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【2024年EC業界ニュース】Amazon AIを活用してアパレル商品の返品率改善を目指す

トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース

今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。​​​​​​​

多くのグローバル企業へサービスを提供するトランスコスモスだからこそ伝えられる、

国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。

今週のトピックはこちら。

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目次[非表示]

  1. Amazon AIを活用してアパレル商品の返品率改善を目指す
  2. 印クイックコマースZepto 2023年度売上は前年比14倍を記録し急成長
  3. アダストリアが2024年2月期第3四半期の連結決算を発表 EC売上高は13.1%増の509億円
  4. 中国国内でEC利用が拡大 経済回復の後押しに
  5. Amazonは2023年のホリデー商戦で世界のオンライン支出の29%を獲得
  6. 中国格安ECサイトAliExpressやTemuは韓国市場のサプライチェーン課題に直面

Amazon AIを活用してアパレル商品の返品率改善を目指す

EC Weekly Picks アメリカ国旗

1月9日、Amazon(アマゾン)がアパレル商品の返品率改善に向けてAIを活用した4つのサービスについて紹介しました。

具体的には、パーソナライズしたサイズレコメンド、他の消費者のレビューをAIが要約するサービス、サイズ表のアップデート、そして販売者向けのFit Insights(フィット・インサイト)ツールが挙げられます。

パーソナライズしたサイズレコメンドでは、Amazonが開発した言語モデルを活用し、消費者は幅広い商品の中からそれぞれ適したサイズを発見できるようになります。同サービスで提供される商品レビュー情報はリアルタイムで更新され、購入検討者のサイズや素材のフィット感などの好みに適したレコメンドを行います。

さらに、2023年8月に導入した生成AIを使った商品レビュー要約サービスを活用し、商品サイズの精度やフィット感、生地の伸び具合といった項目をより詳細に表示できるようになりました。このプロセスにより情報の重複や誤ったサイズ情報が自動修正されるため、より正確なサイズ表を提供できるようになりました。

また、Fit InsightsツールではAI言語モデルを用いて商品のフィット感やスタイル、生地などのレビューを収集し販売者に提供します。

Amazonは、今後もAIを活用したサービス展開を進める予定です。

情報源:Tech Crunch "Amazon turns to AI to help customers find clothes that fit when shopping online"(2024/1/9)

印クイックコマースZepto 2023年度売上は前年比14倍を記録し急成長

EC Weekly Picks インド国旗

印EC事業者Zepto(ゼプト)は「10分以内のデリバリー」を掲げ、クイックコマースを推進し2020年の設立からわずか3年でユニコーン企業となりました。

インドのスタートアップメディアによると、2023年度売上は2,087億ルピー(約3,645億2,170万円)と前年比14倍を記録しました。

コロナ禍でのロックダウンでスピード配送を提供したことがZeptoの急成長に寄与し、急速な普及に繋がりました。

また、同社は5,000種類を超える幅広い商品品揃えと、AIを活用した物流システム、地域の事業者との協業で仕入れを強化したことで、市場優位性を高めてきました。

さらにインド政府が2016年からモバイル決済の基盤となるUPI(Unified Payment interface)決済システムの整備を進めたことも、Zeptoの普及が進んだ背景となっています。

情報源:ガジェット通信 「収益14倍のインドユニコーン、クイックeコマースZeptoが急成長を遂げた背景とは」(2023/12/29)

アダストリアが2024年2月期第3四半期の連結決算を発表 EC売上高は13.1%増の509億円

EC Weekly Picks 日本国旗

12月29日、アダストリアが2024年2月期第3四半期の連結決算を発表しました。

売上高が前年同期比14.8%増の2,032億5,200万円、営業利益が同46.0%増の163億600万円、四半期純利益が同51.5%増の115億4,100万円となり、大幅な増収増益を計上しました。

EC売上高は同13.1%増の509億円に伸び、国内売上高構成比の28.3%を占めています。自社EC「ドットエスティ」のテレビCMとリアル店舗を連動させた「ドットエスティフェス」などのプロモーションや、人気アーティストや他社とのコラボ商品の販売などに取り組んだ結果、自社ECの会員数は前期末比160万人増の1,710万人に増加しました。

また、取扱商品の品揃え拡充を目的に新たに ペットグッズの専門店がオープンしています。

さらに新たな取り組みとして、同社のスタッフが着用した商品を出品するフリマサイト「ドットシイ」をオープンし、顧客とスタッフの繋がりをより深めるとともに、商品の二次流通に自社で取り組むことで、サステ ナビリティの取り組みも強化しています。

海外売上高はコロナ禍からの回復や新規出店などにより、前期比125%の59億円、営業利益は1億3,000万円の黒字となりました。中国大陸が同91.6%、香港が29.8%、台湾が50.1%増収し、特に台湾では、マルチブランド戦略に沿った新規出店が増収に寄与しています。

一つの商業施設に複数の店舗を出店し、好条件・好区画の獲得や店舗オペレーションの効率化に繋げるほか、自社ECの「ドットエスティ台湾」の拡大や、台湾で人気の俳優を起用したプロモーションの 実施などにより、新規会員の獲得を進めています。

同社は今後もマーケティング戦略やマルチブランド戦略の強化により、新規店舗の増加を増やしていく予定です。

情報源:アダストリア 「2024年2月期 第3四半期決算説明会資料」(2023/12/29)

中国国内でEC利用が拡大 経済回復の後押しに

EC Weekly Picks 中国旗

東方新報の記事によると、中国国内でEC利用が拡大しています。

これまでは低価格の日用品やフードデリバリーなどのサービスで利用されることの多かったECですが、電子機器や家電、自動車などの高額商品やブランド品、グリーン商品、良質な国産商品を購入するための手段へと変化しています。これにより、これまで輸出に依存していた中国の経済成長を新たにけん引し、EC事業が経済回復の後押しとなっています。

中国大手EC事業者はこの消費者動向を取り入れたサービスを展開しています。

Alibaba(アリババ)のオンラインマーケットプレイスTmall(天猫)では、2023年の「独身の日」商戦にて合計3万8,000個のブランド商品を販売し、売上額は前年比100%以上の大幅増加を記録しました。

JD.com(京東商城)でも独身の日で数週間にわたるプロモーションイベントを行い、60以上のブランドがそれぞれ1億元(約19億9,200万円)以上の売上を記録しました。

商品物流の効率性やブランド・EC業者の信頼性の向上に伴い、中国ECサイトは中・高所得者層から注目を集めています。

情報源:AFP BB News「中国、電子商取引が経済回復を強く後押し」(2024/1/3)

Amazonは2023年のホリデー商戦で世界のオンライン支出の29%を獲得

EC Weekly Picks アメリカ国旗

1月4日、Bloomberg(ブルームバーグ)によると、荷物追跡アプリRute(ルート)からの5,500万件の注文データを活用した結果、Amazon(アマゾン)は2023年のホリデー商戦にて世界のオンライン注文シェアの29%を獲得したことが明らかになりました。これは感謝祭の週の21%から増加しています。

Amazonがこのような実績を収めた背景には、サプライチェーンへの投資が寄与したと考えられています。

Ruteの最高経営責任者Michael Yamartino(マイケル・ヤマルティノ)氏によると、特にクリスマス時期には顧客にとって配送のスピード向上が最優先される中で、この時期にシェア拡大できたことは顧客の信頼を獲得できている証拠とも考えられます。

Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、2022年に大手配送事業者UPSよりも多くの荷物を米国内で配達し、2020年以降はFedEx(フェデックス)の配達量を超えました。

また、2023年の感謝祭までにAmazonが米国内で配送した商品は48億個を超え、2023年の年末には59億個に達すると予測しています。Amazonは今後も物流拠点への投資を強化する予定です。

情報源:PYMNTS "Amazon Grabs 29% of Online Orders Ahead of Christmas"(2024/1/4)

中国格安ECサイトAliExpressやTemuは韓国市場のサプライチェーン課題に直面

EC Weekly Picks 韓国旗

モバイル市場調査会社WiseApp(ワイズアップ)によると、中国大手EC事業者Alibaba(アリババ)傘下AliExpress(アリエクスプレス)やPinduoduo (ピンドゥオドゥオ)傘下Temu(ティーム)は韓国市場で急成長していますが、サプライチェーンの課題に直面しています。

両社ともに、韓国大手の宅配会社であるCJ Logistics Corp(CJ大韓通運)などの国内物流サービスプロバイダーと提携していますが、自社倉庫の有無や販売者との韓国語でのやり取りなどにより配送の後れが生じています。

AliExpressは配送品質の改善のため、2023年3月から3日間以内のスピード配送を手頃な価格で提供するAliExpress Choice(アリエクスプレス・チョイス)の提供を始めています。

また、中国事業者の課題は配送面以外も挙げられ、有名キャラクターのコピー商品のまん延も挙げられます。正規品を求める韓国消費者にとって、コピー商品の流通はリピート購入や信頼獲得の障壁となっており、低価格のみでは地場最大手のCoupang(クーパン)と競合する上では訴求力が低いとみられています。

情報源:South China Morning Post "Alibaba's AliExpress, PDD-owned Temu face supply chain challenges in South Korea amid rapid business expansion"(2023/12/06)


POINT

今週の注目はAmazonのAI活用です。生成AIによるレビュー要約で商品のサイズ感を自動抽出するなど、AIを活用してアパレル商品の返品率改善を目指しています。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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