catch-img

医療DX:令和4年度総務省ローカル5G実証実験~実証実験、ここが大変。大視察大会の舞台裏~


皆様こんにちは、トランスコスモスSDGs委員会オープン社内報記者のともくんです。今回は、総務省ローカル5G実証実験についてご紹介いたします。

本実証実験はローカル5Gの利活用の実現に向け、総務省が令和2年度~4年度にかけて毎年行っているものです。

トランスコスモスは令和3年度に引き続きエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ様、聖マリアンナ医科大学様、川崎市様とコンソーシアムを組み、「ローカル5Gを活用した大都市病院間の広域連携による救命救急医療の強靭化と医師の働き方改革の実現」の表題で実証実験を行いました。

実証実験の舞台は川崎市の聖マリアンナ医科大学で、2022年12月7日より開始し、12月26日には実証実験の視察会が行われ、当日は川崎市長や多数の自治体、マスコミの方々にもご来場いただきました。

ここからは実証実験の具体的な内容をご紹介していきます。今年度の実証実験は以下の3テーマで行われました。

①    高精細映像のリアルタイム共有による救急搬送の高度化・効率化
②    360°カメラ等を活用した遠隔医療支援
③    自律走行ロボットによる院内患者移動

これらのテーマの背景には、医療分野の中で特に負担の大きい人口増加を伴う大都市部における「救急医療体制の強靭化」ならびに医師不足・長時間労働・医療タスクシフトに対する「医師の働き方改革」といった我が国が抱える社会課題があります。

これらの解決方策として、ローカル5G等の超高速の特性を利活用し、高精細映像伝送やリアルタイム遠隔医療ソリューションで、より社会実装性を高めることを目的とした実証実験になっています。

それぞれに関しての実証内容・意義と、実際の実証実験の模様を写真にてご紹介します。



目次[非表示]

  1. ①高精細映像のリアルタイム共有による救急搬送の高度化・効率化
  2. ②360°カメラ等を活用した遠隔医療支援
  3. ③自律走行ロボットによる院内患者移動

①高精細映像のリアルタイム共有による救急搬送の高度化・効率化

このテーマでは、病院前からの搬送の効率化も含めた複数病院間連携による、遠隔救急診療・救急搬送の効率化を検証しました。

具体的には、救急車、二次救急(入院や手術が必要な重篤患者への対応、今回は多摩病院)、三次救急(二次救急では対応できない重篤患者への対応。今回は聖マリアンナ医科大学)間の情報をウェアラブルカメラや360度カメラなどを通じて医師・調整員が配置されているオペレーションルームに共有、救急での上り搬送(二次救急→三次救急)・下り搬送(三次救急→二次救急)・搬送先選定での判断の質向上・迅速化において効果的なソリューションの実装を目指した実証実験です。

なお現在はPHS等で情報共有が行われており、関係先に都度電話をしなければならず、現場で記録を残すのも大変な状況です。本実証実験のスキームが実現すれば医療の質の向上、患者の安心安全、医療現場の働き方改革などさまざまなメリットがあります。


オペレーションルームの模様。患者の状態を遠隔で判断・指示を出す医師と、病院間調整を行う調整員がリアルタイムで共有される視覚情報をもとに運用



実際の視野映像。これらがオペレーションルームに高精細映像で共有される


聖マリアンナ医科大学 森澤医師による解説の模様

②360°カメラ等を活用した遠隔医療支援

このテーマでは、同様のオペレーションが同時に複数箇所で発生する内視鏡検査、麻酔管理にかかる稼働を高精細映像のリアルタイム共有ツールと医療機器などとの連携による効率化を検証します。

内視鏡映像や手術中の医師の視野、現場の周囲の状況をウェアラブルカメラや360度カメラを通じ上級医のいるオペレーションルームへ共有、統合的な映像を確認することにより遠隔支援を実現します。

現在は上級医が現場へ出向かないと判断できないが、この仕組みがあれば遠隔で複数の現場へ上級医が最短で最適な指示を出すことができ、医師の働き方改革・診療の質の向上を図ることができます。

また、現場医師も上級医にアドバイスを求めることができるので、心理的安全性も確保することができ、さらなる医療の質の向上にもつなげることができます。


模擬装置を用いた内視鏡検査の様子


4K・360度カメラ等を用いて共有される手術室の様子


本テーマを解説する聖マリアンナ医科大学の松本医師

③自律走行ロボットによる院内患者移動

このテーマでは、病室と検査室・リハビリ室間の患者の移動において、高精細カメラ、360度カメラを装着した自律走行ロボットを活用した仕組みです。リアルタイムに遠隔監視可能で、医療安全を担保した上で従来、患者の移動サポートにかかっていた医療スタッフの稼働を削減します。

多いときは看護師・看護助士が1日60往復もしており、この仕組みが実用化できれば医療従事者の稼働を効率化できます。


走行用ロボット。カメラがついており安全性の確認が行え、センサーがついており前に障害物があると自動で止まる


以上が令和4年度に行った「ローカル5Gを活用した大都市病院間の広域連携による救命救急医療の強靭化と医師の働き方改革の実現」の実証実験のご紹介でした。

トランスコスモスはこれからも医療など公共・準公共領域など皆様の生活に深くかかわる分野のDXを進めていきます。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

関連記事:

trans+(トランスプラス)に掲載しているコンテンツや、サイト内で紹介したサービスに関することなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

フォローする:

この記事をシェアする: