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バーチャル空間でのコミュニケーションが当たり前に!? Z世代の58%が期待するメタバースの世界

コロナ禍の到来によって自宅で過ごす時間が増え、PCやスマホに触れる時間が長くなったことでオンラインでのコミュニケーションがこれまで以上に当たり前のものとなりました。

そうしたなかで、オンラインゲームのSNS化や、仮想空間における経済活動といった次世代のインターネット体験が急速に注目を集めています。

そこで本記事では、今話題の “メタバース” とは何なのか、そしてメタバースが私たちのコミュニケーションの在り方に与える影響などについて解説します。


目次[非表示]

  1. 「Web3.0」とそれを支えるブロックチェーン技術
  2. NFTとは
  3. いま話題のメタバースとは
  4. 消費者と企業のコミュニケーションを豊かにするために
  5. 次世代のコミュニケーションやサービス開発へ向けて

「Web3.0」とそれを支えるブロックチェーン技術

メタバースについて触れるまえに、まずはそれを実現するための技術である『ブロックチェーン』と、次世代の分散型インターネット『Web3.0』について知る必要があります。

ブロックチェーンとは、取引履歴などのデータをブロックという単位で記録し、暗号技術を用いてチェーンのように繋ぐことで情報を分散的に処理・記録する技術です。

チェーンで繋がれた情報をすべて改ざんするには膨大な時間と労力を要するため、実質的に悪意のあるデータの改ざんを防止しており、これにより正当性・透明性を保っています。


さらに、ブロックチェーンの内容は不特定多数のユーザーが閲覧することができるため、万が一不正があったとしてもユーザーがその異変に気付くことで不正が明らかになるという性質をもっています。

ブロックチェーン技術の特性を活用したものの代表例に暗号資産(仮想通貨)があげられますが、このブロックチェーン技術とインターネットを組み合わせることで実現するのが、新たなインターネットの形である、Web3.0です。

データの透明性・正当性が保持され、不特定多数のユーザーによって情報が管理されることによりGAFAMのような巨大企業に情報が独占されている状態、つまり中央集権型のインターネットから、情報を民主的に分散管理する『非中央集権型のインターネット』へと移行します。

そしてこのWeb3.0において、暗号資産やNFTによる取引が活発になることで、今後の新たな経済活動の場が発展していくことが期待されています。

NFTとは

NFTとは、「Non-Fungible Token」の頭文字をとったもので、代替不可能なトークンなどと呼ばれます。具体的には、偽造できない鑑定書・所有証明書つきのデジタルデータを使った商品やサービスのことを指します。


参考:消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023


前述のブロックチェーン技術をデジタルアートなどと紐づけることにより、改ざんや不正を防止し、そのデータが唯一無二、正真正銘のオリジナルであることを証明します。また、ブロックチェーンの特性上、特定の企業などを介さずにユーザー間で直接デジタルアートの売買などを行えるという点も注目を集めています。

アートなどの著作物に限らず、例えばゲーム内のアイテムをNFT化することで、アイテムの所有権を個人が持つことができ、その他のプラットフォームへお気に入りのアイテムをそのまま持っていくことや、個人で作成したアイテムをユーザー間で売買することができるなど、その活用の仕方は様々です。

いま話題のメタバースとは

ブロックチェーンやNFTといった最新技術を組み合わせ、Web3.0における新たなコミュニケーションの在り方・活動範囲として注目されているのが『メタバース』です。

メタバースとは、PCやWeb上に構築された仮想空間および、そこで提供されるサービス類のことです。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった個人で楽しむものとは違い、他者と交流しながらコミュニティを形成できるのがメタバースの特徴です。


参考:消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023


『消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023』の調査結果によると、2022年時点でのメタバースの利用意向率は全体で34%とさほど高くないものの、25歳以下のZ世代のみで見ると58%と半数以上がメタバースの利用に前向きであるという結果が出ています。

普段何気なく遊ぶゲームで自分の分身(アバター)を冒険させたり、世界中のユーザーと交流をしたり、イベントに参加したり、買い物をするなど、いまやメタバースは私たちの身近なものになりつつあります。

デジタル社会の急成長によってPCやスマートフォン、ゲーム機などを使用して誰でも気軽にメタバースに参加できるようになったことや、外出がしにくくなったことで在宅需要が急激に増えたこと、そしてブロックチェーンやNFTといった最新テクノロジーも関連して話題に取り上げられるようになったことで、新たな経済活動の場として世界中でメタバースが再注目されるようになりました。

こうした流れを受けて、2022年7月に総務省はメタバース等の利活用が急速に進展しつつあることを踏まえ、様々なユースケースを念頭に置きつつ情報通信行政に係る課題を整理することを目的とした、Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会を発表しています。


2023年1月現在、メタバースの定義はとても広く線引きも曖昧です。

例えば、スマホや家庭用ゲーム機などで遊び・触れることのできるメタバースは、特定の企業が提供するプラットフォームで販売するアイテムなどを購入することがほとんどです。購入したアイテムはそのゲーム内でしか使うことができないうえ、改ざんや不正といった悪質な行為への対策もしづらいのが実情です。さらに、サービスが終了してしまうと購入したアイテムもゲームデータと共に消滅してしまいます。

一方、ゲーム内で購入・獲得したアイテムをNFTとしてそのまま他のプラットフォーム上のゲームに持っていける、特定の企業などを介さずユーザー同士でアイテムの売買などを行うことができる、特定のサービスに縛られることがない、といったことが特徴のオープンな環境で遊ぶものが真のメタバースとして今後、爆発的に普及していくと予想されています。

