EC Weekly Picks アイキャッチ

【2023年EC業界ニュース】EUが企業に有害情報の流布防止を義務付け ほか

トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース

今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。

世界27カ国・100の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、

国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。

今週のトピックはこちら。

↓↓↓↓↓↓↓↓

目次[非表示]

  1. Zalando、ChatGPTを利用したアシスタントサービスを展開
  2. 日本EC市場、2027年から2032年の間にピークアウトする予想
  3. Amazonが偽造品排除の一環としてACX(反偽造品取引所)の設立を発表
  4. Walmart、D2CブランドのEloquiiを売却 2023年で3度目
  5. SHEIN、今後数年間でブラジルに生産ネットワークを構築の予定
  6. Bed Bath & Beyondが経営破綻 DXの波に乗り遅れ
  7. EUが企業に有害情報の流布防止を義務付け

Zalando、ChatGPTを利用したアシスタントサービスを展開

EC Weekly Picks ドイツ国旗

4月19日、ドイツのファッションEC事業者Zalando(ザランド)がChatGPT(チャットGPT)を利用したアシスタントサービスを発表しました。消費者はチャット形式で商品に関する問い合わせができるため、消費者の目的に沿った最適な商品を発見することができます。同サービスのβ版は2023年春までに英語とドイツ語でリリースされる予定で、ドイツ、アイルランド、英国、オーストリアで展開されます。将来的には、特定のブランドやサイズに合わせた商品のおすすめを提供するなど、パーソナライズ化されたショッピング体験を強化する予定です。

情報源:Zalando Corporate "Zalando: Zalando to launch a fashion assistant powered by ChatGPT"(2023/04/19)

日本EC市場、2027年から2032年の間にピークアウトする予想

EC Weekly Picks 日本国旗

オンラインマーケットプレイスプラットフォームを提供するMirakl(ミラクル)が発表したレポートによると、日本のEC市場は2027年から2032年の間に約20兆円前後でピークアウトすると予想されています。1997年の楽天市場開設からコロナ特需までの2021年は成長市場だったものの、2021年以降は成熟期へ移行すると考えられています。今後の成長で、最も期待されているものは「ミディアム(中型)サイズプラットフォームの台頭」です。大手EC事業者に対抗し市場全体でボトムアップを進めるには、類似商材を扱う販売事業者が集い商品展開を拡大し販売力を構築する必要があります。

一方で、米国のEC市場は未だ成長期にあると考えられています。Amazon(アマゾン)が圧倒的なシェアを占める中で、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)など小売事業者のEC事業拡大が進んでいることが寄与しています。

情報源:ITmedia マーケティング「国内EC市場は2030年で頭打ち? 未来への突破口は「オンラインマーケットプレイス」にあり(2023/04/19)

Amazonが偽造品排除の一環としてACX(反偽造品取引所)の設立を発表

EC Weekly Picks アメリカ国旗

4月20日、米Amazon(アマゾン)が偽造品排除の一環として「Anti-Counterfeiting Exchange(ACX:反偽造品取引所)」の設立を発表しました。同取り組みは、偽造品販売業者の情報を小売業界全体で共有することで偽造品販売業者が様々なプラットフォームを転々とすることを防ぐ目的があります。クレジットカード業界のデータ交換プログラムを模倣して、偽造品販売業者を見つけて特定するねらいです。

ACXでは、偽造品販売者の情報をデータベースに保存できます。すでにAmazonではACXを通じて、同じ偽造業者がAmazonと他1つのプラットフォームに数百件のアカウントを作成しようとした動きを検出しました。この情報が共有されることで、ACX参加企業は同業者のアカウントを停止することができます。Amazonは他の小売店やマーケットプレイスサービスプロバイダーにACXへの参加を求め、偽造品に対する業界の集団的取り組みを強化していくことを目指しています。

情報源:Business Wire"Amazon Announces Anti-Counterfeiting Exchange to Help Eliminate Counterfeits Across the Retail Industry"(2023/04/20)

情報源:Reuters"Amazon launches program to identify and track counterfeiters"(2023/04/21)

Walmart、D2CブランドのEloquiiを売却 2023年で3度目

EC Weekly Picks アメリカ国旗

米小売大手Walmart(ウォルマート)がD2CのプラスサイズブランドEloquii(エロクイ)をプラスサイズブランドのFullBeauty Brands(フルビューティーブランド)に売却しました。売却条件は公開されていません。Walmartは2018 年にEloquiiを1 億ドル(約133億円)で買収し、ニッチ市場の顧客獲得とEC事業のノウハウ獲得を目指していました。Eloquii買収後、Walmartはプラスサイズのオリジナル商品展開を拡大しており、売却後も販売を継続します。FullBeauty Brandsは、アメリカにおけるプラスサイズブランドの事業拡大を目指し、Eloquiiを買収しました。2023年に入りWalmartによるD2Cブランドの売却は3回目となりました。

