【未来Talk第4弾】 「いま、この瞬間の心の動き」まで捉えたCXが導くマーケティングの未来

【未来Talk第4弾】 「いま、この瞬間の心の動き」まで捉えたCXが導くマーケティングの未来

ユーザーニーズが多様化し、ユーザーと企業との接点となるチャネルも増えている今、「CX(=Customer Experience、顧客体験)」向上は、ビジネスで成功する上で欠かせないポイントとなりました。
そこでトランスコスモス 理事・山田和宏(カズさん)、 今回はCXを事業テーマに掲げる株式会社プレイド 代表取締役CEO倉橋さんに会いにいくことに。
2015年にCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」をリリースし、急成長SaaS企業として注目を集めるプレイド社を率いる倉橋さんと、デジタルマーケティングの現状の課題、そしてこれからのマーケティングのあるべき姿について、お話してきました。

 

倉橋 健太

株式会社プレイド 代表取締役CEO
大学を卒業後、楽天株式会社に新卒入社。楽天市場におけるWebディレクション、マーケティング、モバイル戦略、広告戦略等、多岐にわたる領域を担当し、楽天市場事業の成長に貢献。
2011年にプレイドを創業。2015年3月にCX Platform KARTEをリリース。EC・人材・不動産・金融など幅広い業種で導入が進んでおり、サービス開始から4年でのべ42億ユーザーを解析。国内有数のSaaSスタートアップとして、圧倒的な成長を続けている。主な表彰として、デロイトトーマツFast50 2018 第3位、Forbes Cloud/SaaS Ranking2018 4位、他

趣味:フットサル、旅行、食事

好きな食べ物:カレーライス

仕事のリフレッシュ方法:趣味に同じ、または全力で何もしないこと

仕事で一番大事にしていること:楽しいか、発見があるか、胸を張れるか

部下の育て方で気を付けていること:部下だと思わないこと。その人の魅力を信頼すること

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」と倉橋さんについて

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カズさん

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の概要については、CMでご確認いただくとして…

…倉橋さん、プレイドを立ち上げるまでの間は、何をされていたんですか?

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倉橋さん

新卒では、楽天へ入社しています。もともと「何か新しいものを作りたい」という起業への想いが強く、まずは企業の中でビジネスを学ぼうと考えました。 関西在住でしたので、楽天を知ったのはヴィッセル神戸のユニフォームにロゴが載っていたからなのですが(笑)、採用プロセスで会う社員の方の誰もが魅力的で、'ぜひここで働きたい'と。当時、特に伸びている業界にあったこと、事業の幅が広かったことにも後押しされました。

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カズさん

プレイド社の設立は2011年10月なので、楽天には約6年半いらして。

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倉橋さん

はい。5年目のお盆休みに、ぽっかり時間が取れて、「あれ?起業しなくて良いのか?」と(笑)。初心を思い出したんです。それから起業に向けて事業テーマを練っていきました。

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カズさん

KARTEは、プレイド創業当時からの事業ではないんですよね?

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倉橋さん

ええ、創業当時の事業ドメインは、飲食系のアプリでした。 KARTEの構想ができたのは、現在プレイドでCPOを務める柴山(共同創業者・柴山直樹氏)と出会ったことが大きいです。ビジネスに関するディスカッションを重ねて、顧客体験の価値向上を支える「CXプラットフォーム」というサービスの軸を決めていくことができました。

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カズさん

そこから2014年に資金調達を経て、2015年にKARTEをローンチ。今では数多くのWebサイトやアプリなどに起用されていますが、実際に導入されたお客様企業からの反応としては、どのようなものがありますか?

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倉橋さん

サービス導入がシンプルにできるという特長からか、施策を実行して終わりではなく、とにかくPDCAを高速で回し続けることに意義を見出しているお客様企業が多いです。社内やマーケターの中にある仮説はあくまで仮説で、それを実際に試してみて、そこから学びを得続けていくことが大切だとご理解いただいています。

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カズさん

なるほど。たしかに、どんなツールも導入してからが勝負ですよね。 ちなみに、KARTEをリリースした当時と比較して、マーケティング担当者の意識や状況は、どう変化していると感じます?

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倉橋さん

当初は「Web接客」というカテゴリを創出し、展開していました。ただ、次第に「人が人に寄り添う」という、本来KARTEで果たしたかった概念から離れ、「Web接客=ポップアップやチャット」とイメージされてしまうケースも出てきて。 そこで、改めて「CXプラットフォーム」と再定義した経緯があるのですが、現在では、「Webサイト上でポップアップを出せば充分だ」といった発想は、マーケターの中で希薄になりました。 そうではなく、ユーザー一人ひとりに合わせたコミュニケーションをどのように実現するか――それはポップアップに限らず、LINEやメールなど様々なチャネルで――というところに意識が向いている、と感じます。

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カズさん

トランスコスモスではKARTEを活用したWebサイト運用や、LINE・TwitterなどのSNSをはじめ、お客様企業のユーザーとの接点の運用を広く支援していますが、お客様企業内でも、「最適なタイミングに、最適なチャネルで、ユーザーとのコミュニケーションを図ろう」という姿勢が浸透してきている実感があります。

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倉橋さん

コモディティ化が進展し、またユーザー接点が拡大する今、マーケターはネットの向こう側にいるユーザーを「一人の人」として把握し、それに寄り添うことが求められていますよね。 一方で、インターネットの構造的な欠陥に、「'人'が見えない」ことがあると思っています。人の気持ちはリアルタイムで変化するのに、ネットではそれに寄り添うことができていなかった。その点をテクノロジーで解決していくのが、我々の役割だと思っています。

デジタルマーケティングにおける「いまの課題」

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カズさん

KARTEを導入しているお客様企業に共通する課題はありますか?

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倉橋さん

データの活用ですね。「データがツールごとにばらばらに貯まっている」、あるいは「データの蓄積はできているけれど、うまく鮮度あるうちに活用できていない」といった課題を伺う機会が多いです。

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カズさん

運用の現場でも多く挙がる課題ですね…。

データ活用の課題を解決するべく、トランスコスモスが支援をさせていただいた例としては、KARTEとセールスフォース・ドットコムが提供する「Salesforce Marketing Cloud」との連携プロジェクトがいくつかあります。

たとえば、KARTEやSalesforce Marketing Cloudといったツール、加えてマーケティングデータを蓄積したDMPなどがすでに導入されている状況であっても、「データの保持はしているけれど、ツールごとで分断されていて困っている」、「データをもとにユーザーと接するチャネルが複雑化して、制御が難しい」といった、運用上の課題が残っていることは、まだまだ多いです。こうしたケースに対してトランスコスモスでは、KARTE Datahubを活用し、各ツールを介して取得するデータの統合からサポートさせていただいております。

 

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カズさん

KARTEとSalesforce Marketing Cloudの連携によってデータの分断が緩和され、Webサイト・メール・SMS・アプリ・LINEなど、各チャネルを通じた「One to Oneコミュニケーション」を強固にできたお客様企業では、運用の中でPDCAを重ね、より高い成果を出していこうとされています。
「ユーザーの一人ひとりと最適なコミュニケーションを図りたい」一方で、慢性的な人手不足や働き方改革も課題となっているお客様企業を支援する上で、Salesforce Marketing CloudというMAツールの連携は、たいへん心強いなと改めて思っています。

オンラインのユーザーへのリアルタイムな接客をVRで表現する

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カズさん

先ほど触れられた、「インターネットでは'人'が見えない」課題について、可視化する取り組みを始めたそうですね。

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倉橋さん

はい、「K∀RT3 GARDEN(カルテ ガーデン)」という実験的な取り組みを進めています。KARTEでできることを、VRで表現する取り組みです。

Webサイトへの来訪者を「1PV」のような数字ではなく、一人の人間として感じ取ってもらえるよう、サイト上のユーザーの行動を可視化。実店舗で接客する際と同じように、リアルタイムで見られるようにしています。

<パルが展開するファッション通販サイト「PAL CLOSET」の協力のもと、実際にサイトに訪問中の顧客の動きをVR空間で視覚化>

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倉橋さん

「JAM HOME MADE 東京店」様との試みでは、Webサイトに訪問しているユーザーをアバター化して、リアルタイムで実店舗内に投影しました。そうすることによって、オン・オフの両ユーザーがあたかも同じ空間にいるような情景をつくりだし、実店舗ですれ違う時と同様、両ユーザーが「会っている」感覚が持てる空間にしました。

K∀RT3 GARDEN(カルテガーデン)を店舗に実装し「JAM HOME MADE 東京店」が2019年度グッドデザイン賞を受賞

デジタルマーケティングの「これから」

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倉橋さん

インターネットが普及して以降、マーケティングは定量的な評価がメインでした。「サイト流入を〇%増加させて、ページ内のクリック率を〇%上げて、その先のCVRを〇%向上させましょう」というステップで目標を管理するような。 これからのデジタルマーケティングは、'定性的'になっていくと思っています。 数字と向き合うだけではなく、また、相関関係アプローチではなく、「訪問者がなぜサイトを訪問したのか」、「なぜこの商品を買ったのか」など、因果関係を踏まえた上でのアプローチですね。

