【レポート】”In-house SEO Meetup”にみる、愛され支持される「コミュニティ」づくり

【レポート】”In-house SEO Meetup”にみる、愛され支持される「コミュニティ」づくり

「他社で効果のあった取り組み事例が知りたい!」

「同業界の担当者同士でつながりを作りたい!」

 

こんな悩みを抱える、企業のマーケティング担当者は多いのではないだろうか?

昨今、マーケティング機能をインハウス(内製)化する企業が増えてきているが、インハウス化することにより外部との接点が少なくなり、上記のような悩みにぶつかるケースをしばしば耳にする。

セミナーやカンファレンスに参加するだけでは、自分の抱える課題に直結する気付きを得たり、担当者同士の継続的な結びつきを作るには少し物足りない、というのが本音かもしれない。

そんな中、こうした課題を補う機能を持つ「コミュニティ」の重要度が増してきている。

今回はデジタルマーケティング領域、とくにSEO(業界で、コミュニティとして機能し続ける“In-house SEOMeetup(インハウスSEOミートアップ)“について、11/9に行われた”ISM Open”のレポートと併せて、ご紹介する。

※Search Engine Optimization=「検索エンジン最適化」

 

“In-house SEOMeetup(ISM)”とは何か

 

In-house SEO Meetup(以下ISM)”とはその名の通り、「企業内(インハウス)のSEO担当者」を対象としたコミュニティ。開催されるイベントは「セミナー」や「勉強会」とは異なり、お酒を飲みながら語らいあうビアバッシュ形式での「カジュアルな集まり(Meetup)」をコンセプトにしているため、交流が生まれやすい雰囲気が特徴的だ。

勿論、ただ飲み語らいあうだけのイベントではない。業界内著名人の「ゲスト講演」や、SEO業務に従事するウェブマーケティング担当者が自社の取り組みを発表する「ライトニングトーク」、そして「ネットワーキング(交流・懇親会)」を主軸にしたイベント構成で、「学びを得ながら交流ができる」仕組みになっている。

原則的に参加者はインハウス企業のマーケター限定とされているため、参加者からすると、比較的近しい悩みや境遇の話が聞けて、明日からでも実務に使える情報を得られるイベントと言える。

ISMの創設者である三澤直哉氏は「自分がいちSEO担当者だった2010年当時、情報を集めるのに苦労した」と言う。当時のSEOというと、小手先のマークアップテクニックや、被リンク業者によるスパム行為などの「ハック」的なイメージが強かったのも事実であり、「SEOの価値を正しく理解する人間が少なく、周りからも決して良いイメージを持たれていなかった」と振り返る。

そこで、三澤氏は以下のようなコミュニティビジョンを掲げ活動し、仲間の輪を広げてきたという。

 

イベント冒頭に説明されるコミュニティのビジョン

 

  1. SEO実践者の社内価値を向上する
  2. SEO実践者を家族に誇れる仕事にする
  3. SEOを正しく行う企業を増やす
  4. 日本のSEO業界を盛り上げる
  5. SEOを生業とする企業にビジネス機会を提供する

 

イベントやコミュニティは「目的」ではなく、「手段」でしかない。だからこそ、この「なぜ、やるのか?」を明確に打ち出すことが重要だ。コミュニティを通して実現したい未来について、三澤氏は毎回のイベント冒頭で説明する。

こうした長年に及ぶ地道な活動が多くの同志からの共感と賛同に繋がり、検索エンジン側であるGoogleも公式にイベントに参加するなど、今となってはイベントの告知と同時にチケットも売り切れるほど業界内での人気コミュニティにまで成長している。

 

11/9 開催“ISM Open”当日の様子

 

11/9に開催されたISM Open

 

ISMは約3か月に一度のサイクルで継続的にイベントが行われるだけでなく、毎回の内容も趣向が凝らされている。SEOのテクニカルな側面にフォーカスした”ISM Tech”、女性マーケター中心の” ISM Women”など、毎回のテーマ設定などで参加者を飽きさせない工夫がなされている。

その中で、今回trans+編集部が参加した11/9開催のISM Openは「家族に誇れるSEOをしている方や推進している方(過去不問)」が対象というオープンなイベントという位置づけ。つまり、今日だけはインハウス担当だけでなく、広告代理店、SEOコンサルティング会社、ツールベンダーなど、様々な業界プレーヤーが参加し、立場を超えてディスカッションを行える貴重な場だ。

2017年秋に初めて実施した所、非常に好評だったとのことで、2018年も開催する運びとなったという。実際に当日の参加者の比率は、インハウス46%、パートナー54%(エージェンシーやツールベンダーなど、SEOを事業とする企業の方々)と、ほぼ半分ずつの割合。特にパートナーの参加者枠は即時にチケットが売り切れたといい、インハウス担当者と交流できる機会は、パートナー側にとって非常に注目度が高いことが伺える。

