CX(顧客体験)の時代に考える。LINE・Salesforceを活用した次世代コミュニケーション【7月10日CXセミナー1/2】
カスタマーサポートのオムニチャネル化が進んでいます。電話やメールだけではなく、新しい接点としてLINEやチャットボットなどの利用が進んでいる現在、どのように顧客とのコミュニケーションを行うのか。
そして、CX(Customer eXperience=「顧客体験」)を向上させるために、何が求められるのか。
「“顧客の時代”の次世代コミュニケーション」と題して、7/10(火)にトランスコスモス東京本社にてセミナーを開催しましたのでご報告します。
本セミナーは、以下の構成で行われました。
第一部 時代の流れと共に変化する顧客コミュニケーション 第二部 シームレスな顧客体験を実現!! 特別講演 お客様ともっと良い関係をつくる次世代スマートコンタクトセンター 第三部 次世代コミュニケーション戦略 ~LINE×DEC Connect×Salesforce Service Cloud~ |
本稿では、第一部・第二部の前編を掲載。次回後編を掲載します。
時代の流れと共にマルチデバイス・マルチチャネル化が進む中、カスタマーサポート領域において、従来のコンタクトセンターの主流である電話とメールだけでは、多様化したユーザーへのCX向上が難しくなってきています。
セミナー第一部では、トランスコスモス、LINE、セールスフォース・ドットコムの共同出資会社であるtranscosmos online communications株式会社のシニアマネージャー岩井拓也が「時代の流れとともに変化する顧客コミュニケーション」と題して、多様化するユーザーの実態と、現場で行われている最先端の取り組みについて解説しました。
transcosmos online communications株式会社シニアマネージャー 岩井拓也
目次[非表示]
デジタル化する日常生活でのコミュニケーション
私たちの日常に、もはや必要不可欠となっているスマートフォン。弊社AI研究所のCommunication Science Labが提供する【消費者と企業のコミュニケーション 実態調査2017】のデータでは、スマートフォンの浸透とともに、およそ8割の人々が、日常生活が「デジタル化」していると認識するようになっています。
スマホ利用者の8割が日常生活のデジタル化を実感
そして、利用者にとって、チャットやLINEなどに代表される「手軽さ」は重要な要素であり、サービス提供側である企業に対する「評価」にも繋がる時代だと言えます。
時代の変遷とともに、消費者が「自ら情報を取りに行く」ことが当たり前になり、消費者と企業の関係も変化しました。そのため、企業は「消費者にいかにして選ばれるか」を考えることが至上命題になっているとも言えるでしょう。
もし、あなたが好きなときに好きなコミュニケーション手段で問題解決できるとしたら、その企業に対する評価は高まりますか?
一方で、時代は変わっても、消費者は一度そこで体験した価値は忘れない、ということは不変的です。更には、「価値を共有する」時代だからこそ、企業は顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)について深く考える必要があるのです。
コミュニケーションインフラとしてのLINEの重要性
「コミュニケーション」において、もはや日本人にとって欠かせないサービスと言えるLINE。ご自身の生活においてはいかがでしょうか。当日の参加者の皆様へのアンケートでは、利用者は9割ほどに上り、そのうち「企業アカウントと繋がっている」方は6割、そして実際に「ウェブサイトや店舗を訪れた」方も5割程度いるなど、利用ユーザーの多さを物語っています。
特に、2017年度の調査によると、10~30代女性の「LINE」利用率は、「YouTube」を上回るなど、一部の世代では圧倒的な利用率を誇り、その他幅広い世代間でも多く利用されているのが特徴です。
その中で、LINEに注目する特筆すべき理由は「一連の流れで提供できることが強み」だと、岩井は説明します。
フルファネルで価値提供できるLINEサービス
LINE社のユーザー調査によると、最も便利だと思う問い合わせ手段において、「電話」に並び、「LINE」が同率1位に位置するなど、その利便性の高さから、コミュニケーションインフラとして、多くのユーザーにとって必要不可欠なサービスになりつつあると言えるでしょう。
実際に、それを取り巻く市場環境も伸びています。トランスコスモスでは2014年からスタートしているLINE関連サービスの提供アカウント数は急激に伸びており、多くの企業や、地方自治体ともタッグを組んだ取り組みは、実際の成果としても非常に顕著です。
LINEサポートを導入するうえで気を付けるべき3つのポイント
セミナー内では事例を複数紹介しました。従来カスタマーサポートは電話中心だった企業が、LINEを活用し、全体の問い合わせボリュームを落とすことなく、生産性の向上に繋げた事例など、トランスコスモスだからこそ得てきた知見は、大変好評を得ました。
一方で、岩井は「導入支援を行う中で、うまくいかないケースも複数見てきた」と言い、気を付けるべきポイントを以下3つあげています。
1. KPI・成果が設定されているか 2. 導線が複雑化していないか 3. 運用フローや組織ナレッジは整備されているか |
transcosmos online communicationsでは、成功体験だけでなく、こうした失敗体験も含めてナレッジとして蓄積していることが強みだと言います。
