来るCookieレス時代に備える最適な顧客体験の在り方~ファーストパーティデータを用いた顧客視点のデータ活用とは~ ウェビナーレポート
新型コロナウイルスの感染拡大により対面でのコミュニケーションが難しい今、企業はオンライン上での顧客の閲覧履歴・行動履歴といったデータをもとに顧客理解を深め、CXを向上させていくことが必要とされています。また、Cookie利用の制限により、企業内で保有しているファーストパーティデータの活用が今後のビジネスにおいて重要になります。
本記事では『来るCookieレス時代に備える最適な顧客体験の在り方 ~ファーストパーティデータを用いた顧客視点のデータ活用とは~』と題したセミナーの内容から、コロナ禍において企業に求められる顧客とのコミュニケーション方法とは、CDP (カスタマー・データ・プラットフォーム)を用いた最適な顧客体験施策とは、をお伝えします。
目次[非表示]
【第1部】DX推進成功の鍵!失敗しないDX最初の一歩とは
トランスコスモス株式会社
DEC統括 アカウントエグゼクティブ総括 AE第三局
副局長
八坂 健史
2023年までに起こるサードパーティクッキーデータ、Cookieデータ活用の廃止について、ネット広告やデジタルマーケティングに関わる業務を担当されている方から多くご相談をいただいています。
第1部では「DX推進」をキーワードに、顧客体験とデータの利活用についてご紹介します。
まず、「DX」という言葉についておさらいしますが、実はこの言葉は16年ほど前から使われています。「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略で、ITの推進・浸透によって人々の生活がより良く変わることを意味します。
気がつけば小売、エンタメ、金融と業界を問わず幅広くデジタルが浸透し、私たちの生活の一部になっています。日本では経済産業省が2018年に「DXレポート」を発表しており、「2025年の崖」というキーワードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
日本の各社もIT化をキーワードに様々な施策を打ってきましたが、“経営層のコミットメントが足らなかった”、“投資をしているもののビジネスへの跳ね返りが少なかった”、“組織体制が縦割りで各部署間での意思疎通が横断的でなかった”、“実際にデータを利活用しようにも何から始めれば良いか分からなかった”、などの理由から施策が思うように進まなかった企業も多かったようです。
2021年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響によりDX推進がさらに加速しましたが、経済産業省が8月に公開した「DX銘柄・DX注目企業2021」では各社が掲げるDX推進のキーワードが以下の3つの軸で語られていました。
【組織・体制】
・DX推進部門の新設
・外部チャネル、リソースの活用
・業務プロセス改善
・手続きの簡略化
【デジタル技術・セキュリティ】
・生産性向上
・オープンイノベーション
・デジタル、データの利活用によるさらなる価値創造
・データベース、マーケティングの高度化、顧客セグメント戦略
・ニュービジネス
【顧客】
・顧客にとって、いつでも、どこでも希望する方法でのサービスを実現
・ハイブリッド化が進む環境に柔軟に変化、対応する
・顧客本位の営業体制
・デジタル人材の拡充により、既存ビジネスモデルを変革
組織体制については社内で横展開できていなかった事柄などについて効率的に展開するためのDX担当部門の新設や、自社内のリソース活用にとどまらず、外部チャネルやオープンイノベーションを積極的に活用する企業も多くなっています。顧客への対応については、いつでもどこでも、リアルでもオンラインでも、あるいはサービスそのものを顧客の求めるものにあわせていくという言葉が多く使われています。
顧客に期待されるDXを実現するために
実際に顧客が企業に望むDXとは何なのか、これを紐解くためにトランスコスモスが毎年行っている「消費者と企業のコミュニケーション実態調査(通称:コミュ調)」を見ながら考察します。
まず調査概要ですが、質問は全部で64問。3097名の方に回答いただきました。男女比はほぼ半々、年代は10代~60代以上と万遍なく、コロナ禍におけるリアルなデータになっています。
