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【スペシャル】アジア10都市オンラインショッピング利用動向調査2021

Today’s Topic
東京を除くアジア各都市では、ライブコマースは意外と活用されているみたいだよ!


トランスコスモスでは、アジアにおけるオンラインショッピングの利用実態と越境ECへの関心を探ることを目的として「アジア 10都市オンラインショッピング利用調査 2021」を実施しました。この調査は、東京を含むアジア 10都市におけるオンラインショッピング利用者 3,200人(各320人)を対象とし、都市の特徴やアジアに共通する傾向を明らかにしています。4年目となる今年は「ライブコマース」と「新型コロナによる行動変化」の2つテーマについて調査し、ここではそれぞれの注目ポイントについてご紹介したいと思います。




ライブコマース利用における注目ポイント

・ライブコマースで購入経験があると答えた人は、ハノイ(62.5%)、バンコク(60.6%)、ムンバイ(52.5%)で半数を超える一方で、東京はわずか5.9%にとどまり、アジア都市との差が顕著となりました。

・一方、また利用したくなる「嬉しい体験」では、「梱包が丁寧だった」が東京(32%)と上海(43%)ではトップ、それ以外の8都市では「有料配送のはずが送料無料で購入できた」がいずれも60~70%と非常に高いスコアとなりました。

・ライブコマースで感じることを10都市平均でみると、「画像やテキストではわかりにくい説明を聞くことができる」(65.2%)、「買物をするとき、不明点や疑問点をすぐに確認できる」(57.3%)、「商品の使い方について実演してくれる」(50.9%)などライブ映像ならではの特性が評価されています。また、上海やムンバイでは、好きな著名人や配信者を応援する楽しさも魅力となっています。

・利用しない理由としては「配信のタイミングが合わないことが多い」(41.4%)が10都市平均で最も多い結果となりました。一方で「買物はじっくり行いたい」「テレビショッピングみたいで嫌い」など、買物スタイルの好みに起因する理由も上位にあがっています。


目次[非表示]

  1. ライブコマースの認知度は9都市で7割を超える
  2. 詳細な商品説明がライブコマースの利用を後押し、上海とムンバイではインフルエンサーの影響力が大きい
  3. ライブコマースを利用しない理由として、配信のタイミングが利用しない主な原因に
  4. ライブコマ―スの利用経験がない人は、今後の利用意向も低い
  5. 新型コロナの影響を受け、実店舗での買い物が減り、オンライン利用が増加

ライブコマースの認知度は9都市で7割を超える

アジア各都市のライブコマースの認知および利用経験について質問したところ、東京以外の9都市では認知度が7割以上となりました。特に、ハノイ(62.5%)、バンコク(60.6%)、ムンバイ(52.5%)の3都市ではライブコマースで購入した経験がある回答者が半数を超える結果となりました。その他5都市では利用率が半数に満たず、なかでも東京と台北での利用は少なく2割程度にとどまります。特に、東京は他都市と比べて認知度・利用は両方とも低く、回答者のうち購入経験がある割合が5.9%、購入はしていないが認知している割合が7.8%となりました(図表.1)。


図表.1 ライブコマースの認知および利用割合 (%)

詳細な商品説明がライブコマースの利用を後押し、上海とムンバイではインフルエンサーの影響力が大きい

ライブコマースの利用経験者に対して、利用した際の感想について質問したところ、①「画像やテキストでは分かりにくい説明を聞くことができる」(65.2%)、②「買い物をするとき、不明点や疑問点をすぐに確認できる」(57.3%)、③「商品の使い方について実演してくれる」(50.9%)などの理由が上位にあがりました(図表.2)。上海とハノイを除く8都市では「画像やテキストでは分かりにくい説明を聞くことができる」の回答が1位となり、商品の詳細説明を受けることできるメリットがライブコマースの利用理由となっていることがわかりました。また、全体平均の回答率は3割を切りましたが、上海(42.0%)とムンバイ(37.5%)では、「好きな著名人や配信者を応援する楽しさがある」の回答が多く、インフルエンサーの影響力の高さが伺えます(図表.3)。


図表2. ライブコマース利用に関する感想(全体平均/複数回答)(%)


図表3. ライブコマース利用に関する感想(都市別/複数回答)(%)

ライブコマースを利用しない理由として、配信のタイミングが利用しない主な原因に

ライブコマースを知っているが利用したことのない回答者に対して、利用しない理由を質問したところ①「配信のタイミングがあわないことが多い」(41.4%)、②「買い物はじっくり考えて行いたい」(30.3%)、③「テレビショッピングみたいで嫌い」(23.9%)などが上位にあがりました(図表.4)。最も回答が多かった「配信のタイミングがあわないことが多い」は、ジャカルタ(58.0%)とバンコク(50.0%)、クアラルンプール(47.9%)、マニラ(47.6%)、ハノイ(44.0%)、シンガポール(43.3%)の6都市で利用しない一番の理由となっています。一方で、上海(48.7%)と台北(40.2%)、東京(32.0%)の3都市では、「テレビショッピングみたいで嫌い」が利用しない一番の理由となりました(図表.5)。


図表4. ライブコマースを利用しない理由(全体平均/複数回答)(%)


図表5. ライブコマースを利用しない理由(都市別/複数回答)(%)

