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働くママが、社内起業家に-「PitaPre(ピタプレ)」開発者インタビュー

トランスコスモスは2019年8月、“あの人にピッタリ”のプレゼントがみつかるアプリ「PitaPre(ピタプレ)」の提供を開始いたしました。

プレゼントを贈りたくても何を贈ったらいいか分からなくて困っている人が、相手にピッタリなプレゼントを見つけられるギフトコンシェルジュサービスです。



実はこのサービス、トランスコスモスのインターネットプロモーションサービス本部内で開催した『ビジネスプランコンテスト』から誕生しました。

このコンテストは、新規事業にチャレンジしたい社員が、自らで考案したビジネスモデルをプレゼンテーションし新規性や独自性を競い合う、社内のピッチイベントです。

そして、合計36件のビジネスモデルのなかからこの「PitaPre(ピタプレ)」が見事最優秀賞を獲得。その後、本格的に事業化し、このたびのサービスリリースに至りました。

このビジネスモデルを考案したのは当時、web広告素材の入稿など、デジタル広告オペレーション業務に従事していた武藤綾佳さん。

普段の生活のなかでふと感じた「こんなサービスあったらいいのに!」というひらめきと気付きが、トランスコスモスの提供サービスとして実現しました。

ビジネスプランコンテストでの優勝を機に、それまで“イチ社員”として働いていた彼女は一気に『社内起業家』へと転身したのです。


<「PitaPre(ピタプレ)」開発責任者 武藤綾佳さん>


今回trans+では、ギフトコンシェルジュサービス「PitaPre(ピタプレ)」のアイデア発起人でもあり、今や事業責任者でもある武藤綾佳さんにインタビューを実施。

ビジネスプランコンテストへの参加からサービスリリースまでの道のりについて、話を聞いてきましたのでご紹介します。


目次[非表示]

  1. 「デジタル広告オペレーター」から「社内起業家」になった日
  2. 喜ばれるプレゼントを求めてひたすら百貨店をぐるぐる…「PitaPre」誕生のきっかけ
  3. いざ開発スタート。初めてづくしだらこそ、“オモシロイ”
  4. 失敗を恐れずに挑戦してみると、意外と失敗は少ない

「デジタル広告オペレーター」から「社内起業家」になった日

――まずは、「PitaPre(ピタプレ)」誕生のきっかけとなったビジネスプランコンテスト当時の状況について教えてください

コンテストが開催されたのは2018年6月のことで、そのころ私はインターネットプロモーションサービス本部で広告入稿作業や広告掲載レポートの作成、あと新人育成などを担当していました。

そんななかビジネスプランコンテストが社内で開催されると知り、新規事業の立ち上げや「社内起業」というものに興味があったので、ずっと抱えていた「PitaPre(ピタプレ)」のアイデアで挑戦してみました。

通常業務もやりつつコンテストに向けて事業計画書やプレゼン資料の作成をしなければいけなかったので、チームには迷惑をかけてしまうなと思っていたのですが、意外にもとてもあたたかく見守っていただき、さらには応援までしてくださったのでとても感謝しています。

――武藤さんは子どもを持つママとして時短勤務で働きつつコンテストにも参加したということですが、一番大変だったことは何ですか?

ずっとチャレンジしてみたかったことだったのでそこまで大変さは感じなかったのですが、しいて言うならプレゼンの練習ですね。

ピッチイベントでプレゼンできるのは全ての応募作品のうち事前選考に通過した作品のみだったのですが、その選考結果が出たのが、まさかのピッチイベント前日だったんです。

その頃は自分の企画が通過するとは思っていなかったので、そこから慌ててプレゼンの練習を始めましたね。

その日、事前に佐藤CMO(取締役 上席常務執行役員兼CMO 佐藤俊介)からプレゼン方法の参考としてIVSのピッチコンテスト「Launch Pad」の動画を見ておくようにとアドバイスがありました。

その動画を帰りの電車で聞いたり、帰宅後も夕食作りや洗濯などの家事をしながら聞いたりしていました。

そして子どもが寝た後に、洗面所の鏡の前で実際のプレゼン練習を始めました。録音したり、タイマーを使ったり、夜中までひたすらやりましたね。最終的にはしゃべりながら寝そうになったので、もう諦めて寝ました(笑)

当日も不安だったので、日中に社内の会議室を借りて一人でしゃべる練習をしましたね。

普段の業務ではプレゼンをする機会がまったくなかったので、それぐらいしないと他の方々と同じステージに立てないなと思っていました。


<コンテスト当日の様子>


<審査委員長として審査をする佐藤俊介>

喜ばれるプレゼントを求めてひたすら百貨店をぐるぐる…「PitaPre」誕生のきっかけ

――では、「PitaPre」のビジネス概要を教えていただけますか?

