
大分の森で体感した「生物多様性」の最前線 調査見学レポート
※本記事は2026年6月29日にトランスコスモスSDGs委員会に掲載された記事を転載しています。 |
トランスコスモスグループとして支援している東京大学 先端科学技術研究センター 森研究室の生物多様性、大分県の森での調査研究に同行させて頂きました。当日参加したトランスコスモスメンバーの感想も合わせてお伝えします。
2026年6月9日、大分県の森林で実施された東京大学先端科学技術研究センター・森章教授の研究室による生物多様性の調査・研究に同行しました。今回参加したのは、トランスコスモスのCXスクエアおおいたと本社サステナビリティ推進部のメンバー。日頃はオフィスワークが中心の私たちにとって、森の現場で「自然と研究と社会」がどう結びついているのかを直接体感できる貴重な機会となりました。
森研究室の特徴は、単なる自然観察にとどまらない点にあります。「生物多様性がなぜ生まれ、どのような価値をもたらすのか」を明らかにするため、フィールド調査・統計モデル・数理解析・社会調査など多面的なアプローチを組み合わせています。
特に重要なのが、「生物多様性と生態系サービスの関係」です。樹種の多様性が高い森林ほど炭素吸収量が増え、結果として気候変動の緩和につながる。こうした科学的知見を積み重ね、社会課題の解決に結びつけることを目指しています。
今回の調査は、大分県で林業を営む田島山業株式会社が管理する「みんなの森」で実施されました。ここでは、手つかずの原生林、間伐によって光が差し込む針葉樹林、広葉樹と針葉樹が混在する森林といった、性質の異なる複数の環境を比較しながら調査が行われています。
現場では、想像以上に多様な手法が使われていました。例えば、鳥や虫の鳴き声を記録する装置や、赤外線センサーで動物の出現を捉えるカメラの設置。
さらに、土壌の水分量を測定する機器や、植物・昆虫の採取など、森の状態を「定量的に把握」するための地道なデータ収集が進められていました。こうした積み重ねが、将来の日本の森林における生物多様性定量化のスタンダードをつくる基盤になっていくと考えると、その意義の大きさを実感します。

近寄ってきた生物を撮影するカメラ

鳥や虫の鳴き声を録音する機材
また今回、改めて印象的だったのが日本特有の「里山」という考え方です。里山は手つかずの原生林とは異なり、人の手が適度に加わることで維持される自然環境のことで、2010年のCOP10でもその価値が評価されています。
逆に人が関わらなくなると、樹木が過度に成長して光が遮られ、多様な動植物が生息できなくなるという問題も起こります。つまり、生物多様性は “守るだけ” ではなく、“適切に関わり続けること” が重要だということが改めて理解できました。
トランスコスモスおよびトランスコスモスグループはこの研究に対し、資金面・人的支援の両面から3年間支援を実施してきました。その成果は、環境省の「自然共生サイトに係る支援証明書」の取得という形でも評価されています。この制度は、企業が自然環境の保全にどう貢献しているかを可視化するものであり、今後生物多様性保全活動の成果に金銭的な価値を付与する「生物多様性クレジット」の先駆けとしても期待されています。
現地に足を運び、森の空気を感じながら研究の最前線に触れた今回の体験は「生物多様性」が決して遠い存在ではなく、社会や企業活動と深く関わっていることを実感する機会となりました。科学的な知見と現場の実践、その両輪で進む取り組みが、これからの持続可能な社会づくりにどのように貢献していくのか。トランスコスモスは今後もその動向に注目し、支援をしていきたいと思います。
■当日参加した、トランスコスモスメンバーの感想
・CXスクエアおおいた 勝尾さん
森の中での調査は想像以上に心地よく、自然の豊かさを五感で感じられる貴重な体験でした。普段の業務では得られない視点で、生物多様性と私たちの生活や企業活動とのつながりを実感でき、非常に学びの多い一日となりました。
・CXスクエアおおいた 大久保さん
森の中で実際に行われている調査を見て、生物多様性と生態系サービスの関係を実際に学ぶことができました。鳥や昆虫の鳴き声の記録やセンサーによる観測など、さまざまな手法が使われていたことが印象的でした。企業活動におけるサステナビリティの重要性を考えるうえでも非常に有意義な体験でした。
関連情報
東京大学 先端科学技術研究センター 森研究室
田島山業株式会社










