供するRoom Decorator Tool(ルーム デコレ―ター ツール)を発表して以降、2022年には靴やアイウェアのAR機能を拡張するなど積極的に拡張現実コンテンツを提供していました。
Amazon Fashion(アマゾンファッション)では写真共有アプリSnapchat(スナップチャット)と提携し、Oakley(オークリー)や Persol(ペルソル)、Costa Del Mar(コスタ デル マール)などのアイウェアブランドのAR試着サービスを提供しています。Amazonは、拡張現実コンテンツはオンラインショッピング体験を向上させ、出店事業者のコンバージョン率向上につながると考えています。
情報源:RetailDive "Amazon gives sellers access to Hexa's AR, 3D tech tools" (2023/06/06)
TikTok、2023年中にグローバルECの売上高を4倍以上に拡大するねらい
6月7日、Bloomberg News(ブルームバーグニュース)によると、中国ByteDance(バイトダンス)傘下のTikTok(ティックトック)は、2023年中にグローバルECの売上高を4倍以上の200億ドル(約2兆8,200億円)まで伸ばす計画です。同社はインドネシアを筆頭とした東南アジア市場の成長に期待をしています。
中国政府が自国の利益促進のためにユーザーデータを収集している恐れがあるとして、TikTokアプリが規制当局から監視を受けているなか、同社は米国と欧州での販売拡大にも取り組んでいます。
Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)誌によると、TikTokはライブビデオコマースのTalkShopLive(トークショップライブ)と提携し、運営をアウトソーシングして北米でライブコマースプラットフォームを立ち上げる予定です。
情報源:Internet Retailing"TikTok eyes US$20bn in global e-commerce revenue this year"(2023/06/08)
ベトナムの越境ECの輸出額は年20%超のペースで増加する見込み
6月7日、米Amazon(アマゾン)が展開するAmazon Global Selling(アマゾングローバルセリング)とベトナム商工省の電子商取引・デジタル経済局がベトナム企業のEC促進をテーマに会議を開催しました。
コンサル企業Access Partnership(アクセスパートナーシップ)によると、ベトナム企業が十分な支援を受けてECに取り組めば、年間越境EC輸出額は年20%超のペースで増加し、2027年には売上高が296兆3,000億ドン (約1兆7,600億円)に達する可能性があります。
2022年にはAmazon経由でベトナム企業の輸出額が45%増加しており、同社はベトナム企業の越境EC支援に積極的な姿勢を示しました。
情報源:VIET_JO「ベトナムの越境EC輸出額、毎年+20%超のペースで増加の可能性」(2023/06/09)
米国でライブコマースが盛り上がりを見せる
米国でライブコマースが盛り上がりを見せています。中古でラグジュアリーハンドバックを販売する中小企業Bagriculture(バグリカルチャー)は2022年にライブコマースで月10万ドル(約1,400万)を売り上げました。同社は3~4つのプラットフォームで同時にライブを配信し、販売者が商品に関する説明を紹介します。
CNBCによると、TikTok(ティックトック)、Poshmark(ポッシュマーク)、eBay(イーベイ)の3社は中国のソーシャルメディア上で始まったこのビジネスモデルを再び米国で展開しようとしています。
ライブコマースの調査会社Coresight Research(コアサイト・リサーチ)は、米国のライブコマース売上高は2023年末までに500億ドル(約7兆700億円)に達し、2026年までには米国のEC市場総売上高の5%以上を占めると予測しています。
情報源:CNBC"Livestream shopping booms as small businesses strike gold on social media" (2023/06/09)
成果報酬型の企業広告マッチングアプリPearpopが注目集める
2021年設立の企業とクリエイターをマッチングする米アプリPearpop(ペアポップ)が注目を集めています。
クリエイターは、企業が募集する広告案件にふさわしい動画を作成し自身のSNSに投稿します。閲覧数が事前に設定されている水準に達すると報酬を受け取れる仕組みで、金額は閲覧数などに応じて決定します。水準に達しない場合は報酬を受け取れない一方で、ペナルティーは無く参加費用もないため、クリエイターに大きなデメリットはありません。1人当たりの報酬には上限があるものの、動画の投稿は企業の予算枠を使い切るまで可能です。
Netflix(ネットフリックス)やAmazon(アマゾン)、Chipotle(チポトレ)などの企業以外にも、アーティストのShawn Mendes (ショーン・メンデス)やMadonna(マドンナ)も一般クリエイターの力を借りてマーケティング活動をしています。現在は20万人を超えるクリエイターが登録し、企業の案件予算の71%以上がフォロワー数10万人以下のクリエイターに支払われています。
大手クリエイター以外にも報酬の機会がある点がPearpopの特徴で、北米を中心に利用者数を拡大させ、2022年には英国やドイツ、フランスなどでキャンペーンを実施しました。同社CEOのCole Mason(コール・メイソン)によると、2023年末までには日本市場に進出する予定です。
情報源:日本経済新聞「動画広告制作 バズれば報酬」(2023/06/10)
リテールメディアの広告収入、2028年までにテレビ広告を超える予測 欧州企業が積極参入
GroupM(グループM)やWPPなどの広告代理店が、リテールメディアの広告収入は2028年までにテレビ広告を超えると予測しています。
GroupMは総広告収入の15.4%を占めると予想し、WPPはデジタルサイネージ広告(OOH)やコネクテッドTV(CTV)に次いで3番目に急成長している広告チャネルとしています。米Amazon(アマゾン)や米Walmart(ウォルマート)、英Sainsbury's(セインズベリーズ)など各小売事業者は大手広告主による広告出稿を積極的に促しています。
AmazonやWalmartなど米小売事業者がリテールメディアを牽引してきた中、欧州の小売事業者も積極的に参入しています。
オランダの食料品店Ahold Delhaize(アホールド・デレーズ)は2025年までに小売以外の事業で10億ユーロ(約1,530億円)の収益を獲得する目標を立てており、主に広告事業での収益拡大を目指しています。
英国の大手小売事業者Sainsbury'sはロイヤルティプログラムを管理するグループ会社Nectar360(ネクター360)の提携ブランド網を生かし、2026年までにリテールメディア事業で9,000万ポンド(約16億660万円)の収益を見込んでいます。
McKinsey(マッキンゼー)によると、英国の食料品分野のリテールメディアだけでも約2年で10億ポンド(約1,800億円)の利益を生み出す可能性があります。
情報源:Reuters"Retail media ad revenue forecast to surpass TV by 2028"(2023/06/12)
今週の注目は「TikTok、2023年中にグローバルECの売上高を4倍以上に拡大するねらい」だよ! |