スマートフォン、公式SNSアカウント、メッセージングアプリの利用率を2016年と2020年で比較したグラフです。2016年当時からスマートフォンは72%と高い利用率でしたが、2020年には91%とほとんどの人がスマートフォンを利用しており、公式SNSアカウント、メッセージングアプリともに2016年と比べて普及していることが分かります。
よく「公式SNSアカウントやメッセージングアプリを利用しているのは、ほとんどが若年層なのでは?」と聞かれるのですが、実は50代以上の高齢層についても2016年と比べ、スマートフォン、公式SNSアカウント、メッセージングアプリすべての利用率が大きく増えています。
また、顧客と企業のコミュニケーション手段についてはスマートフォンを起点としたチャネル比率が増加しているのはもちろんのこと、店舗・店頭での対面でのコミュニケーションも伸びを見せており、とても興味深い結果となっています。店舗・店頭でのコミュニケーションについては2019年までのコミュ調の調査結果で右肩下がりになっていましたが、2020年になって数字が上がった背景には、顧客のコミュニケーションチャネルの多様化があったことが見てとれます。
また、コロナ禍を契機に3密となりやすい状態を避けるようになる人が多くなったのに伴い、在宅時にスマートフォンに触れる機会が大幅に増え、スマートフォンを使用した動画サイトやライブ配信などの視聴、通販やライブコマースといった購買行動の増加につながりました。
上図は顧客の購買行動をシート化し、情報収集、購入前、購入後、クチコミ波及という4つのプロセスにわけたものです。何かサービスを申し込んだり、物を買おうとする際、まずはキーワード検索(Web検索)をすると思います。若年層についてはSNSなどを使用して検索することが常態化しています。これらの情報収集においてまずはWebレビューやクチコミをチェックし、様々な情報をもとに購買行動に移るという方が大多数です。
続いて、購入後に不満があった場合、企業に直接不満を伝える方が54%、直接不満を言わない、いわゆるサイレントマジョリティと呼ばれる方が46%と、ほぼ半々という結果が出ていますが、ここで重要なのは企業に直接不満を伝えない顧客の声にいかに気付けるかということです。
直接不満を伝えてもらえれば企業はそれに沿って対応することができますが、直接不満を言わない顧客を放っておくとどうなるか。一昔前であれば友人や家族など周辺の人に話をする程度でしたが、近年はSNSの普及により、何気なく、一切悪意がなかったとしても、全世界に向けてマイナスの情報が発信されてしまいます。そしてこの発信されたマイナスの情報をまた他の誰かが購買行動のための参考にする、という負のスパイラルが発生します。
また、問い合わせ窓口の対応についてどの程度の満足感が得られたかという質問には、78%の人が問題が解決でき、満足感を得られたと回答したのに対し、問題解決までに至るまでのプロセスを加味した満足度は57%と大幅に低下することも分かっています。これは様々な窓口をたらい回しにされたり、問い合わせるという作業そのものに手間や負担を感じていることが原因だと考えられます。
従来のカスタマーサポート |
カスタマーサクセス |
|
概要 |
顧客の不満解消・問題収束のための『待ち』のサポート施策 |
顧客の成功体験を創造・リードするための『攻め』のサポート施策 |
適用実態 |
メーカーなど、一度で買い切り型の「モノ」を提供する企業 |
会員制・サブスクリプションサービスなど、「コト」を提供する企業 |
導入目的 |
・ブランドイメージやCSの改善による企業価値の向上
・コンタクトセンターの品質やパフォーマンスの評価、管理
・有人紹介、クチコミの促進やSNS上での評判拡散
|
・顧客の手間、負担感の軽減によるロイヤルティの向上
・新規顧客の獲得率やUI、スピードの向上
・既存顧客の継続率や利便性、親近感の向上
|
評価指標 |
・顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)
・期待を上回る満足=感動(Customer Delight)
・他社推奨度(NPS:Net Promoter Score)
|
・カスタマージャーニー全体の総合満足度
・購買行動率(PAR)やブランド推奨率(BAR)
