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【国内・海外EC業界ニュース】ユナイテッドアローズが年間800万回の「試着」データをオムニチャネルに活用! Weekly Picks! 2/27-3/5

トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース

今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。

世界33カ国・171の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、

国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。


今週のトピックはこちら。

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目次[非表示]

  1. 英大手百貨店Marks & Spencerと最大手オンラインスーパーOcadoが新サービスを発表
  2. ラグジュアリーブランドEC Farfetch、2018年決算を発表!
  3. 米Amazon、相次いで新施策を発表!
  4. 韓国小売大手ロッテと新世界、EC事業を加速!
  5. ユナイテッドアローズ、試着のシェアアプリ 「フィットム(fitom)」 を発表!
  6. 公正取引委員会、アマゾンジャパンや楽天市場に独禁法違反の疑いで調査へ

英大手百貨店Marks & Spencerと最大手オンラインスーパーOcadoが新サービスを発表

2月27日、英大手百貨店Marks & Spencerは、地場最大手オンラインスーパーOcadoと共同出資で新サービス「Ocado.com」を立ち上げると発表しました。この新サービスを通じて、Ocadoが所有する運営のノウハウや物流網を活用しMarks & Spencerの食料品をオンラインで販売していきます。Ocadoは倉庫の自動化や物流管理のシステム開発を得意としており、2017年から2018年にかけて、フランスの「Groupe Casino」、カナダ「Sobeys」、スウェーデン「ICA」、アメリカ「Kroger」などAmazonに対抗したいとする多くの小売にこのシステムを提供してきました。イギリスでは、数年前より地場小売とAmazonとの間でオンライン生鮮食品販売の熾烈な戦いが繰り広げられており、今後も益々英小売事業者のオンライン事業強化の動きが注目されます。

情報源:Digital Commerce 360『Marks & Spencer and Ocado are in talks for a grocery joint venture』(2019/2/26)

https://www.digitalcommerce360.com/2019/02/26/marks-spencer-and-ocado-are-in-talks-for-a-grocery-joint-venture/

  trans+編集部

trans+ではおなじみとなった、流通小売り×オンライン強化のニュースは、イギリスでも同様です。一方で、英大手百貨店マークス&スペンサーは2022年までに英国内の100店舗を閉鎖する計画を発表しています。こうした新たなサービスで一矢を報いることが出来るのか、注目です。

ラグジュアリーブランドEC Farfetch、2018年決算を発表!

2月28日、英ラグジュアリーブランドECのFarfetchが、2018年度の決算を発表しました。売上高は前値比1.56倍の6億238万ドル(686億円)となり、流通総額は前期比50.6%増の14億800万ドル(約1548億円)を記録しました。米国や欧州に留まらず、アジアの全エリアでの成長がみられ、平均購入単価は前年の620ドル(6万8200円)とほぼ横ばいの618.6ドル(約6万8046円)を維持する一方で、年間購入者数は前期比1.5倍の291万人に拡大したことが流通総額拡大を後押ししたと考えられます。また、決算発表とあわせて中国大手EC京東との協業を強化することも発表しました。これに伴い、京東が運営するラグジュアリーブランドECサイトのToplifeを5,000万ドル(約55億円)で買収し、 今後「PREMIER LUXURY GATEWAY 」という名のものでFarfetchが運営を手掛けていきます。今後、京東の抱える3億人の利用者は、優先的にFarfetchが取り扱う1,000ブランドの商品を購入できるようになります。Farfetchは以前から、中国を注力市場のひとつと定め、京東との提携以外にも地場のデジタルマーケティング専門会社を買収するなどで、中国市場進出へのノウハウを蓄積してきました。PREMIER LUXURY GATEWAY の開始による本格参入で、今までの努力が実を結ぶこととなるのでしょうか。

情報源:

Business of Fashion『Farfetch Reports Surging Revenue, Acquires JD.com’s Luxury Platform for $50 Million』(2019/2/28)

https://www.businessoffashion.com/articles/news-bites/farfetch-and-jd-com-to-merge-luxury-operations-in-china

WWD Japan『高級EC「ファーフェッチ」、流通総額は1.5倍の1500億円に』(2019/3/1)

https://www.wwdjapan.com/816165

  trans+編集部

こちらもtrans+で何度も取り上げている英国発の高級ECファーフェッチに関する話題。JDとの提携でスタートする”PREMIER LUXURY GATEWAY”はファーフェッチで扱う1,000のラグジュアリーブランドと、小売店を含む3,000ブランドの販売からスタートするとのこと。JDの持つ3億人に及ぶユーザーへのアプローチを開始し、中国ラグジュアリーEC市場を席巻するのでしょうか。

米Amazon、相次いで新施策を発表!

