catch-img

「事業所MVV」でクライアントに新たな価値を提供。進化するコンタクトセンターの“今”


今回は、デジタルカスタマーコミュニケーション(DCC)総括の金田浩充さんにコンタクトセンターで実施している「事業所MVV」の取り組みについてうかがいました。


金田浩充/トランスコスモス執行役員

デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括 共同総括責任者 兼 コミュニケーションプラットフォーム推進本部長。総勢2万2500人のDCCを束ね、「事業所MVV」を推進。リモートワーク化の体制も整えるなど、新たな時代のコンタクトセンターづくりに邁進。


目次[非表示]

  1. 「事業所MVV」でクライアントと併走
  2. テキスト化した会話を使い、顧客ニーズを抽出

「事業所MVV」でクライアントと併走

−コンタクトセンターでは「事業所MVV」に取り組まれているとのことですが、これはどのようなものなのでしょうか

MVVは、Mission、Vision、Valueの頭文字で、クライアント企業のありたい姿(Vision)を明確にして、それを実現するために果たすべき役割(Mission)を洗い出し、MissionやVisionを実現するための価値観や行動(Value)を決めるものになります。

もともと私たちの業界は、お客様の困りごとに対応することが業務の中心で、こちらから何かを提案することは少なかったんです。今後はこちらから企画提案も行い、より多くの価値を提供していこうということで、3年前からスタートした取り組みです。

具体的には、クライアント企業の中期・短期の事業計画をしっかりと理解し、その上で取引部署がどんなミッションを持っているのかをクライアントと一緒にワークショップなどを実施しながら見つけ、それを掲げたうえで事業所を運営するという流れになります。

クライアントからも、「ここまで考えてくれる会社はなかなかない」と好評をいただいています。


−そこまでするのはすごいですね!でも、従来の方法に比べて現場の負担が増えそうなイメージがあります。

一見遠回りのように見えるかもしれませんが、実際にはかなりプラスに作用していると感じています。

20年くらい前までは正社員だけでチームを組んでいましたが、今は契約社員や派遣社員も含めた混成チームになっています。すると価値観の共有が難しく、上層部の熱量が下まで届かない状態が起こりやすいんです。それを解消する手立てとしても事業所MVVは有効に機能していると思います。

ひとつ共通のゴールに向かって、みんなでワイワイ話すことで団結力を高めることができ、パフォーマンス向上や離職率の低減につながっています。


−離職率が下がったとのことですが、具体的にどのくらい変化がありましたか?

以前は、研修中やデビューから3か月以内に辞めてしまう人が20%近くいたのですが、現在は10%くらいまで減っています。

もともと短期間で離職してしまう人の多い職種なのですが、その大半は業務についていけないことが原因です。電話対応という性質上、必要な知識をあらかじめ完璧に備えておくのは現実的ではなく、わからないことがあったときに、臨機応変に対応することが求められます。ミッションを共有することで、そのあたりの対応がしやすくなっている側面はあると思います。


テキスト化した会話を使い、顧客ニーズを抽出

−そのほかに、他社との差別化として実施していることはありますか?

事業所MVVにデジタルソリューションを組み合わせることによって、より多くの価値を提供できるしくみを作っています。

たとえば、電話の会話内容は音声認識でテキスト化して、分析を行っています。音声認識によるテキスト化自体は一般的によく行われることですが、通常はFAQを充実させたり、Botのシナリオの精度を上げたりといったことに使われる程度のことが多いです。

私たちはそれらに加えて、お客様がどんなニーズを抱えているのかを拾っていくテキストマイニングのようなことも実施します。そのうえで、管理者の視点でもうひと手間分析をかけ、有効だと思われるお客様のニーズを抽出してクライアントに提案しています。

電話をかけてこられるお客様は、何かしらモヤモヤしたものを抱えているはずです。その気持ちを上手にときほぐし、テクニカルな側面とエモーショナルな側面の両方の問題を上手に解決することで、クライアント企業のファンを作ることを地道に続けています。




クライアント企業に新たな価値を提供しながら、スタッフの離職率低下にもつながる事業所MVVの取り組みはとても魅力的です。後編では、コンタクトセンター在宅勤務の現状についてうかがいます。

(後編につづく)


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

関連記事:

trans+(トランスプラス)に掲載しているコンテンツや、サイト内で紹介したサービスに関することなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

フォローする:

この記事をシェアする: