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【化粧品編】キーワードは「パーソナライズ」。リテール業界に求められる「今」と「未来」

コロナ禍によってここ数カ月で人々の生活が一変し、それによって経済も大きく変動を見せました。そのなかでも化粧品業界は、外出自粛や店舗での美容部員によるタッチアップ中止をはじめ、様々な影響により大きなダメージを受けることとなりました。

まだまだ続いていくと予測されるこの情勢下において、化粧品カテゴリを展開する企業は、どのようにして人々の消費行動の変化に伴うニーズに応えていくべきなのでしょうか。

トランスコスモスではこのような課題感を見据え、様々な業界の第一人者をお招きしリテール業界における「コロナ危機下の経営手法」や「今注目すべきソリューション」について議論するオンラインイベントを全3回に渡って開催しています。

本記事はその第三回、10/5(月)に開催した『Beauty(化粧品)業界におけるwith コロナ時代の進化と生き残り方』についてのダイジェスト版イベントレポートとなります。


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第2回:日用品編



●パネリスト

店舗のICT活用研究所 代表 郡司 昇 氏

Originals&co 代表 中根 志功 氏

コーセー 企画課 課長 小林 祐樹 氏

Sparty 新規事業責任者 横塚 まよ 氏

●モデレーター

トランスコスモス 常務執行役員 柏木 又浩

※以下、敬称略


目次[非表示]

  1. 「カスタマーサクセス」や「サステナブル」など。各社がwithコロナを生き抜くために重視したこと
  2. 【事例紹介】化粧品業界のデジタルトランスフォーメーション
  3. キーワードは「パーソナライズ」。各社がこれから取り組んでいくことは?

「カスタマーサクセス」や「サステナブル」など。各社がwithコロナを生き抜くために重視したこと

● withコロナで「化粧品業界」はどう変化したのか

では各社、コロナによってどのような影響があったのか、またそれに対する取り組みについてご紹介いただきます。まずは業界全体の概要として、郡司さんからお話いただきます。



はい、まずこの画像は、ロイターの資料(現在の週平均がその国の感染者のピークにどれほど近いか)に解説を加えたものです。

国別に見ると、日本はピーク時と比べると現在は32%の感染状況、1日あたりの数値(白枠部分)は100万人あたりで見ると感染者は4.1人、死者数は0.1人以下です。

アメリカは、ピーク時と比べると現在は64%の感染状況、1日あたりの100万人あたりの感染者は113.4人、死者数は2.1人。累積では日本のおよそ100倍近くの数字ですね。

また今一番厳しい状況にあるのがヨーロッパで、逆に収束しつつあるのが中国(ピーク時の1%未満)です。IMFが発表した世界経済の見通しグラフで見ても、経済が成長すると言われているのは世界で中国のみなんですよね。

そして一番問題なのは、今もなお大流行中のアメリカやヨーロッパが2021年には日本の倍ほどの成長率があると言われていて、そして世界主要国で経済が伸びないのは日本であると書かれていることです。

そのなかでも経済的に大打撃を受けているのが、今回のテーマである化粧品業界ですね。


<コロナ禍で売れた化粧品・売れなかった化粧品>


この画像は化粧品だけに限定した売れた商品・売れなかった商品の一覧なのですが、一番売れていたのは5月(左)はマニキュア、8月(右)になると洗顔クリームです。売れていないのはどちらも口紅ですね。口紅は、マスク習慣によって前年比7割減となりました。

そうなると今後は、マスクに影響しないマスカラやアイブロウなどに注力し始めるメーカーが増えたり、またマスクをしていても落ちにくい商品というのが開発されることが予測されます。今後ますます、売り方や売れる商品が変わってくるのではないのでしょうか。


● withコロナで「Sparty」はどう変化したのか

ありがとうございます。では続いて横塚さん、お願いします。


はい、まず最初にSpartyの事業をご説明しますと、Spartyは2つの事業が軸になっています。一つは「MEDULLA(メデュラ)」というパーソナライズヘアケア商品を毎月届けるサブスクリプション、もう一つは「HOTARU PERSONALIZED(ホタルパーソナライズド)」という、同じくパーソナライズのスキンケア商品のサブスクリプションです。どちらも診断結果をもとにそれぞれの人にあった成分を調合して届けるサービスです。