・顧客の手間、負担感(CES:Customer Effort Score)
|
アプローチ |
・部分的:コールセンター等の個別窓口の満足度の評価、改善
・一次的:年に1~2回の定点アンケート調査による計測、報告
・受動的:パフォーマンスが悪く、問題のある事象のみ事後対応
|
・全体的:複数チャネルをまたぐカスタマージャーニー全体の最適化
・継続的:常設型アンケートにより、常時モニタリング、フィードバック
・能動的:予兆を捉え、積極的に改善アクションやフォローアップ
|
クチコミやレビューが購買行動に直接的な影響を与えるということを考えると、もはやカスタマーサポートはサポート部門だけの出来事ではなく、マーケティングにも関わる重要なポイントになっていると言えます。そのため、従来のカスタマーサポートではなく、攻めのサポート施策を意識したカスタマーサクセスを、部門を越えて取り組んでいく必要があります。
これらをふまえ、トランスコスモスでは総合的なDXを実現するためのデータ連携サービスを提供しています。複数チャネルの統合サービス提供により、顧客ロイヤリティーとコストリダクションの両立を実現します。
具体的には、顧客の行動導線において、わかりやすいWebサイト・アプリの構築・運用、気軽に問い合わせのできるチャットボット・有人チャットの導入、デジタルコンタクトセンターの運用、ソーシャルメディアを活用した顧客サポート(ソーシャルリスニング)といった各機能をシームレスに連携させることが可能です。
上記の事例では、電話での問い合わせ件数をどれだけチャットでの対応に移行させることができるか、デジタルチャネルを導入することによる削減効果が不透明であり、具体的な検討が進められないという課題をお持ちの企業様へ、コールログ分析によるチャット対応診断を提供しました。効果としては、FAQカバー率の算出および、独自ノウハウによる「有人チャット」や「自動応答」で対応できる割合を算出。結果として86%がチャットで対応可能な内容であることが分かり、デジタル導入に向けて具体的な検討が可能になりました。
以上のことから、トランスコスモスでは「サイトログ」「チャットログ」「コールログ」「ソーシャルログ」この4つの調査・診断、データの利活用を行うことが、DX推進のカギになると考えています。
これまでは各部門の担当者がバラバラにデータ収集・分析を行っていたものを、顧客の一連の導線を考えながら一貫性のあるものとして理解すること、そのために各部門が縦割りで業務を行うのではなく、横断して協力できるような組織体制を整えることが重要です。
【第2部】最適な顧客体験を提供するTealiumのCDPとは
Tealium Japan 株式会社
チャネルマネージャー
石本 恭久
第2部では、Cookie規制の問題などが現在存在しているなかで、いかにファーストパーティデータを活用して最適な顧客体験を提供するのかをご紹介します。
昨今の市場環境は目まぐるしく変化しており、
・従来型のサードパーティクッキーを使用したターゲティングと計測は徐々に無効化されていく
・GDPR、CCPAに代表される海外の法規制や、日本において2022年春に改正される個人情報保護法への対応
・主要なWebブラウザはサードパーティクッキーを排除し、顧客のプライバシーを担保する方針であるため、マーケターは顧客に対してファーストパーティデータをもとにしたアプローチが必要
といった大きな変化への対応を迫られています。
これに加え、CXの向上や、顧客体験の最適化は企業として必要不可欠な取り組みになっており、顧客体験が与えるビジネスインパクトはそれぞれ以下のようになっています。
・心地よい顧客体験を提供する他社ブランド/サービスへ乗り換えたことがある…57%
・企業に対し、自身のニーズを理解してほしいと期待している…76%
・顧客体験が購買の意思決定における重要な判断要素になっている…73%
・顧客はより良い顧客体験のためなら支出を惜しまない…86%
このデータから分かるように、企業は、いかに顧客に対して心地よい体験を提供できるかが重要になっています。
まず、心地よい顧客体験を提供するためには、顧客を取り巻く環境を理解することから始める必要があります。
顧客を取り巻く環境はよく「チャネル」や「接点」と呼ばれており、非常に多種多様なものが存在します。
顧客はオンライン・オフラインをまたいで調査、購買を行います。そのため、企業は顧客接点を横断し、CX向上に取り組む必要があります。また、顧客接点毎にデジタルマーケティングを実行するとデータがツギハギになってしまう・分散してしまうといった問題が発生しやすく、煩雑なデータ統合作業に工数がかかることで、適切なタイミングで顧客へアクションを打つことや、顧客をしっかりと理解することが非常に困難になってしまい、CX向上施策の阻害要因となるため、しっかりと対策することが重要です。
Tealiumはこうした顧客接点の情報を統合し、CXの向上をサポートします。Tealiumの価値は顧客接点データを適切に統合しCXを向上させることで、以下のようなことを実現させることができます。
・シングルカスタマービューの実現
・パーソナライズされたCXの実現
・ファーストパーティデータの活用
・プライバシー規制対応
・データ活用基盤CDP/既存ツールの高度化
・クライアントサイド/サーバーサイドのハイブリッドアプローチ
顧客をよく理解することでパーソナライズされたCXの提供が可能になり、分断された自社のデータを統合することでファーストパーティデータを活用した、より良いCXを提供することができます。
また、プライバシー規制対応についてはただデータを集めるだけでなく、様々な法規制に準拠した形でデータを管理し、顧客へメッセージを届ける必要があります。メッセージの配信方法についても、いま実際にビジネスで利用しているマーケティングツールやシステムとシームレスに繋げることによって、マーケティングエコシステムを高度化することが可能になります。
そしてクライアントサイド、サーバーサイドのハイブリッドアプローチを提供することもできます。
最適なCXの提供を阻害する要因を排除するには
改めて、企業が顧客に対して最適なCXを提供するうえで阻害要因となるものを考えていきます。まず、要因は大きく分けて3つあります。
1. データのサイロ化
データのサイロ化を未然に防ぐためには、そもそもなぜデータが分断してしまうのかを理解する必要があります。
上図は顧客接点とデータの流れです。
顧客接点となるデバイスや方法によってオンラインとオフラインに大きく分けられ、それぞれのデータを統合して顧客を理解する際には、CRMや会員ランクを用いたり、機械学習、BIなど様々な方法で分析を行います。そして理解できたあとはベストなコミュニケーションを実現するために施策を実行しますが、この方法についても各マーケティングのチャネルやツールを適切に選択し、最終的な施策の実行は、またオンラインとオフラインそれぞれに分かれることになります。当然、分析するためのツールや顧客との接点がバラバラであれば、自ずと取れるデータにもバラつきが出てきます。
Tealiumではこうした問題を解決するために、様々なデバイスなどの顧客接点の情報を集約し、データを標準化。顧客に同意を取ったうえで顧客プロファイルを生成し、リアルタイムで更新します。施策の実行についても1200以上のパートナーツールとSQL不要でシームレスに連携することができるため、現在利用中のツールを変更することなく高度化することが可能です。
トランスコスモスのメール配信システム「ClickMailer」や、API連携プラットフォーム「DEC Connect」との連携イメージを例にすると、まずTealiumでリアルタイムに顧客プロファイル(店頭購入者、VIP顧客、カートに入れただけの顧客、メンズのアパレル好き など)を作成し、自動で対象のセグメンテーションが作られます。
その後、Tealiumから「ClickMailer」に自動連携し、「ClickMailer」からパーソナライズされたメールが配信されます。同様に、「DEC Connect」とも自動連携し、パーソナライズされたメッセージが自動で配信されます。
特徴としては、左側のTealiumと、右側の「ClickMailer」や「DEC Connect」との役割の違いです。TealiumはあくまでもCDPであるため、顧客プロファイルを適切に管理するのが役割であり、「ClickMailer」や「DEC Connect」は顧客プロファイルにWebの情報やオフラインの情報を統合し、総合的な顧客の理解、施策の実行をすることが役割となっていることです。役割分担をすることで、マーケティングオートメーションのような高価値なツールを持っていなくても、それに近い施策を実行することができます。
