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デフビーチバレーボール日本代表選手の山本将隆さんにインタビュー!

本記事では、トランスコスモスの「ノーマライゼーション推進統括部 障がい者人材開発部」に所属し、今年11月15日~26日に開催される「東京2025デフリンピック」にデフビーチバレーボールの日本代表選手として出場する山本 将隆(まさたか)さんへのインタビューをたっぷりお届けします!!

白いキャップをかぶっているのが山本さん

デフリンピックとは、デフ(deaf、英語で「耳が聞こえない」の意味)+オリンピックのこと。

つまり、デフリンピックは「耳が聞こえない、または聞こえにくい」アスリートが出場するオリンピックです。1924年に最初のデフリンピックがパリで開催され、今回はなんと記念すべき100周年の大会となります。更に、日本では初開催となります。

そんな歴史的な大会に、トランスコスモスから日本代表選手として出場する山本さん。それでは、早速インタビューを始めます!

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―山本さんの普段のお仕事内容を教えて下さい。

情報保障のコーディネート業務を担当しています。具体的には、聴覚障がいを持つ社員が会議などで音声認識への接続や手話通訳、文字通訳などが必要になる時に音声認識への接続を行ったり、通訳者とのスケジュールを調整したりしています。

また、ノーマライゼーション推進統括部所属の新卒入社~3年目までの社員を対象とした新人研修やフォローアップ研修では、主に事務業務を担当しています。

―山本さんの聴覚障がいについて教えていただけますか?

私は生まれつき耳が聞こえず、口話もできません。小さい時に右頭に人工内耳(※)を埋めましたが、現在はほとんど使っておらず、普段は音のない世界で生活しています。コミュニケーションは主に手話を使っています。

※人工内耳に関する参考サイト

―山本さんがデフビーチバレーボールを始められたきっかけは?

私は小学1年生から17歳頃まで野球を続けていました。高校1年生の時、友達に誘われてバレーボールを始め、専攻科で先輩に誘われてデフビーチバレー大会に出場したことがきっかけで、ビーチバレーの魅力に惹かれ、本格的に始めるようになりました。

ビーチバレーをやってみて感じたのは、アウトドアスポーツの野球とインドアスポーツのバレーボールが組み合わさったような感覚で、とても楽しいということです。それが、ビーチバレーに転向した理由の一つかもしれません。

―デフビーチバレーボールの特徴はどんなところですか?

ルールは一般のビーチバレーボールと同じですが、耳が聞こえない選手たちは常に目でボールを追っています。そのため、審判の笛の音が聞こえず、ペアの動きも見えない場面が多くあります。こうした状況に対応するための「気付いてもらうための工夫」が、試合の中でよく見られます。

例えば、主審が笛を鳴らしても聞こえないため、副審がネットを揺らして知らせたり、たまに線審(ラインズマン)が大きく手を振って視覚的に伝えてくれたりすることがあります。また、ペアの選手に話しかけたいのに相手が後ろや少し離れた場所にいる場合には、足で砂を蹴って相手にかけることで、気付いてもらう方法がよく使われます。ただ、試合中に熱くなって砂を強く蹴りすぎてしまい、砂が相手の目に入ってしまうこともあります…(汗)

山本さん(画像左側)

―その時、試合は中断されるのでしょうか?

試合中は審判に状況を伝え、水で洗うなどの処置をするために中断した後、試合を再開することができます。

―普段の活動状況について教えて下さい。

普段は、横浜市金沢区にある海の公園ビーチバレーコートで練習しています。最近はデフリンピックが近いので、地方のビーチバレー大会によく出場しています。上長の理解のお蔭もあって、火曜日と木曜日は朝6:00~9:00過ぎまで練習し、10:00から18:50までを業務時間としています。本当にありがたいです。

―季節によって練習時間を変えることはありますか?

冬の朝は太陽が昇るタイミングが少し遅いので、そのタイミングに合わせて練習を始め、また夜は日が暮れるのが早いので、コンパクトに練習して終わる時間を早めたりしています。

―天候が悪い時はどのように練習するのでしょう?

試合は強い雨や風の中でも行われるので、普段も天候に関わらず練習しています。ただ、もちろんかなりの大雨や台風レベルの風が吹いている場合は、チームで実施するか決めています。

―地球温暖化もあり、夏のビーチの砂の温度は相当高いと思うのですが、気温によって試合が中止になったりすることはあるのでしょうか?

気温が高い時も関係なく試合は行われます。砂が熱い時は水をまいたり、サンドソックスという専用の靴下を履いたりして対策を取っています。サンドソックスは普通の靴下と違って、足で砂をしっかりつかめ、また冬は防寒対策にもなります。

―日々、どのような練習メニューをこなされているんですか?

練習では、基本の基本しかしていないです。例えば、トス、サーブカット、ブロック、スパイクです。

海外選手たちはとにかく大きいので、僕たちのチームは技術の精度や気持ち、また粘りで勝つしかないと思っています。粘り強いプレーをするため、ボールを使った練習以外にトレーニングにも励んでいます。

―パフォーマンスを上げるために心掛けていることはありますか?

