【2022年EC業界ニュース】独身の日、ゼロコロナ政策の影響で消費が低迷、GMVは公表せず ほか
トランスコスモス調査部が厳選する国内・海外EC業界ニュース
今週も国内外問わずEC市場の動きを、ダイジェストでお届けします。
世界30カ国・168の拠点があるトランスコスモスだからこそ伝えられる、
国内外EC業界の「今」が、5分でわかります。
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Coupang、2022年第3四半期決算を発表・2021年上場以来初の黒字
11月9日、韓国Eコマース大手のCoupang(クーパン)が2022年第3四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比10%増の51億ドル(約7,500億円)で、営業損益は2021年の赤字から一転し7,742万ドル(約108億7,200万円)の黒字を記録しました。上場後初の黒字となります。コマース事業の売上高は同10%増の49億ドル(約6,900億円)で、アクティブユーザー数は同7%増の1,799万人にまで増加しました。同社のCFOである Gaurav Anand(ガウラフ・アナンド)氏によると、黒字化の要因はテクノロジーやインフラ、サプライチェーンの最適化などへの投資結果だと説明されています。同社は米Amazon(アマゾン)の事業モデルをベンチマークし、物流投資に注力したことで競合との格差を広げ、収益確保にたどり着きました。
情報源:Coupang Inc. "Coupang Announces Results for Third Quarter 2022"(2022/11/09)
ZOZO、初の売らない店舗を12月に開設 AI×プロのスタイリストによる接客を提供
11月9日、ZOZO(ゾゾ)が初の実店舗「niaulab(似合うラボ)」を12月に開設することを発表しました。niaulabは店頭販売なしの完全事前予約制で、プロのスタイリストによるマンツーマン接客を提供します。接客内容は、AIのレコメンド機能を活用した無料のスタイリングサービスで、1人当たり2時間を予定しています。スタイリングの提案には、利用者のアンケート回答や通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」での購入履歴などを基にAIが分析したスタイリングを参考にする仕組みです。消費者は店舗に展示された商品を試着することが可能で、気に入った商品の購入はQRコードを読み取ってECサイトで購入できます。実店舗開設を開設し利用者のデータを収集することで、今後はEC上でのAIによるスタイリングの完全自動化を目指しています。アパレルEC市場の競争は激しく、Amazon Japan(アマゾンジャパン)は2022年10月からプライム会員向け試着サービス「Prime Try Before You Buy(プライム・トライ・ビフォー・ユー・バイ)」を開始し、試着サービスの拡大を進めています。
情報源:日本経済新聞「ZOZO、初の実店舗は「売らない店」 プロが衣服を提案」(2022/11/09)
イオン、グループ全体の顧客IDを統合 購買行動を分析し販促に活用
イオンがグループ全体で約50種類あるECやサービス関連の顧客IDを、2025年までに統合することを発表しました。ID統合することで様々な購買データを活用し楽天グループなどの大手ネット企業に対抗するねらいがあります。これまでイオンが展開してきたスーパーや映画館などの事業では、各社が独自のサイトを作成していたため、データが統合されていませんでした。今後は2021年9月に立ち上げた各種サービスの窓口となるアプリ「iAEON(アイイオン)」で新IDを発行し、旧IDとの統合や各事業との統合を実施する予定です。iAEONはイオン独自の電子マネー「WAON(ワオン)」やスマホ決済「AEON Pay(イオンペイ)」とも連携し、購買行動を分析して適切な広告やクーポン配布を行う予定です。
情報源:日本経済新聞 「イオン、顧客ID統合 50サービス横断で履歴分析・販促」(2022/11/10)
楽天グループ、2022年12月期第3四半期の連結決算を発表・国内ECのGMVは2桁成長
11月11日、楽天グループが2022年12月期第3四半期の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比13.7%増の1兆3,647億円を記録しました。インターネットサービス事業は売上収益が前年同期比9.5%増の7,654億円と好調でした。主力サービスである国内ECのGMV(流通総取引額)は同13.1%増の1兆3,500億円で、2桁成長を記録しました。その要因は、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得に向けた販促活動、クロスユースの促進などに加え、楽天エコシステムのオープン化戦略に注力したことだと考えられています。その結果、楽天市場や楽天西友ネットスーパーでは、巣ごもり消費の拡大を受け顧客の定着が進みました。同社は今後も楽天エコシステムを進化させ、楽天グループの競争力を高めていく予定です。
情報源:楽天「2022年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2022/11/11)
独身の日、ゼロコロナ政策の影響で消費が低迷、GMVは公表せず
11月11日まで、中国大手EC事業者Alibaba(アリババ)が最大のECセール「独身の日(ダブルイレブン)」を開催されました。セール開始の2009年以来初めて、2022年はGMV(流通総取引額)の詳細を未公表にすることを発表ました。2022年はゼロコロナ政策や当局の統制により消費が低迷しているため、2021年のGMV約9,500億元(約19兆円)を下回る可能性が高いと見込まれています。独身の日の不振を受け、Douyin(ドウイン:抖音)など競合サービスに出店事業者が流出する可能性があり、これに対しAlibabaは顧客の囲い込みに戦略転換し、Taobao(タオバオ:淘宝網)やTmall(天猫)を利用する顧客への恩恵策を充実させています。
情報源:日本経済新聞「中国、熱狂なき「独身の日」」(2022/11/12)
Walmart、2022年第3四半期決算を発表・EC売上が好調
11月15日、米大手小売事業者Walmart(ウォルマート)が2022年第3四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比9%増の1,528億ドル(約21兆円)で、最終損益は18億ドル(約2,500億円)の赤字となりました。インフレ下で低価格帯の食料品の売上が高まり、値引きによる在庫削減もみられました。国内EC事業は前年同期比16%増の成長率を記録し、コロナ禍で最大の成長率を記録した2年前の同期との比較では24%増でした。国内における今期の取り組みのハイライトとしては、オンラインゲームRoblox(ロブロックス)上で、Walmartのゲームをリリースしたことが挙げられます。ゲームを通じてZ世代をターゲットにとのエンゲージメント向上を狙います。
情報源:Walmart"Earnings Release (FY23 Q3)"(2022/11/15)
SEA、2022年7~9月期決算を発表・ネット通販事業が好調
11月15日、シンガポールのインターネットコングロマリットSEA(シー)が2022年7~9月期決算を発表しました。売上高は前年同期比17%増の32億ドル(約4,500億円)でした。最終損益は5億6,900万ドル(約790億円)の赤字で、前四半期の赤字額から38%縮小しました。ネット通販事業では、売上高が前年同期比32%増の19億ドル(約2,700億円)を記録しました。好調の要因としてShopee(ショッピー)の売上成長があります。Shopeeは広告費や配送料のディスカウント率削減に取り組み、赤字額を前年同期比28%減らすことに成功しました。同社は2023年末までにネット通販事業を黒字転換する考えです。
情報源:SEA Limited"Sea Limited Reports Third Quarter 2022 Results"(2022/11/15)
今週の注目は「独身の日、ゼロコロナ政策の影響で消費が低迷、GMVは公表せず」だよ! |