コロナによってどんな影響が出たかで言いますと、正直ネットだけで成立している事業なので逆にとてもいい影響を受けたんですよね。

例えば会員数ですが、1年前までは7-8万人だったのですが、今では現在21万人にまでなりました。



そしてコロナ状況を鑑みた取り組みとして、美容室/美容師向けの支援サービスを開始しました。

これまで商品を200店舗ほどの美容室で販売していたのですが、緊急事態宣言の発動によって70%が営業停止・休止してしまい、販売経路が縮小しました。また、美容室や美容師個人の収入源もなくなってしまいました。

そこで弊社は美容室/美容師向けのサポートをするために、通常は店内での接客中のみしか販売できなかった商品をSNSやブログでも販売できるというキャンペーンを実施しました。そこから購入に繋がった場合は通常の3倍ほどのマージンを先払いで支払うという仕組みです。

ありがたいことに300件以上の応募がありまして、そこから美容室間での認知拡大・導入店舗増加へとつなげていくことができました。


美容室って、もともと取り扱っているブランドが決まっているというイメージがあるんですが、こういうときだからこそあえてMEDULLAのような新しいものを取り入れようという動きがあったってことですか?


美容室も苦戦を強いられていましたので、美容室さん側からお問い合わせいただいたことが多かったです。


でもそういうの(店舗からの問い合わせ)ってやはり、基本は営業活動ありきなんですよね?


そうですね、社内に営業部隊があるのでずっと営業は続けていました。ガッツリとした営業です。そこにデジタルはないですね(笑)

あとはパーソナライズなので在庫を抱えずに済むんです。そこは美容室側としてもありがたいとのことで好評を得ることが出来ました。


● withコロナで「花王」はどう変化したのか

弊社はブランド保有数が多いため、とにかく課題整理の徹底を2-3月から実施してきました。

それらの課題の中でも特に、ブランドとお客さんとのつながりを真剣に考える必要性があるね、という事で、自社アプリ「スマイルコネクト」を活用したお客さんとのコミュニケーションを注視する事にしました。


<花王の美容情報アプリ「スマイルコネクト」>


また、カスタマーサクセスが生まれたお客さんのデータをどう把握していくかということも考え直していきました。

あるお客さんが商品を買ったり利用した時、いつも通りの体験だった方と何かしらカスタマーサクセスを得た方とで分かれます。後者のような方々を、データを活用してどう把握し、そしてさらなるブランド体験をどう提供していくことが出来るか、といった設計を取り組みとして実施しました。

カスタマーサクセスを感じるお客さんは、それぞれのブランド体験をもとに熱狂していくんですよね。ブランドバリューを作っていくのは、買い続けてくれているお客さんが持っている「何か」なんです。なので、今まで以上に各ブランドのバリューを見つめなおしてきました。


その課題整理のひとつとして、「グローバルカネボウ」というブランドを2月にリニューアルしています。

「グローバルカネボウ」はとにかく個性を大事にするブランドなんですが、では一体何がバリューなのか?を考えた結果、「単なる美しさではなく、希望を発信するブランド」であるとことがコアバリューである、という結論に至りました。


<リブランディングした「グローバルカネボウ」>


また、「みんな違ってみんな良い」というようなダイバーシティをこのブランドを通して一番伝えたかったので、それぞれの人にパーソナライズされた情報をどう提供できるか、というコミュニケーション設計でやってきました。


なるほど、ブランドの個性に合わせたコミュニケーション設計を見直すことで、よりファンとの関係構築を深めていったということですね。


● withコロナで「コーセー」はどう変化したのか

では続いて小林さん、よろしくお願いいたします。


コロナによる売上影響で言いますと、メイクアップ商品、特にリップを中心に売り上げが落ちてしまいましたね。しかし一方で、ECの売り上げは伸長しました。

商品単位で見ると、マスクによるメイク崩れを防げる「メイクキープミスト」がフィックスミスト市場で大きく伸長しました。あとはマスクのために作った商品ではないんですけど、肌の水分保持機能改善に強い商品が売れていますね。

マスクに関する悩みを抱える方々に好評で、マスクに関わる商品展開は必然的に好調に動いていきました。



<左:メイクキープミスト、右:水分保持機能のある美容液>


あとコーセーでは以前より「サステナブル」を重要視して事業を行ってきていますが、コロナ禍のような時こそ社会や経済、環境への取り組みを意識的に行い、みんなで力を合わせて、チームジャパンでやっていくべきだと思うんですよね。

ネガティブな数字を多く目にする情勢ではあるんですけど、そんな状況をポジティブに変えるための具体的な指標として、SDGsがあるのは非常に大事だと個人的には思っています。