 

当日の参加者はインハウス・パートナーがほぼ半分ずつの割合
ISM Open当日のタイムスケジュール

 

参加者が白熱議論を繰り広げた「上がるかも委員会」

 

ISM Openのメインコンテンツは、「めちゃコミック」を運営する株式会社アムタスにてインハウスSEOを推進する高野翔二郎氏が発案した「上がるかも委員会」。

高野氏は「そもそもSEOには正解がない。その中で、インハウスSEO担当者は自社の状況しか把握できないため、自分が考える施策の正当性や他の選択肢に対する視野が狭くなりがち」と説明する。

だからこそ、SEOでは様々な視点や切り口での意見を聞いて、自らの思考を深め、実践していくことが重要となる。そうした思考プロセスを「参加型のゲーム形式」で行うというユニークな取り組みだ。

SEO にまつわるお題に対して参加者グループは「(その施策により検索結果順位が)上がるかも」「上がるとは言えない」のどちらが多いか予想し、それらの回答に対して「上がるかも委員会」と呼ばれるSEO業界の中でも著名なエキスパートたちが「審査員」として判定を行うという内容だ。

 

 

 

まさにSEO担当者だからこそ深く議論できるテーマをもとに、参加者が8つのグループに分かれ、ディベートのようにそれぞれの意見をぶつけ合う。様々な論点から建設的に議論され、非常に盛り上がっている光景が印象的だった。気軽なゲーム形式を取り入れるなど、SEOという共通言語のもと「真面目に、楽しく」議論できる空間は、このコミュニティならではの特徴と言えるだろう。

今回のISM Openのように「インハウス」と「パートナー」が気軽にディスカッション出来る場を通して、互いを知ることは非常に意義のあるもので、ともに業界を構成するプレーヤーとして「競争」でない「共創」の意識を持つことに繋がる。

自社の悩みを打ち明け、普段は知ることのできない他社の取り組みを、赤裸々に知ることが出来る。さらには、エージェンシー側の意見も取り入れることが出来るISM Openは、立場の異なる全ての参加者の方々にとって、貴重な機会となったのではないだろうか。

 

ISMコミュニティを中心としたエコシステム構築へ

 

こうしたコミュニティを運営する中で、「常連」ばかりが集まってしまうとクローズドな状態になってしまうが、ISMでは最初に参加者同士が自己紹介をする時間を設けるなど、初めて参加した人間も積極的にネットワーキングがしやすいよう設計されている。

また、その他のユニークな取り組みとして、各企業が自由に求人募集できる”Job Board(求人掲示板)”が設置されている点なども挙げられる。ISMはナレッジのシェアだけでなく、インハウス企業の悩みの一つである「人材の確保」に対して手助けできる仕組みが用意されている。人材のマッチングを通してSEO人材のキャリア形成や流動性を高めることにも寄与している。

ISMに参加し、他社の取り組みを学ぶ。

自社に持ち帰り、実践する。

その取り組みをISMでシェアする。

そして、そのナレッジがまた他の担当者の悩みを解決する。

こうした仕組みを通してコミュニティが活性化・循環するエコシステムが構築されている。

 

ISMが構築するエコシステム

 

そんなISMがスタートしたのは、2010年11月。

今でこそ、Facebookグループや各種イベントサイトを活用したコミュニティづくり・ネットワーキングが行われる光景は珍しいことではないが、数多あるビジネスコミュニティの中でも8年もの間にわたって継続的に運営されているコミュニティは多くない。

そのコミュニティを支える運営事務局もまた、同じインハウスSEO担当者。リクルートや楽天、ぐるなびなど様々な企業の担当者により有志で運営されている。彼らの「熱量」こそがこのコミュニティの源泉であり、その熱が参加者に伝播し、長年に渡り愛され、支持されるコミュニティを創り出してきたと言える。

今後もデジタルだけでは解決しないアナログな部分を補完するのが、このようなオフラインイベントやコミュニティの存在だろう。このような「人と人との繋がり」を創ることの重要性に気づいた多くの企業が「コミュニティ」の力に注目している。一方で、単なる「イベント」で終わらせないためにも、継続的な繋がりをどのように構築していくか、コミュニティの意義や設計を含めて考える際、In-house SEO Meetupの取り組みは大いに参考になるはずだ。

2019年もISMでは様々な企画が用意されているとのことなので、興味があるインハウス担当者は是非一度参加してみてはいかがだろうか。

 

 

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