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【ついに突入!】ポストコロナ時代を戦い抜くために振り返る、2019年度のインターネット広告業界まとめ

2020年4月7日、日本では新型コロナウイルス危機に際して「緊急事態宣言」が発令されましたが、およそ1ヶ月半を経た5月25日、ついに解除される事となりました。

"不要不急の外出自粛"をはじめとした高い緊張状態からは開放されたものの、コロナ危機そのものはワクチンの登場で完全に終息しない限り、第2・第3波の到来を否定できない状況です。

ハーバード大学公衆衛生大学院の研究者によると「2022年まで、長期または断続的な社会的距離(Social distancing)政策が必要になるかもしれない」との推測もあります。【参考


したがって、緊急事態宣言が解除されても完全な形で「Beforeコロナ」に戻る事は難しいと言わざるを得ませんが、一方で「Beforeコロナ」から変わらないものとは何なのでしょうか。

2020年3月、電通より発表された「2019年 日本の広告費」によると、「Beforeコロナ」期にあたる2019年、日本の総広告費は8年連続でプラス成長。インターネット広告費は6年連続の二桁成長でついにテレビ広告費を超え、2兆円規模となりました。

加えて、かねてより好調だったインターネット広告領域に、「TVer」などマス4媒体由来のデジタル連携が加わって勢いを増し、またオフライン領域もサイネージ化やオリンピック特需などによって成長。それぞれの領域が成長を続け、総広告費全体を押し上げました。


  2019年 日本の広告費 株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)は本日、わが国の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2019年 日本の広告費」を発表した。 電通


コロナ危機に直面した「Withコロナ」期には6割以上の企業で広告宣伝費が減少。特に外出自粛に伴うイベント中止に伴うオフライン領域に大きな影響がありました。【参考

一方で、若年層にテレビ視聴の伸びが見られるなど、オフラインメディアとの接点に新たな動きが見られたとの調査もあります。【参考


さて、コロナと人間との共存期にあたる今、すなわち「ポストコロナ」期において、2019年度までに積み上げられてきた広告業界は何が変わり、何が変わらないのでしょうか?

新しい時代を戦い抜くヒントを探るべく、2019年度インターネット広告業界のニュースを改めて整理していきましょう!

※2024年2月更新


目次[非表示]

  1. 市場の成長
    1. ・インターネット広告
      1. GAFA (Google・Facebook・Amazon・Apple)
      2. Yahoo!×LINE
      3. TikTok
    2. オフライン⇔デジタル広告
  2. 市場の健全化
    1. 海外:プラットフォーマーによる機能制限/Cookie規制
    2. 日本:企業コンプライアンスへの追求
      1. 対GAFA
      2. 大手プラットフォーマー以外の市場動向
  3. まとめ

市場の成長

日本の広告費によると、2019年のインターネット広告費は2兆1,048億円(前年比122.9%)にのぼり、背景には大型プラットフォーマーを中心とした堅調な伸びがありました。まずはプラットフォーマー各社の動向から振り返ります。


・インターネット広告

GAFA (Google・Facebook・Amazon・Apple)

世界最大級の証券取引所であるニューヨーク証券取引所が扱う「米国株 時価総額ランキング」によると、2020年5月14日現在、ベスト10位以内には「GAFA」がすべてランクインしています。順位に関しては去年4月時点から大きな変動はありませんでした。

米国株 時価総額ランキング  (2020年5月22日現在) 【参考


12月時点の報告によると米国の検索広告市場シェアの73.1%をGoogleが占め、依然としてシェア独占状態にありますが 、 “ショッピング”を軸に変動の兆しが見えはじめました。

6月、Amazonのブランド価値がGoogle・Appleを抜いたとの調査報告を皮切りに、7月には「ファッション情報」を調べる方法でInstagramがGoogleを抜き、12月にはAmazonが米国の検索広告市場シェアを12.9%まで伸ばした(前年比 約30%増)との見通しが報告されました。

なお、2021年にはAmazonの市場シェアは15.9%に拡大する一方、Googleのシェアは70.5%に低下すると予想されています。


2019年6月

  ブランド価値、アマゾンがグーグルとアップル抜く 日本企業は資生堂が急成長【カンター・ジャパン調査】 WPPとカンターは2019年の世界のブランド価値ランキングTop100を公開した。ブランド価値の算出は、カンターの消費者調査に基づいて測定されたブランド資産と、企業の財務実績・業績分析の組み合わせによ... MarkeZine


