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業界No.1のフォロワーを持つNTTドコモが実践するTwitter運用の秘訣

企業と消費者の新たなコミュニケーション・チャネルとしてソーシャルメディア(SNS)を運用する企業が増えています。しかし自社運用での限界や成果やKPIの設定に課題を抱えているという声も少なくありません。

本記事では、NTTドコモのSNS担当者様にご登壇いただき、Twitter運用の効果を最大化するための運用体制やKPI設計・効果測定についてご紹介したセミナーの内容をお伝えします。


目次[非表示]

  1. 企業のTwitterアカウント運用の最新トレンド
  2. 適切なKPI設定と効果可視化のために必要なこととは
    1. ①NTTドコモ公式Twitterが目指している姿とは
    2. ②ユーザーと近い存在になるための取り組み
    3. ③オンサイトとオフサイトの両軸でNTTドコモを支える運用
    4. ④SNS運用の重要性を社内に伝えるために
    5. ⑤NTTドコモが見据えるTwitter運用の未来像
  3. まとめ

企業のTwitterアカウント運用の最新トレンド

小島 優
トランスコスモス株式会社
DEC統括 DTF総括
デジタルインタラクティブ事業本部
コミュニケーションプランニング統括部



まずはユーザー心理の変遷とTwitterアップデートの歴史を振り返ります。

2016年以降、スマホの機能が向上したことでユーザー(消費者)がスマホに触れる頻度や時間が増え、SNSの認知度・利用者が増えたことで企業と個人のコミュニケーションも活発に行われるようになりました。

このような背景からTwitterはユーザビリティや検索精度の向上を図り、若者を中心に「ググる(=検索エンジンの利用)」ことから「タグる(=Twitterのタグ機能などを活用し情報収集をする)」ことへとトレンドが移行。SNSがユーザーの情報収集や消費行動の起点となりました。

そして現在、コロナ禍の到来によってSNSの利用頻度が急増。「検索」から「レコメンド」へとトレンドが移り変わり、個人の興味・関心に沿って最適化されたコンテンツが上位表示されるなど利便性は更に向上し、SNSは情報収集とコミュニケーションのための手段として、ますます強固な存在になりました。


Twitterのユーザー数は年々増えており、それに比例して企業のTwitter活用方法も多様化しています。

例えば、ユーザーに親しみを持ってもらい気軽に交流しやすい雰囲気づくりをする、自社製品のブランドごとに投稿を工夫しエンゲージメントの獲得に特化させる、困りごとや不明点へのサポートを積極的に行いサービスへの満足度を向上させる、新たな販売チャネルとして期待されるライブショッピング機能を活用するなど、使い方は多種多様です。

Twitterユーザーを対象にしたアンケートでは、企業アカウントと会話することで実際に購買につながったと回答した人の割合は76%にものぼり、Twitter上でのコミュニティ形成や会話をすることの影響力の強さが分かります。


出展:Twitter マーケティング「Twitter の会話を購買へつなげる」


Twitterの特性上 “見せること” や “会話すること” が好きなユーザーが多く、商品の認知から購入後のレビューといったカスタマージャーニーのありとあらゆる場面で自然とTwitterが使われています。

ユーザーの口コミが購買行動に大きく影響するのはもちろんのこと、企業が発信する情報もユーザー主導の会話と同程度の影響力を持っています。そのため、拡散力のあるTwitterで企業からの情報を継続的に発信すること、そしてユーザーの口コミを起点にコミュニケーションをとり、ユーザーと企業との接点を増やしていくことで、効率的に購買行動を促すことができます。


◆企業のTwitterアカウント運用の最新トレンドまとめ

企業のTwitterアカウント運用は、

・多様化する企業アカウントの使い方を分析し、運用目的に合ったKPIを設定する
・エンゲージメント率が高い投稿はレコメンド表示されやすいため、ユーザーに肯定される内容を投稿する
・企業からの継続的な情報発信と、ユーザーの口コミの両軸においてSNS上での会話を増やすこと