2月28日、米AmazonはPrime会員向けの新配送サービス「Amazon Day」、偽造品対策の「Project Zero」の開始を発表、また併せて「Amazon Dash Button」の販売終了を発表しました。Prime会員向け配送サービスの「Amazon Day」は、指定した曜日に購入した商品を届けるサービスです。同サービスは昨年の年末商戦時期に、一部のPrime会員向けに開始しましたが、今回正式にローンチします。このサービスによって、再配達や段ボールの数を減らすことを目指しています。新たに発表された「Project Zero」のイニシアチブの取り組みとして、出店事業者向けに専用システムを提供を始めました。システムはAIを搭載しており、出品商品のロゴやトレードマークをスクリーニングし、偽造品の特定と削除ができます。また、販売終了が発表された「Amazon Dash Button」について、Smart Home事業担当のVPを務めるDaniel Rausch氏は、同デバイスによる購入は好調に伸びている一方で、後から提供開始したEchoによる音声注文やDash機能が搭載された「スマート家電」による自動注文の売上が過去一年で2、3倍増加しており、注文のための物理ボタンの必要性が薄れつつあることを挙げました。ちなみに同社は今年2月にEchoやスマートホーム製品のネットワーク接続を簡易化するためWi-Fiメッシュルータのeeroを買収しており、Dash Button廃止後も、Echoやスマート家電を活用した販売に注力していく姿勢が窺えます。  

情報源:

The Verge『Amazon’s Project Zero will let brands remove counterfeit listings of their products』(2019/2/28)

https://www.theverge.com/2019/2/28/18244603/amazon-project-zero-counterfeit-listing-remove-products

Tech Crunch『Amazon Prime members can choose a weekly delivery date with launch of ‘Amazon Day’』(2019/2/28)

https://techcrunch.com/2019/02/28/amazon-prime-members-can-choose-a-weekly-delivery-date-with-launch-of-amazon-day/

Business Insider Japan『アマゾンが「Dashボタン」を終了させる理由 ── 実はDashビジネスは好調だった』(2019/3/4)

https://www.businessinsider.jp/post-186439

  trans+編集部

登場時話題になった”Amazon Dash Button”ですが、実はビジネス自体は好調です。そして、スマートスピーカーでの注文の伸びにも、Dash Buttonが貢献していたと考えると、その功績は非常に大きいと言えるでしょう。Dash Buttonを通して促したユーザーの行動変化、併せて用意された「Dash Replenishment Service(DRS)」という仕掛け。スムーズすぎるその移行劇には脱帽です。その役割を果たしたDash Buttonに拍手を送りたい編集部一同でした。

韓国小売大手ロッテと新世界、EC事業を加速!

韓国小売大手のロッテと新世界が、地場大手EC事業者と本格的に対抗すべくEC事業を加速させています。先行するロッテは、2018年8月に新たに「Eコマース事業本部」を新設し、傘下の小売サービスのECサイトを統合しました。今月末、これらサービスをすべて利用できるモバイルアプリをリリースする計画です。同社の2018年EC取引額は 8兆5,000億ウォン(約8,500億円)と過去最大を記録しており、オンライン専業のeBay Korea、Coupang、11番街などに次いで4位となりました。ロッテは、今年いよいよ10兆ウォン(約1兆円)の大台を超えると期待されています。一方で、新世界については3月1日に、ECブランドの「SSG.com」を法人化しました。これに伴い、今年度のEC売上目標を3兆1000億ウォン(約3,100億円)に、また2023年までに10兆ウォン(約1兆円)達成を掲げています。同社では、デジタルトランスフォメーション推進の一環として、EC事業に加え無人店舗の技術開発に注力しており、韓国版Amazon Goをリリースすると期待を集めています。ロッテと新世界は共通して、実店舗で培ったノウハウを活かしたEC事業展開を推進するほか、AI活用にも注力しており、ロッテでは顧客データを有効活用したレコメンド力の強化、また新世界ではチャットボット開発での24時間対応サービスなどを提供してきました。

情報源:NNA ASIA『新世界がEC事業法人化、売上高3兆W目標』(2019/2/28)

https://www.nna.jp/news/show/1874543

  trans+編集部

韓国EC市場も拡大を続けています。新世界グループは注文量全体の8割を首都圏が占めているとのことで、配送の効率化が課題。2019年下期には3つ目の専用センターを構築する予定とのこと。

ユナイテッドアローズ、試着のシェアアプリ 「フィットム(fitom)」 を発表!

3月1日、セレクトショップ大手のユナイテッドアローズが、 戦略コンサルティング会社のシグマクシス(SIGMAXYZ)と博報堂DYメディアパートナーズ と共同で試着画像シェアアプリ 「フィットム(fitom)」 の提供開始を発表しました。 「フィットム」は商品のリアルなスタイリングを求めるEC利用者と、店舗で試着した顧客の画像を結びつけるアプリとなっています。試着画像を提供した顧客は、リクエスト数に応じてインセンティブ(フィットムポイント)が付与される仕組み。ユナイテッドアローズは店舗に年間1億人の入店、800万回の試着が発生しています。一方で、オンラインでは試着ができないことが購入における最大のボトルネックとなっており、これらを繋げることで新たな購買を喚起できると考えています。ユナイテッドアローズは、2019年3月期の自社ECサイト売上は64億円強と推計され、先行するベイクルーズグループ(335億円、EC化率28.2%)やアダストリア(333億円)などの他のセレクトショップから大幅に遅れを取っています。同社は、最近ZOZOから自社ECサイトの委託を解除し、新たに店舗主体のオムニチャネルコマース強化を始めました。今回発表された「フィットム」は、その取り組みの第一歩と考えられます。

情報源:WWD Japan『ユナイテッドアローズが試着のシェアアプリ 真の狙いは店頭接客のデータ化』(2019/3/1)

https://www.wwdjapan.com/816230

  trans+編集部

「ユナイテッドアローズの店頭だけでも年間で1億人の入店があり、800万回の試着がある。」ってすごいですよね。UAをよく使うユーザーとしては、試着室の回転に影響が出るのは避けて欲しいところですが、それも織り込み済みでしょう。期待です。

公正取引委員会、アマゾンジャパンや楽天市場に独禁法違反の疑いで調査へ

2月27日、公正取引委員会はECサイトのポイント還元をめぐり、アマゾンジャパンや楽天市場を含む大手ECモール運営企業の一斉調査の実施を正式に発表しました。調査の焦点は、各社の提供するポイント還元の費用とされています。ポイントは各社が顧客を囲い込むための重要なツールとなっており、また、出品事業者にとっても販売機会の拡大に繋がるとされています。今回問題視されている点としては、出品事業者にポイント原資を負担することで、それ以上の販売機会拡大の恩恵を受けているか否かが挙げられます。各社は、調査への協力について意思表示を行ってはいますが、公正取引委員会では、今回の調査で得た回答が不十分な場合、独占禁止法の40条に基づいて強制調査の実施も視野にいれているそうです。なお、アマゾンジャパンについては、2017年にも独占禁止法違反の疑いで調査を受けており、その際は規約の見直しを行うことで、事なきを得ています。

情報源:ITMedia News『公取委、Amazonなど大手ネット通販調査 「ポイント還元」原資に注目』(2019/3/1)

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/01/news064.html

  trans+編集部

日経新聞紙面の1面を飾ったこのニュース、ご存知の方も多いでしょう。事業者からすると「やめたくてもやめられない」存在まで膨れ上がったプラットフォーマーとどう付き合い、事業者という「ユーザー」に対してプラットフォーマーはどのように向き合うのか。WIN-WINとなる道をどう模索していくのか、その仕組み作りが今後の焦点となるでしょう。


POINT

2月27日、公正取引委員会は1月末に公開した「消費者向けeコマースの取引実態に関する調査について」の調査に基づいてアマゾンジャパンや楽天市場をはじめとする大手ECモール運営事業者を対象に 取引実態調査 を進めると発表しました。今回の調査で、モール運営事業者各社のポイント原資負担に関する取り組みが合理的な範囲を超えた不利益を出品事業者に与えていると判断された場合、自発的な改善措置を促すことや課徴金などの処分に繋がる可能性が考えられます。なお、海外ではAmazon.comをはじめとするプラットフォーマーによる不利な取引から中小企業を救済するための動きが活発化しており、2月14日には 欧州議会、欧州連合理事会、欧州委員会 らがオンラインプラットフォームの取引慣行の公平性を高めるための新規則の合意に至ったばかりです。国内においても、今後はECモール運営事業者と出品事業者の双方の成長を両立する仕組みづくりが焦点となりそうですね。


~トランスコスモス調査部より~


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trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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