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カズさん

そうですね。また、ユーザー理解の段階も、マーケティング施策の段階も、これまではどうしても「担当者の勘」に代表されるように属人的な面も強くありました。データの総量が増え、解析・活用ツールが進化した今、マーケターは根拠となるデータを後ろ盾とし、クリアなPDCAを回していく必要があると感じます。

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倉橋さん

「デジタルトランスフォーメーション」が提唱されて久しいですが、この先さらに、ユーザー側のリテラシー、そして企業への期待値が高まっていきます。 ユーザーと接点を持てるチャネルも、ブランドの選択肢も拡大する中で、「ユーザーに寄り添い、満足度を高めよう」とする姿勢が企業になければ、ユーザーにはすぐに気づかれてしまう。それを理由としたブランド離反も起こるでしょう。

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カズさん

面白いと同時に、おそろしい時代になってきましたね…。マーケターは、どのような対策を考えていくべきだと思いますか?

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倉橋さん

「自分がユーザーの立場にたったときに、好ましくない体験を提供された場合、自分はそのサイトやブランドを選び続けるだろうか?」ということに尽きるかも知れません。 既存の施策の何を残して、何を残さないのか。どんな新しい施策を始めて、何は実施しないのか。――「このブランドでは、この会社では、そもそも何がしたかったのか」に立ち返り、自社ならではのCXを追求する。そして、ユーザーに提供する体験価値を向上させていく企業やブランドが、これからの時代に選ばれていくのだろうと考えています。

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倉橋さん

とはいえ、CXってやっぱり、難しい(笑)。 そこで、プレイドではこれまでもCXを知るための入り口として、'体験'にフォーカスをあてたメディア「XD(クロスディー)」などのメディアを運用してきたのですが、季刊誌も新たに発行することにしました。 紙ならではの肌触り、視覚的な理解しやすさ、そして手に取りやすさがあると思いますので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。

データの民主化をかなえるための「機械学習」への挑戦

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カズさん

たしかに、意志を持って自らの価値観を提示できるブランドや企業に、評価が集まる時代になっていきそうですね。 …ちなみにプレイド社は、いかがでしょう? 私には進化し続けている印象が強いのですが。

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倉橋さん

想定している理想形まで、まだまだ…今が1/10くらいのステップです(笑)

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カズさん

現状が1/10ですか? GINZA SIXにオフィスがあるのに(笑)?

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倉橋さん

(笑)。まだまだ、社内的には、道半ばである認識です。我々の基本スタンスが、「お客様企業の困りごとに対して解決策を提示する」のではなく、「本当は、どうなるのがベストか?」という視点で、サービス設計をしているからかも知れません。

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カズさん

理想形に近づけていくために、何か直近で取り組まれていることについて、教えていただけますか?

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倉橋さん

そうですね、「データ活用に課題がある企業が多い」という話をしましたが、我々テクノロジー提供側ができることは大きくふたつあると思っています。 ひとつは、企業が保持する膨大なデータを、たとえばクエリを書かなくて良いなど、活用しやすい状態にするための'前処理'をサポートすること。 そしてもうひとつが、膨大なデータを'解釈'に活かす支援をすること。いわゆる機械学習の分野ですが、たとえばユーザーの行動データからパターンを抽出し、その行動データに意味を付与して、ユーザーの'解像度'を上げながら、施策へ活かしていくことができれば、精度の高い「あるべきデジタルマーケティング」の実現に寄与できるはずです。 「Google Cloud Next 19 ' in Tokyo」にてCTO 牧野が発表しましたが、プレイドでは、機械学習基盤の提供に向けた開発を、引き続き進めていきます。

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カズさん

とても楽しみですね。 もう少し手前の話になりますが、まずはKARTEで取得できる幅広いデータを蓄積しておく、そして施策運用の中でチャレンジを重ねていくことからも、それぞれのお客様企業にとっての「デジタルマーケティングのあるべき姿」を目指せるはず。 トランスコスモスとしては、導入・運用の専門家集団となって、マーケターを強力に支援していきたいと考えています。

今回ご登場された株式会社プレイド 代表取締役CEO 倉橋様、株式会社セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 笹 俊文 様、モデレーターに株式会社ニューズピックス チーフブランドエディター木村 剛士 様をお迎えし、トランスコスモス株式会社 理事 山田とともに、 「One to Oneマーケティングの現状と未来」と題した講演を実施します。

トランスコスモス DECフォーラム 2019
https://www.trans-cosmos.co.jp/decf2019/

※2019年11月26日(大阪)、27日(東京)開催
※本フォーラムは無料・事前登録制となります。

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