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[interview] 本当の意味でのジェンダーの平等を目指し、女性のエンパワーメントを図る #目標5


みなさん、こんにちは!

「トランスコスモスSDGs委員会オープン社内報」編集部、小文字のs子です。

さて、今回も会社のSDGsの取り組みや変遷についてお届けします!今日のテーマは、「女性活躍の場づくり」。お話を伺うのは、ダイバーシティ推進統括部長の寺杣郁江さんです。(余談ですが「てらそま」さんとお読みします。珍しいお名前だなと調べてみたところ、日本に500人もいないみたいですよ!仕事で初対面の方とのコミュニケーションツールにもなる名前、s子はごく普通の苗字なので憧れます…)


寺杣郁江/ダイバーシティ推進統括部長

トランスコスモス株式会社 ダイバーシティ推進統括部長 兼 グローバル事業統括人材マネジメント統括部長。GCDF-Japan キャリアカウンセラー。マーケティングリサーチ会社を経て2004年入社。リサーチ部門のほか、人材開発やダイバーシティ推進の責任者として、次世代のリーダー育成に従事。自身の経験も生かし、子育て中の女性のキャリアアップもバックアップするなど、トランスコスモスにおける女性活躍推進の立役者。


目次[非表示]

  1. 男性も女性もいれば、もっといろんなビジョンが見えてくる
  2. 女性社員の意識をポジティブなものに変える扉を開く
  3. 意識を変えた、一歩一歩の草の根運動
  4. ときには外から固めていく
  5. 本来の意味でのダイバーシティとは

男性も女性もいれば、もっといろんなビジョンが見えてくる



s子
⼥性活躍に関する専⾨部署が⽴ち上がったのが2008年と伺いましたが、まずはその背景を教えてください。


寺杣
現在のトランスコスモスの女性正社員比率は約45%、当時はまだ30%前半だったと思います。さらに管理職の女性比率は10%程度ととても低かったんですよね。ちなみに現在は21.9%まで増やすことができました。また、契約社員は78%が女性なんです。つまり、現場で活躍しているのは女性が多いのに、管理職には女性が少ないという状況。そこで、2007 年10月に人事本部のなかに女性活躍推進のプロジェクトが立ち上がり、2008年より本格的にスタートするため責任者として携わることになりました。

最初、異動のお話しをいただいた時は、なぜ女性活躍推進?と思いました。まわりには元気で活躍している女性、特に若い女性たちがたくさんいましたから。でも、改めて考えれば、私が参加するどの会議でも男性ばかりで、女性は私一人ということも多かったんです。それまではあまりにも当たり前でしたので、疑問にも思わなかったのですがバランスは悪かったですよね。そして、プロジェクトオーナーの石見副社長のこの会社を良くしたい、という熱い思いに共感し、ぜひやらせてくださいとお願いをしました。


s子
女性の管理職が少ないから増やす必要があるというのは分かりましたが、そもそもなぜ男女の比率を近づける必要があるのでしょうか?


寺杣
簡単に言ってしまえば、多様化した顧客ニーズを満たすイノベーションのために、経営に近い層にさまざまな視点や意見が必要だということなんです。


s子
なるほど。事業の拡大のためにもいろんな視点が必要で、そのために男女のバランスが偏っているといずれ支障がでてしまうということですね。プロジェクトがスタートした当時、目標やビジョンはあったのですか?例えば海外の事例を参考にしてみようなど。




寺杣
もちろんさまざまなデータを調査研究しましたが、国で見てしまうと、日本とは比較にならないくらい進んでいましたので、具体的に参考にするのにはちょっと遠くて。日本はG7のなかでも残念ながら最下位ですしね。ですから、まずは他社の取り組みを参考にしながら、また、政府の動きを見ながら、当社の課題をその都度分析して、施策を進めていくことにしました。


s子
先日、障がい者雇用は“数合わせ”で雇用率を上げても意味はないという話を聞いたばかりでしたが(読んでない方はぜひ!→「ノーマライゼーションから生まれる、トランスコスモスの働きがいと経済成長」)、確かに先駆者の例を参考に、数字だけを追い求めても意味がありませんね。ではまずは、どのような施策に取り組んだのでしょうか。

