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【やっぱり2019年もTikTokなのか?】 5G時代の到来に向けてマーケターが備えておくべきこと|中華圏アプリ談義

みなさん、いま中華圏アプリが非常にアツいことになっているんです。

トレンドに敏感なマーケターの方はすでにお気づきかと思いますが、2018年に日本で話題となったアプリのそのほとんどが、中国大陸・香港・台湾などのいわゆる中華圏から登場したアプリだったのです。

最先端技術をフル活用し、時代の流れを先読みして開発されたアプリが、日本のみならず世界中でたくさんのトレンドを創出してきました。

では次の一年、どんなトレンドが中華圏アプリから生み出され、どんな時代へと移り変わり、そしてそれに向けてマーケターはどんなことに注目しておくべきなのでしょうか。

トランスコスモスで新規ビジネス開発を担当する岩花健太と、トランスコスモス台湾で中華圏全般のECビジネスを支援する宮城吉樹が、中華圏アプリを取り巻くこれまでとこれからについて考えてみました。


【インタビュイープロフィール】


岩花 健太

トランスコスモス インターネットプロモーションサービス本部 メディア開発課 課長
広告領域を中心としたメディア・ベンダー企業との新規ビジネス開発を担当。
パートナーとなる企業を国内外問わず調査し、ビジネスに向けた戦略立てを行っているため、海外企業との付き合いを多く持つ。
 




宮城 吉樹
トランスコスモス台湾 中国事業本部 台湾事業課
事業立ち上げ期(2016年)からトランスコスモス台湾に参画し、おもに日系企業の台湾進出におけるECワンストップを営業総責任者としてサポート。
台湾の次なる進出先として香港や中国大陸への進出を狙う企業が多いため、中華圏全般のビジネス潮流に関して日々情報収集を行っている。
 


目次[非表示]

  1. 2018年はTikTok一強。“イケてる世界”を生み出し、MAU950万人に。
  2. ライブ配信アプリ「17Live(イチナナ)」や3Dアバター作成アプリ「ZEPETO」も若者中心にヒット
  3. 「短尺動画」を制して“コンテンツ大量消費時代”をむかえよう

2018年はTikTok一強。“イケてる世界”を生み出し、MAU950万人に。

——2018年もさまざまなアプリが日本で話題となりましたが、その多くが中華圏アプリだったのが特徴的だったように思います。お二人から見て、いかがでしたか?

  岩花

日本ではやはり圧倒的にTikTokがヒットし、騒がれましたよね。

今では利用者数が国内で950万MAUを超えており(2018年4Q時点)、その利用のされ方はもはやYouTubeに匹敵するほどまでになっています

最近では女優の上戸彩さんを起用したテレビCMも流れていましたし、ユーザー層の幅をさらに広げていこうとする動きも見て取れます。これからさらに利用者数が増えていくのかもしれないですね。

■TikTok(ティックトック)とは
2017年6月に日本でリリースされた中国発のショート音楽動画共有アプリ。15秒間の「リップシンク(口パク)動画」で若者中心に爆発的に人気となり、マーケターにも認知が広がった。


TikTok イメージ


トランスコスモス 岩花健太


  宮城

たしかに近年だとTikTokがダントツでブレイクしましたね。豊富なコンテンツでトレンドを生み出すプラットフォームとして世界で見ても爆発的にヒットしました。

でも最近では、少しずつユーザーの使い方が変化してきたかなというのは感じています。今まで投稿の多くが、音楽に合わせた「踊ってみた」系だったんですが、今はリアルなショートコンテンツっぽい使われ方が増えてきています。Instagramストーリーズのように、“今起きていること”を短尺動画にしてみんなTikTok上で発信しています

左:踊ってみた系動画  右:コンテンツ系動画


  宮城

高齢化社会が進む台湾では、多くのマレーシア人やフィリピン人が介護のお手伝いとして働きに来ています。私はよく弊社のオフィス裏にある公園に気分転換に散歩へ行くのですが、そこへよくお手伝いさんたちがお年寄りと散歩をしにきています。

そこではおじいさんおばあさんたちはそれぞれ好きなように過ごしているんですけど、その時お手伝いさんたちはスマホに向かってTikTokをやっているんですよね。最初はなにかの健康体操かと思いましたが(笑)動画を撮影して、母国の家族や友達に「私は元気でやっているよ」的な姿をTikTokを通じて共有しているんです。

こういう今の自分を動画で撮影して手軽に音楽を付けたり編集したりしてシェアをする、といった“リアルな自分を発信する”という使い方が多くなっていますね。

  岩花

TikTokは、他のユーザーの投稿をマネしたり「#チャレンジ」のようなお題があったりなど、投稿のハードルが低いのが特徴で、その動画を加工をしたりするのも簡単です。
手軽にトレンド感のある“盛れる”投稿ができるという仕組みが“発信側のモチベーション”を作り上げていますね。