2019年7月

  ファッション情報を調べる方法、「Instagram」が「Google」を抜く【ジャストシステム調査】 ジャストシステムは「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2019年6月度)」を実施し、結果を発表した。 ファッション情報を調べる方法、「Instagram」が「Google」を抜く スマー... MarkeZine


2019年12月

  アマゾン躍進、検索広告でグーグルのシェアを奪う(小久保重信) - Yahoo!ニュース 検索広告売上高はグーグルが403億ドルで首位。ただ、興味深いのはアマゾンの隆盛だ。検索広告シェアは昨年、マイクロソフトを上回り、2位に浮上した。今年は30%増と急成長し、グーグルとの差を縮めている。 Yahoo!ニュース 個人


これを受け、Googleは『ショッピング画像広告の提供範囲拡大 (3月)』、『ショッピング広告の配信面をYouTubeホーム画面とYouTube検索結果画面へ拡大 (11月)』など、ショッピング関連のアップデートに力を入れています。

2月、アルファベット社は2019年の決算報告で初めてYouTubeの広告売上を発表しました(売上高は150億ドル)。2020年5月現在、YouTubeユーザーは全インターネット人口の約三分の一もの20億人を超えるそうです。

コロナ危機によって外出制限がかかり、世界的にEC・動画需要が伸長傾向にある昨今、今後GAFA各社のEC・動画関連の施策は特に様々なアップデートがかかってくるのではないでしょうか。


2019年12月

  2019年Googleの主要アップデートまとめ GDPR(General Data Protection Regulation)の施行から1年が経過し、2020年1月にはCCPA(California Consumer Privacy Act)の施行が控え、 Apple の ITP(Intelligent Tracking Prevention)を筆頭にWebブラウザのプライバシー保護強化も続いた2019年は、Googleに限らずデジタル広告の様々なプレイヤーにとってある種逆風の吹いた年であったといえるのではないでしょうか。 このような状況下で、GoogleはGoogleプロパティならびに機械学習を活用したスマート自動入札関連のアップデートを頻繁に行った印象を受けます。加えて、コマースプラットフォームとして台頭するAmazonやInstagramを意識したショッピング関連のアップデートも数多くあり、2019年も例にもれずアップデートの多い年となりました。 そこで本記事では、2019年のGoogleの広告関連の主要アップデートを以下5カテゴリーに分類したうえでピックアップしました。Unyoo.jpで取り上げたアップデートはもちろんのこと、それ以外についても触れておりますので、2019年の復習ならびに2020年の予測も兼ねてぜひご一読ください。 目次 ・検索 ・スマート自動入札 ・YouTube ・ショッピング ・その他 検索 1月に米国で開催されたSMX Westにて、GoogleはモバイルのYouTube検索結果に検索テキスト広告を表示することを発表しました。2019年12月時点では、デスクトップのYouTube検索結果にも表示されるようになっており、検索パートナーのひとつとしての存在感は日に日に増していくのではないでしょうか。 リンク: 7月には、完全一致に加えて、フレーズ一致と絞り込み部分一致に関しても、登録されたキーワードと同じ意味を持つ検索語句にも広告が配信されるようになるアップデートが発表されました。まずは英語のみの適用となり、他言語については2020年にかけてロールアウト予定です。 リンク: 8月には、Google Marketing Live 2019(以下GML 2019)で発表されたギャラリー広告(ベータ版)が世界 11 Unyoo.jp


