アルゴリズム研究者が徹底討論!LINE広告(旧 LINE Ads Platform)運用の秘訣と海外事情
LINEはすでに説明不要なほど、日本では幅広い年齢層に普及し日常生活に欠かせないインフラとなっているアプリで、他のSNSアプリよりも利用者数やアクティブ率が高くなっています。
そのLINE上で配信されている広告が、「LINE広告(旧 LINE Ads Platform)」と呼ばれる運用型広告です。トランスコスモスはLAPの広告代理店として日本だけでなく、台湾、タイでもサービスを展開しています。
今回trans+では、前回に引き続き、トランスコスモスでLAP推進を担当している市村と、LAPのアルゴリズム研究をしている延吉が、日本と海外のLAPについての比較と、リデザイン後の運用について語っていますのでご紹介します!
延吉 美音
インターネットプロモーションサービス本部 クオリティマネジメント部 プロダクトストラテジック課 |
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2017年トランスコスモス入社。 LINE Ads Platform(LAP)専属プランナーとして従事し、現在はLAPを中心にアルゴリズム分析やトレンドを研究している。 | ||
市村 眞穂
海外事業統括 CX事業戦略統括部 CX事業戦略部 |
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2017年トランスコスモス入社。インターネットプロモーションサービス本部でLINE Ads Platform(LAP)を中心にプランナーとして広告運用、またプリセールスを担当。2018年12月から台湾企業のLINE活用を推進している。 |
目次[非表示]
圧倒的なリーチ力!LINE Ads Platform(LINE広告)の特徴とは
----日頃からLINEの広告メニューであるLINE Ads Platform(LAP)について分析・研究をされているという延吉さん、まずはLAPの概要について教えて下さい。
日本人にとってLINEはコミュニケーションに欠かせないアプリになっています。LINE Ads PlatformはそのLINEアプリ内にあるタイムラインや「LINE NEWS」などに配信ができる運用型広告です。
LINE広告で配信される配信面のイメージ
----Facebook、Instagram、Twitterなど他のソーシャルメディアの広告と比較して特徴はありますか?
そうですね、LAPの最大の特徴は、膨大なユーザー数です。LINEを利用している月間アクティブユーザー数8,200万人(2019年9月時点)ものユーザーにリーチできるのは、LINEの広告のみです。
コミュニケーションアプリの括りでいうと、LINEはFacebook Messengerともよく比較されますね。Facebook Messengerは東南アジアをはじめ世界中で幅広く使用されていますが、日本や台湾、タイではLINEをコミュニケーションアプリとして利用するユーザーが圧倒的に多く、急成長を遂げていますね。
台湾は日本よりも上回る浸透率!海外のLINE 事情
----市村さんは海外事業部ということで海外のLINE事情に詳しいですが、世界でもLINEは日本と同様によく使われているんでしょうか?
はい、世界各国で利用されていますね。その中でも特にタイと台湾は、LINEが日本以上に普及しています。日本は国民の60%以上がLINEを使用していますが、タイでは60%以上、台湾は80%以上と、日本を上回る割合でLINEが使用されています。 あとタイと台湾でもLINE Payは使用されており、駅構内でもLINE Payの広告をよく見ます。カフェなどでもLINE Payが使えるところが多いです。
台湾のレストランで使用できるLINEPay
----タイと台湾ではLINEの浸透率が日本以上に高いのですね。それでは、広告においても日本と同様にLAPが配信されているのでしょうか?
はい。タイと台湾にもLAPは存在し、ここ数年でLINEの広告メニューの中でも特に人気なのがLAPです。配信面は日本と大きく変わらず、タイムラインとLINE NEWS面(タイと台湾ではLINE TODAYと言う名称)を中心に配信されます。
LAP研究者がこっそり教える、 LAPのターゲティング活用と運用のコツ
----LAPに関しては2018年から2019年にかけて、新プラットフォームに移行するという大きな動きがありました。新プラットフォームへの移管において特徴的な変更点はありましたか?
