デジタルマーケティングの力でSDGsに貢献。DI本部の「人を育てる」しくみ作りとは?
※本記事は2022年7月4日、7月8日にトランスコスモスSDGs委員会に掲載された記事を転載しています。 |
トランスコスモスのSDGsの取り組みについて、各部門に聞いていく本シリーズ。今回はデジタルインタラクティブ事業本部(DI本部)の松久直広さんに、DI本部で実施している取り組みについてうかがいました。
松久直広/トランスコスモス株式会社 デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 デジタルトランスフォーメーション総括 デジタルインタラクティブ事業本部 副本部長 兼 デジタルインタラクティブ事業本部 事業推進統括部長。約2,000人のスタッフを有するDI本部を、サスティナブルで風通しの良い組織にしていくことに日々邁進中。
目次[非表示]
3つの領域で事業を展開
−-まずは、デジタルインタラクティブサービス本部(DI本部)の事業内容を教えてください。
大きく分けて、3つの領域の事業を行っています。まずひとつ目が、Web制作やメール配信などの、いわゆるウェブインテグレーションとよばれる業務。次に、アプリの制作やAPIを使ったシステム開発などの業務。そして3つ目が、SNS運用を手がけるコミュニケーションプランニングです。
−-幅広い事業を手がけているんですね。ずばり、事業部としてのミッションは?
私たちがめざすのは、「どんなチャネルからでも、生活者が必要としている情報を得られる」社会を作ることです。世の中に出回る情報は、Webサイトやアプリ、街の看板やチラシなど、さまざまな場所に散らばっていますが、現状ではチャネルごとに得られる情報に差があります。
「Webだけに掲載されている情報」「実店舗でしか見られない情報」みたいなチャネル感の差をなくして、どこからでも欲しい情報にスムーズにアクセスできる環境を作ることが、複数チャネルを扱っているDI本部のミッションですね。
オペレーションからノウハウ販売へのシフトをめざす
−-今、DI本部が力を入れていることは何ですか?
これまで手がけてきたオペレーション業務からノウハウを販売する事業への転換をめざした取り組みを進めています。背景にあるのは「危機感」です。
−-どのような危機感なのでしょう?
Web制作の業務は、今後縮小していく可能性が高いんです。最近、どこかの企業の公式サイトって見ました? たぶん多くの方は、以前に比べて見る機会が減っていると思います。
企業としてもニーズの下がっているものに大きな予算をかけるのは難しくなっていくと思いますし、テキストさえ流し込めば簡易なサイトを作れるツールも普及しています。一方で、SNSが情報源として活用される機会は増え、企業とユーザーがどのように接点を作っていくかの戦略を描くことが重要視されるようになっています。
これまでに培ってきた強みを生かしながら、この流れに対応するために、単なる制作ではなくコミュニケーションのための戦略などを企業に提案していく方向にシフトすることをめざすことにしました。
2、3年目の若手が新人研修を担当
−-方向転換をはかるには、人材育成も重要になるかと思います。その点で工夫していることはありますか?
DI本部のソーシャルメディア部門では、以前から入社2、3年目の社員が新入社員研修を担当していますが、これは若手の成長を後押しするという意味で一定の成果を発揮しているのではないかと感じています。
−- 具体的には、どのような研修を行うのでしょうか?
実際の企画案をその場で作るトレーニングをしたり、実際に自分の好きな企業を想定した提案を行ったりしています。そのほうが、外部講師が研修するよりも、自分ごととしてとらえることができますし、若手にとっても教える機会を通して新しい学びが生まれます。
また、ソーシャルの部門に限らず、新入社員には必ずエルダー(サポート役の先輩社員)がつくことで、困りごとなどを一対一でフォローできるしくみも用意しています。
ダッシュボードでスキルを底上げ
−-そのほかに、知見やノウハウを共有するために実施している取り組みはありますか?
新たなダッシュボードのリリースを予定しています。Webのアクセスログやソーシャルメディアでの反応など、一般的に必要とされることの多い25の指標をまとめて見ることができるものです。このダッシュボード自体は、クライアントに提供するのではありません。私たちが提案を行う際に使うものと位置づけています。
−-ダッシュボードの導入は、どんな効果を期待してのものなのでしょうか?