コールセンターでも同様に、Tealiumが持っている顧客プロファイルをリアルタイムにオペレーターに通知することで、オペレーターは優先顧客の特定、解約防止施策の実施、クロスセル提案、アプローチタイミングの適正化などを行うことができます。
2. 改正個人情報保護法への準備・同意管理
海外の規制というとGDPRやCCPAを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。これはどちらも個人情報保護を目的としたものですが、GDPRやCCPAではデジタルマーケティングにて収集した情報やWebサイトのCookieについても個人情報として取り扱っています。
ゆえに、Webサイトでデータを計測する際にその情報が個人と紐づいていれば個人情報として適切に管理しなければならず、Cookieの利用についても非常に厳しいルールが設定されています。日本では、改正個人情報保護法が今年の春にガイドラインが公表され、来年の春ごろに全面施行予定となっています。つまり、今から約10か月の間に改正個人情報保護法への対応を進めていかなければなりません。
改正個人情報保護法のポイントとなるのは、顧客の同意を得るということです。
上図はTealiumの同意管理機能のイメージです。
顧客がWebサイトを訪れた際に、そのWebサイトで今どのようなデータを取得するのか、そして取得する前に同意を得るといったプロセスが必要になります。イメージではディスプレイ広告とパーソナライゼーションには同意しますというチェックが入っているので、この同意をもとにシステムや各マーケティングツールに連携させます。
今回の例ではアナリティクスは拒否されているので、アナリティクスのツールに対してはデータを使ってはいけないという割り振りを自動で行います。こうした同意の有無によって各マーケティングにおける顧客のプライバシーを担保していくプロセスが必要です。
3. 大手プラットフォーマーによるCookie利用制限
私たちが普段から調べものなどをする際に利用する主要なWebブラウザにおけるトラフィックの計測制限は86%にも及びます。86%のトラフィックが取れないことで現在のビジネスにどのようなインパクトがあるのかというと、
・従来のCookieを使用したデジタルマーケティング環境の崩壊
・ブラウザ規制を受けないサーバーサイド技術の必要性
・主要プラットフォーマーはコンバージョン計測をAPI経由に
などが発生し、これらの問題への対応を進めている企業も増えています。さらに具体的にこれらの問題について掘り下げます。
まず従来のCookieを利用した行動計測の流れを見てみます。
これまでは顧客がWebサイトを訪問した際にオンラインイベントが記録され、主要なツールベンダーが提供するベンダータグを用いてデータを連携していました。しかし前述のトラフィックの計測制限により、計測がそもそも困難になる可能性があります。
そのため、Tealiumと各プラットフォームが推奨しているのが、ハイブリッドによるアプローチです。このハイブリッドというのは、クライアントサイドと、サーバーサイドのハイブリッド環境のことを指します。
従来の計測方法ではオンラインイベントのみを対象としていましたが、POSシステム、コンタクトセンターのコールログ、勘定系のデータなど、オフラインイベントの情報も顧客の行動とセットで捉えられるものであるため、オンラインとオフラインのイベントを統合して活用していく、つまり、ファーストパーティデータの活用ストーリーが今回のCookie規制のなかで非常に大きな意味を持っています。
オンラインイベントは前述のとおりブラウザの規制を受けますが、サーバーサイドのファーストパーティCookieを発行することによって個人を認識する期間を拡張させることができます。
さらにオフラインのデータをTealiumにリアルタイムで取り込むことによって、オンラインとオフラインを統合したイベント情報をベースに、顧客のプロファイルを作成します。その後、Tealiumには豊富なコネクターがあるため、作成したイベントデータを主要なツールベンダーに対して連携させていくことが可能です。