ライブコマ―スの利用経験がない人は、今後の利用意向も低い

ライブコマースをわからず利用経験のない回答者に対して、ライブコマースの定義を説明し、今後の利用意向について質問したところ、ムンバイ(63.0%)とジャカルタ(60.6%)、バンコク(60.0%)、クアラルンプール(54.8%)、マニラ(53.4%)の5都市では、半数を超える回答者が今後ライブコマースを利用したいという意向を示しました。一方で、その他5都市では半数に満たず、特に東京(22.5%)と台北(22.2%)の利用意向は低い結果となりました(図表.6)。


図表6. ライブコマースの今後の利用意向(都市別)(%)


新型コロナウイルスによる生活への変化の注目ポイント


・新型コロナの生活における主な影響としては、「実店舗での買い物回数が減った」(56.5%)、「オンラインで購入する頻度や金額が増えた」(49.8%)、「自炊やオンラインデリバリーを利用して在宅で食事をとることが増えた」(41.7%)などが並びました。在宅時間の増加で実店舗からオンラインにシフトしたことが明確に表れています。


・この傾向は、各都市の新型コロナウイルスの流行規模や行動規制の厳しさを問わず、毎年継続的に測定しているショッピング頻度が大きく増加したことでも裏付けられます。


・オンライン購入で増えたジャンルとしては「日用品・トイレタリー」が10都市平均50.4%で最も多く、マニラとハノイ、クアラルンプール、バンコクでは「フードデリバリー」が1位となりました。

新型コロナの影響を受け、実店舗での買い物が減り、オンライン利用が増加

新型コロナがどのように生活に影響を与えたかについて質問したところ①「実店舗での買い物回数が減った」(56.5%)、②「オンラインで購入する頻度や金額が増えた」(49.8%)、③「自炊やオンラインデリバリーを利用して在宅で食事をとることが増えた」(41.7%)などの回答が上位にあがり、オンラインでの買い物が増えていることがわかりました(図表.7)。


図表7.  新型コロナウイルスが与えた生活への変化(全体平均/複数回答)(%)


1位の「実店舗での買い物回数が減った」は、上海・台北を除いた8都市で首位となり、そのうち東京を除く7都市は約6割が回答しました。全体的に新型コロナによる生活の変化がみられる中で、東京では「新型コロナにより生活の変化はなかった」が3番目に回答された選択肢となり、他の都市と比べて変化を感じない回答者が多いことがわかりました(図表.8)。


図表8.  新型コロナウイルスが与えた生活への変化(都市別/複数回答)(%)


また、新型コロナによって生活の変化が生じたと答えた回答者を対象に、オンラインでの購入が増えた商品について質問したところ①「日用品・トイレタリー」(50.4%)、②「フードデリバリー」(47.0%)、③「食品・飲料・酒類」(46.3%)、④「ファッション(アパレル、鞄、アクセサリーなど)」(44.4%)、⑤「化粧品・医薬品」(34.8%)などが上位にあがりました(図表.9)。


図表9.  新型コロナウイルスの影響を受け、オンラインでの購入が増えた商品Top10(全体平均/複数回答)


特に、1位の「日用品・トイレタリー」については東京を除く9都市でオンラインでの購入頻度・金額が増えたと答えた人は約5割以上となっています。また、2位の「フードデリバリー」については、マニラ(61.6%)とハノイ(61.5%)、クアラルンプール(60.4%)、バンコク(59.6%)では1位となりました。図表.10)。


図表10.  新型コロナウイルスの影響を受け、オンラインでの購入が増えた商品Top5(都市別/複数回答)(%)


2018~21年までのオンラインショッピング利用を経年で比べると、都市共通して1か月あたりのオンラインショッピングの平均利用回数が増加傾向にあることがわかりました。2018年時点で、週一回以上オンラインショッピングをする回答者が50%を超えた都市はムンバイ、シンガポール、上海の3都市のみでしたが、2021年は東京・台北を除く8都市となりました(図表.11)。


図表11.  週1回以上オンラインショッピングを利用している割合の推移(2018-2021)(都市別/複数回答)(%)


■「アジア10都市オンラインショッピング利用者動向調査2019」について


調査方法:インターネットによるパネル調査


調査対象都市:日本(東京)、中国(上海)、台湾(台北)、インドネシア(ジャカルタ)、シンガポール(シンガポール)、タイ(バンコク)、マレーシア(クアラルンプール)、ベトナム(ハノイ)、フィリピン(マニラ)、インド(ムンバイ)の10都市


調査対象者:10-40代の男女で、直近1年以内のオンラインショッピング利用(購入)経験者


回収サンプル数:320x10都市=計3,200サンプル


調査実施期間:2020年12月25日~2021年1月12日


今回の調査により、アジア各都市におけるライブコマースの認知度や利用率が軒並み意外と高いことが判明した一方で、東京の認知度や利用意向の低さが際立つ結果となりました。

この差の要因はいくつか考えられ、まず売り手側の状況として、日本国内では集客力のある大手オンラインショッピングサイトがまだ本格的にライブコマースを展開していないことが考えられます。加えて、利用者側としても、比較的国内のオンラインショッピングサイトの信頼度が高いこと、そして依然として実店舗での購入を好むといった傾向が影響していると推察できます。

しかし、そんな日本国内においても、新型コロナの感染拡大による外出自粛を追い風に、近年、資生堂や大手百貨店などが次々とライブコマースへ参入する動きが活発化し、また、利用者側も実店舗での買い物が減り、オンラインショッピングの利用が増加する流れの中、店舗と同等の接客体験できるライブコマースは新たな購買スタイルとして今後徐々に受け入れられるのではないかと思われます。


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trans+(トランスプラス) 編集部
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ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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