広告業界で働くということ。#02 最先端のアドテクノロジーに挑み続ける Web広告業界のシステムエンジニア
『Web広告の代理店』というと、みなさんはどういう職種を思い浮かべますか?
快活に顧客と電話する営業マン、PC画面に向かって掲載結果の分析を行う広告プランナー、慌ただしくキーボードを叩く広告オペレーター、洗練されたグラフィックのバナーを制作するクリエイティブデザイナーなどなど…。
彼らは広告に直接関わる職種ですが、広告代理店にはほかにも、彼らの仕事を業務ツールや広告運用を支援するシステムを通して強力にバックアップしてくれる、システムエンジニアやプログラマーといったような、IT系エンジニアが多く活躍しています。
このようなエンジニアは業種に関わらず、様々な現場でシステムの基盤を支える重要な存在です。それぞれの現場で必要な技術は異なり、さらに新しい技術の台頭により柔軟な対応力も求められるという、かなりハードな職種と言えます。
トランスコスモスのWeb広告事業部門で働くエンジニアはどんな技術を使ってどのようなシステムを開発しているのでしょうか?
今回trans+では、トランスコスモスのWeb広告事業のシステム開発現場でプレイングマネージャーとして働くエンジニアにインタビューを実施しました。
「どんな技術が活かせてどんなことが学べるの?」「大変なことは?」「広告業界のエンジニアに向いている人は?」など、ひと括りに「社内SE」とは言い切れない、Web広告業界のエンジニア職についていろいろな話が聞くことができましたので、ご紹介します。
#01 Web広告プランナーの仕事とキャリア はこちらからどうぞ!
石井 健太郎 2011年トランスコスモスに中途入社。 デジタルエージェンシー本部のWeb広告運用に関わるシステムを開発・運用するアドテク開発課の課長を務める。 今まで習得したプログラミング言語はJava、C、C++、.Net、JavaScript(jQuery、Angular)、PHPなど。 その他データベースやインフラ管理技術なども併せ持つ。 |
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広告代理店を力強く支えるシステム開発のオールラウンダーはこうして誕生した!
—今日はシステムエンジニアのお仕事、特にWeb広告業界の特徴や環境について詳しく伺おうと思います。
最初に、現在業務で取り組んでいることについて教えていただけますか?
はい。今は主に広告運用におけるあらゆるデータの蓄積・処理・分析を行う「Discover(ディスカバー)」というシステムの企画・設計・開発・運用を担当しており、ほかにも社内向けの勤怠管理システムや作業工程管理システムなども担当しています。また、それぞれのシステムのインフラ管理も行なっていますね。
開発言語は主にJava、PHPです。また、Discoverで取り扱っているパフォーマンスデータは日々数十億レコードで、このビッグデータを処理するのにHadoopも扱っています。
職種でいうと、私はここでシステムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニア、プロジェクトマネージャーの全てを担当しています。
▼石井さんのチームが開発したDiscoverの機能のひとつである「REPORTAS(レポータス)」について詳しく紹介した記事はこちら
—ひとりで何役もこなされているとは!数々のプログラミング言語や技術などはどうやって習得されてきたのでしょうか?
