
「現場の会話」が会社を変えた DXとAI活用で管理者の“考える時間”を生み出したコンタクトセンターの挑戦
※本記事は2026年8月24日にトランスコスモスSDGs委員会に掲載された記事を転載しています。 |
この度、IT協会 2026年度カスタマーサポート表彰制度にてトランスコスモスが特別賞(デジタル活用)を受賞致しました!
今回は受賞の喜びと共に、どのような日々の取り組みが特別賞に結びついたのか、この変革の中心で活躍された方々にお話を伺いました。
「管理者が忙しすぎて、本来考えるべきことに時間を使えない」
コンタクトセンターの現場で働く多くの人が、一度は感じたことのある課題ではないでしょうか。今回受賞した取り組みも、実はそんな現場の悩みからスタートしました。
最新のAIやDXツールを導入すること自体が目的ではなく、
「どうすれば現場がもっと働きやすくなるのか」
「どうすれば管理者が本来注力すべき業務に時間を使えるか」
を追求した結果、生まれた取り組みです。
日々の業務の中で交わされる会話や情報共有をデータとして活用し、AIの力で業務の効率化とナレッジの活用を実現。その成果は単なる工数削減にとどまらず、管理者の意識や組織文化にも大きな変化をもたらしました。
ここからは、特別賞(デジタル活用)の受賞につながった挑戦を詳しくご紹介します。
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管理者が「考える時間」を失っていた
プロジェクトの出発点は、現場に存在していた共通の悩みでした。
管理者は日々、エスカレーション対応、情報共有、報告資料作成、ナレッジ整理など、多くの業務に追われています。これらはもちろんどれも重要な仕事です。
しかし、その対応に時間を取られるあまり、本来管理者が担うべき、
「クライアントの期待にどう応えるか」
「センターをどう成長させるか」
といった戦略的な思考に十分な時間を割けない状況が続いていました。
この事業所は長年にわたり、お客様企業とともにサービス品質向上や業務改善に取り組み、信頼関係を築いてきました。だからこそ単なる運営だけではなく、より良い顧客体験や新たな価値創出が求められていました。
その実現のためにも、管理者が「考える時間」を確保することが大きなテーマだったのです。そこで着目したのが、「日常の会話」でした。
発想の転換 日常をデータ化する
「現場には日々多くの情報が蓄積されている。しかし、そのすべてを十分に活かしきれているわけではない」
そう考え、管理者とオペレーターのやり取りやエスカレーション対応の会話に着目しました。
日々の業務の中で共有されている情報を、より活用しやすい形で残し、ナレッジとして蓄積できないか。そんな発想から今回の取り組みは始まりました。
背景には、メンバーはエスカレーションの質疑応答を通じて知識を習得しているという現場ならではの気づきがありました。つまり、日常的に発生するエスカレーション対応そのものに、貴重な学びの情報が含まれていたのです。
この発想から生まれたのが、AIとDXツールを組み合わせた仕組みです。
【取り組みの流れ】
1.AI音声レコーダーで会話を記録
2.音声を自動でテキスト化
3.生成AIが内容を要約・整理
4.報告資料やナレッジとして活用
現場で発生する情報をデジタルデータへ変換し、自動的に整理することで、管理業務の効率化を実現しました。
さらに、これまで多くの時間を要していたナレッジ資料の作成も効率化され、現場で生まれた知見をより早く、多くのメンバーへ展開できるようになりました。
AI導入で重視したのは “使いやすさ”
AI活用というと、高度な専門知識が必要だと感じる人も少なくありません。そこで今回のプロジェクトでは、誰でも自然に使えることを重視しました。
また、生成AIの出力結果については、あくまで参考情報として活用し、最終的な判断は人が行うというルールを徹底しました。
AIに任せる部分と、人が判断する部分を明確に切り分けることで、安心して利用できる環境を整えていったのです。
想像以上だった、現場の前向きな反応
印象的だったのは、この取り組みに対する現場メンバーの反応です。
担当業務の事業は若いメンバーが多く、新しい技術への関心も高かったことから「面白そう」 「やってみたい」という期待感の方が大きかったといいます。
さらに興味深いのは、会社から使い方を細かく指示したわけではなかったことです。
メンバー自身が活用方法を考え、
・AI拡張機能の活用
・ノンボイス業務の可視化
・レポート自動生成ツールの開発
など、自主的な改善活動が次々と生まれていきました。
AIを導入したこと以上に「自ら改善を考える文化」が育まれたことが大きな成果だったのかもしれません。
最大の成果は、管理者の “行動変容”
今回の取り組みで生まれた成果は、工数削減だけではありません。最も大きな成果は “管理者の行動変容” でした。
業務効率化によって生まれた時間を活用し、管理者たちはこれまで以上に高い視座で事業を見るようになりました。
センターの運営だけではなく、
・クライアントとの更なる関係強化
・新たな提案活動
・業務改善の企画
・事業所価値の向上
に目を向けられるようになったのです。
実際には、資料作成や動画化に費やしていた時間が大幅に削減され「作業する時間」から「考える時間」へと変化していきました。
また、管理者がより高い視点で業務に向き合えるようになったことで、お客様企業との関係性にも変化が生まれました。
日々の運営報告だけでなく、VOC分析や業務改善の提案、運営に関する課題解決の議論など、より踏み込んだコミュニケーションが増加したことで「まずはトランスコスモスに相談してみよう」と思っていただける関係性が構築されていったといいます。
本来であればお客様企業内で検討するような領域についても意見や支援を求められるケースがあり、現場運営力だけでなく提案力や課題解決力に対する高い信頼を獲得しています。
その結果、
・クライアントリレーションの強化
・新規受注獲得
・退職率改善
といった成果にもつながっています。
AIが身近になり、組織文化も変わり始めた
今回の取り組みで起きた変化は、数字だけでは測れません。現場ではAIに対する心理的なハードルが大きく下がりました。
「AIは専門家が使うもの」ではなく、「自分たちの仕事を楽にしてくれる身近なツール」として認識されるようになったのです。
また、これまで見落とされがちだったデータの価値に気づくきっかけにもなりました。今回は会話データの活用でしたが、今後はさらにさまざまな情報に可能性を感じているといいます。
さらに、管理者がメンバーとの対話や育成に使える時間も増えたことで、職場環境の改善にもつながりました。業務効率化だけではなく、人に向き合う時間を創出できたことも大きな成果のひとつです。
現場から自然と「こうしたらもっと良くなるのでは」という声が生まれる組織へ。今回の受賞は、固定観念にとらわれない風土づくりの第一歩にもなっています。

現場から生まれた挑戦を、さらにその先へ
今回の取り組みは、決して大きな構想から始まったものではありません。
現場で感じていた課題を解決したい。その想いから、管理者やオペレーターが知恵を出し合い、試行錯誤を重ねながら形にしてきた実践でした。
しかし今回の受賞を通じて、その取り組みには大きな可能性があることも見えてきました。
これからも現場に根差した改善活動を続けながら、AIやDXを活用してさらに事業所の価値向上に取り組んでいきたいと考えています。
また、今回の事例が社内のさまざまな現場にとって、「こんなやり方もあるのか」「自分たちでも挑戦できるかもしれない」と感じるきっかけにもなりました。
「現場で生まれたアイデアが、新たな挑戦の連鎖を生む。」
今回の受賞は、ひとつのゴールではなく新たなスタートです。
日々の会話をデータ化し、AIの力で価値へ変える。その挑戦はこれからも続いていきます。
<編集後記>
DXやAIという言葉を聞くと、大規模なシステム導入を想像する方も多いかもしれません。
しかし今回の取り組みは「現場をもっと良くしたい」「クライアントへより大きな価値を届けたい」という想いから生まれたものでした。
AIによる効率化の先にあったのは、人が考える時間を取り戻し、人だからこそできる提案や対話に力を注ぐこと。
今回の特別賞受賞は、その積み重ねが高く評価された結果なのではないでしょうか。
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