DI本部では毎年約200人を採用していますが、その中には当然新卒の方も多く、全員がはじめからWebマーケティングのプロというわけではありません。誰が見てもわかりやすく、現在のマーケティングの課題を見つけやすくするダッシュボードを作ることで、スキルの底上げをはかり、より的確な提案ができるようになると考えています。
−-それ以外に、組織としての底上げのためにやっていきたいことがあれば教えてください
今後は事例の共有化にも力を入れたいと考えています。組織の規模が大きいために、自分が直接関係しているチーム以外の事例を知る機会がどうしても限られてしまうのですが、その障壁を越えられるようなしくみを作れたらと思っています。
リモートワークをいち早く推進
−-現在はリモートワークがメインとのことですが、リモート導入の経緯などをお聞かせください
実はDI本部では、コロナ禍前からリモートワークを推進していたんです。渋谷のオフィスもDI本部が設計しているのですが、このときに、オフィスを「働く場所ではなく、皆でアイディアを出し考える場所」と再定義しました。この場所で作業してほしいわけではなく、一人ひとりの考えやアイディアを価値に変えたいと考えています。
バーチャル出社アプリでコミュニケーションを手軽に
−-リモートワークはコミュニケーション不足が生じやすいという話もよく耳にしますが、コミュニケーションを密にするために工夫していることはありますか?
Slackなどの文字ベースのやりとりだけでは、どうしてもコミュニケーションに不足感が生じるので、バーチャルオフィスの『oVice(オヴィス)』を昨年から導入しています。
oViceでは、画面上に表示された仮想のオフィスにログインすると、それぞれの社員がアイコンで表示され、近づくと会話が可能になります。「今、話かけてよいかどうか」をアイコンで示すこともでき、画面共有やビデオ通話も行えます。
−-実際、oVice内で会話をしている方は多いのでしょうか?
朝9時に全員がoViceに出社するというルールになっているのですが、毎日実施される朝会のときなどは、いろいろな人が各々集まって会話をしている様子がみられます。新卒とそれをサポートするエルダーのなかには、勤務時間中ずっと音声をつないでいる人たちもいますよ。
立候補型の社内セミナーを実施
−-そのほかに、DI本部ならではの取り組みがあれば教えてください
社員それぞれが持っている細かいノウハウを共有していくための施策として、Slackに約2000人のメンバー全員が参加する「よろず相談室」というチャンネルを設けています。「クライアントからこんなことを聞かれたけれど、どう対応すればいい?」「今こんな状態だけれど、ここから売上を上げるにはどうしたらいい?」など、業務のなかで起きる困りごとや悩みを投稿して、回答できる人が回答しています。
−-セミナーも積極的に開催しているとか
自薦型の社内セミナーを実施しています。何かしらの分野で知見を持った人が「こんなセミナーができます」という提案をSlackに投稿し、それに一定以上の「いいね」が集まったら実施するというルールで、きちんと講師料もお渡ししているんですよ。
やはりメンバーが2000人もいると、どうしてもスキルやノウハウが散らばってしまうので、それをいかに集約して共有していくかのしくみづくりは重要だと考えています。
デジタルマーケティングの力でSDGsに貢献したい
−-このnoteはトランスコスモスのSDGsの取り組みをテーマにしていますが、DI本部がSDGsにもっとも貢献できる、貢献していると感じているのはどのような部分でしょうか?
SDGsという観点でいうと、DI本部は「デジタルマーケティングの力でSDGsに貢献すること」をめざしています。働きやすい環境を整えて無駄な業務を減らすこと、人を育てるためのしくみ作りをすることなどもその一部だと考えています。
−-最後に、松久さんご自身の夢やビジョンがあればぜひ教えてください
人々の生活をもっと便利にしていきたいと思っています。トランスコスモスに入社するときに、どんな仕事をしたいかを聞かれて「Suicaみたいな便利なものを作れる人になりたい」と答えたことを覚えているのですが、その思いは今も変わっていません。
Suicaが登場するまでは、皆、切符を買って電車に乗っていましたが、今はそんな必要なく簡単に改札を通ることができて、しかも買い物もできる。これはすごい発明だと思っています。そんなふうに、人の生活をグッと便利にするようなものを作れたらいいなと思っています。やはり、社会を便利にしたいというのが一番の願いですね。