【2022年EC業界ニュース】楽天、2022年度第2四半期決算を発表、過去最大の赤字を記録 ほか
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界26カ国・93の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
今週のトピックはこちら。
※2024年2月更新
↓↓↓↓↓↓↓↓
目次[非表示]
- ・ペイペイ、国内登録者数がスマートフォン利用者数の半数に近づく 今後は収益化に注力
- ・クイックコマースの「ヤフーマート」、実店舗開設 高齢者など新規顧客の獲得を目指す
- ・メルカドリブレ、新たなデジタル通貨メルカドコインを発表
- ・アリババ、インセンティブを利用した二酸化炭素削減プロジェクトをリリース
- ・中東大手ECサイトのヌーン、オンラインファッションのナムシを買収
- ・楽天、2022年度第2四半期決算を発表、過去最大の赤字を記録
- ・ウォルマート、有料会員限定でキャッシュバックサービスを開始 ロイヤル顧客の囲い込みを目指す
- ・ヤフーとアスクルの通販サイト「ロハコ」にてゆっくり配達でPayPayポイントの還元サービス実験が開始
- ・快手科技、2022年第2四半期決算を発表 ショート動画アプリ快手のDAUは過去最高の3億4,700万人を記録
ペイペイ、国内登録者数がスマートフォン利用者数の半数に近づく 今後は収益化に注力
国内スマートフォン利用者数約9,000万人の半数以上がQRコード決済「PayPay(ペイペイ)」に登録する日が近づいています。
PayPayによると、政府が実施するマイナンバーカードの普及促進策によって、制度開始の2020年9月から900万人以上がPayPayに新規登録しています。
PayPayは2018年10月にサービスを開始し、現在では国内のQRコード決済の取引高シェア6割を超えています。国内最大手のQRコード決済である同社は今後、黒字化が課題になる見込みです。
2021年10月から全ての加盟店で決済手数料を課したことで、2022年3月期の売上高は前期比150%増の574億円に増加しました。
しかし最終損益は600億円の赤字で、未だ黒字化に向けて課題を抱えています。同社は国内のキャッシュレス決済の潜在需要を掘り起こすことで収益確保を目指しています。
情報源:日本経済新聞 「PayPay、登録者数5000万人に マイナポイントが追い風」(2022/08/17)
クイックコマースの「ヤフーマート」、実店舗開設 高齢者など新規顧客の獲得を目指す
8月19日、Zホールディングス(現 LINEヤフー株式会社)傘下のヤフー(Yahoo!)と出前館、アスクルの3社は食料品や日用品などを最短15分で届けるクイックコマース「Yahoo!マート by ASKUL」の実店舗を開設したことを発表しました。東京都新宿区と渋谷区に計2店舗を開設し、約2,000種類の商品を提供します。
消費者は実際に商品を手に取って買い物が可能で、今回の実店舗運用を通じてクイックコマースサービスの認知向上を目指しています。
特に高齢者など新たな顧客層の獲得を目指し、2022年度中にクイックコマースサービスを東京23区全域に展開する見込みです。
情報源:産経ニュース 「ヤフーマート」に実店舗 認知度向上で新規客獲得」(2022/08/19)
メルカドリブレ、新たなデジタル通貨メルカドコインを発表
南米大手EC企業のメルカドリブレ(MercadoLibre)が新たなデジタル通貨「メルカドコイン(MercadoCoins)」を発表しました。
メルカドコインは、メルカドリブレのECサイトで商品を購入する際や、金融部門メルカドパゴ(MercadoPago)の取引の際に獲得し、支払いにも充てることができます。初回ローンチ後では、ブラジルの50万人以上の顧客人に対し、1枚0.10ドルで提供する予定です。
8月下旬には同社の計8,000 万人の顧客に通貨が提供される見込みです。現時点で、ブラジル以外のラテンアメリカ諸国に展開を拡大する計画は発表されていません。
情報源:BeInCrypto "Brazil's MercadoLibre Introduces Crypto Loyalty Program With MercadoCoin"(2022/08/19)
アリババ、インセンティブを利用した二酸化炭素削減プロジェクトをリリース
中国大手IT企業のアリババ(Alibaba)が、二酸化炭素排出削減の取り組みとして「88碳賬户(CO2アカウント)」をリリースしました。これは利用者がネット通販などの同社プラットフォームを利用する際に、二酸化炭素削減の取り組みに参加することでポイントが貯まり、ポイントに応じて割引などが受けられる制度です。
ECモール「天猫(Tmall)」やフリマアプリ「閑魚(Xianyu)」などが対象となっており、例えば、出前注文時に使い捨てカトラリーの利用を控えたり、配送時に使われた段ボールを集配ステーションに持ち込んだりすることが挙げられます。
2021年にアリババは、グループ全体で合計15億トン分の二酸化炭素削減を目指すことを発表しています。今回のCO2アカウントは、中環連合認証センター(China Environmental United Certification Center)を始めとした複数の専門機関と連携してリリースしており、10億人規模の利用者を保有するアリババの二酸化炭素削減事業参入への期待の高まりが見受けられます。
中国政府は2020年9月にダブルカーボン政策を打ち出しており、個人や法人の取り組み参入を促進しています。
情報源:36KrJapan 「CO2削減の取り組みをポイント還元。アリババが個人ユーザー向け新制度」(2022/08/21)
中東大手ECサイトのヌーン、オンラインファッションのナムシを買収
8月21日、ドバイの億万長者モハメド・アラバー(Mohamed Alabbar)氏やサウジアラビアの政府ファンドの公共投資基金(PIF)が支援するEC企業ヌーン(Noon)が、中東のファッションEC企業ナムシ(Namshi)を買収したことが明らかになりました。
