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アポイント獲得率2.3倍 音声認識を活用したコンタクトセンターDX

コールセンターにおいてユーザーとの会話データ(音声データ)の活用は長年の課題でした。2010年ごろより音声認識システムの精度が向上し、コールセンターの音声認識システムの導入が検討される一方、利用される範囲は限定的でその要因には、システム全般の導入コストや、テキスト化したデータの活用や膨大な分析工数にありました。

トランスコスモスでは、2020年に音声認識システム導入から運用・AIを活用した分析までをトータルに支援する音声認識ソリューション「transpeech2.0」を開発。すでに多くのお客様企業にご利用いただき、音声認識を活用した成果を発揮しています。

本記事では2022/8/26に開催したトランスコスモスオンラインセミナー「音声認識を活用したコンタクトセンターDX」より、音声認識の活用事例をご紹介します。


目次[非表示]

  1. VOCを元にした『勝ちパターン』を見つけるには
  2. アポイント獲得率2.3倍 セールストーク解析の効果や事例
    1. 音声認識テキストで会話のブラックボックス化を防止
    2. 話題を全自動で判定&集計して訴求内容を見える化
    3. AIがアウトバウンドを効率化 オペレーターのその日のパフォーマンスを予測
  3. まとめ

VOCを元にした『勝ちパターン』を見つけるには

駒形 舞
DEC統括 DX推進本部 DECソリューション統括部
デジタルサービス企画部 音声認識ソリューション課


コンタクトセンターでは年々、「音声認識システムなどの自然言語処理ソリューション」や「テキストマイニングなどVOCを分析するソリューション」に関する認知度や活用事例が増えてきていることから、これらの分野について取り組みを強化する企業が増えています。

これらの取り組みのゴールは『データを元に勝ちパターンを見つけてPDCAすること』ですが、いざ実際にやってみると「なかなか上手く進まない」「そもそも元となるデータが集まっていない」など壁に直面するケースをよく聞きます。

実はデータを元に勝ちパターンを見つけるのは、さほど難しいことではありません。それよりも『どんなデータを集めて、どのように活用するのか』が重要であり、同時に難しいポイントでもあります。

例えば、コンタクトセンター運用において以下のような悩みはないでしょうか。


・どんな会話をしているか分からない
 ⇒オペレーターが実際にどんな会話をしているのかが分からない、オペレーターごとに案内などに違いがあるかを把握できていない

・どのように訴求しているか分からない
 ⇒オペレーターごとにどんな訴求をどれだけできているのかが把握できていない、成約時の会話もしくは非成約時の会話の内容が分からない

・適切なオペレーターをアサインできているか分からない
 ⇒適切なコールリストに適切なオペレーターをアサインできているか分からない


これらの情報は気付かぬうちにブラックボックス化していることが多く、実際にお客様企業からご相談いただく内容も、およそ8割はブラックボックス化してしまっている情報についてです。

つまり、これらの情報をしっかりと可視化し、それをもとに分析することができれば、勝ちパターンを見つけることは容易であると言えます。

ここからは、情報のブラックボックス化からの脱出と防止、そして成果を生み出すための具体的なポイントをご紹介します。

アポイント獲得率2.3倍 セールストーク解析の効果や事例

音声認識テキストで会話のブラックボックス化を防止



まずは、どんな会話をしているか分からない問題についてです。

応対ログを見ると同じような内容が記載されているのに、実際にコールログを聞き比べてみると実は会話している内容が違うということがよくあります。

しかし現場からは「効率的にログを残すためにテンプレ化は避けられない」「会話内容を全て残すことは不可能」といった声があがることが多く、最も重要である“どんな会話をしているか”が応対ログに残らない結果、ブラックボックス化してしまいます。



この対策として音声認識システムを活用することで、いままで目に見えなかった肌感や定性情報として埋もれがちであった細かい会話内容までテキスト化することで、全体像を認識することが容易になり、さらに深い話題の分析をすることも可能になります。



具体的には、蓄積された音声認識テキストから話題のランキングを作成することで、新人とベテランの会話内容の違いや、成約時と非成約時の特徴や違いが一目で分かるようになります。

これにより、どんな会話をしているか分からないという問題については解決することができます。



音声認識システムを活用することでオペレーターのスキル底上げに成功した事例をご紹介します。

この窓口では商材提案を行うテレアポ業務を行っており、アポイントを獲得できるメンバーとそうでないメンバーの差が顕著であることが悩みでした。

さらに現場を悩ませていたのは、アポイントの獲得率に業務歴は関係なく、新人でもアポイント獲得率が高いメンバーもいれば、ベテランであっても伸び悩んでいるメンバーがいるという状態でした。

そこで話題ランキングを作成し、メンバーが頻繁に使用するキーワードを比較したところ、アポイント獲得率の高いメンバーは2通話に1度「ご存知」というキーワードを使っていたのに対し、そうでないメンバーは10通話に1度しか使っていないことが分かりました。

