カスタマージャーニーをマーケティング4.0「5A」へシフトするためにやるべきこと
顧客同士がつながり合い、さまざまな情報にアクセスできるようになった接続性の時代では、タッチポイント(ブランドと顧客の接点)やメッセージ量の増大が、必ずしも訴求力にはつながるとは限りません。顧客の行動は、4Aカスタマージャーニーが想定していたものより複雑で多様になり、顧客の決定はさまざまなコミュニティから多大な影響を受けるようになった結果、個人的なものから社会的なものへと変わっています。
こうした環境の変化を受けて、カスタマージャーニーを時代に則してアップデートすることが、企業やブランドにとって急務となっています。顧客に対するアプローチの方法を見直すべき時を迎えているのです。
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カスタマージャーニーのゴールは、再行動から推奨行動へ
これからの顧客の行動は、5Aカスタマージャーニーで捉えるべきです。5Aは認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)からなり、ロイヤリティはブランドを推奨する意思として定義されています。ここで重要なのは、顧客が必ずしも5つのAをすべて通り抜けるわけではないと考えていることが、これまでのジャーニーと異なる画期的なポイントです。
4Aから5Aへ、カスタマージャーニーをアップデート
カスタマージャーニーを5Aへアップデートするために、企業やブランドは顧客同士オフライン・オンライン問わず互いにつながり、質問したり推奨したりする場所を築く努力が必要です。
接続性の時代では、顧客間のカンバセーションが最も効果的な媒体となっており、会話上でかかるバイアスによってブランドの訴求力は強化されることもあれば、希薄化されることもあります。顧客の接続性とそこから発生する推奨のパワーは、決して見過ごしてはならないものです。
顧客を感動させて忠実な推奨者にする
顧客は身近な友人やオンライン上のコミュニティなど、自身と同じ立場にある人の意見をかつてないくらいに信頼するようになっています。彼らにとっての影響力の最良の源は、企業からの広告メッセージではなく、顧客から推奨者になった人たちになっているのです。このように考えていくと、これからの企業やブランドにとっての究極の目標が、顧客を感動させて忠実な推奨者にすることだということが理解できるでしょう。
これまでのように顧客に自社の製品やサービスを知ってもらい、購買まで進ませることをゴールにするだけでは、接続性の時代で確固たる価値を築き、競合優位に立つことはできません。そのために企業やブランドがすべきことは、膨大な広告費を投下して幅広い認知を得ることだけではありません。より親しみのある人間的な関係性の構築を目指すこと、ごく少数の重要なタッチポイントで顧客に予期せぬ感動を与えることを目指すべきです。
5Aへのシフトをすすめるためにはどうすればいいのか?
最も重要なのは、顧客間のカンバセーションをうまく活用していく仕組みづくり
顧客間のカンバセーションはレバレッジ(てこの作用)をもたらします。ファイナンスの世界で債務がレバレッジをもたらすように、デジタル時代の顧客間のカンバセーション(他者の影響)をうまく使うことで、ブランドの認知率や好感度の向上に大きく貢献させましょう。ただし、顧客のカンバセーションは直接コントロールできないので、ときにネガティブなイメージにつながるリスクもあります。したがってブランドは、できるかぎり好意的なカンバセーションの対象になるべく、本物の差別化要素をプロダクトに組み込み、うまくアピールしていくことが重要です。
5Aへシフトさせるためのポイントは以下の4つにまとめられます。
Point.1:本質的な差別化要素で、誘引力を高め
ブランドの持つ差別化要素が独創的であればあるほど、顧客は魅力を感じます。そのためブランドは、人間らしくいること、社会的・環境的な責任感を示すこと、まったく新しいライフスタイルや価値観を生み出すことなどを通して、他社との強力な差別化を図る必要があります。
Point.2:コンテンツマーケティングを通じて、顧客の好奇心を最適化する
顧客に行動を起こさせるには、適度な好奇心を与えてあげることが効果的です。したがってブランドは、顧客の生活に寄り添うような、かつ自社にもつながりのあるようなテーマでコンテンツを作成し、発信していくとよいでしょう。またそのコンテンツを顧客にスムーズに見つけてもらうために、コミュニティマーケティングも併せて行うと一層効果が期待できます。本質的な価値のあるコンテンツであれば、顧客の好奇心を適度に刺激しながら、クチコミやシェア機能を通じておのずと拡散していきます。
Point.3:オムニチャネルマーケティングで、コミットメントを強化する
顧客にジャーニーを継続させるためには、オンライン・オフラインを問わずさまざまなタッチポイントを統合した経験を提供していくことが重要です。顧客経験は、顧客に不便さや違和感を感じさせることがないようにシームレスに設計される必要があります。自社の組織構造が縦割りで、これを阻むような場合には、組織の構造自体を見直して、業務や予算の統合を進める必要もあるかもしれません。
Point.4:購入後の顧客との関わり方を工夫し、親近感を高める
購入後の顧客の経験は、製品やサービスの実際のパフォーマンスが、購入前に受けたブランドの主張と一致している、もしくは期待を上回る必要があります。そうして初めて、顧客は感動し、親近感を育み、推奨者になる可能性が高まるからです。ここでは顧客エンゲージメントプログラムやゲーミフィケーションなどを導入することで、顧客と通常の交流を超えた、より人間らしい交流を目指していくとよいでしょう。
自社のカスタマージャーニーを、4Aから5Aへアップデートさせるための方法をまとめました。顧客間の会話にブランドがいかに入り込めるかが重要となってくるとともに、本質的なプロダクトの差別化も必要です。時代にあったカスタマージャーニーに対応することは、これからの企業活動に必要不可欠です。ぜひこの機会に、自社プロダクトの状況はどの様になっているか考えてみてはいかがでしょうか。
5Aの概念については、こちらの記事でも解説しています。
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