【LINEフルファネル成功事例 1/2】日別平均4,600人の友だち増を達成した、大手アパレルブランドが実践するLINE活用
月間アクティブユーザーは7,900万人超、企業アカウント数は約600※1。もはや生活インフラとなったLINEは、企業にとって重要な顧客接点のひとつです。
※1 2018年12月末時点
一方で、LINE公式アカウントの友だちを増やす方法 や ブロック防止施策、会員システムとのID連携率を高める方法 や 店頭やECサイトでの購入につなげる施策など、現在も運用ご担当者様から私たちへ寄せられるご相談は多岐にわたります。
そんな中、トランスコスモスが運用支援をしている「某大手アパレルブランド様」では、LINEを活用し 日別平均4,600人(週末には10,000人以上)の友だち増/高CTR/約65%の高ID連携率/40%未満の低ブロック率 を達成中。
どのような取り組みがこうした成果に繋がったのか、実際LINEは「売上」に貢献できているのかをご担当者に伺ってきました。
LINE公式アカウントの導入検討、運用のヒントになれば幸いです。
目次[非表示]
はじめに|他企業アカウントの各数値について
大手アパレルブランド様の事例をご紹介する前に、他のLINE公式アカウントでの平均的な各数値の傾向を、トランスコスモスの運用担当者がご紹介します。
※各数値はアカウントの種別や業種、実施施策により大幅に変動します。
■友だち増加 他社の日別平均は、数十~数百人程度
友だちを増やすには、LINE公式アカウントの存在を告知し、友だちになるメリットの提示が必要です。
大々的な広告配信がない状況で、本事例のように「日別で4~5ケタ」も友だちが増加し続けていくケースは、かなり珍しいと言えます。
■友だちのブロック率 60~70%(スポンサードスタンプを配信し数百万単位での友だち獲得した場合)
たとえば「企業アカウントを友だち追加すると、無料でスタンプが貰える」というスポンサードスタンプの場合、多くのユーザーの興味を引く一方、スタンプのダウンロード後にブロック(友だち解除)をするユーザーも多いのが実情です。そして以降のメッセージ配信が続くのと比例するようにブロック率が高まるケースが多くなっています。
本事例のように、ブロック率が時間とともに徐々に低減し、直近では40%を切っているのは、かなり素晴らしい数値だといえます。
※事例のアカウントでは過去にダイレクトミッションスタンプを実施しています
■ID連携率 他社平均10%未満も少なくない
ユーザーに連携作業をしてもらう必要があるためハードルが高いため、連携率が1ケタ~10%未満の企業からのご相談も少なくありません。
より効果的なインセンティブ付与や、会員証など便利な機能の追加をご提案し、改善した例があります。
■CTR 他社平均1%未満~5%程度
CTR(サイト等への誘導率)は、業界や条件による変動が最も大きい指標かもしれません。
トランスコスモスで運用している「ECサイトを持つアカウント」数社の、直近4ヶ月の平均クリック率は約5%程度でした。
いわゆるファッションやEC関連のアカウントでは元々のファンも多く、他の業界よりも比較的高いと判断していますが、そんななかでも本事例のアカウントでは平均で6%ほどと高水準の結果。ブランドのお客様が、LINEを好意的に利用されていることがうかがえます。
LINEが担う役割とは? デジタルチャネルの活用状況
お客様へのメッセージ配信チャネルとしては、自社ECサイトの会員登録後に配信される「メールマガジン」と「ブランド公式アプリ」、そして「LINE公式アカウント」を活用中です。
・メール 最も歴史が長い。2種類あり、お客様の好みに合わせて1種または両方の登録が可能。2種類とも受信いただいている場合、一週間で合計5~10通前後を送信。 |
・アプリ 会員様の中でも特にロイヤルティの高いお客様と想定。ほぼ毎日、何かしらの情報配信を実施中。 |
・LINE 友だち全員へのメッセージ配信は月1回。加えてセグメント配信を月4回程度、実施中。 1人のお客様に届くメッセージは月間で最大5通程度。 タイムライン更新はシーズンにより4~8回程度。 |
フルファネルで活用中!LINE施策の全体像
お客様にはまずブランドに興味を持ってもらい、購入時には会員登録いただき、継続的に再来店・再購入いただける「ブランドのファン」になっていただきたい。
その一連の流れのなかでお客様がどの段階にあっても、LINEはマーケティングプラットフォームとして活用していくことが可能だと考えています。
【大手アパレルブランド様の実施施策まとめ】 LINEと店舗の相乗効果により、高いマーケティング効果を達成中 |