女性社員の意識をポジティブなものに変える扉を開く

寺杣
女性活躍推進の内容はさまざまですが、社内の取り組み施策のなかでの重要なポイントが「上の層に女性の比率が少ない」というところからスタートしていますから、まずは女性のリーダーを育てることを始めました。


s子
寺杣さんも感じていたように「管理職は男性が多い」というのが当たり前だった意識を変えるのはなかなか大変そうですね。




寺杣
本当にその通りで、当事者の女性の意識も変える必要があるんです。そこで、ダイバーシティ・マネジメントを支援する「J-Win」というNPO法人に加入しました。J-Win様の良いところは、リーダーとしての学びの場であるとともに、他の企業のみなさんとの交流会や勉強会などがあり、いろいろな情報交換ができる点です。

会社にとってもネットワークが作れるというのも良いポイントでした。私も一期生として2008年から参加させていただいたのですが、責任者としてもとてもよい活動だと実感しました。私たちが会社のなかだけで考え行動していたら、ここまで進んでいなかったと思います。


s子
他社含めて情報交換ができると、意識改革に繋がりますね。ちなみに、社内での研修も充実していますが、どのような女性社員が参加できるのですか?


寺杣
各部署からの選抜で行っています。「選抜型研修」と呼んでいるのですが、次世代の管理職候補を対象にした「キャリア塾ベーシック」、そして次々世代の候補を育成する「キャリアバリュー」の2クラスがあります。2008年からスタートし、これまでにトータルで800名以上の卒業生を輩出しました。

基本的に上司が参加者を推薦するのですが、最初は「私はキャリアアップやリーダーには興味はないので」と言っていた参加者も、周囲から期待されていることを知ったり、自分のあるべき姿を考えたり、または、同じ悩みを抱えている参加者同志でのディスカッションなどを通し、必ず意識が変わるんですよね。


s子
その人の資質を見つけて、チャンスの扉を開いてあげるということですね。




寺杣
そうなのですが、スタート時はなかなかスムーズには進みませんでした。

意識を変えた、一歩一歩の草の根運動



s子
能力開発のための「選抜型研修」、スタート時はスムーズに進まなかったとのことですが、どんなところが大変でしたか? 


寺杣
「次世代」クラスは土曜日に、「次々世代」クラスは金曜日・土曜日の2日間の研修に参加してもらうのですが、金曜日という平日に、1日業務を休んでもらわなくてはいけないんです。土日だとあまりにも参加者の負担が大きいので、各部署に金曜日に1日いただきたいとお願いしました。


高山
それって、出社扱いですよね?つまり営業面からいうと売り上げが下がるということ。研修に参加するメンバーというのは選抜されているわけですから、もともと活躍している人なわけで、「それは困ります!」と現場からの声はなかったですか?


寺杣
高山さんのおっしゃるとおり、もちろんありました。「売上を上げている人を平日にしかも終日引き抜くなんてありえない」と。でもそこで引き下がらずに「お願いします、絶対に損はさせません!」と。また、これはわが社が成長していくためには今取り組まなければいけない重要な施策であるということを認識いただくために、女性活躍推進プロジェクトのオーナーでもある、石見副社長からトップダウンで声がけをしていただきました。そして私は理解を得るための行脚を続けました。

このふたつの方法で、徐々に人材を送り出すことへの理解は得られるようになったと思います。先ほども話しましたが、最初のころは選抜されたメンバーも、まだよくわからないけれどとりあえず参加するという状態ではありましたが。


s子
新しいことを定着させるには、なかなか時間がかかりそうですね。




寺杣
そうですね。でも参加者からは今後の自分のキャリアを考える上で大きなプラスになったと言う意見が多く出たので、その「参加してよかった!」という気持ちをとにかく表に出してもらいました。就業時間に送り出してくれた上司、そして後輩、部下に感謝の気持ちを伝えてくださいねとお願いもして。

そうして、参加する、戻って伝える、参加する、戻って伝える……とくり返すうちに、「今回は何が良かった?」という話がされるようになるわけです。繰り返しているうちに、なんと、「うちの部署からもっと人を出したい」という声まで上がるようになったんですよ!