例えば、自身のアバターに着せる服や装飾品、バーチャル空間内で所有する土地や建物などに対し実際のお金を投じることが当たり前になっていくと考えられています。

リモートワークなどの導入によって在宅時間が増え、その結果として服を買わなくなったという話をよく聞きますが、逆にメタバースにおける活動の時間が長くなれば、そのぶんアバターの見た目にこだわるといった動きが増えることが予想できます。

もちろん服や装飾品はブロックチェーンによって正当性・透明性が保証され、所有権は自身にあるため、リアルの服や装飾品にお金をかけるのと同じ感覚でデジタルのものを購入するという時代がもうすぐそこまで迫っています。


しかし、日本でのメタバース普及のためにはクリアすべき課題も多くあります。

例えば、現状メタバース上に存在する建築物に対して建築基準法などは一切適用されませんし、自身の所有するデジタルアートが盗難被害にあったとしても法的な措置を取ることはほぼ不可能です。

これは日本の民法が原則、“物理的に存在するもの” のみを対象としているためです。

日本でのメタバースおよびWeb3.0普及のために、法整備を始めとする多くの課題への取り組みについて経済産業省やデジタル庁も意欲的に取り組む姿勢を発表していますが、具体的な改善策や実施時期については多くのものが未定となっています。

参考:経済産業省「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました
参考:デジタル庁 事務局説明資料

消費者と企業のコミュニケーションを豊かにするために

多くのグローバル企業がメタバース事業へ参入するなか、トランスコスモスはNTTコミュニケーションズと共同で『バーチャルコンタクトセンター』と『バーチャルコミュニケーションサービス』の提供に向けた取り組みを進めています。



現在、トランスコスモスのデジタルコンタクトセンター事業では、多様化する働き方に合わせて国内外拠点の拡張(国内33拠点、海外50拠点)、さらにテレワークに対応するため「在宅コンタクトセンター」(業界最大の国内約3,000席、海外約10,000席)に取り組み、国内外あわせて約55,000人の従業員が働いています。

こうしたなかで、管理層のダブルコストや拠点制約による優秀人材確保といった課題を抱えており、また在宅オペレーターは働き方の自由度というメリットはあるものの、コミュニケーションがとりにくくなったことで孤立感を感じているといった問題が生じています。

これらの課題を解消し、コンタクトセンターサービスをより進化させていくためにバーチャルコンタクトセンターの実証実験を開始しました。

バーチャルコンタクトセンターが実現することで次のような効果に期待ができます。


・業務や運営におけるルールの統一を行うことによるサービス品質の向上
・各地に点在するリアル拠点の機能を集約することによる管理の簡易化・均一化
・スムーズな情報共有やエスカレーションの実施による管理者比率の低減
・働き方の自由度が増すことによる人材確保の課題解消
・リモートワークによる孤独感の解消や、コミュニケーション機会の増加

参考:トランスコスモスとNTT Com、メタバース上での「バーチャルコンタクトセンター」活用に向け、実証実験を開始



また、バーチャル空間と接客を掛け合わせたバーチャルコミュニケーションサービスでは、リアル店舗と同様のメタバース店舗にてアバターによる接客を提供することで、多様化する消費者の要望やコミュニケーションの在り方に応えることが可能になります。

よりリアルに近づけたオンラインでの接客を実現するために、身振り手振り、表情、息遣いが感じられ、適切な人同士の距離感を検証することも併せて、フルボディートラッキングのアバターを活用する実証実験を開始しています。

メタバースによる接客とECの親和性は高く、オンラインサービスの利便性をこれまで以上に向上させるほか、企業のイベントなどもバーチャル空間で完結させることで新たな顧客体験の提供にも寄与します。

バーチャル空間における消費者と企業のコミュニケーションを最適化することで、次のような施策の実現を目指しています。


・お客様企業のDX推進を後押し
・新たなビジネスチャンスやサービスの創出
・メタバース上での新規ビジネスの創出や新たな販路の獲得
・自由度の高さと顧客満足度向上を両立する接客の実現

参考:トランスコスモスとNTT Com、メタバース上での「バーチャル空間×接客」の提供に向け、実証実験を開始


このようにメタバースを活用することで場所や時間にとらわれず、よりリアルに近い新たな働き方や顧客体験の創出を実現することが可能になります。

トランスコスモスは多くのお客様企業のDX推進をサポートするうえで培ってきたオンラインコミュニケーションのノウハウや知見をもとに、消費者と企業のコミュニケーションをこれまで以上に便利かつ豊かなものへと進化させ、良質な顧客体験を提供するための取り組みを進めていきます。

次世代のコミュニケーションやサービス開発へ向けて

世界的な流れを受けて多くの日本企業もメタバースに関する事業の発足、または投資をするといった動きが見られますが、個々の企業ができることには当然ながら限界があり、グローバル企業と競い合っていくためには、業種・業界を問わず日本企業が一丸となってデジタル空間における日本経済の活性化に取り組む必要があります。

このような背景から2022年4月にSBIホールディングス株式会社によって「一般社団法人日本デジタル空間経済連盟」が設立され、これに賛同した企業がトランスコスモスを含め、2022年6月時点で40社(一般会員33社、賛助会員7社)入会しています。

参考:日本デジタル空間経済連盟への新規入会企業について


Web3.0およびメタバースが実現することで、バーチャル空間内におけるコミュニティの拡大や、個人間での経済活動などが発展・加速し、いずれ私たちの生活にとって当たり前のものとなります。

トランスコスモスは日本デジタル空間経済連盟の一員として、次世代の顧客体験の実現、最先端のテクノロジーを駆使したサービスの提供など、これからのデジタル社会の更なる発展に貢献していきます。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

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