
「使いづらい」を放置していませんか? 業務システムにおけるUI・UXデザインの重要性
現代のビジネス環境において、業務システムは企業活動の効率化に欠かせない存在です。しかし多くの業務システムは機能性を重視するあまり、実際に使用するユーザー(従業員)の視点に立った設計が不十分な状況にあります。
また、どれほど高機能なシステムであっても使いにくいデザインであればユーザーにストレスを与え、生産性を低下させる可能性があります。
そこで注目されるのが、UI(ユーザーインターフェース)と、UX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインです。
直感的に操作できるUIは、業務のスピードを向上させ、ミスを減少させます。そして優れたUXはユーザーの満足度を高め、システムへの適応をスムーズにする鍵となります。
本記事では、業務システムにおけるUI・UXデザインの重要性を解説し、デザイン改善のポイントについてご紹介します。
目次[非表示]
業務システムとは
業務システムとは、企業や組織が、生産・販売・在庫管理などの主要業務を効率的かつ、効果的に遂行・処理するために用いられているシステムです。
業務を自動化したり、情報を管理・共有したりすることで、仕事の効率を向上させる役割を果たします。例えば、企業の経理部門では会計ソフトを使って収入や支出を管理し、営業部門では顧客管理システム(CRM)を活用して顧客情報を整理したり、営業活動を追跡したりします。
また、製造業では生産管理システムを導入して在庫を管理し、生産スケジュールを最適化することが一般的です。
業務システムの目的は、手作業で行うと時間がかかる業務やミスが発生しやすい作業をデジタル化することで業務効率を向上させ、正確性を高めることです。さらに、データを一元管理できるため、情報の共有が容易になり、意思決定のスピードも向上します。
【業務システムのメリット一例】
■データの共有
・在庫や売上などの情報共有
・伝達ミスや時間ロスの削減
■業務の標準化
・複雑な業務処理が誰でも可能
・業務処理の正確さの向上
■作業時間の短縮
・データ共有、業務の標準化による作業効率化
業務システムのUI・UXデザイン設計によるメリット
いくら高機能なシステムを導入しても低質なデザインではメリットを活かしきれず、業務の停滞やコスト増、さらにはユーザーの不満など、さまざまなデメリットを招く可能性があります。
こうした問題を未然に防ぐためには、業務システムのUI・UXデザインを適切に行う必要があります。これは単なる「見た目」や「使い勝手」の問題だけでなく、企業全体の効率性やES(従業員満足度)に直結する重要な要素です。
【期待できるメリットの一例】
■業務時間の短縮・業務負荷の軽減
■学習コストの軽減
■トラブルのない業務支援
■ES向上
■コミュニケーション強化
■安全性向上
■資産活用
■コンプライアンス強化
【デザイン未導入のデメリット一例】
■業務効率の著しい低下
・機能が複雑で使いこなせない
・マニュアルが必要で習得に時間がかかる
■ミスを誘発するリスク
・誤った操作による入力ミスなどが発生しやすい
・業務の正確性を損ない、場合によっては重大なトラブルにつながるリスクがある
■ユーザーのストレス増加・モチベーションの低下
・システム自体の理解や、毎回の操作に時間がかかる
・エラーが起きやすく、ストレスの原因となる
・離職率が高まるリスクがある
■社内に定着せず活用されない
・ユーザー離れが起こり旧来の方法(手作業や別のツール)に戻ってしまう
・結果的にシステム導入の目的そのものが達成できない
<参考>UIとUXの関係性
■UI(User Interface)とは
ユーザーがシステムと接触する部分のデザインを指します。画面のレイアウト、ボタンの配置、色使い、フォントなど、目に見える全ての要素が含まれます。美しく直感的な操作を提供するためには、優れたUIをデザインすることが不可欠です。
■UX(User Experience)とは
ユーザーがシステムを使用する際の総合的な体験を指します。使いやすさ、効率性、満足度など、ユーザーが感じる全ての感情や印象が含まれます。ストレスがない体験価値を提供するには優れたUXデザインが不可欠です。
UIとUXは密接に連携し、相乗効果で業務システムの真の価値を発揮します。
トランスコスモスが提供する『業務システムUI・UX設計サービス』とは
トランスコスモスは年間600件を超えるWebサイト構築・運用における豊富な実績とノウハウを有し、フロント領域から開発までワンストップ対応できる業界最大規模のリソースを有しています。
HCD(※)有識者によるユーザー視点のUI・UX開発、独自の調査結果・研究による根拠あるUI・UX設計が可能で、ユーザー中心設計の基本概念に基づき、実際にシステムを利用するユーザーのニーズ・目的・行動パターンを設計の中心に捉え、使いやすく価値のあるサイトを構築します。
※Human Centered Design:人間中心設計の略
トランスコスモスのUI・UX設計概念
トランスコスモスのUI・UX設計概念
目的に対して消費者が迷わず、直感的に行動できる設計をご提案
業務システムUI・UX設計の基本的なフロー
STEP1:現業務システムの課題・要求事項の確認