を意識しながら進めることが重要です。

適切なKPI設定と効果可視化のために必要なこととは

川中嶋 勇雅 様
株式会社NTTドコモ
ブランドコミュニケーション部

横田 恵理
トランスコスモス株式会社
DEC統括 DTF総括
デジタルインタラクティブ事業本部
コミュニケーションプランニング統括部


ここからは、通信キャリアNo.1のTwitterフォロワー数を持つNTTドコモのSNS担当 川中嶋様と、フォロワーの獲得だけで終わらせずしっかりと成果に繋げるためのTwitter運用について、5つのテーマに分けてお伝えします。

NTTドコモ公式Twitterは2020年8月にトランスコスモスのSNS運用チームが加入し、川中嶋様とともに管理・運用を行う新体制をスタートさせました。直近1年間では20万人もフォロワーが増え、そのインパクトの大きさからNTTドコモ社内ではサービス事業部から投稿に関する相談、パートナー企業からはNTTドコモ公式Twitterでリツイートすることによる拡散力を期待されての相談を多くいただくようになりました。


①NTTドコモ公式Twitterが目指している姿とは

NTTドコモ公式Twitterの運用において大切にしている想いは二つあります。一つ目は「ユーザー(お客様)との距離が近い存在でありたい」ということです。

これまでNTTドコモ公式Twitterの投稿には、“いいね” やコメントがあまりつきませんでした。その背景には、商品やサービスなど、NTTドコモが伝えたいことを一方的に発信するだけのアカウントになっていたからだと考え、気軽に会話しやすい存在になれるよう運用方針を変更しました。

これに関連し、二つ目に「Twitterを通じてユーザー(お客様)が笑顔になるきっかけを作りたい」という想いを大切にしています。

ユーザーとの距離を縮め、気軽に会話しやすいアカウントになるために、親しみやすさや温かみを感じてもらえるような投稿が大事であると考えています。

この二つの想いを軸に、なりたい姿を『安定した企業発信と温かみのある投稿のバランスが取れた「日本企業を代表」するアカウントへ』とし、以下のような定量目標を設定しました。



②ユーザーと近い存在になるための取り組み

NTTドコモ公式Twitterでは、「ユーザーと近い存在」になるための振り返り方法として、投稿を11種類のカテゴリに分けて分析しています。

・キャッシュレス(d払い/dカードなど)
・5G
・端末
・災害/緊急
・NTTドコモ関連サービス
・dポイント/加盟店
・料金
・CSR
・キャンペーン
・その他サービス
・エンゲージメント(キャラもの/時節ネタ)

11種類と細かいカテゴリに分けることで、カテゴリ別の分析による「ユーザーの興味の把握」が可能になり、それぞれのカテゴリをバランスよく投稿できているかのチェックを行えるようになりました。

具体的には、カテゴリ別にインプレッションやエンゲージメントの推移を可視化し、数値が良いカテゴリの投稿量を増やすことや、数値が悪化している投稿文の見直しなどを行っています。

このように、フォローしていただいているユーザーが求めている投稿ができるよう日々改善を図っています。


③オンサイトとオフサイトの両軸でNTTドコモを支える運用

NTTドコモ公式Twitterはオンサイトとオフサイトの両軸で運用しています。オンサイトとオフサイトの業務の違いや特徴は次の通りです。



【オンサイトの特徴】

トランスコスモスのSNS運用チームがNTTドコモに常駐して運用を行います。現在はコロナ禍ということもありリモート環境での運用がメインですが、コロナ禍以前と変わらない密なコミュニケーションを実現しています。

主な役割としては、SNSで発信する情報の集約や振り分け、投稿文のリライト、投稿日の調整など多岐にわたり、プロ視点のディレクションを行っています。

これまではNTTドコモが伝えたいことを一方的に発信していましたが、現体制に変わってからはユーザーと会話をするきっかけの創出や、ユーザーに拡散してもらいやすい投稿を発信できるようになりました。


原文をリライトし、ユーザーが参加しやすいキャンペーン内容などをアピール


【オフサイトの特徴】

トランスコスモスのSNS運用チームが第三者視点でコンテンツ提案や運用改善を行います。投稿内容の企画提案や改善が主な役割で、オンサイトでカバーできない領域をサポートします。