それと同時に、AIを活用したアルゴリズムでユーザーひとりひとりに合わせたコンテンツ表示も行っています。TikTokを開けばいつも自分が興味のある動画が出てくるので、“閲覧側のモチベーション”も維持できているんですよね。

これはTikTokを運営しているバイトダンス(ByteDance・字節跳動)がAI領域に非常に注力をしており、CB Insightsが選ぶAI分野のトップ100社となる『AI 100 2018』にも選出されています。このAI技術が、“閲覧時に感じるおもしろさ=利用時間の拡大”みたいなところにつながっています。

  宮城

それにこのAI技術が“動画のバズりやすさ”にも貢献していて、YouTubeよりも簡単にフォロワーやいいね!を獲得でき、“短尺動画”をフックにインフルエンサーになれたりするんですよね。

YouTuberは今でも影響力を大きく持っていて人気なんですけど、YouTuberになるのは大変ですよね。機材はどうしよう、動画内で何をしゃべろう…みたいな。その点TikTokだとスマホ一台で始められるし、コンテンツもそこまで悩まない。

その手軽さが、“有名になりたい”という若者の欲求にピタっとマッチしているんです。

トランスコスモス台湾 宮城吉樹

ライブ配信アプリ「17Live(イチナナ)」や3Dアバター作成アプリ「ZEPETO」も若者中心にヒット

  岩花

TikTok以外だと、ライブ配信サービスの「17Live(イチナナ)」も台湾発のアプリで、昨年くらいから日本でも流行り始めましたよね。

これも手軽に自分を発信して、17ライバー(イチナナライバー)と呼ばれるインフルエンサーになれたりするので、若者を中心に一気にユーザーを増やしていきました。

こういったいわゆる“投げ銭”系サービスは、中華圏を中心に年々市場規模を拡大していっていますね。

■「17Live(イチナナ)」とは
2017年8月に日本でリリースされた台湾発のライブ配信アプリ。無料でライブ配信・閲覧が可能だが、アプリ内で配信者に“投げ銭”と言われるギフトアイテムを贈るユーザーが多く、年々市場規模が拡大している。

17LIVE イメージ

  宮城

こういったライブ配信プラットフォームは、特に中国で数年前から盛り上がっていますね。

日本って、“推し”のアイドルがいたらCDを大量買いしたり、ライブや握手会に足を運んだりして応援したりするじゃないですか。

でも、中国は国土がかなり広いので、なかなか気軽には“会いに行けるアイドル”に会いに行けないんですよね(笑)また、都市部ではなく農村で暮らしている方々は、都市部に出ていくのに時間が掛かる。でも逆に、そういった場所にこそ多くの富裕層がいたりするんです。そういった方々のお金の使い道として、どこに住んでいてもネットさえあれば出来る“投げ銭”が中国ではマッチしたという点が、この盛り上がりの一つの理由でもあります。“課金をしない”ことで有名な中国なのに、意外ですよね(笑)

  岩花

あとは韓国発になりますが、昨年後半から「ZEPETO」もSNSを中心に話題になりましたね。自分にそっくりな3DアバターをAIの画像認識で簡単に作ることができて、それを友だちと共有したり、Instagramに投稿したりできるので、「私もやりたい!」という感じでユーザーが一気に増えていった感じがします。“簡単に自分を表現できる”という点が人気の理由のひとつですよね。

■「ZEPETO」とは
2018年8月ごろに日本でリリースされた3Dアバターソーシャルアプリ。カメラで自分の顔を撮影するだけで3Dアバターを作成することができ、他のアバターと同じポーズで一緒に写真を撮るなどしたあとはSNSでシェアができる。

ZEPETO イメージ

  宮城

ZEPETOと同じような似顔絵アバターや顔認識系はこれから一気に熱くなっていきそうですよね。
現代人は、人と関わり合いたいという欲求が根底にはあって、その関わり方が生身なのか、バーチャルなのか…というところで、より多くの人に関われるバーチャルが世界中で選ばれています。そこで、
「顔や名前を出すのがちょっと…」という人々が、アバターを使って情報発信をしているんですよね。VTuberなどはまさしくそれに当てはまります。

  岩花

もしTikTokがアバターに対応したらさらに伸びていきそうですよね。ZEPETOのアバターを使って、トレンドをおさえた動画を発信するという感じで。

今はまだ“イケてる”文化が特徴的なTikTokですが、アバターでの発信が増えることでコンテンツにも多様性を持たせることができ、そういう利用のされかたも増えていくんじゃないかなと思っています。

  宮城

そうなんですよね。先述したように、YouTuberになるのは難しいけど、TikToker(ティックトッカ―)には比較的簡単になれます。そこで顔出しに抵抗のある人がアバターを使って情報発信をしたりして、アバターが両者の参入のハードルのギャップをうまく埋めているんだと思います。“もうひとつの人格をアバターで作り上げる”ということにはビジネスの可能性を非常に感じていますし、そのうちYouTuber並みにジャンルの幅が広がり、様々なTikTokerが生まれてくると思っています。

「短尺動画」を制して“コンテンツ大量消費時代”をむかえよう

——では、お二人が今注目している中華圏アプリを取り巻く潮流などはありますか?

