ゲーミフィケーションを使った顧客の行動促進
デジタル時代に顧客エンゲージメントを強化するには
従来のカスタマージャーニーマップでは、顧客を「認知」から「行動」まで進ませることが重要でした。しかし、あらゆるチャネルのデジタル化が発展した現在では、顧客のモバイル接続とソーシャルコミュニティの普及により「推奨」の影響力が強まっています。これからの企業のマーケティング活動においては、ブランドが「推奨」を獲得することは重要なポイントとなります。
- スマホアプリを使ったデジタルな顧客経験を高める
- ソーシャルCRMで顧客の問題を解決する
- ゲーミフィケーションによる適切な顧客行動の推進
顧客を推奨に進ませるためには、「デジタル時代に顧客エンゲージメントを獲得するには」の記事でも紹介したとおり、顧客エンゲージメントを強化する3つの手法がありました。ここでは、3つめの「ゲーミフィケーションの利用」について、詳しくみていきます。
※本記事は2020年3月16日に5A Loyalty Suite トランスコスモスが提供するロイヤルティマーケティングサービスに掲載された記事を転載しています。 |
ゲーミフィケーションとは
ゲーミフィケーションとは、ゲームの原則をゲーム以外の場面で利用することです。 これは企業やブランドが顧客エンゲージメントを促そうとする場合にも有効で、特にロイヤルティプログラムや顧客コミュニティについて考える際に効果を発揮します。
ロイヤルティプログラムにおけるゲーミフィケーション
航空会社のマイレージプログラムが典型的な例です。顧客はプログラムへの登録によって、航空券などと引き換え可能なマイルを貯められるようになるため、旅行の際には同じ航空会社を利用し、たくさんのマイルを貯めることでより高いステータスを目指すよう促されます。
オンライン顧客コミュニティにおけるゲーミフィケーション
口コミサイトのランク付け制度や、信用ポイントの付与制度などにみられます。レビュアーはこれらの仕組みにより、高品質なレビューをたくさん投稿してステータスを上げるよう促されています。
ゲーミフィケーションがエンゲージメント強化に適する理由
ゲーミフィケーションを利用は、なぜ顧客のエンゲージメント強化に適しているのでしょうか。理由として、以下の2つが挙げられます。
認められたいという人間の欲求を利用できる
人間は見返りによって意欲的になったり、自己実現欲求が刺激されて行動を起こしたりします。顧客がより高い階層を目指すことに意欲的な場合、顧客は企業と継続したタッチポイントを持つことになり、この関係性は、顧客がブランドに対する強い親近感を育むのに役立ちます。
パーソナライズ等に役立つ顧客データを収集できる
ゲーミフィケーションは、顧客データの収集に貢献します。顧客の階層化により、各階層の顧客特性が明らかになり、最も重要な顧客にフォーカスできるようになるのです。また、ビッグデータ分析により、MAツール(マーケティングオートメーションツール)で詳細な行動パターンも自動で把握できるようになります。これらのデータとツールを用いて、マーケティングの質を高め、顧客に対してより最適なアプローチが実現できます。
ゲーミフィケーションを活用するための3つのステップ
ゲーミフィケーションを顧客エンゲージメントの向上のために利用することは理解いただけたと思います。それでは、どのようにゲーミフィケーションを企業のマーケティング活動に取り入れていくのか、その手順についてご紹介しましょう。
STEP.1 促したい行動(目標)を決める
ゲーミフィケーションプログラムによって、促そうとする行動には、さまざまなものがあります。 先の例でいえば、航空券の購入やレビューの投稿がこれにあたります。他にも、会員制のサービスを提供している場合では、個人情報の登録や友人の紹介などが想定されます。
STEP.2 顧客の登録方法と階層化方法を決める
顧客をどのようにしてプログラムに参加させるか、また顧客の行動を促し続けるためにはどのような階層化の仕組みが有効に働くかについて考えます。
多くの企業で取り入れられているのは、ポイントによってステータスが上がる階層構造です。これにより、企業は個々の顧客について金銭的価値と親近感レベルの両方の観点から追跡することができます。また、生涯価値と特権提供コストを概算できるため、収益性を測定することも可能になります。さらに顧客の階層は、カスタマージャーニーにおける「行動」から「推奨」までの間のどこに位置しているかを示すため、企業は階層が高い顧客(エンゲージメントが高い顧客)に対して、彼らを推奨者に変えるために効率的に資源を投下することもできます。
STEP.3 表彰と見返りを決める
顧客に階層を上げる意欲を持たせるような評価や報酬体系を決めます。
効果的な特権は、特定の階層に上がらなければ獲得できないものが挙げられます。たとえば新製品の先行購入権や割引を受ける権利、高い階層の顧客専用のコールセンターの利用権などが考えられます。
また、近年の新たなトレンドとして即時満足というものがあります。これは顧客がただちに現金に換えるか、あるいは貯めておいて後で換えるか選択できるようにする、もしくは、階層化システムを伴わずに即時満足を与えるものです。後者は購入と同時に収集価値のある玩具が無料で獲得できる、マクドナルドのハッピーセットが典型例といえます。
ゲーミフィケーションをマーケティングに取り入れることは、ブランドと顧客との接点を日常的に取り入れる施策として非常に効果的です。顧客が興味を持って参加できるような着想を吟味し、自社のブランドに合ったゲーミフィケーションを運用しましょう。
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