「home5G」の販売1周年を記念した投稿では、ユーザーとのコミュニケーションを意識し「中の人」がいることを強調した投稿をしました。その結果、ユーザーからポジティブなコメントをいただきました。さらに「home5G」に関する生の声が拡散され、新規契約数の増加にも寄与しました。


直近のドコモのトピックに関する投稿案を出し合い、ユーザーにコメントしてもらいやすい投稿を作成


オンサイトとオフサイトが相互にカバーしつつ運用することで、以前の体制(2020年)と比べて『フォロワー数38%増加』『エンゲージメント1,149%増加』『インプレッション324%増加』を達成することができました。

また、2022年7月に「#ドコモ30周年大感謝祭」をキーワードに実施したフォロー&リツイートキャンペーンでは、応募者の44%が新規フォロワーからの参加となり、結果的に71,816人の方に新しくNTTドコモをフォローいただきました。


2020年8月から新体制での運用をスタート。2021年度以降はフォロワー獲得戦略として定期的にキャンペーンを実施し、2022年7月にはフォロワー数76万人を突破。


④SNS運用の重要性を社内に伝えるために

企業活動におけるSNS運用は、“なんとなく重要”と理解している一方で、具体的に何が重要なのかが認識しづらいのが実情です。SNS運用の重要性を計測するために、定期的な調査は必要不可欠です。

NTTドコモは、パネラー(アンケート回答者)を「NTTドコモ公式Twitterのフォロー有無」で分類し、ブランド評価に関するアンケートを行いました。

結果、NTTドコモ公式Twitterをフォローしているユーザーは、フォローしていないユーザーと比べて『好感度+39pt』『満足度+37pt』『NTTドコモの継続利用意向+39pt』と大幅に値が高く、本調査により、Twitterを運用することで、お客様の好感や利用意向の向上につながると明らかになりました。


⑤NTTドコモが見据えるTwitter運用の未来像

NTTドコモ公式Twitterを運用するうえで将来的なテーマは二つあります。

一つ目に前述したコンセプトの通り、NTTドコモ公式Twitterを『日本企業を代表するアカウント』に成長させていくことです。

「日本企業を代表するTwitterアカウントとは?」を考えたときに、「NTTドコモ公式Twitterだ!」と思い浮かべる方は少ないと思います。

ユーザー(お客様)の笑顔のきっかけとなる投稿や、有益な情報を発信していくことで、さらなる成長を図り、誰もがNTTドコモ公式Twitterを『日本企業を代表するアカウント』と想起してもらえる姿を目指していきます。

二つ目に、これまで以上にユーザーに寄り添ったアカウントにしていくことです。

NTTドコモ公式Twitterの投稿をより多くのユーザーに興味を持ってもらうだけでなく、NTTドコモからユーザーへお礼やコメントを通じて、コミュニケーションを図っていけるアカウントを目指します。


◆KPI設定と効果可視化のための調査・支援体制まとめ

①運用目的に合わせて目指すべき姿、KPIを設定しトレンドに寄り添った投稿運用を実施
②投稿コンテンツのカテゴリに応じた情報発信の選任体制を構築
③定期的なキャンペーンの実施

NTTドコモ公式Twitterが業界No.1のフォロワーを獲得し、ブランドとユーザーの接点創出・拡大、そしてユーザーの評価向上といった結果を出せたのは、これら3つのポイントをおさえた運用ができているからであると考えています。

まとめ


トランスコスモスでは、SNS運用を熟知したチームによる企業アカウントの立ち上げから運用までをワンストップで支援しています。

SNS運用における課題でよく耳にする、「担当者が1人しかおらず、異動などによって獲得したファンの維持が困難になる」「属人化してしまったため他の人が同じように運用できない」といった課題に対し、トランスコスモスではチームでの運用を徹底することで、業務の属人化やケアレスミス、品質の低下などを防止します。

SNS運用に関する課題や不明点などお持ちの方は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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