Googleアナリティクス4プロパティ(GA4)と、ユニバーサルアナリティクスの比較
2020年10月14日に、「Googleアナリティクス4プロパティ(略称:GA4プロパティ)」が発表されました。昨年にβ版としてリリースされた、「GoogleアナリティクスApp+Webプロパティ」の正式版です。Google社は、GA4プロパティがデフォルトのGoogleアナリティクスになるとアナウンスしています。
これまでのGA、つまりUA(ユニバーサルアナリティクス)はセッションを中心とした考え方でした。また、Webとアプリのデータは、別々に計測する必要がありました。一方、GA4プロパティはイベントが中心となり、Webとアプリを統合した計測・分析が可能になります。このことから、UAとは分析思想が異なっていると言えます。
本記事では、GA4プロパティとユニバーサルアナリティクスの違いを解説します。
※記載されている内容は、2020年11月15日時点のものです。実施にあたっては、事前にGoogle公式サイトを参照してください
※ ユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年7月1日にデータの計測が終了し、2024年1月以降サポートも順次終了します
※ 2023年9月更新
Webとアプリを統合する測定機能
【GOOD】
・Webとアプリのデータを統合した計測設定が可能に
・カスタムディメンション・カスタム変数の設定上限数がUP
・コンバージョン(目標)の設定上限数がUP
・デフォルト測定機能の強化
ユニバーサルアナリティクスとの大きな違いは、Webとアプリを統合し、一貫したユーザー行動を計測できることです。設定は、WebではGTMかgtag、アプリではFirebaseでおこないます。
カスタムディメンションとカスタム指標は、ユニバーサルアナリティクスでは各20個が上限だったのに対して、GA4プロパティでは各50個まで設定できます。
また、コンバージョン設定(ユニバーサルアナリティクスにおける「目標」)は、ユニバーサルアナリティクスでは20個が上限だったのに対して、GA4プロパティでは30個まで設定できます。
このように設定の上限数が増えており、GA4プロパティではより多くのデータを取得することができます。
さらに、デフォルトで測定できる機能が強化されています。従来のGoogleアナリティクスであれば、スクロール計測、動画計測などGTMのイベントタグを設定しなければ計測できなかった項目がありました。GA4プロパティでは、そのような項目をGTMのイベントタグを設定せずにボタン1つで計測することが可能です。計測できる項目は以下の通りです。
・スクロール率
・離脱クリック
・サイト内検索
・動画のエンゲージメント
・ファイルのダウンロード
GA4プロパティの管理画面
【BAD】
・参照元除外とデータインポートの機能は現状なし
一方で、ユニバーサルアナリティクスでよく使われてきた、データインポートや参照元除外の機能はまだありません。
ただし、最近でも、メジャメントプロトコル(α版)やクロスドメイントラッキング、(IPアドレスの)フィルタの機能が追加されるなど、GA4プロパティは着々と進化しています。
まだユニバーサルアナリティクスと全く同じ設定は実現できないものの、今後のアップデートに期待です。
ユーザーを深く理解するための分析機能
【GOOD】
・「エンゲージメント率」による新しいユーザー評価
・機械学習を用いた予測機能が登場
・アドホックな分析ができる「分析」が利用可能に
GA4プロパティではWebとアプリを統合して計測するため、イベント単位での計測に変わりました。
そのため、ユニバーサルアナリティクスに用意されていた、セッション単位の指標項目がなくなりました。代わりにGA4プロパティでは、サイトやアプリの10秒以上の利用や、2ページ以上の遷移などの場合にカウントされる、エンゲージメント率という指標が加わっています。これにより、直帰した場合でもページを見ていたユーザーの評価が可能になります。
また、オーディエンス(ユーザーリスト)作成画面に、機械学習によって、購入の可能性を予測する「購入確率(Purchase probability)」と、離脱の可能性を予想する「離脱確率(Churn probability)」などが提供されるようになりました。
・購入確率(Purchase probability):過去28日間のアクティブユーザーが今後7日間にコンバージョンする確率を予測
・離脱確率(Churn probability):アプリやウェブの過去7日間のアクティブユーザーが、今後7日間でアクティブにならない確率を予測
この機械学習を活用して作成したセグメントはGoogle広告に連携することが可能です。今まで以上にユーザーのリマーケティングなどの各種施策に繋げやすいツールになっています。
オーディエンス作成画面。ここでは機械学習に必要なデータ量がまだ不足しているため、「利用不可」となっています
さらに、カスタムレポートはなくなり、代わりにアドホック分析がおこなえる「分析」というメニューが出るようになりました。
自由度の高い集計をする「探索」。目標までステップを可視化する「目標到達プロセスの分析」。ユーザーの重複状況を可視化する「セグメントの重複」。個々のユーザーを追跡する「ユーザーエクスプローラー」。ユーザーの経路を可視化する「経路の分析」。さらにβ版ですが、「コホート分析」と「ユーザーのライフタイム」というメニューもあります。全7種類の分析が可能となりました。
GA4プロパティでは、より自由度の高い分析が手軽におこなえるようになっています。
分析メニュー画面
【BAD】
・標準で用意されているレポートが減少
ユニバーサルアナリティクスに比べて、よりユーザー軸を意識したレポート項目になりました。その結果、標準で用意されているレポートは少なくなっています。
そのため、「分析」を使う、あるいは後述するように、GA4プロパティがBigQueryに連携できることを生かし、BigQuery上で集計するなど、よりカスタマイズされたレポートの作成が必要になります。
BigQuery連携でさらなるデータ統合・分析
【GOOD】
・BigQueryへ連携が利用可能
GA4プロパティのデータを、Google Cloud Platform(GCP)のデータウェアハウスであるBigQueryへエクスポートできます。この機能の活用により、GCP上で、オフラインデータとの統合や、機械学習を用いての分析も可能になりました。
【BAD】
・連携できるプロダクトがまだ少ない
ユニバーサルアナリティクスと同様、Googleデータポータルへの連携はGA4プロパティでも可能です。ただし、Googleサーチコンソールや、Googleオプティマイズなどとの連携はまだできません。今後のアップデートが期待されます。
ユーザー単位で計測するための進化
GA4プロパティでは、User-ID/Googleシグナル/デバイスIDを使用し、同じIDに関連付けられたすべてのデータを一人のユーザーとして計測できます。
・User ID(会員)を活用したユーザーの識別
・Googleシグナルを活用したユーザーの識別
・デバイスID(Cookie ID/インスタンスID)を活用したユーザーの識別
また昨今、個人情報保護の観点からCookie(デバイスID)による識別の規制を強化する動きがあります。ユニバーサルアナリティクスでは、ほとんどのレポートがデバイスIDを使用しています。そのため、いずれはユーザーを識別することが難しくなります。
Google社は、GA4プロパティについて、将来的にはデータが不完全だとしてもカバーするための機能を用意するとアナウンスしています。
後書き
このように、GA4プロパティは、従来のユニバーサルアナリティクスとは多くの違いがあります。
イベントを中心とした計測方法のため、データの構造が違い、ユニバーサルアナリティクスで計測していたデータとは誤差も生じます。
トランスプラスでは、今後も「Googleアナリティクス4プロパティ」の動向を追い、情報を提供していきます。
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