高山、s子
わ!それは、すごいですね! 


s子
何年くらいかかったんですか。


寺杣
5、6年はかかりましたね。今ではもう「出たくない」という意見をする人はいなくなり、上司も先輩も「頑張ってね!」と送り出してくれるようになりました。

ときには外から固めていく

高山
ところが、会議などではあまり話題にのぼらないんですよね。もっと話題になってもいい話だと思いました。どうしたらいいでしょうかね。


寺杣
そうですね。社内発信はこれまでも当然しているんですが、話題にのぼらないところはまだ正直あると思います。なので、厚生労働省の「えるぼし認定」や「くるみん認定」取得に、すごく力を入れました。それもできるだけ早めに外から固めようと(笑)。おかげさまで、三ッ星の最高位も取得できました。


高山
外部評価は本当に大切だと思います。




寺杣
そうなんです。社内でも発信はもちろん必要なので、ことあるごとにしていきますし、石見副社長からも発信していただいていますが、やっぱり自分とは直接関係がないと思われる方々へ理解を深めていただくことはとても大変なこと。ですので、外部の評価を得ていることがとても役に立つ部分があるんですよね。例えば営業の方なら、当社が国から認定されていることでお客様からの評価が高くなるなどですね。そういう面も、私たちの役目でもあるかなっていうのは思います。


高山
今回の「SDGs」の件で、お客様側からの相談も増えるなどして、営業の人たちもより納得しやすくなった気はしますね。しかし、まだまだ今後トピックにしていかなければいけないというのを、今まさにいろいろな会議でも言うようにしています。そのなかの良い実例が、まさにダイバーシティ推進。会社のなかで一番数字が伸びているんですよね。だからこのダイバーシティ推進を取っ掛かりにして、「ESG」スコアの数字もこれから全部入れていきたいなと。


寺杣
素晴らしいと思います。このオープン社内報もとても重要ですね。私も、このタイミングで必ず発信しなくてはいけない思ったときには、広報にお願いして社内報のページをいただいてきました。会社が成長したり企業価値を上げたりしていくためには、とても重要なことだと思います。

ダイバーシティ推進も「CSR」としてではなく、経営戦略の一環として、自社の競争力強化という目的意識を持って戦略的に進めることではないのかと、私はずっと言い続けています。企業価値はとても大切。それは売り上げと利益にも関係することでもありますから。

本来の意味でのダイバーシティとは



高山 
ところで、過去には女性の取締役も多かった時もあったようですが、今はほとんどいなくなってしまって。


寺杣
そうですね。私が2004年に入ったときには女性の役員はお一人もいらっしゃいませんでした。創業当初から女性が活躍する職場ですので、ファウンダーは当たり前のように、男女関係なく抜擢されてきたと思います。それが、事業が拡大し会社が大きくなるにつれて、中途採用で管理職を採用するようになり、男性の比率が増えていきました。

女性活躍推進をスタートしてからずっと女性の管理職比率を上げるために施策を進めていましたが、2015年の「女性の活躍推進法」ができるまで、当社には女性の管理職比率のKPIはなかったんです。作らなかったのは、KPIに引っ張られて、本来の意味の管理職を育てられなくなるのでは、という理由からです。でも法律ができてKPIを立て公表することが義務となり、それが結果的には良かったんですよね。


高山
そうですね、KPIってやっぱり大事だと思います。


寺杣
開始時は我々全社推進部門が様々なデータを分析し、目標数字を作り、部門とすり合わせをし確定していたのですが、部門での活動が進む中で、次の目標は部門で考えていただくことにしました。皆さまがコミットするために課題を分析し、目標数字を作り、取り組む。そこが重要ではないかと。売り上げと同じですよね。


高山
同じですね。


寺杣
会社としては売り上げの数字はやっぱり大切で、もちろん中心になってしまうのですが、それをつくるのは「人」なんです。ですから、多様性だったり、いろんな人が活躍できることが、結果的に会社のためにも大切なんですよね。今は、時間をかけて徐々に変えていっている途中なんです。


s子
10年以上改革を進められてきましたが、寺杣さん自身は女性活躍推進に関して、どのようなゴールを目指していますか?




寺杣
最初に私の掲げた目標は「女性活躍推進の専門部署をなくすこと」でした。“女性”の活躍などと言わなくてもいい、男女関係なく生き生きと活躍できるそんな環境風土にしていくことがゴールです。あっという間に10年以上経ちましたが、着実に進んでいると思います。目標達成まで、これからもやり続けていくことが大切だと思っています。

2021年度は、女性活躍推進法に基づく新たな3ヵ年行動計画開始にあたり、『女性管理職比率の向上』『男性育休取得率の向上』の2点について、トランスコスモスとして目標達成に向けて取り組んでいきます!


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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