買収を発表した、中東最大の政府系不動産開発デベロッパーのエマール・プロパティーズ(Emaar Properties)は、2019年に総額2億8,100万ドル(約388億9,273万円)でナムシを買収していました。
エマール・プロパティーによると、ナムシは3億3,520万ドル(約463億9,446万円)で売却されています。
情報源:Reuters"Gulf e-commerce company Noon to buy fashion venture Namshi"(2022/08/21)
楽天、2022年度第2四半期決算を発表、過去最大の赤字を記録
楽天グループが2022年度第2四半期決算を発表しました。売上収益は前年同期比12.6%増の8,935億9,800万円、営業利益は前年同期から約961億円減のマイナス1,970億7,500万円の過去最大の赤字となりました。赤字の背景には、携帯電話事業における通信品質の低いエリアにおける基地局建設に費用がかさんだことが挙げられます。
一方で、国内EC事業は好調で、パンデミック前と比べても予約流通総額は増加しており、楽天トラベルも業界水準を上回るペースで推移しました。
また、楽天市場と他のサービスのクロス利用の拡大に加え、楽天西友ネットスーパーや物流、「送料込みライン」の施策が順調に功を奏したとしています。
コロナ禍における巣ごもり消費の拡大を背景に増加した顧客の定着が進んだ結果、国内EC売上は前年同期比12.3%増の1兆3,000億円となりました。
情報源:ECのミカタ「【楽天決算】2022年12月期第2四半期決算(連結)を公表」(2022/08/22)
ウォルマート、有料会員限定でキャッシュバックサービスを開始 ロイヤル顧客の囲い込みを目指す
8月24日、米大手スーパーマーケットのウォルマート(Walmart)が、公式アプリにてキャッシュバックサービスを開始しました。同サービスは有料会員であるウォルマートプラス(Walmart+)対象者にのみ適応されます。
消費者がキャッシュバック対象商品を購入すると、アプリ内のウォレットにウォルマートリワード(Walmart Rewards)が貯まります。次回以降の買い物の際に、アプリ内のQRコード決済「Walmart Pay QR Code」をスキャンし、リワードの使用を選択することでキャッシュバックを受けることができます。
競合のアマゾン(Amazon)も同様のサービスを展開していますが、5%のキャッシュバックを受けるためにはAmazon Prime Rewards Visaと呼ばれるクレジットカードを作成する必要があります。
ウォルマートのリワードサービスは、デジタルクーポンサービスと同様のもので、消費者の支払い信用に影響を受けません。
また、米大手スーパーマーケットのターゲット(Target)が提供する割引サービス「ターゲットサークル(Target Circle)」でも同様にデジタルギフトカードや割引券の発行を行っていますが、ウォルマートとは異なり消費者全員が対象です。
ウォルマートは有料会員限定でキャッシュバックサービスを提供することで、積極消費者との信頼を築くことを目指しています。
情報源:TechCrunch"Walmart+ adds a new cash-back feature for members, Walmart Rewards"(2022/08/24)
ヤフーとアスクルの通販サイト「ロハコ」にてゆっくり配達でPayPayポイントの還元サービス実験が開始
8月24日、Zホールディングス(現 LINEヤフー株式会社)傘下のヤフーとアスクルが運用するオンライン通販サイト「LOHACO PayPayモール店」と「LOHACO by AKSUL(LOHACO本店)」にて、商品配達を通常よりも遅くする選択をした消費者にPayPayポイントを提供するサービス「おトク指定便」の実証実験を開始することを発表しました。実験期間は8月28日から10月9日までの予定で、毎週日曜日に実施されます。
同通販サイトでは毎週日曜日に注文が集中する傾向にあるため、配達を分散させて物流網への負担を軽減させる狙いがあります。
通常配達では最短で翌日に配達されますが、同サービスでは配達日を3日後の水曜日から1週間後の日曜日までの期間を指定できます。指定日によってPayPayポイントが10~30円分還元されます。
情報源:日刊スポーツ「ヤフーとアスクルがゆっくり配達でポイント還元 メルカリも取り組み検討 ドライバー不足背景」(2022/08/24)
快手科技、2022年第2四半期決算を発表 ショート動画アプリ快手のDAUは過去最高の3億4,700万人を記録
8月23日、ショート動画プラットフォーム「快手(Kuaishou)」を運営する「快手科技(Kuaishou Technology)」が2022年第2四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比13.4%増の217億元(約4,300億円)で市場予測を上回る一方で、純損失は31億8,000万元(約630億円)で市場予測を下回り、2020年第4四半期以来初の好成績を記録しました。
特にライブ配信事業の売上高は前年同期比19.1%増の86億円(約1,700億円)を記録し、EC事業を含むその他サービス事業の売上高も前年同期比7.1%増の21億元(約410億円)の成長を見せました。
快手の1日あたりのアクティブユーザー数は前年同期比18.5%増で、過去最高の3億4,700万人を記録しています。また、ライブ配信事業の月間課金ユーザー数は同21.8%増の5,420万人を達成し、事業業績に回復の兆しが見られています。
情報源:36KrJapan「ショート動画「快手」、22年4~6月期売上高13.4%増 DAUは過去最高の3億4700万人」(2022/08/25)
今週の注目は「楽天、2022年度第2四半期決算を発表、過去最大の赤字を記録」だよ! |