「PitaPre」はギフトコンシェルジュサービスで、プレゼント選びに困っている人が相手にピッタリのプレゼントを手軽に見つけることが出来ます。

「ギフトでつなげるミライ」をビジョンに掲げ、相手にマッチしたプレゼントを贈ることで、プレゼントをもらえた人もハッピーに、贈った人も相手に喜んでもらえてハッピーに、そしてプレゼントとなった商品やサービスも次の需要に繋がってハッピーに、という貢献の循環を生みだしていきたいと思っています。



サービスの第1フェーズは、ユーザーがプレゼントしたい相手の情報を入力し、別のユーザーがその相談に合ったプレゼントアイデアを提案していく、という内容になります。

そして順次、相談がなくてもプレゼントアイデアを投稿できる機能や、SNS連携、アプリ内の“カリスマコンシェルジュ”へ直接相談できるチャットサービスなども導入したいと思っています。

サービスが成長した際のマネタイズ方法についてもいくつか用意しているので、サービスの状況をみて柔軟に検討したいと考えています。

――そもそも「PitaPre」のビジネスを考えたきっかけは何だったんですか?

結婚や出産を機に、義両親や義祖父母、親戚の子どもなど、趣味嗜好が分からない人へプレゼントを渡す機会が一気に増え、プレゼント選びのために百貨店やネットを何時間もグルグル探し回ることが多くなったんです。特に相手の年齢や性別、状況などが自分と異なっていると、プレゼント選びにかなり苦戦をしていましたね。

そして結局いつもと同じ贈り物になってしまったり、「これだ!」というものを見つけても変に奇抜すぎて相手に喜ばれなかったり。

そんななか「いつでもどこでもプレゼントの相談ができる、自分だけのコンシェルジュが欲しい!」と思ったことが本サービスを思いついたきっかけです。

いざ開発スタート。初めてづくしだらこそ、“オモシロイ”

――ビジネスプランコンテストで優勝して、いつから開発がスタートしたのですか?

コンテストが終わって30分以内には、審査委員長であり新規事業を通じたイノベーション責任者である佐藤CMOからメールが届いていたんです。そのスピード感にはすごく驚きましたね。

これまでに数々の事業を立ち上げてきた方なので、サービス内容や収支計画について色々とご指摘をいただきました。

その際に佐藤CMOから、『ここからは、ビジネスだからシビアにいくよ。絶対成功すると思ってやらないと実現できないよ』という言葉をもらった時は、正直ちょっと怖くなったのもありますが、気持ちがシャキっとしたのを覚えています。

それからは実際のサービス開発に向けたミーティングを社内の開発チームと重ねていきました。開発チームがプロフェッショナル集団でしたので、事業計画書やアプリのUI/UXなど、とにかく話のスピードが速くて速くて…。知らないビジネス用語もたくさん出てきて、とにかく圧倒されて議事録をとるので精一杯でしたね。

そして2か月ほど経った頃、ビジネスモデルやプレゼント情報の集め方、機能一覧やスケジュールなどが固まり、ようやく実際の開発がスタートしていきました。



――知らない世界にいきなり飛び込むことになったわけですが、何が一番大変でしたか?