さらに深掘りしていくと、「ご存知」というキーワードを使用するタイミングは会話の導入部分であることが見えてきました。安定してアポイントが取れるメンバーはキーマンと会話する際、「私たちの〇〇というサービスをご存知ですか?」と本題から会話を始め、お客様にあわせたメリットを効果的に訴求できていたのに対し、アポイントが取れないメンバーは「御社の状況はいかがですか?」と雑談のような始まりになっていたため、なかなか核心に迫ることができない傾向にあることも分かりました。

そしてこの傾向はアポイントの獲得に苦戦しているメンバーに共通する特徴であることが分かったため、具体的なフィードバックを行い改善に取り組みました。

その結果、音声認識システム導入後わずか3か月で窓口全体のアポイント獲得率が2.3倍にもなり、オペレーター全体のスキルアップを達成することができました。


話題を全自動で判定&集計して訴求内容を見える化



2つめの問題は、どのように訴求しているのか分からないということです。

この問題については、既に音声認識システムを導入されているお客様企業からも、多くご相談いただきます。

具体的には、自動でテキスト化した会話内容を集計する際、オペレーターごとに癖や様々な表現の仕方があるので、集計・仕分けを人の目と耳で確かめながら行うしかなく、手間と時間がかかるといった内容が大半を占めます。

では全てのオペレーターに対し、使う表現を統一するよう制限すれば良いのかというと決してそうではありません。この問題を解決するためには、話題判定にAIを使うことが効果的です。



話題判定にAIを使用する技術をトランスコスモスでは自社開発し「AIディフェンダー」として全国の事業所に導入しています。この技術を使用することで細かいニュアンスの違いをAIが判定してくれるため、話題の集計と仕分けにかかる手間と時間が大幅にカットされます。

例えば、オペレーターの表現がバラバラであってもAIがほんの数分で誰がどんな訴求をしていたのかを判定し、個人別・訴求内容別に実施率という形に直して集計・アウトプットします。

これにより、誰がどのように訴求しているのかが一目で正確に把握できるようになります。


AIがアウトバウンドを効率化 オペレーターのその日のパフォーマンスを予測



アウトバウンド業務に携わる方であれば誰もが一度は考えたことがある『今日、どのリストで、誰が、より多く獲得できるのか』が分からないという問題についてもAIで解決に導くことができます。

これまでは仮に架電リスト(アウトバウンドリスト)が3つあるとして、どのオペレーターならこのリストのうち、より多くの獲得に期待ができるのかは過去の実績をベースに考えるしかなく、当日ピンポイントでの予測ができないため、慣れや感覚といった定性的な情報を頼りにアサインするしかなく、未知の領域であるがゆえにブラックボックス化してしまいがちでした。



これを解決するためにトランスコスモスでは「AIセールスアラート」というサービスを開発しています。

管理者の経験や感覚を頼りに行っていたものを、感情データを活用してAIに傾向を学習させ、その日のオペレーターのパフォーマンス状況などを総合的に判断し、最も獲得が期待できるオペレーターが誰なのかを予測します。

「transpeech2.0」には会話時の声の周波数から感情を読み取り、スコアとして残す機能が存在するため、この感情スコアをもとに分析を行います。

管理者はAIが導き出したオペレーターのその日のパフォーマンス予測をもとに、適切な架電リストのアサイン、受電業務への割り振りなどを行います。これにより、例えばセールスに特化した人が管理者になったとしても、管理者業務に関わる研修・育成を大幅に短縮することができ、手間や時間、コストなどを削減しつつ、リソースも効率的に活用することが可能です。

まとめ

・どんな会話をしているか分からない
 ⇒音声認識テキストで会話のブラックボックス化を防止!話題の違いを定量的に掴む!

・どのように訴求しているか分からない
 ⇒話題を全自動で判定&集計して訴求内容を見える化!集計した「実施率」を見る!

・適切なオペレーターをアサインできているか分からない
 ⇒AIがオペレーターのその日のパフォーマンスを予測!予測データをもとにしたディレクションを実現する!


コンタクトセンターでのセールス成功のカギは、勘にたよらない「脱ブラックボックス オペレーション」を実現することです。

そのためにも、コンタクトセンター運用で陥りやすい課題については、音声認識システムを活用し、未然に防止、効率的に改善することで『データを元に勝ちパターンを見つけてPDCAすること』へ繋がります。



顧客体験の最適化を考えるうえで注目すべきチャネルは電話だけではありません。コンタクトセンター運用から得られたデータや顧客の声(VOC)を、その他チャネルの顧客接点の見直しに活用することも可能です。トランスコスモスではこうした横断的な取り組みについて「トランスコスモスのDX」として、顧客接点のデジタル化に取り組んでいます。

ご興味のあるソリューションなどあれば、お気軽に担当営業、もしくはこちらからお問い合わせください。


trans+(トランスプラス) 編集部
trans+(トランスプラス) 編集部
ITアウトソーシングサービスで企業を支援するトランスコスモス株式会社のオウンドメディア編集部。メンバーはマーケター、アナリスト、クリエイターなどで構成されています。
 

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