私はトランスコスモスに入社する前に2社経験しているのですが、新卒で就職した会社で初めてシステム開発に携わり、一からプログラミング言語を覚えました。そこでは電話交換機のシステム開発をしており、C言語やC++を使用していましたね。
そして次に就職したのが製造業の情報システム部門で、いろんなシステム開発に携わりながら主にJavaや.Netなどを覚えました。
2社とも基本的にお客様先への常駐勤務で、会社からは多くて3名、最終的には自分ひとりだけが派遣されていたということもあり、誰かに教えてもらうというよりは自力で勉強して習得していくというスタイルでしたね。
<客先にひとり常駐していた時代の開発経験について話す石井>
ちなみに大学では物理系の学部だったのと、まだPCを持っているのが珍しい時代で私自身も自分のPCを持っておらず、プログラミングとは無縁でした。当時は就職氷河期の真っ只中だったのですが、ちょうど1990年代後半からの「IT革命」というIT業界の急激な成長期でもあったので、IT系の求人が多く、たまたまシステム開発の道に進めたという感じですね。
—なるほど、未経験からここまで自分の力で技術を習得されてきたのですね。
トランスコスモスに入社したきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは前職の会社が無くなってしまうということでやむなく転職活動をしていたときに、トランスコスモスの「社内SE中途採用」の求人を見つけ、さっそく応募したんです。それまでは設計以前の上流工程に携る機会が少なかったので、エンジニアとして今後のキャリア形成を考えると募集内容はとても魅力的でした。また、採用面接で話していただいた開発手法や業務内容に共感できたのも決め手でしたね。その時面接してくれたのは現在の直属の上司(部長)だったのですが、率直に「ここなら自分のやってきたことが活かせるな」と思い、入社を決めました。
—トランスコスモスで新たに習得したり、扱うようになった技術はありますか?
まず、HadoopやSparkといったビッグデータの分散処理技術ですね。私たちはこの技術を自社環境に構築してシステムを開発しています。当時は「ビッグデータ」がバズワードになるほど流行っていましたが、実際にはシステム開発に取り入れている企業は少なく、事例・知見もあまりありませんでした。そのため、自分たちが導入する際にもサーバーの構成やインフラ設計に戸惑う事が多かったです。
ほかにはインフラ管理ですね。私たちはオンプレミスで構築して開発・運用をおこなっているので、サーバーやネットワーク機器は選定から手配・導入・構築といったすべての作業を自分たちでやっているんです。インフラ系の技術はほぼ未経験だったので、覚えるのは結構大変でしたね…。
そもそも、開発エンジニアとネットワークエンジニアは同じIT系のエンジニアでも違う職種なので、通常は開発エンジニアがインフラまで管理する機会は少ないと思います。たまたまウチの部長が両方を兼任できる稀な存在(笑)でしたので、一緒に作業していくなかで手取り足取り教えてもらいながら覚えていきました。
アドテクの技術革新とともに自分自身も成長できる!
—ベテランのエンジニアでも新たな技術を習得できる環境ということですが、他の業種と比べると広告業界の現場ってどんな特徴があるのでしょうか?
GoogleやYahoo!などの媒体社が扱う最先端のアドテクノロジーに触れられること、その技術を実際に使えることですね。その最新技術に追随していくのが私たちの重要なミッションなので、常に新しい技術や知識を取り入れながらシステムを進化させています。
また、私が前職で経験したような製造業などの基幹システム開発では、開発言語の縛りや他システムとの連携の制約など、新しい技術を導入することが難しい現場が多いです。
広告業界ではスピードが求められるので、じっくり考えるよりもまずやってみることが大事なのですが、私たちは自社環境を持っているため、何か新しいことをやりたければすぐにでも検証することができるので、開発エンジニアにはとても良い環境だと思いますよ。
—技術刷新のサイクルが速い広告業界だと、大変なことばかりなのでは?
うーん、確かに次々リリースされる新しい技術に追随するには常に勉強やスキルアップが必要なので、それなりに大変なこともありますが、私はそういったことも楽しみながらできていますね。まぁ、この状況に慣れただけかもしれませんが(笑)。また、そんなに大変と感じないのは開発チーム全員で、お互い助け合いながら進められているからだと思っています。メンバーにはいつも助けられていますね。
何より私たちのシステムは、広告運用している現場のメンバーが滞りなく業務を遂行できることが重要で、不具合が発生したら即時対応を求められます。そういった時はチームのメンバーが一丸となって対応してくれるので、影響も最小限に抑えることができていますね。
ただ、大きなシステムのリリースの時などは作業がどうしても定時以降や休日になったり、サーバーの構成変更や入れ替えでは徹夜の作業が発生することもあります。私たち世代のエンジニアはそういう勤務条件も当たり前に思う人が多いですが、社会の働き方も変わりましたし、今の若い世代のメンバーにはそういったエンジニアとしてのキツい一面はなるべく経験させたくないと考えています。ちょうど今、既存システムのクラウドシフト化やサーバーレス化の準備を進めていて、平日の日中帯でもリリースできる構成にしていく予定なんですよ。
—なるほど。一見大変そうに思う業務も、チームで支え合ったり作業環境をアップデートしたりして改善していっているんですね!
<大変なことも、笑顔でサラっと話すところはさすがベテランエンジニア>
エンジニア歴20年以上のベテランがトランスコスモスで働き続けたい理由が気になる!
—数多くの技術を持つ優れたエンジニアである石井さんが、トランスコスモスで働き続けている理由を教えていただけますか?
働く環境が大きいですね。アドテク領域の開発は、今まで培ってきた自身の技術と最新の技術を組み合わせて開発することが多く、今でもワクワクすることが多いです。
加えて、Web広告の業務知識も習得できるので一石二鳥かなあと。
また、システムの利用者が近くにいることで、すぐに反応がわかるのが良いですね。広告運用現場のメンバーに喜んでもらえた時は、「エンジニアとしてやってきて良かったー!」と実感できる瞬間なんですよ。
また、マネージャー職に就いてからは後輩メンバーの育成について考えるようになりました。メンバーにどう成長していって欲しいか、チームとしてどのように技術レベルの底上げをしていくかを常に意識していますね。これからもメンバーには支えられつつ、成長を見守っていきたいです。
—いつもチームのことを考えているんですね!後輩メンバーにはどう育ってほしいと考えていますか?
エンジニアって、なかなか自分から「コレやりたい!」と積極的に言える人は少ないのかな、と思います。新しいことを覚えるのは大変ですが、特定の言語しかできないとそれに縛られてしまい、エンジニアとしての成長が鈍化してしまうと思うんですよね。なので、メンバーにはもっと積極的にいろんな技術に興味を持つようになってほしいです。
あとは広告運用の現場メンバーにもっと名前や顔を覚えられるようになってほしいですね。特に、若手メンバーにはコミュニケーションを密にとったり、表に立つ機会を多く作るようにしています。やっぱり現場からの喜びの声ってエンジニアとしての励みになるので、それを“直接”聞いてほしい、という思いが強いですね。
新しい技術に興味を持つ、その情熱がプロフェッショナルへの道を切り開く
—石井さんが自分のチームで一緒に働きたいと思うのはどういうタイプの人なのでしょうか?
そうですね…。新しい技術に携われる環境なので、そこに興味を持てる人だと良いですね。
そして、取り組んだことには責任を持って最後までやり遂げる意識も重要です。私も新人の頃は何度もくじけそうになったことがありましたが、そういう時にもめげずに諦めない、負けず嫌いなタイプの人が合っていると思います。
もう一つは、大胆さと細かさのバランス感覚を持っている人ですね。プログラミングは当然細かな配慮が求められるのですが、私たちの開発では前例にないことにも取り組むことが多く、そこでは大胆さも必要なんです。
業務をする上で、覚えなければいけないことはたくさんありますが、その分一般的な開発エンジニアでは経験できないことも多いし、成長のスピードも速いです。
アドテクに触れたい人、自分の力で挑戦したい人、エンジニアとして成長したい人、いろんな事に興味を持っている人、そんな人と私は一緒に働きたいですね!
<アドテク開発課のメンバー。(左から2番目は「インフラ管理の師匠」時吉部長)一緒に働ける日を楽しみにしています!>
—石井さん、ありがとうございました!
トランスコスモスでは、Web広告運用のシステムを支えるエンジニアのキャリア採用を強化しています。
ご興味がある方はぜひ、採用情報をご確認ください!