優れたCXを実現するためのワンストップ・コミュニケーション戦略
より良いCX(カスタマーエクスペリエンス)を実現するためには、コミュニケーションのフロント(表側)チャネルは重要な要素です。しかし、裏側である企業側のオペレーションも一気通貫して整えておくが重要だと岩井は述べます。ユーザーに合わせたチャネルを用意するだけでなく、バックエンドの仕組みも含め、シームレスに整え、必要に応じて、各チャネルに対応する仕組みや、バックエンドも含めた一元管理システムを有効活用するべきでしょう。
オペレーション目線で設計・構築・運用することを強みとするトランスコスモスだからこそ、ユーザーとの有益なコミュニケーション、顧客体験におけるバックエンドの重要性も熟知しています。そのため、LINEの活用においても、マーケティングだけでなく、カスタマーサポートを含めたシームレスな融合が実現可能です。
続く第二部では、同社シニアマネージャーの石谷生剛がCRM観点から、シームレスな顧客体験を実現させるためのソリューションをご紹介しました。
transcosmos online communications株式会社シニアマネージャー石谷 生剛
顧客と企業の間に潜むギャップを解決するためのソリューション
第一部でも述べられたように、チャネルの多様化に対して、適切なコミュニケーションをとることで、企業への評価やブランド価値向上に繋げることも可能です。一方で、顧客接点が多様化すればするほど、企業側の組織も細分化され、取り組みが個別最適化されてしまうケースが多いのではないでしょうか。顧客が望む企業と、企業の現場が抱える課題にはギャップがあるといえます。
この課題を解決するためには、企業側での一気通貫したコミュニケーション戦略とその実現が必要となります。それをサポートするためのプラットフォームが、国内1,000社、グローバル40,000社導入を実現し、グローバルマーケットシェアのNo.1ソリューションである、セールスフォースCRMです。
今回は、サンフランシスコ発のアパレルブランドで、EC化率90%を実現しているTAYLOR STICH(テイラースティッチ)のカスタマーサポート事例をご紹介します。
EC化率 90% TAYLOR STICH(テイラー・スティッチ)のシームレスな顧客体験
カスタムオーダーシャツが人気のアパレルブランド「TAYLOR STITCH(テイラー・スティッチ)」
【独占動画あり】驚異のEC化率90%!「TAYLOR STITCH(テイラースティッチ)」イベントレポート
テイラー・スティッチのブランドコンセプトの中で、「お客様を喜ばせることへのこだわり」として、以下のような文言があります。
“私たちの商品に何らかの問題や不具合があれば、店舗へお立ち寄りいただくか、電話またはメールでご連絡ください。担当者が誠実に向き合い、必ず問題を解決いたします。リップサービスはなし。きちんと行動で示してまいります。”
従来の電話・メールでのサポートに加えて、上記コンセプトを実現する要素として、2018年2月から導入された「チャットサービス」があります。
ウェブサイトには「チャットで相談」が表示される
テイラー・スティッチでは、電話・メール・ウェブチャットの3つのチャネルを活用して顧客体験の向上を促進した結果、問い合わせの総量が増加するだけでなく、実店舗で店員に話しかけるような、比較的「ライトな相談」が来るようになりました。そして、チャット上での真摯な対応を行うことで、新たに商品を買ってくれるサイクルが生まれたといいます。
カスタマーサポートは「コストセンター」として考えられがちですが、スムーズ且つ一貫した顧客体験を提供することにより顧客のアップセル、クロスセルを実現し「プロフィットセンター」へ変革することができる、と石谷は説明しました。
このカスタマーサポートを実現する仕組みとして活用されているのが、Salesforce Service Cloud(セールスフォースサービスクラウド)。電話やメールは勿論、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックなどの各種ソーシャルチャネルも含め、顧客に合わせたチャネルを提供。そして、過去の購買履歴やチャネルを跨いだ問い合わせ内容などの顧客情報を一元管理しているといいます。
企業側では、問い合わせ内容に応じて上長にエスカレーションする作業を自動化することや、オペレーションを可視化し、分析を行うことも容易になるといいます。業務を回すだけでなく、改善を含めて、リアルタイムにダッシュボード化していくことが、スピーディーな業務改善につながるでしょう。
セールスフォースサービスクラウドが選ばれる3つの理由
「重要なのは顧客を360度で把握できるか」だと石谷は言います。最後に、カスタマーサポートとマーケティングサポートを一貫して提供してきたセールスフォースだからこそ実現でき、グローバルNo.1ソリューションに選ばれてきた理由を3つあげました。
・顧客体験の向上が可能 ・業務品質生産性の向上が可能 ・カスタマーサポート領域外での活用が可能 |
トランスコスモスでは、今後もLINE、Salesforceなどプラットフォームを活用した最新事例を交えたセミナーを行ってまいります。
次回後編では、今回ご紹介した、LINE、セールスフォースサービスクラウドを組み合わせて顧客体験の向上を追求し続ける株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ様の特別講演をお届けします。
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