  岩花

今は先日バイトダンスが発表した新しいSNSアプリ「多閃(ドーシャン)」に注目しています。まだ内容は明らかになっていない部分が多いのですが、バイトダンスはTikTokではすでに広告収益の面でも成功していて、同社から出ているBuzzVideo(バズビデオ)も日本で徐々に拡大をしています。そんな勢いのあるバイトダンスが次にチャレンジするのがSNS領域ということで、どうなっていくんだろうという期待が大きいですね。

■「多閃(ドーシャン)」とは
2018年1月にバイトダンスが発表した新アプリ。リアルな友人との交流を深めるクローズドなSNSとされ、投稿したショート動画は72時間後に削除されるため「中国版snapchat」と言われている。

  岩花

きっとバイトダンスはTikTokで培った“人々を熱中させるノウハウ”や、研き続けているAI技術を使って何か仕掛けてくるでしょうし、さらにはプライベートSNSというコンセプトなので、オープンなTikTokとはまた違ったデータがバイトダンスには集まっていきます。

アプリに注目というよりも、バイトダンスという企業に注目していきたいです。

バイトダンス社の勢いについて語る岩花


  宮城

バイトダンスのアプリは中華圏発でありながら世界中でヒットしていて、まだ競合もいない。だいたい流行ったアプリはすぐに色んなとこから模倣されたりするんですけど、今のTikTokを超えるアプリはまだないですよね。きっとバイトダンス側も最初から、マネされる前に世界規模で一気に拡大する戦略だったと思います。

そんなTikTokには引き続きユーザーが世界中から集まってきますし、データも集まる。AIも進化する。それらをベースに、いかようにも新しいビジネスにバイトダンスはチャレンジしていくと思います。 バイトダンスは、Baidu、Alibaba、Tencentという「BAT」3大将軍がいる中国で一気にここまで成長しましたので、これからも手を緩めずにさらに次々と仕掛けてくると思いますよね。

  岩花

そんなバイトダンスだからこそ、やっぱり今年も引き続きTikTokからも目が離せないですね。きっとさらに様々な面で幅を広げていくと思うんです。

すでに多くの企業アカウントがTikTokには存在していて、各社がTikTok上でユーザーとのコミュニケーションを取り始めています。そういった顧客コミュニケーションの場としてもウォッチしていくべきですね。

 宮城

そうですね。SNS担当者の担当領域としてもTikTokが追加されていくでしょうね。

なのでTwitterやInstagram運用のように、TikTokではどうしたらバズるか、コミュニケーションが取れるか、というのを考えていくべきです。

AIが実装されているのでより一層ターゲットに沿ったコンテンツを用意しないと、ユーザーに届けることもできなくなる。

これからも人類はどんどんスマホで時間を消化していきますので、「動画」というキーワードには敏感になっていくべきです。動画の持つ情報量は圧倒的で、国も言語の壁もかんたんに超えていきますから

 岩花

その「動画」をうまく使って、どうやって情報発信をしていくべきか。既存のSNS運用もありますし、ますます企業のSNS担当者はやることが多くなっていきますね。

TikTokが顧客コミュニケーションのプラットフォームとして当たり前になる前に、しっかりと「動画」ないしは「短尺動画」での伝え方を捉えておいてほしいです。

TwitterやFacebookの運用にとどまらない情報発信が、業界をリードしていく要素になると思います。

 宮城

それに「5Gの到来」によってさらに高速かつ同時接続が可能になるので、より一層リッチなコンテンツが一般的に大量消費されるようになっていきます。

すでに中国ではVOD(動画配信)がテレビを逆転していて、大手企業がテレビCM予算を減らし、YouTubeのような動画系公式チャンネルに対し優先的に投資する流れもあります。

この「5Gの到来」によって確実に新たな時代が来ると僕は予想しますね。

人類の可処分時間を勝ち取り、次の世界的トレンドに向けて企業は今後どうすればよいかを考えていく必要があります。

それにきっと、“第二のバイトダンス”を目指す多くの挑戦者も出てきます。今や日常生活に欠かす事のできないインフラ的なGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)を超えるような企業であったり、バイトダンスのように“台風の目”となるような企業であったり。そういった挑戦者が、新たな世界トレンドを作り出していくはずです。それがどんなものなのか読めないから、逆にワクワクしますよね!

5Gの到来を心から楽しみにしている宮城


トランスコスモスグループは今後も、所有する世界112拠点と密な連携をはかり、世界的トレンドをおさえたグローバルな視点でお客様企業のマーケティング活動を支援してまいります。

これからのマーケティング施策や、海外を視野にいれたプロモーション施策などについてお悩みのかたは、ぜひお問い合わせください。

最適なビジネス戦略で、みなさんとともに次なる時代を走り抜けてまいります!

吉田 由美子
吉田 由美子
トランスコスモスのインターネットプロモーション事業の広報担当として社内外へ情報発信をおこなう。

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