僕はメンタル面に課題があり、調子が良くない時は、ほぼ100%の確率で試合内容にも影響が出てしまいます。そのため、精神的に参らないように、常に自分自身にポジティブな言葉をかけるようにしています。

例えば、「あなたならできる」「他人は他人、自分は自分」といった言葉です。また、好きなYouTuberの動画を見て気持ちを整えたり、メンタルケアを行ったりすることも習慣にしています。

さらに、僕は太りやすい体質なので、食事面にも気を付けています。食べ過ぎた翌日は体が重く感じて動きにくくなるため、日々の食事管理には特に注意しています。

―逆に、食事で気を付けて摂っているものはありますか?

タンパク質、炭水化物、糖分、脂質は意識して摂っています。例えば、1日の活動量によって、玄米は100~200グラムを摂るなどしています。タンパク質なども1日何グラムまで摂取する、と計算して決めています。

―食事面でもとても気を配られていますが、自分で料理されるのでしょうか?

1人暮らしをしていますので、平日は自炊が多いです。練習がある時は、コンビニ等で買って食べたりお店で食べたりもしますが、必ずしっかり食事の管理をしています。

―デフビーチバレーボール活動に対する会社(トランスコスモス)のサポート内容について教えて下さい。

朝練ができるように、業務時間のシフト調整を行っていただいています。

また、「障がい者アスリート支援制度」があり、日本代表強化指定選手やデフリンピック、パラリンピック日本代表に選出された場合には、トレーニングや練習をしたい日に申請して休暇を取得することができ、合宿や世界大会に出場する際には、特別休暇を取得することも可能です。

また遠征費も一部サポートいただけたりします。非常にありがたい制度であり、競技活動を継続する上で大きな支えとなっています。

―(インタビュー時点)開催まであと31日に迫った「東京2025デフリンピック」において、日本代表選手として達成されたいことについて聞かせて下さい。

もちろん、メダルを獲得することが最大の目標です。私たちのチームは、男子の出場チームの中で間違いなく一番背が低いチームだと思います。それでも、どう得点を重ねて勝利を掴むか。その姿を観客や海外の選手たちにしっかりと魅せたいです。

―海外の選手と日本の選手の身長差は、どれくらいあるのですか?

日本の男子チームは2つありますが、自分のチームはどちらも160センチ台で、もう1つのチームは180センチ台です。一方で、海外選手は190センチくらいが普通なので、自分のチームと比べると20~30センチの差があります。

以前、僕たちは身長の高い選手と低い選手でチームを組んでいましたが、昨年の世界選手権が終わった後に議論し、方針を変えました。

―大会後の抱負についてもお聞かせ下さい。

大会後の抱負についてはまだ具体的には決まっていませんが、私はデフスポーツのおかげで人生を立て直すことができました。だからこそ、どんな形になるかは分かりませんが、デフスポーツに恩返しができるような活動をしていきたいと考えています。

―「東京2025デフリンピック」の大会ビジョンの1つである「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」に対する思いやお考えなどについても、是非聞かせて下さい。

東京2025デフリンピック 大会ビジョン

1.デフスポーツの魅力や価値を伝え、人々や社会とつなぐ

2.世界に、そして未来につながる大会へ

3.“誰もが個性を活かし力を発揮できる” 共生社会の実現

このビジョンは、すべての人が自分らしく生き、持っている力を発揮できる社会の大切さを示していると思います。障がいの有無に関係なく、それぞれの個性や強みを認め合い、支え合える環境があれば、誰もが前向きに挑戦できるはずです。「東京2025デフリンピック」が、そのような共生社会の実現に向けた一歩になることを願っています。

―最後に、この記事の読者の皆さんへのメッセージをお願いします!

「東京2025デフリンピック」はデフリンピック100周年という節目の大会でもあり、歴史ある大会です。

是非デフビーチバレーを観戦していただけたら嬉しいですが、他にも多くの魅力的な競技があります。様々な競技を通じて、デフスポーツの魅力を感じていただけたら幸いです。応援をどうぞよろしくお願いいたします!

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今回11月15日~26日に開催される「東京2025デフリンピック」には、世界70~80か国・地域から約3千人ものアスリートが集結し、21競技で熱い戦いを繰り広げます。開会式は11月15日、閉会式は 11月26日に行われます。

山本さんが出場するデフビーチバレーボールは、東京都大田区にある「大森ふるさとの浜辺公園」内のビーチバレー場で、11月16日(日)~23日(日)の8日間開催されます。

大森ふるさとの浜辺公園|東京2025デフリンピック | TOKYO 2025

残念ながら、既に開閉会式の観戦チケットの抽選は終了していますが、実は競技は事前に申し込まなくても、誰でも無料で気軽に観戦することができるんです!是非、下記の各競技日程や会場を確認し、みんなで「日本初開催」そして「100周年を迎える」歴史的な「東京2025デフリンピック」を観に行きましょう!!

関連リンク

観戦案内|東京2025デフリンピック | TOKYO 2025 DEAFLYMPICS

東京 2025 デフリンピック 東京ゆかりデフアスリート応援サイト|スポーツTOKYOインフォメーション

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東京2025デフリンピック 大会情報サイト

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trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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