catch-img

消費者と企業の目線で考えるコンタクトセンター最適化の秘訣

いま話題のChatGPTをはじめ、最新テクノロジーの台頭による消費者の行動変容や世の中の動きにあわせ、自社コンタクトセンター(コールセンター)の在り方について改めて検討を始めている企業も多いのではないでしょうか。

本記事は、消費者と企業それぞれの目線でコンタクトセンターの在り方について考え、多くのかたにご参加いただいたセミナーの内容をお伝えします。


目次[非表示]

  1. 顧客体験向上のために企業が推進する自己解決の取り組み
  2. 消費者目線で考える問題解決に至るまでの行動
  3. 企業目線で考える自己解決を促進させるための方法
  4. お客様企業の課題解決を支援するために
  5. まとめ

顧客体験向上のために企業が推進する自己解決の取り組み

岩浅 佑一
トランスコスモス株式会社
DEC統括 DX推進本部 副本部長
※ 組織名は2023年3月時点 セミナー開催時のものです


コンタクトセンターの在り方について考える際、“良質な顧客体験”“売上の拡大” の2つの目標の結びつきが見えづらく、さらには限られた予算のなかで運営が必要になることもあり、思うように成果が出ないと悩みを抱えることも多いのではないでしょうか。



先進的な企業では消費者が感じる手間や負担の軽減や、問題発生後もスピーディーに対応・解決するための体制を整えています。

たとえば、電話対応窓口の混雑によってオペレーターへつながるまでの待ち時間そのものが多大なストレス要因となり、困りごとが解決しても満足度の向上につながらないケースをよく聞きます。

また、運営側の悩みとして多いのが、問い合わせ数が増える時間帯とそうでない時間帯でオペレーターを配置する時間や人数の調整が難しく、コストパフォーマンスが最適化できていないといった内容です。

最近ではコンタクトセンターにも予約型のサービスが取り入れられ、消費者は待ち時間がなくスムーズに相談できるのでストレスが軽減され、運営側も人員調整が容易にできるようになるのでコスト削減につながった事例を聞くようになりました。



コンタクトセンター領域における体験価値を向上させるためには、Web検索からコンタクトセンターにつながるまでの一連の顧客導線を段階ごとに改善するのではなく、総合的な観点から顧客体験を最適化することが重要です。



トランスコスモスが複数のお客様企業に “コンタクトセンター全体の問い合わせについて、現状のチャネルの割合と2025年までにどのような比率に変えていきたいか” を聞いたところ、現状はオペレーター対応によるボイスサービスの割合が6割以上を占めているものの、2025年にはその割合を50%以下まで減らしつつ、ノンボイスサービスや、FAQサイトを活用した自己解決の割合を増やしていきたいと考えていることが分かりました。

このように、既に多くの企業が呼量の削減、問い合わせ数減によるオペレーターの負担軽減、顧客が感じる手間や負担の削減のための取り組みを始めています。

消費者目線で考える問題解決に至るまでの行動

杉瀬 智哉
トランスコスモス株式会社
DEC統括 DX推進本部DECソリューション統括部
デジタルコミュニケーション推進部 3課
※ 組織名は2023年3月時点 セミナー開催時のものです


では、呼量の削減や問い合わせにかかる手間・負担を軽減するために、具体的にどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。

そのためには、まず消費者の目線で問題発生から解決に至るまでの行動導線、そしてニーズを知る必要があります。

トランスコスモスが毎年実施している『消費者と企業のコミュニケーション実態調査』の最新の調査結果によると、消費者が問題解決のためにまず行うことの93%がWeb検索であることが分かっています。すなわち、ほぼ全ての人がWeb上での問題解決を望んでいるということです。

ではなぜ、コンタクトセンターへのお問い合わせが減少しないのでしょう。その理由は至ってシンプルで、自己解決するための情報を見つけることができなかったからです。


出典:消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023


消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023 』によると、自己解決を試みたものの、最終的に電話やチャットの有人窓口に問い合わせた経験のある人のうち、半数以上がWebやSNSでの検索、商品情報やFAQを見ても解決策に辿り着けなかったと回答しています。

さらに、なるべく自己解決をはかるために企業の公式サイトを参照したものの、内容が難しく分かりづらいと感じる人の割合が多く、自己解決に至らなかった場合の66%、なんと3人に2人が他社への乗り換えを検討するという結果が出ています。つまり、サポートコンテンツはいかに見つけやすく、いかに分かりやすい解決策を載せるかが重要です。

一方、企業が考えるコンタクトセンター運用の課題については、オペレーターの採用・育成とあわせて、呼量の削減が深刻な問題として挙げられています。

すなわち、消費者も企業も “できるだけWeb検索等を用いて自己解決したい(させたい)” という同様の考えを持っているのです。


出典:消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023


消費者と企業のコミュニケーションの変遷について見てみると、2016年当時は圧倒的にオペレーターによる電話での受付が多くなっていますが、2022年になると電話の割合は大きく減少し、そのかわりに公式スマホサイトやSNS、各種アプリなどデジタルチャネルの利用率が大きく伸びています。

とはいえ、電話窓口の利用率も依然として高く、企業はデジタル一辺倒になるのではなく、消費者のニーズにあわせたチャネルの多様化をすすめる必要があります。

企業目線で考える自己解決を促進させるための方法

取り組みを進めるなかで大切なのは、消費者の行動やニーズを正しく理解し、“望まれている自己解決の方法を促進する” ことです。



消費者の行動プロセスには企業とのタッチポイントが数多く存在しますが、タッチポイントごとの情報が分断されていると、Webサイトで情報収集をした後に商品の購買に至ったのか、購入後にサービスに満足していただき推奨者になってもらえたのか、消費者の行動を正確に把握することができません。

そのため、それぞれのタッチポイントで得られるデータを収集・統合・可視化し、全体最適視点で “消費者が自社に求めているものは何なのか” を正しく理解したうえで、そのニーズを汲み取ったデジタルチャネルサポートを実現することが重要です。

自己解決率を上げるためにどのような取り組みをするべきなのか、何から始めれば良いのか分からない場合は、まずは自社サイトのチャットボットやFAQサイトのチューニング・改善から着手するのも良いでしょう。

たとえば、Web検索から辿り着きやすいようSEOを意識したFAQコンテンツを増やす、過去に「検索結果なし」と表示されてしまったキーワードを洗い出しFAQと紐づける、類義語の登録を行い消費者の知りたい情報のヒット率を向上させる、AIチャットボットを導入し問い合わせシナリオを構築することで問題解決へ導きやすくするなどを実施し、FAQサイトやチャットボットがどれくらい活用されているのか、問題解決に役立ったのかを行動データとあわせて分析することで自己解決率を向上させることができます。


検索結果をチューニングすることで問題解決率を向上


検索キーワードのログから読み取れることもたくさん

お客様企業の課題解決を支援するために

お客様企業が抱える課題を解決するために、トランスコスモスではありとあらゆるタッチポイントにおいてサポート体制を整えています。



【認知・訴求フェーズ】
・サービスや製品を見つけてもらうためのWeb領域における広告の最適化

【調査フェーズ】
・情報収集過程における検索流入の最適化
・知りたい情報を見つけてもらいやすくするためのサイト内導線や掲載情報の最適化
・お問い合わせに備えたカスタマーサポートの高度化

【行動・推奨フェーズ】
・SNS等で体験を発信する消費者へのアクティブサポートの強化



さまざまなチャネルでの対応を通じて得られるログを集約・分析することで、その結果をもとにした課題の抽出、改善のためのフィードバック、それをもとにした施策の実行といったサイクルを生み出します。



サポート体制については、消費者対応のプロであるコンタクトセンター運用部門と、ツールの活用をメインに行うサイト運用部門が連携し、常に最新の消費者の声(VOC)をフィードバックすることで、CX向上・売上拡大などの目標を達成するためのサポートを行います。



また、前述の通り、チャネルごとに分断された状態で効果測定を行っても分析結果は限定的なものとなり、目標に対する課題や改善点も見えづらくなります。

そのため、各チャネルの状況を一元管理・可視化することで全体最適視点での運用を可能にする統合ダッシュボードを活用することで、顧客満足とビジネス成果を両立させるための施策を効果的に進めることができます。

もちろん、ソリューションの導入がゴールになるのではなく、その後の運用・改善までを含めたサポートを行っています。

まとめ

消費者の行動やニーズに沿った対応と、デジタルソリューションを適切に活用することで自己解決率の向上や、呼量の削減を実現することができます。

その際に抑えるべきポイントは次の3つです。


① 消費者の自己解決のニーズは高く、その多くはまずWeb検索をしている
② 企業は消費者の行動にあわせたタッチポイントを整備し、デジタルを活用した自己解決の促進が重要である
③ 自己解決促進のためのソリューションは導入後の適切な運用で大きな効果を発揮する


本記事でご紹介した内容について課題や疑問をお持ちのかた、トランスコスモスが提供するサービス・ソリューションについて興味・関心をお持ちいただけたかたは、こちらよりお気軽にお問い合わせください。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。

関連記事:

trans+(トランスプラス)に掲載しているコンテンツや、サイト内で紹介したサービスに関することなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。

フォローする:

この記事をシェアする:

人気記事ランキング