DXの推進に必要不可欠! いち早くIT人材を育成することの重要性とは
グローバル企業との競争が激化するなか、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは日本企業にとって重要な経営課題となっていますが、DXを推進するためにはIT人材の確保が必要不可欠です。総務省が発表した『令和3年版 情報通信白書』によると、日本企業がDXを推進するうえで課題として感じていることで最も多かったのは「ICT人材の不足」で53.1%となっています。
また、経済産業省が2018年に発表した『DXレポート』では、2025年には複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの残存および、IT人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりにより、グローバルでの競争の遅れや企業の経済活動の停滞が発生すると指摘されています。
2030年には最低でも約16万人、最高で約79万人ものIT人材不足が起こることが懸念されており、前述の『2025年の崖』を始めとする将来的な課題に対し、早期に対策を講じることが重要です。
参考:経済産業省 平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業) IT人材需給に関する調査
こうした将来的な課題を見据え、IT人財(※)の育成に力を入れているトランスコスモスとして、データやAIを活用した現場の課題解決や企画立案に長けた人財を育成するプロジェクト『トラのアナAIアカデミー』を実施しています。
そこで本記事では、IT人財の育成・確保がなぜ重要なのか、トラのアナAIアカデミーによってトランスコスモスが目指すものとは一体何なのかを、連載形式でご紹介します。
※トランスコスモスでは人が財産ということから人財(=人材)と表記しています
※2024年2月更新
データ活用人財育成プロジェクト「トラのアナAIアカデミー」
少子高齢化や人口減少に伴う労働力の減少、多様化する顧客からの要望、膨大な量のデータ分析・活用、アフターコロナでの働き方やワークライフバランスの変化など、企業活動における課題は複雑化し、人間の能力だけでは解決することが困難な時代になってきました。
こうしたことから業務効率化・生産性向上・顧客満足度向上などを後押しするための方法としてAIの活用が注目されているものの、「社内でAIを学習するための環境が整っていない」「AIを活用したいが具体的な利用イメージが想像できない」「AIの活用をリードしてくれるような組織が社内に無い」といった悩みを抱える企業が多いのが現状です。
このような背景から、トランスコスモスでは2019年から『トラのアナ ゼミナール』という選抜型の研修を開催し、AIに関する基礎知識はもちろん、その前提になるデータリテラシーの向上と、データやAIを使いこなすための企画立ち上げスキルを学習する機会を社員に提供してきました。
しかし、少数選抜型ではなくもっと裾野を広げて実施して欲しい、時間や場所を選ばず学べる環境が欲しい、AI活用のアイデアを持ち寄って企画化していく機会を作ってほしいなど、さまざまな要望が社内から寄せられました。
そこでより多くの人に参加してもらいやすくするため、『Growth X(株式会社グロース X)』の研修メニューサービスを活用し、スマホアプリを使って、これまで以上に分かりやすく、そして初心者でも気軽に参加できる『トラのアナAIアカデミー(グロース X AI・DX人材)』を2022年度よりスタートしました。
「自己肯定感のある社会をつくる」をミッションに掲げる人材育成の専門企業、株式会社グロースXにて提供される『トラのアナAIアカデミー(グロース X AI・DX人材)』は、日本のAI教育における第一人者である、株式会社ELYZA 取締役CMO 野口 竜司氏監修のもと、AIを活用した現場運用改善企画の立ち上げ、AIの導入から活用、データ収集・分析などができる人財を育成し、お客様企業のDX実現を手厚くフォロー、これまで以上に幅広い分野をサポートすることができる人財を増やすことを目的としています。
野口竜司氏
AI戦略アドバイザー
株式会社ELYZA 取締役CMO
一般社団法人金融データ活用推進協会 顧問
日本ディープラーニング協会 人材育成委員
株式会社ZOZO NEXT 取締役CAIO(Chief AI Officer)やZホールディングス(現 LINEヤフー株式会社) Z AIアカデミア幹事を経て現職。文系AI人材として、事業会社でのAI戦略/企画や数々のAIプロジェクト推進に関わる。企業のDX責任者を集めるDX MGR clubの運営や、大企業のDX推進コンサルティングも実施。日本ディープラーニング協会 人材育成委員。
