【2023年EC業界ニュース】Yahoo!、ゆっくり配達選択者にポイント還元 ほか
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界26カ国・93の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
今週のトピックはこちら。
※2024年3月更新
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目次[非表示]
- ・三菱UFJ銀行、BNPLを扱う東南アジアのフィンテック企業へ出資
- ・メルカリ、越境販売データのまとめを発表 円安により海外利用者が増加
- ・Yahoo!、ゆっくり配達選択者にポイント還元
- ・PhonePe、Flipkartから独立
- ・楽天グループ、キャラクターIPの商品企画から販売までを支援する事業を本格化
- ・消費者庁、ステマ規制に乗り出し
- ・アマゾンジャパン、2022年の配送能力の拡大に関する取り組みまとめを発表
- ・Amazon、中国地場出店事業者の越境EC事業の拡大支援を強化
- ・Tata Group傘下の全オンラインショッピングベンチャー企業がTata Digitalへ統合
- ・Lotte、AIやビックデータを用いて高速配送サービスを拡充
- ・中国初の公式NFTマーケットプレイスが開設
- ・ベトナムの出店事業者がAmazon上で販売した商品数が約1,000万点に
三菱UFJ銀行、BNPLを扱う東南アジアのフィンテック企業へ出資
三菱UFJ銀行がインドネシアのフィンテック企業Akulaku(アクラク)に2億ドル(約265億円)を出資します。
Akulakuは、銀行取引ができない低所得層を中心に利用が進む金融サービスBNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)を手掛ける企業です。提携先の企業が運営するECサイトでBNPLの選択肢を提供しており、独自のデータ分析によって決済承認の有無や利用条件を定めることで未収金の発生を防いでいます。
今回の買収は東南アジアにおける三菱UFJ銀行の消費者事業を拡大するために実施され、2023年には買収を完全に終了する予定です。
情報源:日本経済新聞 「三菱UFJ銀行、東南アジアの後払い決済「BNPL」に出資」(2022/12/23)
メルカリ、越境販売データのまとめを発表 円安により海外利用者が増加
12月23日、メルカリが2019年以降の越境販売データをまとめた「越境メルカリ トレンドランキング2022」を発表しました。
2022年は円安の影響で海外利用者が前年同期比の約1.4倍増加し、越境EC領域は堅調に成長しています。なかでも取引カテゴリーの上位3つはアニメ・アイドルグッズが席巻し、特に海外利用者のエンタメ・ホビー関連商品の取引が活発になっています。
2022年は海外の推し活需要が拡大し、J-POP・K-POPのアイドルやアニメ・漫画キャラクターのグッズが人気を集めており、CtoCマーケットプレイスのメルカリが日本やアジア市場のエンタメの世界発信に貢献する可能性も予測されています。
また、ハイブランド品の取引も活発化し、世界的にリユース品の需要が高まっていることが明らかになりました。
情報源:株式会社メルカリ 「「越境メルカリ トレンドランキング2022」発表」(2022/12/23)
Yahoo!、ゆっくり配達選択者にポイント還元
12月24日、IT大手のヤフー(現 LINEヤフー株式会社)がYahoo!ショッピングにて、通常よりも商品配達が遅い「ゆっくり配達」を選択した消費者に対してポイントを還元する仕組みを本格導入します。
2023年春までに導入を開始し、物流業者の人手不足を軽減する狙いです。ネット通販大手としては初の取り組みとなります。
情報源:共同通信「ヤフー通販、配達ゆっくりでお得 春までに本格導入、大手初」(2022/12/24)
PhonePe、Flipkartから独立
12月23日、インドの大手デジタル決済プラットフォームの1つであるPhonePe(ポンピー)が、Flipkart(フリップカート)から独立しました。独立に伴い、本拠地をシンガポールからインドに移転しています。
一方で、Flipkartの親会社であるWalmart(ウォルマート)は両社の筆頭株主を継続します。両社はそれぞれ4億人以上のユーザーベースを保有する大手企業です。
今回、事業を分離することで投資家の参入機会を生み出し、企業価値を最大化するねらいです。
情報源:mint "PhonePe separates from Flipkart ahead of public listing"(2022/12/24)
楽天グループ、キャラクターIPの商品企画から販売までを支援する事業を本格化
楽天グループがキャラクターのIP(知的財産権)を所有する事業者に対し、商品の企画立案から販売までをトータルで支援する事業を本格的に開始しました。同社の消費分析データを活用した戦略を提案し、収益拡大やファン層の開拓を支援します。
2022年9月には国内外でIPを包括的にプロデュースするコンテンツレーベル「Rakuten Content Central」(楽天コンテンツセントラル)を設立し、ライセンス事業を拡大しました。本事業によって、ライセンスを保有する事業者が楽天市場内で商品を販売する際、約1億以上の楽天経済圏会員に向けて多様なアプローチを図ることができます。
将来的には分析データに基づいたオリジナル商品の開発にも取り組む予定です。
情報源:日本経済新聞「楽天、キャラIPの有効活用支援 商品企画から販売まで」(2022/12/27)
消費者庁、ステマ規制に乗り出し
12月27日、消費者庁がインターネット上で広告であることを明らかにせず、消費者の感想や口コミを装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制に乗り出しました。欧米から後れを取った規制対応になります。
同庁は2023年夏ごろまでに、商品やサービスに関する不当表示を規制する景品表示法に禁止項目を追加します。これによりSNSで影響力のあるインフルエンサーに経済上の利益を提供し、目的に沿った書き込みをする行為が禁止されます。違反した場合は広告主を行政処分の対象とし、事業名の公表や罰金刑が科されます。
一方でサンプル商品を提供し、インフルエンサーの自主的な意思に基づく投稿と判断された場合は規制対象にはなりません。
情報源:日本経済新聞「「ステマ」法規制へ 消費者庁、広告主を行政処分」(2022/12/27)
アマゾンジャパン、2022年の配送能力の拡大に関する取り組みまとめを発表
12月28日、Amazon Japan(アマゾン・ジャパン)が2022年の配送能力の拡大に関する取り組みのまとめを公開しました。
日本全国に18の配送拠点を新規開設、配送ネットワークの強化や、置き配指定サービスの対応エリアの拡大、西日本最大の物流拠点の開設などを取り上げています。18の配送拠点を新設したことで700万点以上の商品が翌日配送できるようになりました。
また、新規配送プログラムのAmazon Hubデリバリーパートナープログラムでは、地域の中小企業に同社の商品配送を委託します。西日本最大の物流拠点開設により、フルフィルメントネットワークの拡大も継続するねらいです。
くわえて、Amazonロッカーや店頭受け取りの受取スポットの設置や置き配指定サービス、Amazon Key for Business(アマゾン・キー・フォー・ビジネス)などを展開し、商品受け取りの多様化と利便性の向上に取り組んでいます。特に2022年の置き配の利用率は全体の70-75%に拡大しました。
情報源:アマゾンジャパン 「Amazon、2022年の配送能力の拡大について」(2022/12/27)
Amazon、中国地場出店事業者の越境EC事業の拡大支援を強化
Amazon(アマゾン)は、ロジスティクスとサプライチェーンの改善により中国の越境EC事業の拡大を目指しています。同社の最新データによると、中国の地場出店事業者は前年比20%以上増加しており、2桁の成長を達成しています。
また、中国の地場出店事業者は同社のマーケットプレイスを介して世界中の消費者に数十億の商品を販売しており、商品カテゴリーやブランド面でも多様な展開を広げています。
同社は地場出店事業者向けのビックデータ分析ツール拡充や、出店ノウハウの教育プランなどを提供し、高品質で革新的な商品の越境販売を目指しています。
情報源:China Daily "Amazon ups efforts to cash in on China's cross-border e-commerce"(2022/12/28)
Tata Group傘下の全オンラインショッピングベンチャー企業がTata Digitalへ統合
Tata Digital(タタ・デジタル)はグループ傘下全てのオンラインショッピングベンチャー企業を統合します。
同社はTata Group(タタグループ)傘下のTata UniStore(タタ・ユニストア)をTata Industries(タタ・インダストリーズ)とTrent(トレント)から買収し、買収の対価として優先株を提供します。
Tata UniStoreは評価額7億5,000万ルピー(約12億300万円)を超える企業で、ECプラットフォームTata Cliq(タタ・クリニーク)を保有しています。
情報源:Outlook "Tata To Consolidate All E-Commerce Business Under Tata Digital: Report"(2022/12/28)
Lotte、AIやビックデータを用いて高速配送サービスを拡充
韓国の大手菓子メーカーLotte(ロッテ)がAIやビッグデータなどの最先端技術を活用し、高速配送サービスを拡充しました。
同社の物流部門Lotte Global Logistics(ロッテ・グローバル・ロジスティクス)は、国内に多数の物流施設を設立し物流インフラを強化しています。
特に2022年初めに開設したJincheon(チンチョン)郡のハブターミナルは、サッカースタジアム23個分の巨大施設で、AIを用いた荷物の自動仕分けシステムを搭載しています。
このシステムを利用し、韓国の1日当たりの配達荷物の約10%相当を自動処理しています。また、このターミナルには他社のEC商品も保管されています。
情報源:Pulse「Lotte joins fast-delivery race with AI, big data technologies」(2022/12/28)
中国初の公式NFTマーケットプレイスが開設
中国政府が支援する初のNFTマーケットプレイスが開設します。暗号資産(仮想通貨)に対する規制が厳しい中国で、NFTへの受け入れが開始される兆しとも考えられています。
今回の開設を記念し、2023年1月1日には首都北京にてお祝いの式典が開催される予定です。
2022年11月末には、インターネット裁判所がデジタル資産はEコマースサイトで販売される商品と同様の財産権があるとし、NFTは法律で保護される仮想財産と認める判決を下しました。
しかし、中国でNFTはデジタルコレクティブルと呼ばれ、中国の規制に基づくNFTと世界に流通するNFTを区別するねらいがあります。
Alibaba(アリババ)やTencent(テンセント)など大手企業や公的機関も、制限の範囲内でNFTへの参入が可能になります。
情報源:Coin Post「中国、初の政府公認NFT取引プラットフォームを開設=報道」(2022/12/29)
ベトナムの出店事業者がAmazon上で販売した商品数が約1,000万点に
2022年、ベトナムの出店事業者がAmazon(アマゾン)を介して越境販売した商品数が約1,000万点に達しました。
輸出額は前年比45%増で、出店店舗数は同80%増と大幅に増加しました。出店企業の大半は中小企業で、売上高が50万ドル(約6,700万円)を超えた店舗数は同60%増でした。
2022年のベトナム売れ筋カテゴリーには、キッチン用品や家庭用品、アパレル商品などがあります。
米調査機関eMarketer(イーマーケター)によると、2022年のベトナムのEコマース売上高は前年比19%増で、フィリピン、インド、インドネシア、ブラジルに次ぐ世界5位と推定されています。
情報源:VIET JO「アマゾン経由のベトナム店舗の輸出額、前年比+45%増」(2023/1/5)
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