新プラットフォームの管理画面には、LINE側で予算を調整しながら配信をしてくれる「予算スムージング機能」が追加されました。短時間での大量のインプレッション露出により、予算消化が数時間で終了してしまうというような事がなくなり、一日を通して配信が出来るなど、広告配信量のコントロールが簡単にできるようになりました。
全体的に新プラットフォームに移行してから自動最適化の機能が充実してきている感じがします。海外のLAPでも同じ傾向で、台湾の場合2019年の初旬から新プラットフォームに切り替わりました。私も早速新機能である「コンバージョン最適化」で配信を始めました。コンバージョン最適化は始めに目標とするCPAを管理画面に入力し、運用者が細かい調整をしなくても自動で目標に近いCPAで獲得するよう機械学習が働きます。台湾では化粧品や健康食品のお客様の広告運用をメインで行っているのですが、コンバージョン最適化を使い始めて以降、コンバージョン件数が貯まれば貯まるほど、CPAが下がったという傾向も見えましたね。
海外でのLINE広告を販売する市村
----日本でLAPを運用する際に有効な運用方法はありますか?
適正なクリエイティブ本数を予算に応じて配信するようにしています。クリエイティブ数が多すぎてもインプレッションが分散してしまい傾向を分析しにくく、反対に数が少ないと勝ちクリエイティブ(インプレッションが多く出て、CTRが高いクリエイティブ)が入っていない限りは期待通りの獲得ができず、さらに効果検証も上手くできません。そのため、予算に対して適正なクリエイティブの本数を割り出し、差し替えタイミングの頻度を考えるなど、効率的なPDCAの回し方を日々分析しています。
----市村さんが海外のLAP運用をする際に気を付けている点はありますか?
台湾の場合、人口が日本と比べ1/6と少ないので、インプレッションが大量に出るという傾向がありません。そのため、インプレッションが確保できるターゲティングをいつも模索しています。最近ではお客様企業のLINE公式アカウントに紐づく「友だち」の特性を利用したターゲティングとして、「類似配信」を使ってLINE公式アカウントの友だちに類似したユーザーをLINE内で新たに探し出す配信の仕方がとても効果が高いですね。なるべく確度の高いユーザーに対して広く配信したい場合にこの類似配信を行っています。色々検証しているのですが、5%の類似度のときに多く獲得できているという結果が出ています。
日本でも既存の友だちに基づいた類似配信は、新たな友だちを自社のLINE公式アカウントに集める上で非常に効果的です。
今後のLINE Ads Platformの進化に期待すること
----では最後に、これからのLAPに期待することはどのようなことでしょうか?
そうですね、タイと台湾のLAPの場合は、外部データ連携ができる様になることです。日本のように3rd Party アプリにLAPを通じて広告を配信することは今のところは出来ません。例えばLAPがデフォルトで持っているターゲティング項目は18種類しかないのですが、FortunaやAudience Oneなどの外部データを使えば1000以上のターゲティングが可能になります。そのため、海外でもデータ連携が活発化したら興味深いターゲティングの配信ができて、より広告効果をアップさせるための検証の幅が広がると思います。
私はオフラインでのビーコン活用に期待していますね。6月末に開催されたLINE CONFERENCE 2019(*)でもLINE Beaconなどを活用してLINE上でデジタルチラシを配信できるサービス「LINEチラシ」の発表がありました。将来的には、同じような仕組みを利用して、駅や街中で興味を持ったサイネージに関連する情報が、その後スマホ上のLAP広告でバナー表示されるという事も可能になりますよね。
位置情報を使用して、もっとユーザー毎にパーソナライズされた内容を届けることができますね。ニーズが多様化していくのは日本でもタイ、台湾も同じなので今後もどのようなターゲティングが出てくるのかが楽しみです。
日本やタイ、台湾のLAPのアップデートがほぼ同タイミングで行われるようになってきたので、今後は日本の事例を海外に発信したり、海外の事例を日本に取り入れられるようになればもっとLAPという媒体について色々な確度から研究することができると思います!
そうですね。今後ともよろしくお願いします!
(*1)LINE社が毎年開催する事業戦略発表会。2019年は「Life on LINE」をコンセプトに掲げ、24時間365日ユーザーの生活すべてに関わるさまざまなサービスやコンテンツが発表されました。 https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2784