そんなサステナブルの象徴ブランドとして、コーセーでは「雪肌精 クリアウェルネス」という新シリーズを誕生させました。ITOWAという日本産の植物から見出した独自成分を配合したスキンケア商品です。

雪肌精は、「Gift from the Earth 地球からいただく透明素肌」というブランドストーリーがあり、クリアウェルネスは地球からいただいた成分を、テクノロジーを介して透明素肌に導く化粧品にしていきましょう、という想いをもってリリースしました。



雪肌精はもとからサステナブルを意識したブランドではありますが、コロナでそれをより意識しなければという感じです。会社としてサステナブルのチームも設立したほどなので、この取り組みはこれからも推進していきます。


それって、そのサステナブルのチームが各ブランドとタイアップしてSDGsの項目の中からそれぞれのブランドに合うものを選んで企画を立てていく感じかと思いますが、ブランドは結構前のめりに参画してくれるんですか?


会社の大きな方向性をサステナビリティ戦略室が検討し、具体的な企画や取り組みをブランド・宣伝部が進めていきます。会社として、SDGsに注力していく、世界と戦うにはここから逃げちゃダメだ、目の前の売り上げばかりを見てはダメ、という社長からのメッセージもあり。


一般的な企業だと、会社トップがそれを言ったとしても、「いやそうは言っても原価が上がるしな…」となるじゃないですか(笑)。そこがさすがコーセーさんですよね。


まぁ小さくやれるところからですね。ドラッグストアなど流通の皆様にもご協力いただいて「SAVE the BLUE」の活動としてサンゴ苗つけ活動をしてまして。中根さんにもマーケティングアジェンダの企画で参加いただきましたね。


植えましたね。競合にも体験させようとするからすごい(笑)


ドラッグストア様としても「雪肌精の“SAVE the BLUE”を応援しています!」というメッセージを発信していただける。それだけでもSDGsに参画していることになれますよね。できることからやっていくのがSDGsです。

日本人って、こういう「良いこと」を外に発信することを躊躇してしまうところがあります。だけど最近のZ世代は、そういったソーシャルグッドな取り組みをしている企業に興味を持ったりするんですよね。

【事例紹介】化粧品業界のデジタルトランスフォーメーション

● バーチャルメイクの可能性(パーソナライズとデータ蓄積)

ではここからは、各社で取り組んでいるデジタルトランスフォーメーション事例についてご紹介いただきたいと思います。

まずは郡司さんから、化粧品業界の各社の代表的な取り組みについてお願いいたします。


はい、まずは業界ではご存知の方も多いYouCamメイクですね。これは顔をタブレット等で映して、そこにバーチャルで口紅などのメイクを乗せていくものです。

今までは外資系などの大手化粧品メーカーがブランドごとに導入していることが多かったのですが、高島屋さんがこれを初めてブランド横断で実施しました。

コスメ単位でブランドを選べるので、例えばAというブランドのファンデーションにBというブランドのチークを重ねるというようなことが出来るんです。

個人的にこのようなバーチャルメイクの可能性はかなり広いと思っていて、数年前は顔に絵の具を塗ったようなレベルで遊びの部分が大きかったんですが、今はテクノロジーの進化もあってかなり出来が良くなっていると思います。


参考:化粧品店頭カウンセリングツールとしてARメイクアプリ「YouCamメイク」を髙島屋が導入


またAmazonにもバーチャルメイクという機能があり、これはオンライン上で出来るので店舗に足を運ぶ必要がありません。自分の顔写真を撮って試すだけ。意外とナチュラルな仕上がりになります。アプリやWeb上で出来るという点が多くの人に使われている仕組みになっている可能性が高いと思います。

これはAmazonが開発しているわけではなくこのエンジンはロレアルグループのモディフェイスがプラットフォーマーとして実施していて、そこに多くの化粧品メーカーが参画しています。自宅で簡単にできるので、どんどんそのデータが溜まっていくんですよね。そうなるとプラットフォーマーでやっているロレアルは強いなと思います。


参考:Amazon、AIを活用したバーチャルメイク機能を導入


● 花王:ダイバーシティとパーソナライズで顧客が求める体験を。

私たちはダイバーシティ/言語対応のHowTo動画を配信しています。

今までも同様のサービスはありましたが、グローバルで見るとモデルを採用するにあたり結局どこかの人種に頼ってしまうんですよね。そうなると多様な人種がいる国では、「これは私のことではない」といったように簡単に拒否をされちゃいます。