それぞれの施策について、ピックアップしてお伝えしていきます。
認知・友だち獲得のLINE施策事例
■レジ待ちのわずかな時間でも、手軽に友だちになってもらえるLINE
現在デジタルチャネルの中で、最優先で店舗にておすすめしているのは「LINEの友だち追加」と「その後に会員登録していただくこと」。実際に、ご来店の当日にデジタルでつながっていただく経路はLINEが最多です。
LINE導入前の会員登録は、サイトまたはアプリからのみでした。当時の課題は、登録に必要なメールアドレスの入力に手間がかかることや、本登録用URLが記載された自動返信メールがお客様のご利用環境によっては迷惑メールボックスに入ってしまうことなど、登録完了までの道のりが長い点。加えてアプリの場合は速度制限を気にされるお客様も多く、その場でのダウンロードはハードルも高くなっています。
その点LINEであれば、普段から使っているお客様がほとんど。QRコードを読み取るだけで友だち追加が可能なため、お客様にお時間をとらせません。アカウントにはLINEログイン機能も実装しているので、ブランドと友だちになっていただければ、LINEのトーク画面上から数ステップで会員登録やID連携に進むことができます。
お客様からの会員登録方法についてのご質問は、LINEを導入後、格段に減少。デジタルに強くないお客様でも、LINEであればカンタンだと認識されているようです。この点は店舗スタッフにとっても「登録導線がわかりやすく便利になった」とたいへん好評です。
■友だち増加&ID連携に寄与した、ダイレクトミッションスタンプ施策
店舗やサイト経由で友だち追加いただくことが主流でしたが、昨年はダイレクトミッションスタンプ※の実施を決め、店舗でのお声がけ強化やLINE Ads Platform、SNS広告などを活用した周知を仕掛けていきました。
結果は、スタンプのダウンロード期間(3カ月)で、友だちは約65万4,000人増加。ブランドイメージとも合うコラボレーションスタンプを実施し、「かわいいスタンプが無料で貰える」という分かりやすいインセンティブを提示できたことで、より効果があらわれたのではないかと考えています。
※ ダイレクトミッションスタンプ(参考URL:https://linebiz.jp/wp-content/uploads/2018/02/mediaguide_line_stickers_2018_04_06.pdf)
LINEログインを利用した①~⑤等でスタンプDLページのURLを発行。
① ユーザー個別識別子とID情報の連携(ID/PW) ②新規会員登録 ③資料請求・サンプル請求 ④アンケート回答 ⑤キャンペーン参加 |
■友だちは日別平均4,600人増!大量獲得を支える店舗オペレーション好事例
特に効果的だったのが、ストアスタッフによる「対面でのお声がけ」です。日別の平均にすると約4,600人ですが、週末などのより多くのお客様がご来店されるタイミングでは、1日に10,000人を超える友だち追加がある場合もあります。
店舗では売上関連の目標に加えて、友だち獲得やサイト会員登録などの目標を設定したり、店舗間でのコンテストを実施したり、といった取り組みを実施しています。たとえば、LINEスタンプの配信期間中には、友だち獲得数をテーマに店舗間コンテストを開催。友だち獲得数の多かった店舗のスタッフ全員に、オリジナルデザインのボトルを進呈して表彰しました。
また、継続的にECサイト会員獲得の目標も設けていますが、こちらはスタッフに対する四半期インセンティブボーナスの指標としています。
本社側では販促用ツール類の用意などはしますが、細かな店舗オペレーションフローの指定はしていません。「お客様がレジに並んでいる間に、個別に友だち登録の方法についてお声がけした」など、店舗主体で得られた成功体験や事例について、地域ごとに共有し、他店でも実践できるようサポートしています。
ある店舗では、独自の判断で店内に「LINE友だち追加ブース」を設置していたケースもありました。テーブルの上に、QRコードや友だち追加の手順を説明したチラシを貼っておき、イスを並べた簡易的なスペースだったようですが、専用の場所があることでスタッフもご案内しやすく、お客様の負担も軽減できた好事例となりました。
スタッフにインセンティブを設けるなどして、DL期間(3カ月)で約654,000人友だち増加。 さらに、DL期間終了後も増え続け、オーガニックで日別平均4,600人の友だちを獲得。
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高ID連携率(約65%!)と、低いブロック率の理由は?!