そうですね、初めてのことだらけですべてが大変だったのですが、一番印象深いのは、何度もチームで話し合いを重ねて固まりかけていたサービスモデルを、いきなり佐藤CMOにひっくり返されたことですね…(笑)

当初は、ユーザーからのプレゼント相談ありきのサービスモデルではなく、プレゼントとなる商品やサービスの情報をデータベース化し、ユーザーが検索した際に自動でレコメンドすることを考えていました。質より量を重視していて、プレゼント情報を提案するために必要なデータをとにかくいろんな人から集めて「PitaPre」の管理画面にデータベースとして登録したいと考えていました。いわゆる人海戦術ですね。

しかしそれだとコストと労力が掛かりすぎるので現実的ではなく、むしろ”時代に逆行している“というご指摘をいただき、却下となってしまいました。その時はなんだか一気にスタートに戻ったような感じで、少し茫然としてしまいましたね。

でもそこから練り直していると、たしかにこの方法はあまりにも大変だなと思い直せるようになりました。そこから現在の、コンシェルジュがひとりひとりの相談に対してプレゼントアイデアを提案するというサービスモデルに行きついたので、今では佐藤CMOに対して「ひっくり返していただいてありがとうございます!」という思いでいっぱいです(笑)

――なんだかものすごく大変そうなんですけど…、社内起業って楽しいですか?

はい、すごく楽しいですね!

新しいことにチャレンジするのが好きなのですべてが自分の経験になっていくと思うと、すごく面白いです。

あと自分自身のマインドも変化しているのを感じています。

正直なところ最初は、ビジネスプランコンテストで優勝すれば、会社内で専任のプロジェクトチームが組まれ、潤沢な資金のもと開発がスタートするだろうという“超お気楽”な考えだったんです(笑)

でも実際は違って、自分が全てを対応しなければならず、徐々に『誰かが考えてくれるだろう、誰かやってくれるだろう』というような考えをなくしていくことができました。

あとは「PitaPre」は人の悩みを解消するサービスですので、これを通じて人に喜んでもらい、ほんの少しでも社会に貢献できるかもしれないと思うと、大変というよりも楽しさのほうが大きいですね。これからどんな素敵なモノやコト、素敵な人たちに出会えるんだろうと思うと、本当にワクワクします。

失敗を恐れずに挑戦してみると、意外と失敗は少ない

――今回のトランスコスモスでの社内起業を通じて武藤さんが気づいたことは何ですか?

大企業がゆえに、社内にはいろんな才能を持った方がたくさんいて、さまざまなシーンで助けていただける、ということです。

アプリデザインができる人、可愛いイラストが描ける人、法務や商標、システムなどに詳しい人などなど…本当に多くの方々にご協力いただきました。

チームの人数は少ないけれど、視野を広げてみると助けてくれる人が社内にたくさんいる。これは、社内起業の大きなメリットだと思いますね。

また予想に反して、社内からの応援が多かったことも新しい気づきでした。

「社内起業」となると、どうしても批判の声も多く出てくるのかなと覚悟していたのですが、まったくそんなことはなく、悩み相談をしたりして“弱み”を見せていくことで、逆に応援の声が増えていきました。

いただいた励ましやお褒めの言葉は、すべてエクセルで管理していて、心が折れそうになったときはそのメッセージを読み返して自分を鼓舞しています(笑)


<社内から届いた応援の声を記録したExcelファイル>


――これから社内起業にチャレンジする人も増えていくのかなと思いますが、社内起業をするにおいて大切なことって何だと思いますか?

失敗を恐れずにまずはやってみること、ですね。

私はもともと猪突猛進タイプではあるのですが、どうしても時間が空いちゃうと、あれこれとネガティブなことを考えてしまって、結局動けなくなったりしてしまうんです。

なので、「とにかくやってみる!」という精神をしっかり持って、今までやってきました。

すると意外にも、ネガティブな出来事ってあまり起きなかったんですよね。社内起業のネックになりそうな、社内調整やリソース不足、あとは家族の理解なども思いのほかスムーズに進みました。むしろ、助けられる機会が増えたというか。

ですので、とにかく失敗したときのことばかり考えずに、前に進むことが大切だと思います。

これは、今後の私自身へのメッセージでもありますね。

ひとつのアイデアから生まれたトランスコスモスの新規事業である「PitaPre(ピタプレ)」。


インタビューを通じて武藤さんの「内(うち)から湧き上がる情熱」こそが、社内起業を推進させる一番の秘訣なのだと感じました。


働くママが、社内起業家に。


トランスコスモスは今後も、このような新規事業の創出に向けた新しいチャレンジを続けてまいります。




吉田 由美子
吉田 由美子
トランスコスモスのインターネットプロモーション事業の広報担当として社内外へ情報発信をおこなう。

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