そこで、ARを使って自分自身をカメラに映せる技術を採用し、「自分のためのスキンケアをはじめよう」というメッセージとともに、自身が主役となるスキンケア方法をメソッドとして伝えていくようにしました。


<AR技術を活用したHow To動画配信>


あとは先ほどお話した自社アプリの「スマイルコネクト」では、ユーザーが最も多く見ているページが「購入履歴」だったため、そこにさまざまな情報を掲載するようにしました。

コスメは安い商品ではないので、計画購買が多い。そろそろ次を買うか否かというタイミングでおすすめの使い方や他の購入者のコメントを表示させておくことで、再購入が生まれるのではないかなと。

このような顧客自身が見つけられることができる場に、価値を提示できるコンテンツを設計することで、CXMといわれるような世界を作っていきたいと思っています。


<ビューが多い購入履歴の下に様々な情報を配置>


またこのような各ブランドのCXMの取り組みをLINEのミニアプリを使って「ブランドパスポートby LINE」という名前で10月からスタートさせました。

ブランドによってカラーが違うので、各課題を自分たちのオウンドメディアでパーソナライズして発信しています。

より深い関係構築のために顧客が求める体験をくみ取ってコンテンツ提供する、そのような力がコロナ禍では試されているのではないかと思っています。


<「ブランドパスポートby LINE」イメージイラスト>


ブランドのオウンドメディアをLINEミニアプリで始めたのはなぜなんですか?


基本的に会社の戦略がいちばん大きいけど、ブランドと顧客がしっかりカスタマーサクセスを感じられるようにすること、あとブランド側の欲求として、カスタマーサクセスが生まれる瞬間を把握したいというのがあり、それにはパーソナライズが必要だと思っています。

そこでいうとLINEは特に良いかなと。ブランドの公式アカウントをフォローしている人が自社アプリにどれくらいいるんだろう、というところから見込み顧客率が計れるんですよね。

しっかりデータドリブンの仕組みを構築し、見込み顧客やインサイトを推し量っていくことを、LINEミニアプリでできたらなぁと思って今やっています。


<カネボウのブランド「SENSAI」のLINEミニアプリ>


● コーセー:デジタルを活用した新しいパーソナライズ美容体験

私たちの取り組みとしては、メゾンコーセーという初のデジタルトライアル拠点が銀座にありまして、そこを先日“雪肌精”の世界観を体験できるようにしました。雪肌精は水が自然の中でも大事なものと捉えているブランドなので、水滴の気持ちになってどう自然を巡りまわって、そしてどう商品に落ちているかという世界を体験できるコーナーもあります。


参考:コーセー“体験型”コンセプトストア「メゾンコーセー」銀座に、米国コスメ「タルト」も日本初上陸


私の担当ではないのですが、そのショップの中で一番人気なのが、パーソナライズドシートマスクのサービスです。

市販のマスクだと目と鼻の位置が人によって合わなかったりするので、カメラで顔の形を取りレーザーで顔に合わせて切り取ったオリジナルマスクを作るというものです。



あとは日本の化粧品業界初の、スタッフが実際に自分の悩みを公表しながら商品を紹介するサイトや、美容部員がHow Toを伝えるコスメデコルテYouTubeコンシェルジュチャンネルを立ち上げました。これはコロナ前から始めている取り組みでして、それまでインバウンド効果もありお店に行列が出来てしまっていたことから、お待たせしている間にお見せするつもりで始めたんですよね。申し訳ない、という気持ちから企画はスタートしたものです。

でもコロナによってお店でタッチアップを受けられないようになり、お客さまが各自で悩みを解決しなければならない、というところで再生数がのびていきました。



● Sparty:デジタルとオフラインの相互作用で利益が約2倍伸長

ありがとうございます。では続いて、Spartyさんの取り組みをご紹介いただけますか?


はい、Spartyの場合はリテールをほぼやっていないので、もはやすべてがDX施策でしかないんですよね(笑)

サービスの仕組みとしては、サイト上で感覚的に9つの質問を選んでもらうだけで30,000通りのなかからパーソナライズされた商品が届き、そして翌月以降にフィードバックとして香りや使用感についての「再診断」をしてもらいます。これを繰り返していくことで、毎月どんどん良いものが届くという仕組みになっています。



ターゲットは、「調べたり探すのは面倒くさいけど、自分にあったものが欲しい人」です。

9つの診断を面倒くさいと感じさせないために、UXの体験の可愛さと楽しさでカバーするようにしています。

あととにかく「再診断」にこだわっていて、「再診断」をした方のほぼ100%は次に届くものが気になって、継続してもらえるんですよね。なのでKPIを「再診断」をKPIにすることもあります。