ダイレクトミッションスタンプ施策に加え、LINEのリッチメニュー内に「会員証」機能も実装しました。LINEから簡単に会員登録・ID連携ができるようになり、連携後は1タップでご自身の会員証を表示することができます。
会員様向けのクーポン等も表示させていますので、このアカウントは、「お買い物時に便利」で「必要な存在」であると、徐々にご認識いただけてきているのではないでしょうか。
【会員証イメージ】
ID連携が済んでいれば、1タップで自分の会員証を表示できる
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セグメント配信で親和性を高めた配信が可能に!
■お誕生日には、スペシャルクーポンを自動配信
ID連携が容易になり会員データベースとの連携率が高まったことで、会員情報に基づく配信にも着手できるように。現在は月に1回お誕生日プレゼントとして、お客様にクーポンを自動配信しています。お誕生日当月に使えるよう、月末に対象者を抽出した上で配信中です。
当初はメッセージ送付後に、特典のQRコードが表示されているページへ遷移させる仕様を検討しました。ですが、そうするとサイト遷移後に会員ページへのログインが必要に。お客様の手間が増えるのを懸念し、メッセージ内にクーポンコードを記載の上で画像を配信する形にしています。
■ID連携率が100%でなくとも可能なセグメント配信
現在は友だちを以下のような項目で区分し、セグメント配信を実施しています。
・ID連携をしているかどうか ・特定店舗での購買経験があるかどうか ・年間購入金額が一定以上のお客様かどうか |
たとえば「ID連携をしていない人には、ID連携を訴求する」など、お客様の状況に応じて、メッセージの内容に変化をつけています。
ブランド側がお客様に伝えたい内容をすべての方へお送りするのではなく、お客様の状況を鑑み、親和性を高めて配信することで、「自分にあった情報が届く」と思ってもらえると同時に、ブロック(友だち解除)のリスクも低くなると考えています。
LINEの売り上げ貢献度に対する実状
総合的に考えると、他のチャネルと比較しても、LINEの売上貢献度は高いと判断しています。
・ECサイトへの送客効果 ◎ LINEのメッセージ配信でECサイトへ誘導した場合、サイト全体のトラフィックのうち、 LINEからの流入:高いときで30%程度 |
・メッセージ送信チャネル別のCTR ◎ メール:△/アプリ:6.7%/LINE:6% LINEは、ブランドロイヤルティの高いアプリご利用者層に迫る、高い反応率 |
LINE公式アカウント活用における今後の展望
LINEの売上貢献度はすでに高く、継続していく方針ですが、お客様の状況や段階に寄り添い、より魅力的なコミュニケーションチャネルに育てていけたらと考えています。
特に強化する施策は、豊富なラインナップを活かした商品の閲覧・購入履歴に基づく「情報配信のパーソナライゼーション」です。
子ども服でたとえるなら、新生児向けの商品を購入されたお客様は、数ヶ月後にはサイズアウト、数年後にはキッズ服、そのまた数年後にはティーン向け商品…と、お子様の成長に合わせて需要が変化していきます。
その都度お客様の「今」にマッチし、必要と感じていただけるお声がけをデジタルでも実践することで、LINE公式アカウントの価値を高めると同時に、お客様との関係性を深めていくことが可能だと考えています。