情報源:CNBC"Walmart sells plus-size clothing brand Eloquii, offloading its third digital brand this year"(2023/04/21)

SHEIN、今後数年間でブラジルに生産ネットワークを構築の予定

EC Weekly Picks ブラジル国旗

4月20日、中国のファストファッションブランドSHEIN(シーン)はブラジルに7億5,000万レアル(約198億7,500万円)を投資し、繊維メーカー2,000社と協業しネットワークを構築すると発表しました。今後3年で10万人程度の雇用創出し、販売商品の85%を現地で調達できるようになることが見込まれています。

South China Morning Post(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)によると、同社がブラジルに生産拠点を移す背景には、中国市場の経済成長の停滞に加え、中国と米国の外交的緊張の高まりに伴うサプライチェーンの多様化を挙げています。一方でブラジルは地元ブランド保護を目的に、SHEINを含むAliExpress(アリエクスプレス)、Shopee(ショッピー)などの主要なEC事業者に対してデジタル税を課税する計画です。

情報源:JING DAILY"Shein To Localize Manufacturing In Latin America"(2023/04/24)

Bed Bath & Beyondが経営破綻 DXの波に乗り遅れ

EC Weekly Picks アメリカ国旗

4月23日、米家庭用品小売チェーンBed Bath & Beyond(ベッド・バス・アンド・ビヨンド)が経営破綻しました。EC事業者Amazon(アマゾン)や小売事業者Walmart(ウォルマート)との競争激化が一因と考えられています。

同社は大手ブランド商品を低価格で販売することで人気を集めてきました。コロナ禍にオンライン販売が人気を集める中でオムニチャネルによる顧客接点を強化していましたが、安価な代替品が多く展開されるAmazonや家庭用品EC事業者Wayfair(ウェイフェア)などの幅広い商品展開に対抗できませんでした。

また、WalmartやTarget(ターゲット)、Costco(コストコ)などの小売事業者が低価格で豊富な商品展開を広げる中、同社の売上は停滞していました。特にWalmartは新規店舗への投資を削減しサプライチェーンやデジタル技術への投資に加え、多くのメーカーとの情報共有をしつつ商品製造から販売までの流れを効率化する事業モデルのもと、精度の高いデータを収集できる点がDXで成果を生み出すことに貢献しました。

一方で、DX強化に乗り遅れたBed Bath & Beyondは小売業界での優位性を失う結果となりました。Bath & Beyond経営破綻の教訓は日本企業にも示唆があると日本経済新聞は説明しています。

日本の小売市場を見ていくと、家庭用品のカテゴリーキラーであるニトリホールディングスや、総合小売事業者のイオンやイトーヨーカ堂などが事業構造の改革を進めています。ニトリホールディングスはBed Bath & Beyondと業態が近いものの、商品企画・生産から物流・販売までを一元管理する強固なビジネスモデルを持つだけでなくWalmartのような競合が存在しないため未だ強い競争力を保っています。

一方で、総合小売事業者はDX強化に乗り遅れ、カテゴリーキラーに対応できる商品や価格展開を実現できずに劣勢が続いている状況です。

情報源:CNN"Bed Bath & Beyond plans to liquidate all inventory and go out of business"(2023/04/23)

情報源:日本経済新聞「ベッド・バス破綻、ウォルマートと明暗 DX遅れの教訓」(2023/04/24)

EUが企業に有害情報の流布防止を義務付け

EC Weekly Picks 欧州連合国旗

4月25日、EU(欧州連合)が有害情報の流布防止を企業に義務付けるDSA(デジタルサービス法)の適用対象を公表しました。

規制対象にはAliExpress(アリエクスプレス)やAmazon(アマゾン)を含む19サービスが指定されています。SNSはTwitter(ツイッター)のほかTikTok(ティックトック)、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)が対象となります。

指定企業は4カ月以内に偽情報や違法コンテンツを取り締まる体制を整える必要があります。EUのBrittan(ブルトン)欧州委員(域内市場担当)は自身のTwitterにて「巨大企業には巨大な責任が伴う」と規制の意義を示しています。偽情報の拡散につながらないよう、企業に自社サービスのリスクを分析させ、規制への対応状況について外部の監査を求めます。

またEUは企業が適切なコンテンツモデレーションを実施しているか、定期的に確認します。利用者の人種や政治的意見、性的指向などに基づいたターゲティング広告を禁じ、違反した場合は巨額の罰金を科される可能性があります。EUはインターネットの誕生以来最大の改革と言われる本発表により、インターネットをより安全で透明性が高いものにすることを目指しています。

情報源:日本経済新聞「EUの新IT規制、TwitterやTikTokなど19サービスが対象に」(2023/04/26)


POINT
今週の注目は「EUが企業に有害情報の流布防止を義務付け」だよ!


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

関連記事:

trans+(トランスプラス)に掲載しているコンテンツや、サイト内で紹介したサービスに関することなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

フォローする:

この記事をシェアする:

人気記事ランキング