このハイブリッドな運用によって顧客のデータをただウェブサイトから取得できた簡易的なものではなく、Webの情報、自社が保有しているファーストパーティデータ、この2つを混ぜたより詳細なデータを主要なツールベンダーに連携させていくことが可能になります。
主要なツールベンダーも「コンバージョンAPI」と呼ばれるAPIを受け入れるための入口を開放しており、このようなハイブリッドアプローチは今後標準化していくと考えられます。
要因1 |
データのサイロ化 |
対応 |
データ統合活用基盤の構築 |
要因2 |
改正個人情報保護法への準備:同意管理 |
対応 |
CMPと密に連携した基盤 |
要因3 |
大手プラットフォーマーによるCookie利用制限 |
対応 |
クライアントサイド/サーバーサイドのハイブリッドアプローチ |
まとめになりますが、最適なCX提供のために必要な対応として、阻害要因1の「データのサイロ化」については、データの統合、そして統合したデータを活用していく基盤の構築が重要です。データを統合しただけで満足するのではなく、統合した後にいかにデータを活用していくかまでを見据えていく必要があります。
要因2についてはCMPと密に連携した基盤が必要になります。同意管理のみを実行するソリューションは多く存在しますが、取得した同意をもとに顧客を理解していく、顧客とコミュニケーションをはかる、実際にアクションを起こしたあとの結果を分析するところまでを考えると、CMP単体ではなく、密に連携した基盤が重要になると考えられます。
要因3については、クライアントサイドとサーバーサイドのハイブリッドなアプローチで対応することが求められます。クライアントサイド、サーバーサイドのどちらかだけではなく、両方のアプローチを適切に管理することで今の顧客の状況を見逃さず、CXを向上させるために適切なタイミングでコミュニケーションをはかることが可能となります。
これらの阻害要因を排除するための適切な方法や、不明点など、Tealiumまでお気軽にご相談ください。
質疑応答
最後に、セミナー終了後に行われた質疑応答の内容をピックアップしてご紹介します。
Q. 高齢層もチャットなどを抵抗なく使えるのでしょうか?
八坂:
本日の講演のなかにもありましたが、メッセージングアプリの利用率については、50歳~64歳のデータで2016年の27%から2020年には55%まで増加しており、65歳以上に関しても2016年の10%から2020年には40%まで増加しているので、定量的な視点で見ると確実に利用率は上がっていると考えられます。現役でデジタルに触れられている方は、繋がらなかったり、何度もかけなおしたりする手間が発生する電話よりも、いつでもどこでも気軽に連絡ができるチャットなどのほうが使い勝手が良いと感じられている方が多いようです。
一方、定性的な面で見ると、やはり全ての高齢層の方がこうしたデジタルのものを使えるわけではないので、こういった方のために従来通りの電話窓口を用意するなど、企業側が様々なチャネルで問い合わせができるような環境を用意する必要はあると思います。
業種や顧客の主な年齢層によっても対応の方法は異なると思いますので、自社にとって最も適切な方法は何なのか、どんな準備をすべきなのか、など気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
Q. 個人情報保護に関する取り組みはどこまでやれば良いのでしょうか?
石本:
正直なところ、どこまでやれば良いかというのは各企業に求められるものが異なるので、ここまでやりましょうという答えを出すのは難しいというのが本音です。もちろん、個人情報保護法で求められる対応以上は何もしない、とりあえず必要最低限のラインまで対応するという選択もあります。
ただ、2019年に、とある大手企業が顧客に同意を取らずにCookie情報などを利用した結果、顧客からの信頼を大幅に失ってしまったという問題も発生したので、まずは顧客の視点に立って、どのくらい同意に関する説明をすれば良いのか、どうすれば顧客に理解してもらえるのか、などを考えながら取り組むのが重要なのではないかと思います。
個人情報保護法に関わる問題が発生すると企業のブランドイメージが著しく低下するということもあり、大手企業はいち早く取り組んでいるようです。
この他にも気になる点や不明点、ウェビナーの内容に興味・関心をお持ちいただけたかたは、以下の「お問い合わせ」ボタンよりお気軽にお問い合わせください。