著書に『文系AI人材になる』(東洋経済新報社)、『管理職はいらない AI時代のシン・キャリア』(SBクリエイティブ)など
AIを使いこなす人財を育成することの重要性
スマートフォンの利用やリモート会議でのミーティングが当たり前になっているように、今後、AIが至る場面で登場し、それを使いこなすのが当たり前になる時代がいずれやってきます。
AIは既に画像認識率や文字の読解力の高さにおいては人間の能力を遥かに凌駕する結果を残しており、さらにEduRef.netによると人間が平均で3日かけて作成するレポートをAIならわずか20分ほどで作成してしまうといった驚きの研究結果も出ています。(参考:https://best-universities.net/features/what-grades-can-ai-get-in-college/)
加えて、現在の義務教育ではAI教育が充実しており、日ごろからプログラミングやAIに関する知識・スキルを学び、触れている、いわゆる「AIネイティブキッズ」が将来的にAIを特に意識せず使いこなせるようになっている一方、これまでAIの教育を受けてこなかった今の社会人は近い将来、テクノロジーの進歩に置いていかれる恐れがあります。
経済産業省の調査でも2018年から既にAI人材全体の需給のバランスが崩れはじめていることが指摘されており、AIに関する知識や技術は必要に駆られてから急いで学び始めても、そう簡単に身につくものではありません。そのため、今のうちからAIを使いこなすことができる人財を育成することが、将来的に企業の活動に大きな影響を与えます。
参考:経済産業省 平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業) IT人材需給に関する調査
『トラのアナAIアカデミー(グロースX AI・DX人材)』では、6か月間の学習カリキュラムでAIの基礎から応用までを身につけることで「網羅的にAIの基礎が学べて共通言語が生まれる」「企画のコツや事例を学びつつAI企画アイデアを生み出せる」「大勢で同時期に同じ内容のカリキュラムを受講することでチーム全体のAI活用マインドや目利き力が向上し、AI推進力が上がる」といった効果を発揮します。
しかし、どれだけ高度な知識を身につけても、実際にAIに触れなければ現場で運用する際の活用イメージも湧いてきません。そこで、学習した内容を踏まえてAI企画ワークショップを開催し、どのようなデータに対しAIをどのように活用するのか、何の課題を解決しどんな効果を生み出すのか、その成果の見せ方や事後の運用方法をどのように企画・設計するのかなどの実践的なスキルも学習してもらうことで、AIを実際の業務に活用できるような人財の育成を目指しています。
AIソリューションを運用するうえでボトルネックとなりやすい「AIの現場導入」「AIの利用管理」ができる人財を増やします
トランスコスモス・アナリティクス 北出塾長からのコメント
データやAIを活用することが「楽しい」と感じられる学びの場を提供していきます
トランスコスモスでは、これまでも座学研修やe-learningなどの形でITやデータ活用に関する学習機会を社員に提供してきました。それらの研修を通じて、データサイエンティストやAIエンジニアといった、統計知識やプログラミング技術などの高度なスキルを持つ専門家を育成することが必要です。
しかし、そうした専門技能と、現場の業務や問題を理解したうえでデータやAIを活用する機会を見出し、それを企画として形にし、改善策の立案や課題解決に結びつけるスキルは別物です。そしてこれからの時代は、後者のスキルの重要性がますます高くなると考えています。
そのような思いから、数年前に「トラのアナ ゼミナール」を立ち上げ、既に100名の社員が受講しており、数多くのデータ×AI活用施策を企画し実行に移していただいています。そして2022年度からは受講者の裾野を拡大し、より多くの人に気軽に学んでもらえる「トラのアナ AIアカデミー」として提供方法を変え、200名を超す社員に受講してもらえるようになりました。
パソコンやExcelを使うような感覚で、当たり前のようにAIや機械学習を日々の業務の中で使う時代が目の前に迫っています。社員に「時代に取り残されないように…」と危機感も持ってもらうことも大事ですが、自主的・継続的に学習してもらうためには「データやAIの活用って難しく考えていたけど、こんなに便利で楽しいものなんだ!」と感じてもらえるような学びの場を提供することが、実は最も大事ではないかと考えています。
今後も、トランスコスモス社員のデータリテラシーの向上に取り組むことで、お客様企業におけるデータやAIの活用を促進し、より満足度と生産性の高い社会の実現につながるよう努めてまいります。