社内アンケート結果やアクセスログを踏まえた現状の把握 や、各部署へのヒアリング、要求事項の確認を実施し、現状課題の洗出しと要求事項を整理。
(例)
■ユーザーリサーチ
使用状況、課題、ニーズを理解するために、利用者へインタビューやアンケートを実施します。
・業務内容
・よく使う機能
・あまり使用しない機能
・新システムに期待すること
・現状課題
■分析・調査
ヒアリング結果をもとに、業務プロセスの現状を分析。問題点や改善点を特定します。
・業務内容に沿った画面になっているか
・優先順位が分かりやすいか
・入力しやすい構造か
・時短につながる設計になっているか
・直感的に分かるか
STEP2:システム全体フロー・遷移図の確認
サイト内の回遊性を向上させる導線の見直し、タブレットや屋外での利用も意識したデザインを作成。
(例)
■ワイヤー作成(画面設計)
初期段階の設計をワイヤーフレーム(下書き)を使ってコミュニケーションしながら、画面構造を固めます。
STEP3:単体画面の再設計・モック作成など
ベンチマークによる他社のUI・UX調査をはじめ、トランスコスモス社員約300名規模で行ったUI・UXアンケート調査と研究結果からのデータを参考に、UI・UXの最適化を図る。
(例)
■モック作成(デザイン・コーディング)
デザインを視覚的に表現したもので、インターフェースの具体的な見た目を示します。
STEP4:共通パーツデザイン設計、フォローアップ
ユーザー導線、サイト構造、ナビゲーションをもとに、サイト目的(ユーザーの目的)が達成できる画面(ページ)のレイアウト及び情報の表示方法などを詳細に作り込む。
(例)
■ルール、ガイドライン
デザインのガイドラインや、レイアウト、パーツの使用ルールなどを文書化します。
■トレーニング
操作説明レクチャーや、マニュアル作成で、ユーザーの利用をサポートします。
■フォローアップ
使用状況、課題を利用者にインタビューやアンケートを実施し、問題点の改修につなげます。
実績一例
企業カテゴリ | 案件 | 目的 | 効果 |
電気/通信設備工事 | 外線/内線システム | 生産性向上・業務効率化 | リードタイム短縮 残業時間削減 |
社員向け技術情報検索サイト | 生産性向上・ES向上 | ES向上 | |
パートナー企業勤怠管理システム | 業務効率化・コスト削減 | コスト削減 | |
産業機械製造 | 代理店/協力店向け工事事例共有 | 業務標準化・新規顧客獲得 | 新規顧客獲得率向上 |
医療器具製造 | 社内イントラサイト | 業務効率化・コスト削減 | コスト削減 |
化粧品・医薬部外品 製造販売 | 販売店向け支援サイト | 労働生産性向上・販売店満足度向上 | 顧客満足度向上 |
具体的な業務内容と対応範囲
企業 | 業務内容 | 業務詳細 | 対応難易度 | 期間 |
A社 | 組合員のフィードバックシステム UI・UX改善と導線再設計業務 | 機能要件確認、ヒアリング・画面設計、ヒアリング・定例会実施・デザイン・コーディング | 低:アンケート入力画面・結果画面・検索一覧が主 | 約4ヶ月 要件定義:1ヶ月 構築:3ヶ月 |
B社 | 建具メーカーの見積システム UI・UX改善と導線再設計業務 | 機能要件確認、ヒアリング・画面設計、ヒアリング・定例会実施・デザインパーツ作成・コーディング・モック作成 | 中:スムーズな見積もり検索、検索条件選択の容易さ等の設計が必要 | 約6ヶ月 要件定義:3ヶ月 構築:3ヶ月 |
C社 | 工事物件管理ポータルサイト UI・UX改善と導線再設計業務 | 機能要件確認、ヒアリング・画面設計、ヒアリング・定例会実施・デザイン・コーディング・モック作成 | 高:工事物件の新規登録・検索や、複数のデータベースから情報を取得し、1つの帳票を作成する等、設計が複雑 | 約14ヶ月(1年2ヶ月)※1次フェーズ 要件定義:4ヶ月 構築:10ヶ月 |
この他の取り組みとして、2025年8月現在、トランスコスモスは株式会社きんでん(以下、きんでん)様の業務システムUI・UXデザイン設計をご支援しています。
きんでん様の目指す姿として、書類・資料・図面など文書の多い工事業務のDX化により、様々な課題を解決に導くための業務システム『一般工事ポータル』を構築・開発し、多くのユーザーが継続して利用、現場の負荷軽減を実現させることを目標に取り組みを進めています。
まとめ
トランスコスモスはお客様企業とコミュニケーションを重ね、現場のユーザーに継続して使い続けてもらうための現場に寄り添った開発支援、専門的知見による最適な設計、開発技術をご提供します。
また、業務システムのUI・UX設計は、企業のDX推進において重要な役割を果たしますが、DX推進を成功させるには、UI・UXデザインだけに留まらず、企業全体の現状を正しく把握し、部署間の連携を強化しながら一気通貫で取り組むことが不可欠です。
トランスコスモスは “お客様企業のデジタル・トランスフォーメーション・パートナー” として、データ統合や戦略設計を通じて、お客様企業のDX推進を力強くサポートしており、複数部門を横断しながら、現状の課題整理から解決までを伴走支援する『trans-DXプロデューサー』を有しています。
まずは現状を診断することから始めるのが成功への第一歩です。戦略的なDX推進を目指す担当者の皆様は是非、こちらからお気軽にご相談ください。
<参考>trans-DXプロデューサーとは