2019年12月

  2019年Facebookの主要アップデートまとめ フィンテック関連のニュースと Instagram の存在感が目立った1年に 2019年も昨年に引き続きセキュリティ強化、プライバシー保護に迫られた Facebook ですが、堅調にユーザー数と売上を増加させ、Google に次ぐ巨大プラットフォームとして、またソーシャルメディアの雄としてその存在感を放った1年でした。 2019年第三四半期の売上高: 2019年第三四半期の月間アクティブユーザー数: また、6月に発表した仮想通貨「Libra(リブラ)」や、「Facebook Pay」を引っさげてのペイメント業界への参入も紙面を大いに賑わせました。 Facebook Pay は Facebook、Messenger での各種支払い、Marketplace での購入、アプリ内課金、ユーザー間での送金などに利用可能で、今後は Instagram や WhatsApp への展開と提供地域の拡大も発表されています。 Facebook Pay が普及すれば、既に膨大かつ良質なユーザーデータを保有する Facebook が、さらに"人"ベースのデータを増やすことになりますので、広告機能の精度向上にも磨きがかかることでしょう。 一方、本業であるソーシャルメディアでは Instagram の躍進ぶりに目を見張る年だったのではないでしょうか。 ユーザー数の成長ももちろんのこと、ストーリーズ利用率のさらなる向上、ショッピング機能の拡充など、プラットフォームとしての存在感を増しながら、広告製品のアップデートも Facebook を上回る勢いで行われました。 本記事では Instagram を含む Facebook ファミリーの主要なアップデートをまとめています。Unyoo.jp では取り上げていない内容も含めていますので、2019年のおさらいにお付き合いいただければ幸いです。 目次 Facebook広告の「Click-to-WhatsApp」が機能拡大 フリークエンシーのコントロール機能追加 キャンペーンレベルでの予算設定へ移行 「関連度スコア」の廃止、新たな3つの指標に置き換え Instagramの新機能「Checkout」がベータテストを開始 Instagram ストーリーズの広告にアンケート機能が実装 Unyoo.jp


2020年2月

  ついにYouTubeの広告売上が明らかに…2019年は前年比36%増の150億ドル グーグルの親会社アルファベットは、YouTubeの2019年度の広告売上を発表した。YouTubeの2019年の広告売上高は36%増の150億ドル... https://www.businessinsider.jp/post-207025


Yahoo!×LINE

それぞれ国内最大級のユーザー数を誇るYahoo!LINEですが、9月にZホールディングス社(現 LINEヤフー株式会社)がZOZOを買収、11月にはYahoo!とLINEが経営統合し、それぞれ大きな話題を呼びました。

日経新聞の記事によると、これらは人々の生活全般にかかわるサービスを提供する「スーパーアプリ」としてのポジション確立に向けた動きと見られています。

BtoB領域で目立ったのは、Zホールディングス社(現 LINEヤフー株式会社)のデータ連携とインタラクティブ性を活かした動きの一つとして、LINE広告でLINEアカウントの「友だち」を広告配信に活用する「クロスターゲティング」が提供開始された事です。

このようなZホールディングス社(現 LINEヤフー株式会社)が提供するサービスで収集したデータを、横断的に活用するプロダクト開発の動きは要注目です。

2019年9月

  ヤフー、TOBでZOZOを子会社化へ ソフトバンク傘下のヤフーは12日、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOに対し、TOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。発行済み株式の50.1%を上限に買い付け、子会社化を目指す。 日本経済新聞 電子版


2019年11月

  ヤフーとLINE経営統合へ ネット国内首位に 検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINEが経営統合に向けて最終調整に入った。LINEの対話アプリの利用者は約8千万人で、ヤフーのサービスは5千万人に上る。金融、小売りも手 日本経済新聞 電子版


2019年12月

  LINE、広告サービスにおける横断的データ活用によって最適な広告配信を実現する機能「クロスターゲティング」の提供を開始 LINE株式会社のプレスリリース(2019年12月12日 17時59分)LINE、広告サービスにおける横断的データ活用によって最適な広告配信を実現する機能[クロスターゲティング]の提供を開始 プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES


TikTok

TikTokは2019年11月には全世界で15億ダウンロードを、その5ヶ月後の2020年4月には20億ダウンロードを突破し、猛烈な勢いで存在感を増しています。2019年度の主要な動きとしては、大手レーベルとの提携による音楽体験の強化や、EC機能のテスト実装(海外)を行うなどユーザーの生活に根ざすサービス拡充を行いました。

また3月には『Society 5.0 for SDGsの実現への貢献、日本の社会課題の解決への寄与、日本経済活性化に向けた活動への参画』を目的に、TikTokを運営するByteDanceが経団連に加入し、日本国内での影響力拡大に向け着実に動きを進めているようです。


2019年6月

  TikTokでJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントの楽曲が利用可能に 包括ライセンス契約締結 「TikTok(ティックトック)」は、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントと包括ライセンス契約を締結し、同社の保有する楽曲が6月より利用可能になった。 JVCケンウッド・ビクターエンタテ... MarkeZine


2019年8月

  TikTok、ソニーミュージックとライセンス契約、音源が利用可能に Bytedance株式会社のプレスリリース(2019年8月22日 11時00分)TikTok、ソニーミュージックとライセンス契約、音源が利用可能に プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES


2020年2月


  TikTokがEC機能のテストを開始!ソーシャルコマースの活用に期待 若者を中心に人気のショートムービーアプリ「TikTok」が、新たにEC機能のテストを開始しました。EC機能のテスト概要と、今後の「TikTok」のソーシャルコマースの活用について解説します。 https://ferret-plus.com/14100


2020年3月

  TikTokの運営のByteDance日本法人が経団連入り | TechCrunch Japan スマートフォン向け短編動画のプラットフォーム「TikTok」(ティックトック)を運営するByteDance(バイトダンス)の日本法人(ByteDance株式会社)は3月12日、2月3日付けで日本経済団体連合会(経団連)に入会したことを明らかにした。 TechCrunch Japan


オフライン⇔デジタル広告

日本の広告費によると、マス四媒体由来のデジタル広告は、民放公式テレビポータルアプリ「TVer」などのテレビメディアデジタルや、スポーツコンテンツのライブ・ハイライト配信などのプロモーションメディアが伸長し、715億円(前年比122.9%)、屋外広告はアナログ看板からデジタルサイネージ・屋外ビジョンへのシフトにより3,219億円(前年比100.6%)、交通広告は車内・駅構内のデジタルサイネージ、特にタクシー広告が伸長し2,062億円(前年比101.8%)でした。


▼マス四媒体由来のデジタル広告

2019年6月

  ラジコがターゲット広告、聴取履歴から広告差し替え 地上波のラジオ放送のインターネット配信を手掛けるradiko(ラジコ、東京・中央)は、同社がライブストリーミング配信するラジオ番組のCMを、元の番組のCMから視聴者に合わせたCMに差し替える「rad 日本経済新聞 電子版


2019年11月

  電通グループ3社、民放のキャッチアップ配信において動画広告の提供を開始 電通、電通デジタル、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)のグループ3社は、インターネット広告の新たな取り組みとして、民放のキャッチアップ配信(各放送局配信サイト、公式ポータルTVer、GYAO)の... MarkeZine


▼屋外・交通広告

2019年11月

  デジタルサイネージ広告、2019年の市場規模は749億円に/タクシーサイネージが急増【CCI調査】 CCI(サイバー・コミュニケーションズ)は、デジタルインファクトと共同で、デジタルサイネージ広告市場に関する調査を実施した。 デジタルサイネージ広告市場規模、2023年には1,248億円に 2019... MarkeZine


2019年11月

  電車のドア上広告も、見ている人にあわせて出る時代に。世界初のデジタルサイネージを見る - Engadget Japanese NTTドコモ、埼玉高速鉄道、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARD(ライブボード)の4社は、鉄道車両では世界初という広告ディスプレイ「ダイナミックビークルスクリーン」を公開しました。 ダイナミックビークルスクリーンは電車ドア上に取り付ける広告ですが、"世界初"たるゆえんは「見ている人や環境の変化にあわせて広... Engadget JP


コロナ危機下においては外出自粛のため交通広告などのオフライン施策は一時的に厳しい状況にありますが、若年層にテレビ視聴の伸びが見られるなど、オフラインメディアとの接点に新たな動きがあります。

コロナ危機下における接点を、状況と照らし合わせながら見定め、オフライン施策をオンラインでいかに表現するか模索していきたい所です。


市場の健全化

海外:プラットフォーマーによる機能制限/Cookie規制

2018年はこれまでの個人情報保護に対する世論の高まりを受け、5月にGDPRが施行されるなど様々な規制が発効されはじめた年でした。これを受け、2019年、GAFA各社は続々とポリシーを発表していきます。

まず2019年3月に、Facebookが「性別や人種、郵便番号などをもとに配信先を絞り込めなくする」機能制限を、8月にはAppleが続き、Safariにおけるトラッキング防止策の強化を発表しました。


2019年3月

  ターゲット広告、岐路 フェイスブックが機能制限(写真=AP) 米フェイスブックが「ターゲティング広告」の機能を一部制限する。住宅売買や求人などの広告が差別を助長しているとの批判を受け、個人を絞り込む機能を抑える。同社はプライバシー保護の観点からデータ収集手法の 日本経済新聞 電子版


2019年8月

  アップル、「Safari」のトラッキング防止ポリシーを公開--対策強化へ アップルは、ウェブトラッキングの防止に関する公式のポリシーを発表し、防止技術を回避する試みには厳しく臨む姿勢を示した。 CNET Japan