なるほど、「再診断」は良いですね!たしかに次が欲しくなりますもん。


そうなんです(笑)なので同じ座組でスキンケアのほうも始めました。


あとはリテール領域としては、店舗限定のオンラインストアを開始しました。

「店舗限定のオンラインストア」ってちょっと意味が分からないかもしれないですけど(笑)、弊社はサブスクモデルのため、基本的には単品で商品を買うことができないんです。そこを、店舗でしか利用できないオンラインショップを立ち上げることで、単品で商品を買えるようにしたということです。



オフラインの店舗だけだと売り上げも厳しいところはあったんですが、オンラインと組み合わせることで2月と9月で比較するとおかげさまで利益が約二倍に伸長しました。


なるほど、「店舗限定のオンラインストア」は今までにあまりない発想ですね。ありがとうございます。

キーワードは「パーソナライズ」。各社がこれから取り組んでいくことは?

では最後に各社、今後取り組んでいきたいことを教えてください。


今日の話で共通話題だったのが、YouCamのプラットフォームですよね。どのブランドもすぐ導入できるし、リテールさん側もブランドをまたいで使える。でもひとつ課題なのが、データを買うことができないんです。データをストックしたり過去の履歴を見ることができない。

でもデータを自社サーバーに溜めていかないと、2回目の体験がつくれないんです。

その体験を継続していくためにも、たとえばYouCamで撮った顔をIDにしたりなどして顧客をつないでいき、必要な体験をパーソナライズ化してメーカーは届けていきたいなと思っています。


弊社は現在、メーカーという立ち位置ではあるんですが、今後の戦略としては今現在のビジネスの仕組みを活用し、パーソナライズに特化したECソリューションとして提供していきたいと思っています。

ずっとリテールしかやってこなかった大手メーカーと組んで、パーソナライズサービスを新規事業として作っていきたい。やはり自分たちでブランドを開発していると限界があるので、そこを老舗メーカーとコラボすることで、Spartyの強みと老舗の商品開発力をうまく組み合わせたビジネスというものをやっていきたいです。


コーセーはやはり今までの常識に捉われないサステナブルな活動ですね。

冒頭にも触れましたがSDGsなんて理想論だという意見もありますが、世界においてジャパンビューティーの力を示し、そこで勝ち抜くにはそこから逃げてはだめだと思うのです。それがブランドパーパスや、経営にも直結する時代になってきているという認識です。

中根さんの話でもありますが、データを活用したコミュニケーションの推進、DXもサステナブルな思考の下で実施することが新しい常識になっていくと思うのですよね。

あとは、今後取り組みたいのは花王さんにどう勝つか、ですね(笑)


頑張ってください(笑)


(笑)


ありがとうございます。では最後に郡司さん、全体として今後どうなっていきそうでしょうか?


そうですね、休憩時間に衝撃的なことを横塚さんから聞いたんですが、「リップアート」という、唇に色を入れるものですね。マスクに口紅がつかなくて済むという点で、コロナ禍ですごく増えていると。

そうなると、化粧品ってなんなの?ってなりますよね(笑)

もともと眉はやっている人も多かったですが、でもこれがどんどん増えていくと化粧品のカテゴリが崩壊していって、いま口紅が前年比30%だなんて言っていますが、それをただ「じゃぁ60%に戻そうぜ!」という話ではなくなる。

でもおそらくお客さんはどんどんリップアートのようなものに流れていっちゃうじゃないですか。すると商品も、リップアートの上からちょっと盛りたいときに塗る用の商品などが開発されていくと思うんです。

そうするともう今は、どこにでもあるようなものを作ってどこにでもあるようなチャネルで売っていたら、ぜんぜん売れなくなってくるんだなって。そう思わされましたね。

やはり化粧品業界のキーワードは「パーソナライズ」。一人ひとり、自分の個性に合わせた商品を、自分で選択していく。それをどうやって小売りやメーカーが手助けしていくべきか、という感じですね。


ありがとうございます。今日のお話を通して、うわべのパーソナライズじゃなくてリアリティのあるパーソナライズって何なんだろう、といったことが見えてきたんじゃないかなと思います。どうもありがとうございました。



トランスコスモスでは、様々なオンラインセミナーを開催しています。

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吉田 由美子
吉田 由美子
トランスコスモスのインターネットプロモーション事業の広報担当として社内外へ情報発信をおこなう。

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