そして2020年1月1日、米国カリフォルニア州のプライバシー法(CCPA)が正式に発効されました。CCPAとは州レベルの法律で、生活者の知る権利に比重が置かれ、生活者から預かった情報を適切に管理・運用していくことが求められる、というものです。【参考


2020年1月

  カリフォルニア州消費者プライバシー法が1月1日に発効 | TechCrunch Japan 議論を呼んだ米国カリフォルニア州のプライバシー法が1月1日に正式に発効する。議会で可決後に署名されて1年半が経った。本人の許可なく個人情報を売りさばく法律軽視のテック企業に鉄槌が下されるまであと6カ月だ。 TechCrunch Japan

1月14日、ついにGoogleは「Chrome」で収集したcookieデータの企業に対する提供を2022年までに段階的に止めると発表。続けて22日、同社はネット利用者のプライバシーを重視した新技術の開発を進めると発表しました。


2020年1月

  ネット履歴の仕組み、グーグルが機能を制限 米グーグルは14日、外部の企業が個人ユーザーのネット閲覧履歴などを把握する仕組みを2022年までに制限すると公表した。個人データ乱用への懸念が高まり、各国も規制を強めた。米アップルなどが同様の取り組 日本経済新聞 電子版


2020年1月

  Google、ネット広告の新技術 データ保護…(写真=ロイター) 米グーグルは、ネット広告などを支える新技術の開発を進める。ネット利用者のプライバシーを重視する。同社はブラウザー(閲覧ソフト)最大手で、ネット広告企業といった第三者がサイト閲覧履歴などを利用する仕組 日本経済新聞 電子版

プラットフォーマーが様々な機能制限をかける中、各社はコンテンツの文脈を元にターゲティングする「コンテキスト広告」に注目したり、DX施策を進めていくなど、Cookieに代わる技術を用いた広告手法を模索しています。

Cookie問題はコロナ危機によって風化する事は考えにくく、オンラインでのタッチポイントが増えている今はむしろ、将来に備えて”脱Cookie”準備を整えていく事が肝要かと思います。


日本:企業コンプライアンスへの追求

海外同様、日本でも個人情報保護や企業コンプライアンスへの意識の高まりを背景に、様々な動きがありました。

対GAFA

10月、Cookieや位置情報を利用者の同意なく収集して利用すれば独占禁止法違反になる恐れがあるとし、規制する方向で公正取引委員会を中心に調査が進みました。

11月、プラットフォーマーとの公平な関係を保ち、日本の広告業界を健全化する事を目的としJAAが「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」を発表

そして1月、日本新聞協会が「市場の寡占やデータの独占を背景に取引構造がブラックボックス化する状況は巨大プラットフォームの問題点」などの指摘を意見書として提出。

3月にはいよいよ、日本版GDPR/CCPAといえる「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定しました。


2019年10月

  デジタル広告市場、寡占調査へ 競合参入の阻止など 政府は年内にもデジタル広告市場でプラットフォーマー企業による寡占が起きていないかどうか調査を始める。オンライン広告や検索サービス、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を対象にする。個人を 日本経済新聞 電子版


2019年11月



2020年1月

  デジタル広告「取引透明に」…巨大IT規制、新聞協会が意見書 : 経済 : ニュース 日本新聞協会は31日、巨大IT企業の規制策を検討する政府のデジタル市場競争本部に意見書を提出したと発表した。インターネット上のデジタル広告について「取引実態が見えにくい」と指摘し、取引の透明性を高める取り組みを求めた。 読売新聞オンライン


2020年3月

  【解説】日本版GDPR/CCPA「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定 | RTB SQUARE 本日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。法案の概要と事業者への影響を現段階の範囲で記しました。 本法律案が議論された背景 ・個人情報に対する意識の高まり… RTB SQUARE


なお、Google・Facebookはシンガポールなどの低税率国・タックスヘイブンで売上高を計上する事で納税額を過小におさえているとして各国より追求を受けていました。

それを受け9月、フランスでGoogleが1150億円を支払う事で和解しました。この捜査は2016年より続いており、Googleは長引けば企業イメージの悪化につながるとみて和解を選んだようです。

そして12月、Google・Facebookは日本でも「広告事業の売上高を日本法人に直接計上する」との方針を固めています。


2019年12月

  米IT広告収入、日本で計上へ グーグルとフェイスブック | 共同通信 米巨大IT企業のグーグルとフェイスブックが、日本の広告事業の売上高を日本法人に直接計上する方針を固め... 共同通信


大手プラットフォーマー以外の市場動向

日本のインターネット広告市場で5月に発表された2018年度 PR業実態調査によると、「インフルエンサー活用などのソーシャルメディアコミュニケーション」の伸長率は66%と他項目と比べ最大となり、インフルエンサー活用は今、勢いのあるPR手法の一つであると言えます。

しかしながら、宣伝であることを隠してPRする”ステルスマーケティング”がインフルエンサーから行われたとし、10月に京都市が、12月に『アナと雪の女王2』が相次いで騒動となっています。

また、8月、リクルートキャリア社が学生のサイト閲覧履歴などを「リクナビID」に突合し、それを基に内定辞退の指標を顧客企業に提供する、つまり個人情報を第三者提供していたとして大きく報じられました。


2019年5月

  PR業の2018年度売上高は1290億円、インフルエンサー活用などで拡大 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議 日本パブリックリレーションズ協会は5月9日、「PR業実態調査」の2018年度版の結果を公表した。調査によると、2018年度のPR業全体の売上高は、推計1290億円。前回の2016年度の1016億円を上回る結果となった。 AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム


2019年8月

  [独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明  就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは2019年8月6日、就職活動をしている学生のサイト閲覧履歴などを基に内定辞退の指標を顧客企業に提供していたサービスで、同社と提携するサイトの閲覧履歴も取得していたと日経xTECHの取材に明らかにした。 日経クロステック(xTECH)


2019年10月

  京都市と吉本興業、“4ツイート100万円”で宣伝 広告表記なしで「ステマ」批判相次ぐ 京都市が吉本興業所属の芸人に、市を宣伝する内容のツイートを有償で依頼していたと京都新聞が報じた。ツイートには、広告主が市であることを示すような表記がなく、「ステルスマーケティングではないか」という批判が相次いでいる。 ITmedia NEWS


2019年12月

  電通グループ、「アナと雪の女王2」のステマ騒ぎで緘口令でも敷かれる騒ぎに? 先日のステルスマーケティング騒ぎで、ディズニージャパンがステマを事実上認めて謝罪する騒ぎがありました。「アナと雪の女王2」でディズニーがTwitterを使い盛大なステマで大失態の件(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp BLOGOS


コロナ危機に際し、4割以上が「良くも悪くも企業SNSの見方が変わった」と考えるようになったとの調査や、EC市場で「応援消費」が伸長しているとの調査も出ています。

企業活動が倫理的に正しいかどうかについて、今まで以上に厳しい顧客の目が向けられている事実には留意が必要です。

まとめ

2019年、GAFA・TikTokはEC・動画を中心にサービス拡充を行い、Zホールディングス(現 LINEヤフー株式会社)は「スーパーアプリ」構想に基づきZOZO・Yahoo!・LINEの合併をはじめ様々なアプリを展開。市場規模の拡大にともない、日本のインターネット広告費は2兆円規模となりました。

そんな中でGAFA内部での市場シェアの序列構造に変化が見え始めたのは特徴的で、その背景には各社の企業努力はもちろんの事、日本を含む各国のGAFA包囲網の影響がありました。その根底には「生活者の個人情報保護への意識の高まり」がある事は念頭に置いておかねばなりません。

生活習慣が一変したポストコロナ時代において、生活者と企業の接点創出に「オンライン」という場が今まで以上に重要な鍵になるのは間違いないでしょう。

昨今は特に、生活者は企業の正しいあり方をよく見る意識を強めています。疫病・災害・新規テクノロジーの進化などにより、将来の予測が困難な”VUCA”時代においては、「人々が何を考え・どう暮らしているのか」という基礎に立ち返り、ついに突入したポストコロナの“新しい時代”を戦い抜いていきましょう!


2018年度まとめはこちらから!

  【何があった?これからどうなる?】平成最後のインターネット広告業界 2018年度まとめ | trans+(トランスプラス) 2019年2月、「2018年 日本の広告費」が発表されました。 日本の総広告費は7年連続でプラス成長。インターネット広告費は5年連続の二桁成長をとげ、その規模は地上波テレビ広告費に迫る結果となりました。 trans+(トランスプラス)


漣香代子
漣香代子
トランスコスモスのデジタルエージェンシー事業の広報担当。広報業務のかたわら、毎日業界ニュースを取りまとめて社内へ情報発信している。 プロレスが好きすぎて蛍光灯を見るとデスマッチの武器にしか見えずギラギラしてしまうのが長年の悩み。

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